第102回
2014年5月21日

Ai輯報について

愛知教育大学附属岡崎中学校 3年 山岡 蒼司さん

私は、「Ai輯報」を作ることを提案したい。

Aiは、新たな死因究明システムとして、多くの施設で行われるようになってきたと思う。私は先日島根大学医学部附属病院のAiセンターに実際に伺い、Aiが現場でどのように行われるのかを教えていただいた。

その取材の中でAiの実際のデータを集めたデータベースである「Ai輯報」を作ることを思いついた。病理学会が発行している「日本病理剖検輯報」をイメージしてもらえればよいと思う。ただし、実際に運用するにあたって「日本人の病気の実態がうきぼりにできる」という日本病理剖検輯報の主目的だけでなく、これからの医療にむけての新しい試みを追加して、Ai輯報をさらに有意義なものにするべきだと考えた。

そこで、Ai輯報に載せる内容には生前の投薬記録や治療記録、実際のMRI・CTのデータなどを入れることを提案したい。そうすることで、どのような治療がどの病気に効果的なのか、病気の進行はどのように進むのかをより多くのデータから導き出せる。

実際に1年あたり何件のAiを日本で行うことができるのか計算してみたいと思う。島根大学医学部附属病院のAiセンターは1年あたり約440件のAiを行っている(島根大学医学部附属病院AiセンターHPより平成25年度のデータ)。また、日本病理学会の認定施設は全国に1028施設ある(日本病理学会HPより)。日本にAiを行う施設が病理解剖を行う施設と同数あると考えて、またすべての施設が島根大学医学部附属病院Aiセンターと同じ数のAiを行うと仮定すると、年間約45万人にAiを行うことができる。これは年間約2~3万体しか行えていない解剖と比べると、とても大きい数字となるのではないか。また、Ai画像はCT・MRIで撮影するデジタルデータである。なので、どこにいても、何度でも見返すことが可能である。また、データは半永久的に保存することができる。

上の2つの点から、Ai輯報は、数の面、データの保存の2つの点で非常に優れているといえるだろう。

私は、日本の解剖率がほかの先進国と比べ非常に低いということを知った今では、新しい死因追求システムが必要だと考えている。そこで、Aiをうまく活用してゆくことが大切だと感じた。また、最終的には遺族の方々が「亡くなってしまった」という事実をただ受け止めるだけでなく、「なぜ亡くなってしまったのか」という原因を自ら追求することができるような社会をAi学会のみなさまに作っていただきたいと思っている。