災害医学・抄読会 111003

JMAT(日本医師会災害医療チーム)活動報告

(3)宮城県石巻市における東京都医師会JMATチームの活動
http://www.med.or.jp/nichinews/n230720l.html
(4)すばらしい東北人の心意気 http://www.med.or.jp/nichinews/n230805j.html


大阪DMAT

(溝端康光、金森佳津.石原晋ほか・監修 プレホスピタルMOOK 9 DMAT、東京、永井書店、2009、252-265)


佐用町水害による病院被害とその対応

(堀内義仁、日本災害医学会誌 15: 218-224, 2010)

 佐用中央病院は兵庫県と岡山県との県境にある地方の外科系救急病院で、病床数157床、併設施設として老人保健施設52床がある。科は整形外科、外科、内科、脳神経外科、眼科、泌尿器科、皮膚科、リハビリテーション科等がある。2009年8月9日、台風9号に伴う豪雨のため、当病院前を流れる佐用川が氾濫し、病院1階部分が最高で110cm水につかった。このためほとんどの検査機器が使用不能となり病院機能が麻痺した。当時は夜間だあたこともあり入院中の123名の患者、病院内にいた19名の職員にも被害がなかった。ライフラインについては水道水の代用として井戸水を豊富に使用でき、電気は3日後に復旧、ガスもプロパンを用いて被災日から使用できた。医薬品は翌日には医薬品卸業の担当者により入手可能となった。

 このように電気、ガス、水道、医薬品が確保できたこと、および院内に人的被害はなかったことにより、被災後1週間で約40名の新患患者を診察し、8名の入院患者を受け入れた。また、約390名を再診した。被災直後の外来は外傷患者が主で、その後は脱水や食中毒等の内科疾患が増加した。携帯電話が使用可能であったので、消防署や兵庫県災害医療センターと連絡をとり合うことができた。病院の復旧過程において、井戸水よりの水が大変役に立った。病院復旧に対する収支は、支出が2億3,900万円、収入が2,948万円となっており、収支としては約2億1,000万円の支出となった。

 考察・課題としては今回のように地方の一民間病院が被災すると公的援助はほとんどなく自主再建せねばならず、このようななかでも医療活動を続けなければならない点である。国や県からの援助は総額700万円ほどで、かなり厳しい現実である。保険の面でも、病院のような高層階の1階部分だけの水害では保険金は非常に小さくなる。このため水害特約をつける必要があると考えられる。また、今回の災害は非常に限局的であり、DMATや医療救護班による支援システムが有効に活動してくれた。しかし、万が一のために周辺医療機関等との連絡網を整備しておく必要があるだろう。


災害による死亡と法医学:個人識別と検案

(福永龍繁ほか、大橋教良・編 災害医療、東京、へるす出版、2009、p.115-122)


災害時における感染の問題とその対策

(浦部大策、災害人道医療支援会ほか・編 グローバル災害看護マニュアル、東京、真興交易医書出版、2007、p.188-209)


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