災害医学論文集(災害事例別) 三宅島噴火(2000) |
目次: Allergology International、 救急医学、共立女子短期大学看護学科紀要、月刊福祉、公衆衛生、産業衛生学雑誌、自治医科大学医学部紀要、小児看護、信州医学雑誌、ナーシング・トゥデイ、日本胸部臨床、日本集団災害医学会誌、日本小児科学会雑誌、保健師ジャーナル、プライマリ・ケア
■Allergology International
■救急医学
■共立女子短期大学看護学科紀要
■月刊福祉
■公衆衛生
■産業衛生学雑誌
■自治医科大学医学部紀要
■小児看護
■信州医学雑誌
■ナーシング・トゥデイ
■日本胸部臨床
■日本集団災害医学会誌
■日本小児科学会雑誌
■プライマリ・ケア
■保健師ジャーナル
Abstract:噴火災害における避難所での救護活動のアセスメント能力を明らかにすることを目的に、有珠山噴火災害、三宅島噴火災害、新島噴火災害において避難所での救護活動を行った日本赤十字社の看護師4名を対象に、半構成的面接を実施した。内容分析の結果、以下の3つのカテゴリー、および各サブカテゴリーが抽出された。1)【情報収集に関するカテゴリー】(サブカテゴリー:「ネットワークを作り情報交換を行い、被災地の状況を推測する」)。2)【援助技術に関するカテゴリー】(「環境が与える影響を予測する」「感染に対する知識を活用」「物品の有効活用と調達ルートの活用」「被災者の感情に寄り添う」)。3)【自己認識に関するカテゴリー】(「自分たちの行動の範囲と限界を知る」「自己の役割を認識し自己統制する」「情報収集をもとに自己の救護体制を整える」)。
特集【災害対策の新たな視点 震災から10年を経て】
特集【自然災害と公衆衛生活動】
Abstract:三宅島雄山噴火による全島民避難から4年5ヵ月が経過し,火山ガス噴出量は低減してきたものの,一部の地域では二酸化硫黄(SO2)濃度が大気環境基準を依然満たしていない.しかし全島民帰島へ向け,滞在型労働者による本格的復興事業が2002年7月から,また島民の一時帰宅型帰島事業が2003年4月から始まった.以前に我々が行った復興事業の労働者検診(2003年1月),一時帰宅型帰島事業参加島民の症状調査(2003年10〜12月)では,SO2濃度と労働者のピークフロー値及び帰島事業参加者の呼吸器症状との間に明らかな相関関係は認められなかった.SO2は以前より呼吸器・循環器系への影響が言われており,東京都現地対策本部と三宅村は島内作業者全員に対しての予防対策として脱硫装置付き建物での生活,脱硫用マスク着用の指導,また入島者全員に対し充分な情報提供を行ってきた.今回,我々は2001年6月27日〜2004年6月30日までの三宅村中央診療所診療記録を検討したが,SO2濃度と直接的に関係している症例はなかった.しかし,島内労働者の気管支喘息発作初発の30歳代男性1件で高度な治療が必要であった.また災害避難命令期間中のため調査方法に大きな制約があり,SO2曝露指標の評価は不充分であるが,島民あるいは島内作業者に対する情報提供として,本調査報告は有用で重要な資料となるであろう.
Abstract:三宅島にある雄山が2000年6月から噴火が始まり,それ以来全住民が避難となった.2002年には噴火は消退しているが,火山ガス(ほとんどSO2)排出は当分続くであろう.2003年4月から3日間滞在型帰島プロジェクトが始まり,我々は2003年10〜12月にこのプロジェクトに参加した住民にアンケートを行った.アンケートには呼吸器症状(咳嗽,喀痰,喘鳴,息切れ)出現とそれらの症状を元々持っていたかどうかを含めた.さらに我々は島内6箇所の大気中SO2濃度を知り,濃度により2つのグループに分けた.我々はSO2大気汚染と呼吸器症状との関係を調査した.我々はまた最終的に性別,年齢,元々存在した呼吸器症状のような交絡因子を排除するため,それぞれの呼吸器症状を独立変数として類推評価した.結論として,大気中SO2濃度がより高いときは70歳以上の高齢者では息切れの悪化に注意を払った方がよいのだろう.しかし,SO2大気汚染は息切れ以外の呼吸器症状悪化に影響を与えていないのかも知れない。
特集【外傷後ストレス反応への対応と外傷後ストレス症候群に陥った児のケア】
Abstract:いつまで続くかわからない避難生活は,子どもたち,親たちに,多大な不安を与えている.経済的な支援,精神的ケアが必要である.子どもたちの変化に早期に気付き,対応していく必要がある.全国各地では,三宅島以上に長期にわたり,悩み苦しんでいる子どもたちもいる.精神的ケアについては,いろいろな機関で情報交換し,いろいろな方向から個々のケースに対してケア方法を生み出していく必要がある。
Abstract:背景:三宅島噴火に伴う2000年9月からの全島避難が2005年2月に解除となり、帰島が開始された。火山ガスの排出量は減少したが噴出は現在も続いており、咽頭痛、頭痛などガスに伴う症状も認められる。身体に及ぼす長期的影響も不明なため、島民の不安を増している。目的:平成17年7月末日までに診療所に来院した島民に対して聞き取り調査を行い、火山ガスによる症状の有無を評価した。方法:来院した269名に対して火山ガスによる症状の有無について聞き取りを行い、症状の年齢別比較、地区別比較、帰島からの日数による検討を行ったほか、帰島後の不安や健康に対する自覚を調査した。結果:火山ガスによる症状は31.7%が訴えており、咽頭痛が27.5%、頭痛が20.3%を占め多かった。投薬、入院が必要になる症例はなかった。結論:今後、長期的な影響の有無を明らかにし、島民に情報を積極的に提供していく必要がある。
Abstract:症例は三宅島に在住していた57歳女性.2000年7月検診での胸部X線は正常であった.8月からの三宅島雄山噴火において大量の火山灰を処理した後,東村山市に転居した.10月の胸部X線上異常陰影を指摘され,胸腔鏡下肺生検で得られた主な病理組織像は,細気管支から肺胞腔内の無機物の沈着を中心としてリンパ球,形質細胞,好中球の細気管支壁,肺胞壁ならびにそれぞれの内腔への浸潤,肺胞腔内の蛋白滲出物と腔内の線維化であった.三宅島火山灰と患者の肺胞マクロファージ内沈着物のエネルギー分散X線分析の結果,両者間に高い相同性を認めた.以上より本症例は火山灰の吸入による気管支肺病変と判断した.現在までに火山灰による末梢気道・肺病変についての報告は非常に数が少なく,貴重と考えて報告した.
特集【災害・被害を受けた住民への支援 暮らしとコミュニティの再建をめざして】
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