本コーナーには臨界事故に関するメーリングリストなどでの論議を収載しています。皆様のご意見をお寄せ下さい。なお、ウェブに収載させていただくのは、氏名、連絡先を明らかにして下さる方に限ります。
連絡先:越智元郎(gochi@m.ehime-u.ac.jp)
From: Genro Ochi Date: Mon, 04 Oct 1999 10:41:56 +0900 Subject: [eml-9: 05363] 提案:臨界事故に関する eml アピールについて(was: 疑問に思うこと) おち@愛媛です。今回の臨界事故に関して、・・さん、・・さんほか、 ご専門家のご意見をお伺いしました。 http://www.m.ehime-u.ac.jp/~mtanaka/nuclear/ これまでの論議をお伺いしていまして、当局が重要な情報をさらに公 開して・・さん。。さんのような専門家の意見を容れること、市民が受 けた中性子線量の類推のために銅64を計測すべきことなどを、 eml外へ のアピールとして出す必要があるのではないかと考えました。 ・・さんや・・さんにお願いですが、 eml上で意見交換をして(短時 間で)アピールをまとめていただけませんでしょうか。それを救急医療 メーリングリスト(eml)有志のアピールとして、「全国救急医療関係 者のペ−ジ」へ収載したいと思います。そのペ−ジには、老人研 戸田 さんがご担当の「東京メトロネット災害情報HP」など、皆様のHPか ら緊急リンクをお願いできませんでしょうか。 またこのアピールは、わが国の危機管理の専門家(特に化学災害に対 する)が集まっている、ケミカルハザードという政府関係者を含むメー リングリストに転送し、政府へ提言する形をとりたいと思います。 私は eml内のご専門家でいらっしゃる、・・さんと・・さん、あるい はその他の若干名の方のご意見が一致すれば、時間をかけずにアピール を出すのがよいと思います。そして、署名は例えば、 日本救急災害医療情報研究会 水野義之 ほか有志一同 という形にしていただければと思います。 皆様、如何でしょうか。 追伸:物理学会などで同様のアピールをされることと重複することは 何ら問題ないと考えております。From: Genro Ochi Date: Tue, 05 Oct 1999 17:48:21 +0900 Subject: [eml-9: 05416] Re: アピール文案3(修正1) Mさんの提言文案、読ませていただきました。私はこの文案で異存 ございません。 いくつか確認とお願いをしたいと思います。 〇提言者の名前について(省略) 〇提言者の連絡先、電子メールの公開は可でしょうか(省略)。 〇提言書をどのようにして広く読んでいただくか(特に政府のご担当者に) ・提言書が確定しましたら、私は「ケミカルハザード」というメーリン グリストへ投稿させていただく所存です。加えて emlメンバーの方々で この提言に賛同して下さる方には、その他のメーリングリストなどへの 転送、紹介していただければ幸いと存じます。転送していただいた場合、 事後連絡で結構ですので、emlでもご報告いただき、重複を避けるように したいと思います。 ・emlメンバーの方々で、今回の臨界事故に関与しておられる重要な立場 の方々をご存知でしたら、今回の提言書、そのURLなどを、その方々にぜ ひご紹介下さい(これらは公開情報です)。 ・emlメンバーでホームページをお持ちの方々は提言書のペ−ジが公開さ れましたらぜひリンクをお願い致します。 ・私が、電子メールで提言をお送りすればよいと考えております政府機 関などは以下の通りです。皆様、その他に送付すべき所ををピックアッ プしていただけませんでしょうか。 □首相官邸 http://www.kantei.go.jp/jp/question.html □科学技術庁 核燃料サイクル開発機構(広報部情報公開課) www-admin@jnc.go.jp (この2つしか思い浮かばないのです) FAX で送れる所もピックアップしたいのですが、皆様のお知恵を宜し くお願いいたします。
From: Genro Ochi Date: Thu, 07 Oct 1999 04:02:32 +0900 Subject: [eml-9: 05458] 放射線災害に関する過去の交信記録 おち@愛媛です。他のメーリングリストで放射線に関する単位 についての話題が出たのをきっかけに、放射線災害に関する eml の過去の交信記録を探してみました。 とりあえず1998年6月末までのものが以下のようにまとめられ ています。このペ−ジのユニークな点は公開ペ−ジと非公開ペ− ジを兼ねていることで、 emlメンバーでない人は発信者の公開許 可がなかったメール(○印のないもの)にはアクセスできないよ うになっています。 その後、何度か放射線災害の話題が出たあと、今回の事態が発 生したわけですが、98年7月以降のこの問題での交信記録のまと めは作成しておりません。今思い出せるものとして、私が昨年の 日本救急医学会総会の印象記を「高松だより」としてまとめた中 に、3回シリーズとしてこの話題がありましたので、本メールの 末尾にメール番号と URLを示させていただきます。 皆様のご参考になれば幸いです。 ■ 救急医療メーリングリスト(eml)より 「放射線災害の話題」 http://ghd.uic.net/98/i622rad.html (発信者の敬称は省略させていただきます) 目 次 ファイル1 ○961113. 越智元郎 [eml:2140] 札幌便り1 ○961113. 水野義之 [eml:2142] RE: 札幌便り1 961113 [eml:2147] Re: 札幌便り1 961113 [eml:2151] 放射能のこと 札幌便り1関連 961113 [eml:2152] RE: 札幌便り1 961113 [eml:2153] RE: 放射能のこと 札幌便り1関連 961114. 越智元郎 [eml:2158] RE: 放射能のこと 961114 [eml:2160] Re: 放射能のこと 札幌便り1関連 961114 [eml:2161] 放射能のこと again 970501 [eml:3405] 放射能被爆傷病者 970503 [eml:3418] 放射能被爆傷病者 ○980325. 越智元郎 [neweml: 2005] 名古屋便り3・放射線災害医療 ○980326. 越智元郎 [neweml: 2022] 名古屋便り4・放射線災害医療 ○980326. 田中盛重 [neweml: 2033] Re: 名古屋便り4・放射線災害医療 ファイル2 ○980620. 伊里光成 [neweml: 3330] 放射線線量限度について教えて下さい ○980621. 戸田年総 [neweml: 3343] 放射線障害について(長文 ○980621. 水野義之 [neweml: 3347] 放射線線量限度について(再説) ファイル3 ○980621. 伊里光成 [neweml: 3352] Re: 放射線線量限度について ○980622. 戸田年総 [neweml: 3353] Re: 放射線線量限度について ○980622. 戸田年総 [neweml: 3354] Re: 放射線 ○980622. 伊里光成 [neweml: 3357] Re: 放射線線量限度につい ○980622. 水野義之 [neweml: 3362] Re: 放射線 ○980622. 戸田年総 [neweml: 3364] Re: 放射線線量限度について 980622 [neweml: 3368] Re: 放射線線量限度について ■ 越智の「高松だより」より [eml-9: 01547]高松だより31:3日 [eml-9: 01556]高松だより32:3日 [eml-9: 01631]高松だより33:3日 以上です。それでは皆様、また。 ---- Genro Ochi gochi@m.ehime-u.ac.jp
Subject: [eml-9: 01547]高松だより31:3日 From: Genro Ochi Date: Wed, 17 Mar 1999 00:37:17 +0900 おち@愛媛です。また少し間隔があきましたが、昨年の日本救急 医学会総会(高松)の印象記の続きをお送りします。学会2日目は 私は職場で勤務があり、3日目朝にあらためて高松へ出て来ました。 この日、私は第6会場 午前の被爆医療のセッションを途中まで聞 き、他会場でポスターの座長があたっており、慌ただしく会場を移 動しました。また当日の当直に備え、昼過ぎには列車の人となって しまいました。 3日通して参加された方でも、平行して興味深いセッションがあ ると聞き漏らした演題も少なくないものと思います。学会に参加さ れた皆様の印象記や情報など、ぜひemlでご紹介下さい。 さて、まずは原子力安全委員会委員である 青木芳朗先生(東大 放射線健康管理学)の「特別講演5:放射線事故における緊急時被 爆医療:チェルノブイリ事故その他の経験より」をご紹介します。 座長をされた香川医大 小栗教授が言われましたが、本学会は「今 世紀の総決算、来世紀への橋渡し」という観点からテーマを選ばれた そうです。この観点から多くの災害医学の話題が取り上げられました が、私にとって最も重いテーマがこの被爆医療の問題でした。会長自 ら座長をされたことをみても、会長ご自身にとっても重要なテーマで あったものと拝察しています。 また被爆医療に関してはいくつかご紹介したい web資料があります が、まずはeml過去の交信記録(テーマ別)より「放射線災害の話題」 をご参照いただきたいと思います。 http://ghd.uic.net/98/i622rad.html ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ それでは青木教授のご講演の最初の部分をご紹介したいと思います。 〇はじめに 1.放射線はサリンほど怖くない(エネルギ−の大きな放射線を受けな ければ大丈夫)。ただし無手勝流ではだめ。サリンでも訓練・防護 服が必要。 2.放射線事故でも防護服が必要なことがある(汚染時のみ)。 3.放射線は単なるエネルギ−である。量の概念が大切。 4.大変なのは被爆した患者さん自身。医師や関係者が慌てるには及ば ない。扱いは一般の患者さんと同じ(*)。 5.放射線科と放射能は違う。汚染患者の取り扱い方の修得が大切。 *4.はスライドに「大変なのは被爆した患者さん。扱いは一般の患 者さんと同じ」と出ました。私の解釈が違っていたらご容赦を。 〇放射線と放射能 1.放射能:放射線を放出する能力 2.放射線:放射性物質から出るエネルギ− 3.α線:ヘリウム原子核がα崩壊して β線:電子(中性子が陽子と電子に変わる) γ線:原子核の励起状態から放出される電磁波(紫外線に似た波長 の短い電波) Co60→(β崩壊)→Ni60→(γ線放出)→Ni60(安定した物質) 〇放射線、放射能の単位 国際単位(記号) <旧単位> 放射能 ベクレル(Bq) <キューリー> 吸収線量 グレイ(Gy) <ラド> →放射線の、物質中でのエ ネルギ−損失量 線量当量 シーベルト(Sv) <レム> →Gyにさらに生物学的な効 果も入れたもの 〇世界における主な放射線事故の件数 ・臨界事故(スリーマイル事故など18件) 臨界集合体 6,原子炉 7,化学処理 5 ・放射線装置 269件 密封線源 180、X線装置 67、加速器 21、レーダー発生器 1 ・ラジオアイソトープ 77件 超ウラン元素 26、トリチウム 1など 本日はここまでとさせて下さい。それでは皆様、また。
Subject: [eml-9: 01556]高松だより32:3日 From: Genro Ochi Date: Wed, 17 Mar 1999 11:23:36 +0900 おち@愛媛です。昨年の日本救急医学会総会(高松)の印象記: 特別講演5:放射線事故における緊急時被爆医療:チェルノブイリ 事故その他の経験より(東大 青木先生)」の続きです。 ○ チェルノブイリ事故に関する主な出来事 ・4月26日午前1時23分(モスクワ時間) 事故発生 ・4月27日 ブリビャチ(人工2万人、チェルノブイリ原発の勤務者が 多い、原発から 3 Km)の住民避難実施。 ・5月8日 炉心から大気への10日間の放射性物質の放出が停止。 飲料水及び食料品の「暫定許容レベル」の導入(→ 情報が出てこ ないため住民がパニックになったので、暫定情報を出した)。 立入禁止区域内の住民の避難が完了 □1986年5月 一般公衆に対する暫定線量限度を年線量 100 mSvと設定 □ 11月 シェルター(石棺)の建設終了 □1987年 一般公衆の暫定線量限度を年線量 30 mSvに引き下げ □1988年 一般公衆の暫定線量限度を年線量 25 mSvに引き下げ、1990 年1月から採用する生体線量限度を 350 mSvと設定。 □1989年10月 旧ソ連政府が、事故後の放射線影響に関する被爆アセス メントを IAEAに要請 □1991年5月 IAEA国際諮問委員会?が国際アセスメントの結果につい て報告 □ 12月 ソ連邦が解体し、連邦政府保健省および附属研究機関も 各独立国に移管 □1995年11月 WHOが事故後10年の健康影響国際会議を開催 ○ チェルノブイリの位置 エストニア共和国 ラトビア共和国 ロシア共和国 リトアニア共和国 ポーランド 白ロシア共和国 ――――――― ウクライナ共和国 (ブリビャチ) (★チェルノブイリ) (キエフ) ○ 放射性物質を含んだ風の流れ(地図でみると以下のような感じ) 7.スカンジナビア 4.英国 5.大西洋 6.英国 2.エストニアなど3国 1.★チェルノブイリ 3.イタリア北部 ○ 事故発生時の被災状況 ・患者総数 225人以上 現地での死亡者 4名、要治療と判断された者 143名 ・軍によりモスクワ市内6病院へ搬送された患者 115名 ・急性放射線障害による死亡者 27名 19名 → 著明な皮膚障害(β線)、2名 → 腸管死と推定 6名 → 骨髄死と推定 ・*骨髄移植施行 モスクワ搬送 115名中 25名 △BMT(同種)施行 13名 7名 → 生着判定前(2〜9日)に死亡 6名 → 生着して30日以上生存 4名―GVHD、サイトメガロウイルス感染、肝障害で死亡 2名―生存 △胎児肝血流幹細胞移植 6名 5名 → 2〜3週間後、肝不全で死亡 1名 → 移植肝血流幹細胞は生着 *骨髄移植は当時、急性期の放射線障害の治療の最後の砦と考えら れており、チェルノブイリ被災者に対しても米国の医師団の指導 で実施された。しかしその結果は「骨髄移植は無効」と判定すべ きものだった(スライドの数字などを完全に正確にビデオから書 き写せたかどうかは、自身がありません)。 ○ 講演抄録より |2.チェルノブイリ事故 | 1986年4月26日未明、旧ソ連邦チェルノブイリ原子力発電所4号 |炉で爆発事故が発生し、数十万人も及ぶ人々が被害を蒙った。この |事故の後遺症として、小児の甲状腺がんの多発が認められている。 |一方原子炉サイトで大線量被爆した従業員、消防士など499人が緊急 |入院し、28名が急性の放射線障害で死亡した。本事故では、白血球 |の減少パターンなどから被爆線量推定が行われ、骨髄移植が無効で |あったことなど多くの教訓が得られた。 本日はここまでにて、失礼を致します。
Subject: [eml-9: 01631]高松だより33:3日 From: Genro Ochi Date: Sat, 20 Mar 1999 11:00:16 +0900 おち@愛媛です。昨年の日本救急医学会総会(高松)の印象記: 特別講演5:放射線事故における緊急時被爆医療:チェルノブイリ 事故その他の経験より(東大 青木先生)」の続きです。 ■チェルノブイリ事故(続き) 〇白ロシア共和国における甲状腺癌多発(特に小児) Bolarus(ベラルーシ)における甲状腺癌症例数 成人(小児) 1977- 120 (3) 1986- 162 ( 2) (1986年4月26日にチェ 1978- 97 (2) 1987- 202 ( 4) ルノブイリ事故) 1979- 101 (0) 1988- 207 ( 5) 1980- 127 (0) 1989- 226 ( 7) 1981- 132 (1) 1990- 289 (29) 1982- 131 (1) 1991- 340 (59) 1983- 136 (0) 1992- 416 (66) 1984- 139 (0) 1993- 512 (79) 1985- 148 (1) 1994- 543 (82) Total 1131 (8) Total 2897(333) 〇白血病は増えていると言えない Bolarus(ベラルーシ)における白血病症例数(/人口 100万人) 1979-1985 1986-1991 41.5 (4.2) 40.5 (4.8) mean (SD) ■ブラジル ゴイアニアのセシウム事故 〇経過 ・1987年9月 廃棄された病院のセシウム密封線源が放置されていた。 ・9/13: RAとWPが線源入りのステンレス容器を盗んだ。2人は当日か ら嘔吐しはじめたが、食中毒と考えていた。 ・9/16: RAは内容物を取り出し、妻MF1に与えた。 ・9/21: EF1が発光体を容器から取り出した。兄弟のEF2が家に持ち帰 った。何人かがカーニバルの飾りとして皮膚に塗った。 ・9/21-23: MF1に嘔吐、下痢が発症。 ・9/23: WPが入院。放射線熱傷は他の病気と誤診された。 ・9/24: IFの6歳の娘が発光体を手でもてあそんだ。 ・9/28: この頃には多数の人が発病。MF1は発光体が原因と確信。MF1と GSは発光体の識別を Dr.PMに依頼。 ・9/28: 熱帯病院の Dr.RPは放射線障害を疑った。Dr.RPは中毒センタ ー所長の DR.AMに相談、彼はゴイアニアを訪れていた医療物理専門家 WFに相談。 ・9/29: WFは線量計を核燃料サイクル支所から借りて測定。WFは容器が 川へ捨てられるのを阻止。WF等はゴイアス州の保健所に事故の報告。 〇事故による人的被害 1)検査された人数; 112,800人 2)汚染患者; 129人 3)衣服、靴の汚染; 120人 4)入院患者 20人 5)死亡例 4人 ○被爆線量の推定;外部被爆+皮膚汚染+内部被爆 1)内部被爆 → バイオアッセイ、全身体外計測 2)外部被爆 → 染色体分析、被爆状況の再現調査 歯の ESR(歯のエナメル質を分析) ○死亡患者のプロファイルと被爆線量 1)MF;38歳、女、10月23日死亡、被爆線量 5.7 Gy 2)LF2; 6歳、女、10月23日死亡、被爆線量 6.0 Gy 内部線量 1.0 GBq (2,7 mCi) 3)IS;22歳、男、10月27日死亡、被爆線量 4.5 Gy 1)AS;18歳、男、10月28日死亡、被爆線量 5.3 Gy ゴイアニアのセシウム事故については終了。いったんここで切らせて いただきます。それでは皆様、また。
From: Genro Ochi Date: Thu, 07 Oct 1999 05:02:48 +0900 Subject: [eml-9: 05460] Re: 緊急提言の送信先 おち@愛媛です。臨界事故に関する緊急提言ですが、・・さん のアドバイス(eml-9: 05419)に沿って、以下のホームページ担 当者にメールを送りました。文面は昨日、科学技術庁 核燃料サ イクル開発機構(広報部情報公開課)のホームページ担当者に送 ったメール(eml-9: 05435)とほぼ同文です。 厚生省 www-admin@mhw.go.jp 環境庁 web@eanet.go.jp 国立環境研究所 www@nies.go.jp
From: Genro Ochi Date: Thu, 07 Oct 1999 06:32:33 +0900 Subject: [eml-9: 05464] 緊急提言のマスコミへの送付について おち@愛媛です。言い訳のようなメールになります。表記のこ とにつき、現在の心境を少し書かせていただきます。 緊急提言のマスコミへの送付については、沢田さんのアドバイ スをもとに私の頭に浮かんだことを私が emlへ出させていただき ました。しかし、現時点ではまだ新聞社、記者クラブ、雑誌社、 テレビ局など、そのいずれにもアプローチはしていません。この ことについては emlの皆様のご助言やご批判は喜んでお受けする 積もりですが、私自身が今後ながく emlの活動をしてゆく上でマ イナス点が無いかどうか、即決はせずに頭の中で反芻していると ころです。 ともあれ自分の気持ちに正直になることが1番です。以下、箇 条書きで私の考えをあげてみます。 1)私が今回の緊急提言を読んでいただきたいと想定した人は、 (準)公的なメーリングリストである「ケミカルハザード」にお られる、国の危機管理一般に関与しておられる、ある行政官の方 でした。ケミカルハザードへの1本のメールが、その方に読まれ、 検討され、ある程度 現在の問題の収拾過程に反映するかどうか、 それには様々な障害があっても不思議ではないと思います。 例えばその方が多忙すぎて、メールを読むどころではないとい うこともあるでしょう。しかしもしそうであるならば、化学災害 の危機管理を念頭において作られた上記MLは一体何かというこ とになろうかと思います。地下鉄サリン事件で、災害対応の渦中 にある担当者が、外部の専門家によって十分に検討された意見や 情報を参照するということが容易ではありませんでした。そのこ とが、今どのようなレベルにあるか、知りたいと考えています。 厚生省がお世話しておられる「広域災害救急医療情報システム」 にも各種の専門家を集めた公的なメーリングリスト群の構想があ り、少しずつ準備がなされています。しかしこれらも、牛歩を続 けている間に、次々と新しい災害が通り過ぎて行っています。 いずれにしても、現段階で救急医療関係者が(準)公的なネッ トワークとして、専門家からの緊急の助言の受け皿としての「ケ ミカルハザード」が実効的なものでありうるかどうか、推移をみ たいと思っています。 2)私は文部教官であり、病院職員としては記者会見などをする に際しては、病院庶務係を経て病院長の許可が必要です。また、 私の研究活動や診療、教育活動に関しては、上司(科長であり研 究室の長である教授)が責任を負う立場にあります。私は3年来 救急医療メーリングリスト(eml)という草の根のネットワーク の環境整備をして来ましたが、これは大学人である私との関係で 言えば、国立大学のネットワーク資源を使って国民への情報提供 をするための教育的、研究的活動ということになります。 今回の提言が国民に対し寄与するものであり、文部教官として の私の立場に何ら矛盾するものではないことは何の疑いも持って いません。しかし、そこから新聞社、雑誌社、テレビ局という私 的な企業と接点を持つことには、少しためらう部分があります。 同様に政策実現という考えからすれば、今回の提言を政党や議員 それぞれにお送りすることは極めて有用な手段だと思います。し かし現実には私の心の中にはそのことには、完全に是認しきれな い部分があります。 報道や政党は(報道関係者のお言葉と使えば)「公器」という ことになりますが、それぞれの自由な活動が許されています。例 えば「憲法・条を改正しよう」という信条を新聞社の社是や政党 の公約として掲げることが許されています。これに対して私の立 場は、一種の学術的なものでもう一歩引いた、国民への澄み切っ た真実の提供とでも言うべきものではないかと思っています。 以上1)2)で書きましたような事情から、・・さんにご指摘 いただいた「提言」の効率的な配布という方法論と、私自身の煮 え切らない部分との間で、私の頭の中で揺れているところです。 救急医療メーリングリスト(eml)の活動はまだまだ先の長いも のだと思いますので、ここの所は「決断と実行」などという勇ま しいものではなく、自分が信じられることを実行するというバラ ンス感覚を優先しようと思います。そのことがかえって私共の 緊急提言が信頼をかちえる早道ということも言えるのではないか と思います。 いずれにしても、報道機関などから問い合わせがあったり、意 見を求められたら申し述べる積もりです。 emlの皆様には「提言」 の各分野への浸透についてご協力をよろしくお願い申し上げます。 (私自身では限界を設けながら、矛盾したお願いでしょうか)
From: Genro Ochi Date: Thu, 07 Oct 1999 11:44:05 +0900 Subject: [eml-9: 05471] ケミカルハザードへの再投稿 おち@愛媛です。昨日、臨界事故に関する提言書をイの1番に 投稿させていただいたメーリングリスト・ケミカルハザードに本 日、以下のメールを投稿させていただきました。もしご担当者が メールを読んでおられましたら何らかのコメントをいただけると 思うのですが、そうでなければこの方法で私共の意見を直接担当 者にお届けするというのは、あまりに無謀な計画だったのかも知 れません。いずれにしても当分様子をみる他ありません。 ケミカルハザードへの投稿メール ――――――――――――――・―――――――――――――― 愛媛大学の越智でございます。昨日はメーリングリスト・ケミ カルハザードに表記の提言を投稿させていただきました後、医学 関係、物理学関係など多数のネットワークに提言を転送させてい ただきました。重複して受け取られた方には誠に申し訳ございま せんでした。 さらにこの提言は首相官邸、厚生省、環境庁、国立環境研究所 のホームページにも、電子メールでお送りし、関係者に転送して いただくようにお願い致しました。私共の真摯な論議が、果たし て関係者のお耳に届くのかどうか、現在は不安な気持ちでいずレ スポンスを待っております。 ケミカルハザードにおきましては、・・先生のお名前を頭にう かべながら、上記提言を送らせていただきました。・・先生ごお かれましてはご多忙とは存じますが、何らかの形での情報提供、 また関係者への働きかけをお願いできれば幸いでございます。 特に、提案1にございますように、事故が発生したとされる30 日午前10時半過ぎにはガンマ線が検出されておらず、同日夜に なってγ線が初めて検出されているという現象(資料3)は、こ れまでの当局のご発表や報道内容のみでは理解に苦しむもので、 ぜひご担当者からの情報提供をいただきたい所でございます。 (資料3: http://www.m.ehime-u.ac.jp/~mtanaka/nuclear/) また提案2の、住民家屋内での中性子線量の調査でございます が、ご専門家の方々の間ですでにご検討はいただいていると思い ますが、実際の調査につきましてはどのような形でご計画いただ いておりますか、ぜひお伺いしたい所でございます。 ケミカルハザードは特に化学災害を念頭に置いた(準)公的な メーリングリストであると理解しております。私共の提言が、わ が国の危機管理に様々な形に関与しておられる方々に読まれ、検 討され、ある程度 現在の事態の収拾過程に反映することを期待 するものです。1995年の地下鉄サリン事件で、災害対応の渦中に ある担当者たちが、外部の専門家によって十分に検討された意見 や情報を参照するということが容易ではありませんでした。その ことが改善されているかどうかは、一つにはこのケミカルハザー ドのようなネットワークがどの程度効率的に活用されるかどうか で評価されるものと考えます。 ・・先生または本ネットワークのメンバーの方々で事情をご存 知の方がおられましたら、ご教示のほどよろしくお願い申し上げ ます。また・・先生におかれましては、私のメールに失礼がござ いましたら、何卒ご容赦いただきたく、よろしくお願い申し上げ ます。 ――――――――――――――・――――――――――――――
From: Genro Ochi Date: Thu, 07 Oct 1999 20:28:50 +0900 Subject: [eml-9: 05483] ケミカルハザードへのコメント おち@愛媛です。 昨日、メーリングリスト・ケミカルハザードに投稿した緊急提言 に対し、先ほど政府のご関係者の方からコメントをいただきました。 以下は、私がそのメールへのリプライとして再度投稿したものです。 ケミカルハザードからの配信メールをご紹介することはできません が、私の返信からおくみ取りいただけましたら幸いです。 ――――――――――――――・―――――――――――――― ・・先生、皆様、愛媛大学医学部救急医学の越智でございます。 ・・先生におかれましては、ご多忙中コメントをいただき、誠に 有難うございました。 ケミカルハザードが今回の臨界事故に関する論議の場ではないと いうご方針につきましては了解致しました。また現地で測定された 全ての詳細なデータが科学技術庁のホームページを通じて公開され ているということも、大変有り難くお伺いいたしました。さらに私 共の提言を科学技術庁にお送り下さいましたことにつきましても、 深謝申し上げます。 最後に私共の提言につきまして、もしどなたか直接のご担当者の 方から私共宛てに何らかのご説明を下さいますようご手配下さいま したら、感謝に堪えません。御多忙中、誠に恐縮ではございますが、 どうぞよろしくお願い申し上げます。 越智より(chem-haz 31) | 特に、提案1にございますように、事故が発生したとされる30 |日午前10時半過ぎにはガンマ線が検出されておらず、同日夜に |なってγ線が初めて検出されているという現象(資料3)は、こ |れまでの当局のご発表や報道内容のみでは理解に苦しむもので、 |ぜひご担当者からの情報提供をいただきたい所でございます。 |(資料3: http://www.m.ehime-u.ac.jp/~mtanaka/nuclear/) | | また提案2の、住民家屋内での中性子線量の調査でございます |が、ご専門家の方々の間ですでにご検討はいただいていると思い |ますが、実際の調査につきましてはどのような形でご計画いただ |いておりますか、ぜひお伺いしたい所でございます。 最後に、先生におかれましてはくれぐれも御身体にお気を付けて いただき、今回の事態を乗り切って下さいますよう、お願い申し上 げます。お返事有難うございました。 〒791-0295,愛媛県温泉郡重信町志津川 愛媛大学医学部救急医学教室 越智元郎 TEL 089-960-5710(直通),FAX 089-960-5714 E-mail: gochi@m.ehime-u.ac.jp ――――――――――――――・――――――――――――――
From: Genro Ochi Date: Fri, 08 Oct 1999 05:25:47 +0900 Subject: [eml-9: 05505] Re: 被曝医療 おち@愛媛です。 Hさんより「放射線・放射能災害の救急活動マニュアル」などについ てご質問がありました(省略)。 → マニュアルについては、下記にある国立病院東京災害医療センター 原口先生らのよる「核災害(放射線災害)における病院災害対策マ ニュアル―1997年版―(暫定版)」がありますが、まだ必ずしも同 センターの正式なマニュアルとして、確定はしていないようにお聞 きしています。 このマニュアルにつきましては、"[eml-9: 05332] 提案・東京災害 医療センター「核災害対応マニュアル」のウェブ化" でもご連絡し ましたように、この機会にウェブに収載したいと考えています。但 し、ウェブ収載については以前一度承諾を得たつもりでしたが、現 時点でもう一度確認が必要なようで現在調整中です。了解をいただ き、かつワープロ原稿をご提供いただくのがベストではないかと考 えています。 上記マニュアルには「被曝医療に対応できる医療機関のリスト、ネ ットワーク、協力体制」などについては記載がありませんでした。 一昨年、「放射線事故医療研究会」という会が設立され、私も昨年 入会しました。今年は8月20日に広島で集会が行われたと思います。 この会では会員のネットワーク化をはかり、ホームページも発信し たいというご方針でしたので、もしこれが実現・充実すれば、様々 な資料や情報が同研究会のウェブを通じて提供されるのではないか と期待しています。