目 次
私が考える臓器提供施設の心得とは、
次に正確な脳死判断について再確認しなければならないのは、これは法的手続きの問題
であって、医学的な問題ではないということ。すなわち、法に規定されているとおりに理
屈抜きに行い、また判断しなければならないということ。
マニュアルにはない病院が想定すべきことと問題は、
などがあります。
慶応義塾大学病院では、平成9年7月より脳死判定検討委員会を設置して脳死判定にか
かわる検討を行い、10月には院内の規約とマニュアルの作成、説明会の実施、脳死判定
医や検査技師などの人的確保、ドナー候補者が発生したときの対応などの体制を整えてい
た。
検討委員会の委員として検討を進めていくうえで、2つのことを感じた。通常の医療行
為も法の下で行っているが、脳死判定では特に法との接点が多く、判定の手順や基準に記
されている数値などは参考値ではなく、守らねばならない値であり、医師が法を理解し遵
守する必要があること。「臓器移植に関する法律」、その「施行規則」と「運用に関する
指針(ガイドライン)」など、いくつかの法案が制定されているうえに、次々と改定がな
され、最新のものを確認するのが困難であるなど、公布や公示の仕方は医療関係者には分
かりにくいことである。
家族が脳死判定に立ち会えることになっており、希望により最後まで立ち会われた。第
2回目の無呼吸テスト開始前に、これで患者さんの“死”が 決定されることを告げ、手
を握るようにお話しした。持っておられた聖書の思い出の節を読まれ、安堵の表情を感
じ取ることができた。私もほっとして、迷うことなく最期の時を告げることができた。家
族の強い希望が今回の脳死判定の機動力となっており、家族の方と一緒に脳死判定を行う
ことができた。
1.脳死判定
臨床脳死判定医、脳死判定医2名、摘出時のドナー管理医は別々が望ましい。
古川市立病院では、臨床脳死判定医が主治医の脳外医1,脳死判定医は脳外科1、麻酔
科1で専門医が3人しかいないため、ドナー管理は移植側に依頼しました。
中枢神経抑制薬、筋弛緩薬などの影響を除外する。気管挿管時の麻酔薬や筋弛緩薬は、
脳死判定まで3日以上経っているため問題になりませんでした。低体温療法の時は、薬の
残存効果の判定が問題になると思われます。
無呼吸テストは呼吸管理に習熟した専門医師が関与に努めることで、麻酔科医または集
中治療医が大きく関与するところです。中枢温35℃以上やPaco2 35〜45mmgHgを確認
してから行います。血液ガスの測定など、ある程度人の確保が必要です。血液ガス機械の
calibration timeもチェックしておくことが必要です。
2.臓器摘出手術
原則として、摘出チームがすべて用意することになっています。移植コーディネーター
と話し合って、術衣や手術衣までもどちらで用意するか、あらかじめ決定しておきます。
手術室をどこを提供するか。1室は手術室として使い、もう1室はback tableとして使用
しました。手術室は全部で6室で、残りの4室を時間調整して定期の手術を組みました。
大きな臨時手術時の対応が課題で残りました。
ドナー管理を摘出側に依頼した時には、摘出医院のサポートがあったほうがスムーズに
進行します(麻酔器、人工呼吸器、動脈ライン、薬剤等)。外回りの看護婦も2人は必要
でした。
はじめに
高知赤十字病院救命救急センター救急部 西山謹吾
1) 患者の意思を尊重すること
2) 臓器提供の意思表示の有無で治療方針を変えないこと
この2点です。慶応義塾大学医学部麻酔科 武田純三
古川市立病院麻酔科 佐藤大三