溺水事故Q&A・目次
Q 1. 蘇生法を行なって助かるのはどのような場合でしょうか?
通常脳へ5分以上酸素が運ばれなければ、大脳の回復は極めてむずかしいと言われて
います。つまり、心臓が止ってから5分以内に心肺蘇生法が実行されることが極めて
望ましい。従って、医療機関へ到着してからではほとんどの場合絶望的です。そこで
今年「救急救命士法」が制定され、救急隊員が救急救命処置ができるようになりまし
た。
しかし現場から連絡が発せられ、救急隊員が到着してからでも、通常は遅すぎます。
現場でただちに救命処置が開始されなければ蘇生はむずかしい。
Q 2. 事故が発生して5分以内に救命処置がなされなければならないですか?
心臓が止まって5分以内であって、呼吸が止まって5分ではないことを理解して頂き
たい。
心臓・肺機能に異常がなければ、通常呼吸が止まっても心臓はしばらくは動いており
脳に血液が運ばれます(もちろん刻々と酸素の量は減りますが)。
従ってプールでの溺水事故に際し、現場で救急救命処置がなされれば、救命率は極め
てよくなることは確実であります。
Q 3. 溺水者に対する第1の処置は飲んだ水を吐き出させることですか?
口の中の水や、吐物は頭を横へ向けて出してしまうことが必要でありますが、胃の中
の水は吐き出させることは原則として、してはなりません(胃を圧迫してはならない
)。
肺の中へは、あまり入らないと言われています。もし入っているとしても現場ではそ
れを無視してください。息をしていなければ、息を吹き込む人工呼吸をすることがま
ず第1であります。
Q 4. 口対口人工呼吸(マウスツーマウス)では酸素が入って行くのでしょうか?
空気中の酸素は5分の1すなわち20%です。
呼気中の酸素は16〜17%で、空気よりは少ないですが肺の状態が悪くなければ、
最低限の酸素は確保されます。
Q 5. ではマウスツーマウスをしていれば、酸素については心配無いですか?
いいえ、できるだけ早く純酸素を十分量与える必要があります。
Q 6. 救急蘇生法は誰でもできるものですか?
しっかり訓練すれば、マウスツーマウスと心臓マッサージを誰でもマスターできます
。じょうずに行なわなければ、合併症もありまた効果も不十分となりますが、少々ま
ずくても手をこまねくよりは積極的に実施することが何よりも大切です。躊躇してい
ると必ず命が失われるのですから。
実際に蘇生を実行することになる場面に出会うことは、めったにないので、やり方を
忘れてしまいがちです。プールサイドに立ち合う方は毎年定期的に人形を使って訓練
することが望まれます。
Q 7. プールサイドに備えることが望ましい設備・器具は?
第1に、マスク(蘇生用と通常のもの)、酸素、吸引器
あれば望ましいものは、血圧計、パルスオキシメーター
□生垣の救急II課程・質疑応答集