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スタッフ紹介:大須賀 穣

プロフィールと略歴

  • 専門分野
    生殖内分泌
  • 卒業年度
    昭和60年
  • 出身大学
    東京大学
  • 出身地
    大阪府

メッセージ

産婦人科の魅力は、生物としての根源的な渇望である生殖に関わる多様な疾患を克服し、激動する現代に応じて生殖に関わる健康を促進することにあります。すなわち、産婦人科は多くの医学の領域の中で、創造の喜びに直結しているきわめて特徴的な診療科です。近年、体外受精の創始者がノーベル賞に輝いたことも産婦人科の扱う領域の貴重さを示しています。また、産婦人科は特殊性と同時に一般性も兼ね備えています。女性の体は一生を通してダイナミックに変化します。このため、常に女性の全身を診ることも産婦人科の特徴です。例えば、卵巣由来のホルモンは生殖器のみならず全身の多くの臓器の機能調節に関わります。このように産婦人科は幅広い領域を対象とするため、当院においては女性診療科・産科と女性外科という名前の2つの診療科から構成されています。

どうして産婦人科はこのように広い領域を扱うのでしょうか。有性生殖により生物は多様性を確保し、胎生により生物はより安全に進化してきました。さらに、単一排卵、月経、血絨毛胎盤という霊長類特有の生殖形態を手に入れることによりヒトは高度な文明を築くことのできる生物としての進化が可能になったと考えられます。しかしながら、他の動物とは異なるヒト特有の生殖形態は同時に新たな問題を抱えることになりました。例えばヒトは高度な進化の代償のためか、一回の生殖行為あたりの妊娠効率はあまりよくない生物になっています。また、難産は二足歩行による骨盤の変化と大きな頭脳をもつ児を胎内で育てるための代償とも言われています。さらに、悠久の時を経た進化に対してわずか数十年間でおこった妊娠の高齢化と少子化は、そのひずみとして不妊症・子宮内膜症などのある意味での現代病で多くの女性を苦しめています。また、ヒトが特有の社会生活を営む限り常に生殖器への感染症の脅威にさらされ、不妊症、子宮頸がんなどの疾患に罹患する危険があります。結果として、産婦人科は人類の進化と現代の社会が女性のダイナミックに変化する身体にもたらしている多くのハードルを克服し未来を切り拓く使命を担っており、このことが産婦人科の誇りともなっています。

産婦人科は喜びに直結すると述べましたが、緊急性が要求され緊張感を感じることが多いのも事実です。緊急の帝王切開はもとより、異所性妊娠、卵巣嚢腫茎捻転などの緊急手術を要する数多くの急患が昼夜を問わず訪れます。また、産婦人科では悪性腫瘍の手術も多く、手術中には急患への対応と同様に迅速かつ正確な判断が要求されます。この緊張感を乗り越えて患者さんを治療した時の喜びは何事にも代え難いものがあります。

実際の産婦人科医の日常生活はどのようなものでしょうか。扱う領域が広いことを反映して、産婦人科医の仕事の形態も多岐にわたります。大学での教職、病院での診療、さらには、開業といった形態が考えられます。開業もオフィスクリニックから有床の分娩施設まで様々です。診療も産婦人科一般を診る形態から、がん専門病院、専門化した体外受精クリニックまで多岐にわたります。将来の選択肢には夢が広がっています。当科は将来安心してどのような方向でも選べるように、産婦人科の総合的な技能と知識を全人的に育みます。ある意味で産婦人科として潰しが効く能力をすべての入局者に分け隔てなく教育できるのが当科の特徴です。

当科では診療が多様なのと同様に研究も多様かつ活発です。研究の楽しみは臨床での疑問を様々な角度から検討して、自分なりのロジックで新たな発見をできることにあります。同じ問題に対しても個人ごとにアプローチの仕方が異なり、自分の個性を最大限に発揮できる場です。知的な刺激と探求心を満たす喜びはとても個人的なものですが、その結果は広く医学の進歩に役立ちます。また、研究で培った論理性、洞察力、独創性は臨床を行ううえでも大変役に立ち、臨床家にとっては研究の経験は一生役に立つ財産になります。

最後に産婦人科は人類が存在する限り必要として求められる診療科です。もし世の中に産婦人科医がいなかったらどうなるか想像してみてください。常に人々から求められ、喜びにつながる仕事が産婦人科です。若い先生方は、どのように社会に貢献したいのでしょうか?私どもと一緒に仕事をしませんか?

東大病院の見学を随時募集しています。
研修希望者向けに、病院の施設や研究室、使用する機材などをご覧いただくことができます。研修に関する質問や相談などにも、個別に対応いたします。
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