公開された、たばこ産業の内部文書、たばこ文書に書かれていること
たばこ文書とは米国たばこ病訴訟などで押収された、たばこ会社の内部文書です。カリフォルニア大学のHongとBeroが英国医学雑誌(BMJ)に発表した研究により、たばこ文書には、たばこの害を知りつつも、たばこの害を隠そうとするたばこ会社の陰謀が詳細に記されていることが明らかにされました。現在、たばこ文書はBritish American Tobacco Documents Archiveなどで公開されており、検索や閲覧など自由に利用できます。これらの文書は平成10年(ワ)第10379号(タバコ病訴訟)において東京地方裁判所に書証甲第112号証として提出、平成14年(ワ)第3929号 禁煙措置等請求事件(分煙訴訟)では書証甲第38号証として提出されています。事実、たばこ会社とその研究員は受動喫煙の害を知りつつも隠し、受動喫煙の害を否定する論文を多数発表して環境たばこ煙規制を妨害してきました(分煙訴訟 第4準備書面)。たばこ産業の内部文書は他の裁判でも証拠として利用されています。
1) たばこ会社の研究員がたばこ会社に送った受動喫煙の害を隠すプロジェクトの企画書および請求書。研究員は243,000米ドル請求している。
2)たばこ会社の研究員がたばこ会社に送った原稿は、受動喫煙の発がん性を発見した平山雄の研究を否定する内容であった。
3)たばこ会社の内部文書。最後の段落Japanese Spousal Studyの項によると、たばこ会社研究員の研究は、たばこ産業が平山雄の受動喫煙疫学研究と米国環境保護局(EPA)の受動喫煙評価に対抗することを可能にする内容だった。
4)たばこ会社の内部文書。最後の段落Japanese Spousal Smoking Studyの項に、研究員の提案についてたばこ会社が資金提供を検討していることが記されている。
5)たばこ会社研究員がたばこ会社に送った請求書。研究員はたばこ会社に243,000米ドル請求した。
6)たばこ会社研究員が信用を失墜させようとした、平山雄による受動喫煙の発がん性に関する疫学研究。WHOは平山雄の研究を賞賛している。
7)たばこ会社研究員が提案したJapan Spousal Smoking Studyへの資金提供要請に対し、複数のタバコ会社が協議を行い、最終的に多数のたばこ会社が研究員の提案に資金提供することで合意した。
8)たばこ会社研究員のプロジェクトの進捗状況について。最後の段落Japanese Spousal Studyによると、たばこ会社は受動喫煙の害を発見した平山雄の研究の信用を失墜させるために研究員と共同研究を行っていた。たばこ会社研究員は凍結させた唾液のサンプルを東京からRJRタバコの研究室に運んでいた。
9)たばこ会社研究員がたばこ会社に提供したデータ。研究員らは受動喫煙の発がん性を認識していたが、受動喫煙の害を公表しなかった。
10)たばこ会社研究員がたばこ会社に提出した多数の論文は、全て結論が同じであり、受動喫煙曝露が肺癌のリスクを増加させるという証拠は無いと結論されている。
11)たばこ会社研究員の研究は環境タバコ煙を発癌性物質に指定した米国環境保護局(EPA)の対策を妨害するために利用された。
12)たばこ産業が資金提供した研究者のリスト。この研究員の名前があり、この研究員はタバコ会社から資金提供を受けていたことを裏付ける。
( http://legacy.library.ucsf.edu/tid/qfp64a00/pdf?search=%22eiji%20yano%22
13)たばこ会社から研究員への手紙。文書のヘッダーにはCovington&Burling WASHINGTON.DC.と記載があり、たばこ会社の弁護士が作成したことを示している。東京で開催される受動喫煙シンポジウムの打ち合わせに関する内容。たばこ会社は受動喫煙問題のディベートで大きな貢献をした者を演者としてリストアップしたと述べている。たばこ会社は研究員らに基調講演の謝礼として5000米ドル、パネリストの謝礼として1000米ドル支払うと述べている。受動喫煙シンポジウムはたばこ会社が研究員と協議した形で実施されることが述べられている。この手紙によると、研究員らは受動喫煙問題を利用してたばこ会社に報酬を要求していた。そもそも、受動喫煙シンポジウム主催者側の研究員とタバコ会社が癒着しており、これでは受動喫煙対策が前進しないのは当然である。
( http://legacy.library.ucsf.edu/tid/sea24e00/pdf?search=%22eiji%20yano%22
14) Covington&Burlingは、たばこ会社研究員が提案したプロジェクトの進行管理を委託された、たばこ会社の弁護士事務所である。
15) たばこ会社と研究員らによる受動喫煙シンポジウムの打ち合わせ資料。ヘッダーの「10/20/1992 16:10」はFAX受信日時、「FROM C&B WASH DC」はFAX送信者がタバコ会社の法律事務所Covington&Burling WASHINGTON.DC.であることを示す。1ページにはたばこ会社の研究員が基調講演を行うことが記されている。たばこ会社研究員と共同研究を行い受動喫煙の害を否定する論文を多数発表したLeeもパネリストに選定されている。3ページにはたばこ会社研究員がシンポジウムの技術委員を務めることが記されている。4ページはシンポジウム開催までのタイムスケジュールが記されている。10月までに予算を確保し、1 1月には演者とパネリストの候補を選定し、候補者と接触したい旨が記されている。シンポジウムは研究員がSumary Observation(発表内容の概要)を述べてしめくくり、その概要を印刷物として配布する計画が記されている。シンポジウムの進行管理を担当するのはCovington&Burlingというタバコ会社の法律事務所であり、パネリストのLeeはもちろん、基調講演を行う研究員もタバコ産業が資金提供した研究者のリストに名前が掲載されており、彼らの役割とシンポジウムの目的を明確にしている。
( http://legacy.library.ucsf.edu/tid/cxj10a99 )
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2017.May.5