会長挨拶


 

長崎県病院薬剤師会 会長
長崎大学病院薬剤部 教授・薬剤部長 大山 要

 平素より長崎県病院薬剤師会に多大なご支援とご協力を賜り誠にありがとうございます。 令和5・6年度の長崎県病院薬剤師会の会長を務めさせていただくことになりました。 まずは、令和3・4年度に会長職を務められた松谷久前会長のご尽力に感謝申し上げます。 新役員・会員と一丸となって長崎県病院薬剤師会を発展させ、病院薬剤師の質向上を通じ、 長崎県の医療に全力で貢献していく所存です。

 人口減少に起因する諸問題が顕在化し、既存の社会保障制度と医療体制が大きな転換期を迎え、 新時代の医療における質の向上・質の維持に必要な医療人材の確保が喫緊の課題となっています。 長崎県は多くの離島を抱える地域特性に加え、全国的にも高齢化速度が速く人材確保が難しい状況にあります。 しかし、長崎県には長崎大学薬学部と長崎国際大学薬学部があり、両大学と密接な関係性を構築するとともに、 県病薬内で横のつながりや刺激し合う環境をつくることで人材育成と定着を図る地域での薬剤師確保スキームを 皆で作っていくことができると考えています。その一方で、災害に対する医療資源の備えや支援体制等の充実も 進めていかなければならない重要な取組みとなっています。

 病院薬剤師は患者に寄り添った薬物治療支援に対する国民の期待に応え、薬物療法の適正化と地域医療連携を 見据えた業務拡充を目指す必要があります。 そのため、自己研鑽を通じて個々の能力を着実に向上させ業務の質を 上げるとともに、専門性を磨き高度なチーム医療へ参画していかなければならなりません。 また、令和4年改訂薬学教育モデルコアカリキュラムや実務実習ガイドラインのもと、 薬学部生の卒前教育を完成させる教育者としての資質を伸ばす必要もあります。

 長崎県病院薬剤師会は、日本病院薬剤師会と連携し、チーム医療や医療安全における 薬剤師の研修と高度な業務の展開を図ってきました。 会員用には、癌治療、感染制御、緩和医療、精神科領域の治療、高齢者医療など、 多様な学習機会を提供しています。 さらに、長崎県病院薬剤師会会誌、日本病院薬剤師会雑誌、ホームページ、メーリングリストなどで、 医療や医薬品の最新情報を入手することができます。 新人研修や接遇教育、ボーリング大会など、会員同士のコミュニケーションも推進しているところです。 また、長年貢献していただいた薬剤師を表彰する特別功労賞も継続してまいります。

 私は刺激し合う会員間の横のつながりをもとに病院薬剤師の明るい未来に向けて前向きに チャレンジしていく組織を目指してまいります。皆様のご意見を可能な限り反映した運営で、 病院薬剤師の明るい未来を感じていただけるよう努めますので、皆様のご参加とご協力をお願い申し上げます。


令和5年度 事業計画


 病院内での医療者間の役割分担(医師以外の医療者の役割強化)が急速に進んでいる。これまでに病院薬剤師は病棟業務に割り当てる時間を増やしチーム医療の推進に大きく貢献してきたが、 医薬品の適正使用と薬物治療の適正化に資する業務拡充を前向きに進めなければならない。しかし、業務量に見合った薬剤師数が確保されていない病院も多く、業務拡充と業務開拓には 病院薬剤師の充足が不可欠である。
 本年度は病院薬剤師の充足に向けた一体的な取り組みを推進していく。第8次医療計画を受けて他の都道府県病薬が薬剤師確保策を検討しており、これらを参考にする一方で、 長崎県特有の地域特性を考慮し県全域に波及する確保計画の立案が必要である。このためには、広域の施設間で議論を重ねて計画することで県病薬としての一体感を醸成していかなければならない。 合わせて、これまで進められてきた県薬・医師会などの関係団体や行政との連携だけでなく、県内大学と新たな関係性を構築して長期的な薬剤師確保の上壌形成を目指す。
 病院薬剤師業務ならびに薬剤師教育についてはこれまでの事業を継続しながら、自動化の進め方とその情報共有やキャリアモデルの提示など先送りできない取り組みを開始する。 特に教育は前向きな考え方、活発に議論する場、横のつながりを深められるよう互いに学び刺激し合う環境を積極的に整備していく。また、医薬品供給体制の安定化と強靭化、 業務自動化に向けた先進的な事業に参画できるよう関連企業との調整を進めていく。
 以下に具体的な事業を項目別に列記する。長崎県病院薬剤師会の会員皆様のご理解とご協力をお願いしたい。


1. 長崎県病院薬剤師会の組織強化
 (1) 長崎県内の病院薬剤師充足に向けた情報収集、行動計画の策定と実施
 (2) 一般社団法人化に向けた準備強化(運営の自己点検とコンサルタント選定)
 (3) 関係団体(県薬剤師会・医師会・歯科医師会・看護協会)ならびに行政との連携
 (4) 長崎大学薬学部、長崎国際大学薬学部ならびに福岡県内の薬学部との連携強化
 (5) ビジョン委員会の活性化と県病薬ビジョンの検討

2. 病院薬剤師業務の質向上
 (1) 業務の多角化と高度化への取り組みと情報共有
 (2) 医薬品の適正使用と安全管理に関する業務の推進
 (3) 薬物治療適正化とポリファーマシーヘの取り組みと情報共有
 (4) 調剤業務の効率化・省力化・自動化の取り組みと情報共有

3. 薬剤師教育の重質化
 (1) 日病薬病院薬学認定薬剤師制度に対する学術集会の実施
 (2) 専門薬剤師委員会による計画的な研修の実施
 (3) 中堅・若手・新人薬剤師のキャリアモデルの検討
 (4) 学部実務実習ならびに卒後実習への更なる貢献

4. 病院薬剤師業務の質向上
 (1) 情報事業・広報活動の充実
 (2) メーリングリストの有効活用

5. モデル事業の計画
 (1) 医薬品供給体制の安定化
 (2) 調剤業務等の自動化

6. その他
 (1) COⅥ D-19の対応と情報共有(前年度までの事業を継続)
 (2) 定年退職者を対象とした特別功労賞の表彰
 (3) 災害被災地への支援
 (4) 市民・県民健康講座への協力
 (5) 健康保険事業への協力
 (6) 医療福祉関連諸事業への参加協力



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