大きな下垂体腺腫の代表例


 大きな下垂体腺腫または巨大下垂体腺腫に対する拡大経蝶形骨手術の代表的な経過を呈示いたします.ここにお示ししました患者さんの多くは,他の病院で開頭手術が必要と診断されております.幸い,鼻腔からの手術で腫瘍の大半を摘出することができました.このように,拡大経蝶形骨法では,一般的には開頭術が必要と考えられている下垂体腺腫のほとんどを,開頭をせずに,低侵襲な鼻腔からの手術で摘出できると考えております.


    20歳代前半 男性:頭痛と嘔吐で発見されました
No. 78
手術前 手術後
腫瘍が頭蓋内に大きく成長し,水頭症を合併しています.水頭症をきたすほど巨大な腫瘍はまれですが,2回の鼻腔からの手術で,無事に腫瘍を摘出できました.


    50歳代後半 女性:視力低下で発見されました
No. 139
手術前 手術後
腫瘍は頭蓋内と右の海綿静脈洞内に広がっています.ほとんどの腫瘍は摘出できています.残っている腫瘍は,現在経過観察中です.


    50歳代前半 男性:視力・視野障害で発見されました
No. 155
手術前 手術後
関東地方の病院で経鼻的な手術を受けましたが,腫瘍が硬いため,頭蓋内の部分の大部分は残ったとのことです.患者さんが開頭術を希望されず,鼻腔からの手術を希望されたとのことで,ご紹介いただきました.拡大法では,髄膜腫のような比較的硬い腫瘍も,安全に摘出できますので,この患者さんも鼻腔から摘出できました.


    40歳代後半 男性:視力・視野障害で発見されました
No. 159
手術前 手術後
中国地方の病院で経鼻的な手術を受けられましたが,頭蓋内の部分の大部分は残っています.腫瘍が硬かったため,鼻腔よりの手術は危険であり,開頭術以外に方法はないとの説明を受けられましたが,インターネットで調べられ,私共の病院を受診されました.幸い,拡大法で鼻腔より腫瘍を摘出できました.