ご挨拶

大会長挨拶

第25回大会長 渡邊 浩幸 平成28年9月16日(金)〜17日(土)の2日間、秋田市にぎわい交流館AU(あう)において、日本脂質栄養学会第25回大会を開催いたします。

第24回学術大会は佐賀市におきまして西九州大学健康栄養学部長の柳田晃良教授(佐賀大学名誉教授)の下で開催されました。「人の栄養と健康長寿〜健康と脂質の代謝・栄養・安全〜」のテーマの下に、動脈硬化症予防や健康増進のための未病科学、食用油脂の安全性評価など、脂質栄養に関する新しい大変興味あるお話を伺うことができました。

本年度第25回大会では、メインテーマを「病態と栄養〜基礎研究の新展開から食事療法まで〜」としました。エビデンスに基づいた医療(EBM)が重視される中、新たな知見が蓄積し、食事療法にも見直しが図られています。また、臨床では、従来のコンプライアンス概念を見直す形でアドヒアランスが強調され始めました。アドヒアランスとは、患者が自身の体質や病気を理解し、治療や食事療法に対しても主体的に関わることで、より高い効果が期待できるという考え方です。それにはエビデンスだけではなく、背景にある理論・サイエンスも重要であり、基礎研究の新展開や脂質の生化学・分子生物学を理解することも必要です。

本大会では特別講演とシンポジウムをそれぞれ2つ予定しています。第一日目では食事療法に主眼を置き、特別公演1として東北女子大学・加藤秀夫教授に「健康と生活習慣病の予防における時間栄養学の役割」のテーマで食生活実践の時間的側面についてお話いただきます。また、シンポジウム1は「糖尿病と栄養・食事療法」として、4名の先生方に、近年再評価されている低炭水化物療法や糖尿病と脂質栄養との関連について話題提供いただきます。

第ニ日目では基礎研究に主眼を置き、若手の先生方に話題提供をお願いしています。特別公演2として東京工業大学・山田拓司先生に「ヒト腸内細菌叢メタゲノム解析と疾病との関連」のテーマでお話いただきます。近年進歩が目覚しく注目を集めている分野ですが、今後、脂質栄養も大きくかかわってくるものと予想されます。また、シンポジウム2は「生理活性脂質と脂肪酸の新たな機能」として、脂質生物学分野で活躍されている4名の先生方に最新の知見をご紹介いただきます。こうしたサイエンスを基盤として脂質栄養学の奥深さや広がりを洞察するとともに、新たな視点が得られるきっかけになればと考えています。

市民公開講座では、「コレステロールと健康長寿」のテーマで、これまでの本学会での議論を踏まえて大会特別シンポジウムと兼ねることにしました。本学会の会長経験者である富山大学名誉教授・浜崎智仁先生と名古屋市立大学名誉教授・奥山治美先生にご講演いただきます。

9月の秋田は過ごしやすい涼しさで、訪れるにはベストシーズンです。田沢湖や鳥海山など風光明媚な自然や温泉、角館・武家屋敷や男鹿・なまはげ館などの文化施設、きりたんぽやハタハタに代表される美味しい食べ物とお酒、素朴な人情風情と秋田美人が皆様をお待ちしています。是非とも、多くのご参加を心よりお願い申し上げます。

日本脂質栄養学会
第25回大会長 池本 敦
秋田大学 教育文化学部 教授