特例公益社団法人 日本小児保健協会

協会からのお知らせ

(掲載:11.8.26)

ワクチンの安全性評価 その1
予防接種後アナフィラキシーの新しい分類

国立病院機構福岡病院 岡田賢司
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 新型インフルエンザワクチンは2009年10月中旬から国内では初めて優先順位に沿って、基礎疾患をもつ方々への接種が広く行われました。この接種事業では、疑いの如何にかかわらず、「接種後の死亡、重篤なもの、後遺症を残す可能性のあるもの」と判断されるもの全てが報告対象となっていました。このためか、接種後のアナフィラキシーの頻度が従来の季節型インフルエンザワクチンより、はるかに高いことが懸念されました。そこで、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の安全対策調査会及び新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会で、予防接種後のアナフィラキシーを検討課題にあげ、症例定義が検討されました。この検討会で評価に使用されたのが、ワクチン接種後の副反応評価の世界的な基準となりつつあるブライトン分類でした。
 ブライトン分類は、予防接種後の副反応に関して、広く受け入れられる標準化された症例定義を作るために構成された国際的なブライトン協会がまとめたものです。WHOや米国CDCだけでなく、欧州CDC(ECDC)なども加わり、ワクチンの安全性、患者の治療、医薬品、監査事務、公衆衛生、ワクチン配送に関して専門的知識をもった国際的な組織となっています。これまでに作成された症例定義は、ブライトン標準化症例定義として知られています。次回に、アナフィラキシーの症例定義を紹介いたします。