公益社団法人 日本小児保健協会

協会からのお知らせ

(掲載:11.8.25)

麻疹/風疹対策

多屋馨子(国立感染症研究所感染症情報センター)

 2012年度までに国内から麻疹を排除し、その状態を維持することを目的に、「麻しんに関する特定感染症予防指針」が2007年12月28日に厚生労働省から告示されました。
 麻疹の排除は、質の高いサーベイランスシステムが確立されていることが前提ですが、「12か月以上にわたりその地域で麻疹の伝播がないこと」と定義されています。また、排除を達成するためには、すべての地域で、1回目と2回目の麻疹含有ワクチンの接種率が95%以上を達成し、維持されることが目標になっています。
 2010年度の麻疹含有ワクチンの接種率が2011年8月に厚生労働省から公表されましたが、第1期(1歳)は95.6%まで上昇し、目標の95%以上を達成することができました。これは素晴らしい結果です。第2期(小学校入学前1年間の幼児)は2006年度(初年度)の79.9%から12.3ポイント上昇して、92.2%まで上昇し、目標まであと少しのところに来ています。2008年度から5年間の経過措置で始まった第3期(中学1年生相当年齢の者)と第4期(高校3年生相当年齢の者)については、それぞれ87.2%、78.8%であり、年々上昇していますが、目標達成までは更なる勧奨が必要です。
 2011年はアジアあるいはヨーロッパからの輸入例を発端に国内で麻疹の地域流行が発生しましたが、関係部署の積極的な対策により大規模な流行には至りませんでした。今後も接種率を高く維持すると共に、1人発生したらすぐ対応!を実践することが必要と考えています。
 また2011年は風疹の地域流行も認められています。麻疹と同様、輸入例を発端として、国内で拡がったと考えられていますが、今年の風疹の流行の特徴は成人男性、特に20〜40代の男性を中心とした流行で、女性の約3倍多く患者が報告されており、職場での集団発生も報告されています。
 第1〜4期の定期接種対象者は勿論のこと、成人で麻疹、風疹の確実な罹患歴がなく、予防接種歴が無いあるいは1回のみあるいは不明の方は、できるだけ早めに予防接種を受けておくことをお勧めします。