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15回家庭医の生涯教育のためのワークショップ

内容の詳細

● 10日(一日目)
「一度みれば忘れないSpPinな身体所見」

   大船中央病院  須藤 博氏

 私が研修医時代と大きく変ったと思うことのひとつに多くの身体所見のエビデンスが得られるようになったことがあります。身体所見の感度、特異度、尤度比について記載された教科書が出版され、それらを手引きに日常診療に活用できるようになりました。一方で身体診察では「見たことがある」という個人の経験は非常に大切であると思います。
 私はあるときから、ちょっとしたことにこだわると普段接している患者さん達にも、実に沢山の所見があることに気づきました。こんなことを書くと不謹慎かもしれませんが、私にはそれが面白くてしようがないのです。今回のWSではこれまで私が個人的に撮りためてきた画像・動画を見ていただき、私が日々感じている診察の奥深さ、面白さを皆さんと共有して、それが少しでも皆さんの診療にお役にたてば嬉しく思います。
※SpPinとは「特異度(Specificity)の高い所見が陽性(positive)のとき、その疾患の診断(Rule in)に役立つ」という意味の略語です


● 11日(二日目)
(1)「新しい創傷治癒」

   石岡第一病院   夏井 睦氏

 従来、傷の治療といえば消毒してガーゼを当てることが常識とされ、それが一般家庭でも病院でも行われてきた。しかし、創傷治癒のメカニズムからすればこれは全く間違っている。創面では欠損した組織の細胞の増殖で組織修復が得られるが、細胞培養と同じメカニズムである。培養液がなければ培養細胞が死滅するように、創面を乾かせば創修復のために必要な細胞も死滅する。また、創面からは細胞の増殖に最適のサイトカインを豊富に含んだ滲出液が分泌されており、創面を被覆材で覆えば、創は自動的に湿潤になり早期の治癒が得られる。一方、消毒薬は蛋白質変性作用で殺菌するが、消毒薬には人体由来の蛋白質と細菌由来の蛋白質の区別がつかず、どちらも変性させるが、人体細胞と細菌では細胞壁に守られている細菌の方が消毒薬に強い抵抗力を持っている。このため、創面を消毒しても細菌は死なず、創傷治癒に必要な人体細胞のみ選択的に死ぬことになる。

(2)「神経診察よろず相談」

   国立秩父学園   池田正行氏

 他の診療科では、○○診察よろず相談なんて題名がつくセッションはないのに、なぜ神経診察だけ特別なのか?みなさんが常日頃、たくさんの不満、疑問を神経診察に対して抱いているのに、それをぶつける人がいないことがよくわかります。だから当日は、その昔、遊園地の鬼にボールをぶつけたように、手ぐすね引いて準備した不満、疑問を遠慮なく私にぶつけてください。ただし、快刀乱麻を断つごとく、難問奇問に明快に答える私の姿を期待してはいけません。私は鬼のように顔を真っ赤にして、みなさんと一緒にうんうん唸るだけです。唸りながら、わからないことと、答えがないことがわかって納得する。そんな時間を共有できればと思っています。

(3)「素人漢方 家庭医和漢」

   医療法人 地域医療ぎふ シティ・タワー診療所   守屋章成氏

 素人の素人による素人のための漢方(和漢)診療入門です。専門家による講義では全くありません。知らないことは知りません。分からないことは分かりません。でも知っていることは少しはありますし、分かることも少しはあります。そして、ちょびっとだけ自信を持ってお伝え出来ることもあります。
 漢方(和漢)の面白さは、患者さんを診た時に自分の中に湧いてくる「感じ」をそのまま診療に使えること。そして、症状が時には薄紙を剥ぐように、時には劇的に、改善されていく喜びと爽快感。…なかなか“ヒット”しないのが素人の悲しさですが(笑)。
「出来ることだけ、出来ることから」の漢方(和漢)診療、一緒に始めてみませんか。

(4)「虫や動物による皮膚疾患」

   赤穂市民病院 皮膚科   和田康夫氏

 虫や動物による皮膚疾患として、ここでは主に4つのテーマを取り上げます。1つ目はムカデ。ムカデの代表種や疫学、縁起物のムカデにつき紹介します。2つ目はマダニ。食いつきのしつこいマダニの摘除方法や生息場所についての野外調査結果を示します。3つ目は疥癬。診断の難しい疥癬ですが、疥癬を肉眼で診断する方法を述べます。また、最近の治療トピックとしてストロメクトール内服について述べます。最後4つ目は海洋動物による皮膚疾患です。クラゲや刺毒魚の刺傷例や初期治療につき解説します。

(5)「家庭医による婦人科診療」

   ミシガン大学家庭医療科   藤岡洋介氏
   金沢大学附属病院周生期医療専門医養成センター   新井隆成氏

 “家庭医はあらゆる年齢、性、臓器、疾患を診る"という観点から、本来は婦人科分野は家庭医の診療活動に欠くことのできない領域です。しかしながら、日本では婦人科分野は 、 “ 婦人科医のみにて扱われる領域”との認識が医療提供者側、患者側 、双方で強いのが現状です。日本においても、 包括的かつ継続的なケア の提供、 患者の利便性、昨今の慢性的な婦人科医不足等 を考えると家庭医が婦人科を扱うことの意義は大きいと考えられます。実際、婦人科診療の多く は高度の専門性を要するものではありません。本ワークショップでは、 家庭医が遭遇することの多い婦人科領域疾患の診断と対応について、内診、乳房触診等、実技を含め学ぶことを目的としています。

(6)「頭痛オタクが教える○×△クイズ形式慢性頭痛講座!」

   松前町立松前病院   木村眞司氏

 プライマリ・ケアでよく遭遇する緊張型頭痛、片頭痛、まれに遭遇する群発頭痛について学びましょう! 診断、治療、予防療法などについてクイズ形式で楽しく勉強します。患者さんのQOLを少しでも高めるために、あなたをわかりやすい頭痛診療の世界へといざないます!

(7)「外来診療現場での教育〜5つのマイクロスキル〜」

   健生会 大福診療所   朝倉健太郎氏
   亀田ファミリークリニック館山   岡田唯男氏

 みなさんは外来診療の現場で教育をされていますか?研修医や学生相手にうまく教育することができていますか?忙しい日常診療の中、さらに教育まで加わると「あ〜もう大変、こんなのできないよ」とか「オレの頃は教授のシュライバーばかりさせられたよな〜オマエらもそこに坐ってよーく観察して、先輩の技術を盗みなさい!」なんてことになっていませんか?
 「5つのマイクロスキル」は限られた現場の中で、ポイントを絞って教育するための外来診療教育モデルの一つです。目の前の患者さんのニーズに合わせて必要な介入(治療)を行うことと同じように、目の前の学習者のニーズアセスメントを行い、必要な介入(教育)をすることが重要です。このセッションでは、ロールプレイを踏まえながら「5つのマイクロスキル」を学び、限られた時間の中での効果的な教育方法を明日から使えるレベルまで習得します!

(8)「在宅緩和医療に求められる臨床能力」

   筑波大学人間総合科学研究科   木澤義之氏

 緩和ケアに対する市民の関心は近年高まっており、かつ急速に進む高齢化社会、厚生行政施策などからも、緩和ケアに関する技術や知識はプライマリ・ケア医に必須の能力ということができます。
 このワークショップでは、プライマリ・ケア医が、いつでもどこでも使用することができる疼痛、呼吸困難、倦怠感、抑うつ、不安、せん妄などの身体症状、精神症状のコントロールの他、患者家族とのコミュニケーションなどについても最新の知見に基づいてともに学んでいきたいと思っています。どうぞふるってご参加ください。

(9)「知っててほしい!! 航空機内での急病人に対する医療体制
〜日々の診療に役立つ疾患への知識も〜」

   関西リハビリテーション病院   佐藤健一氏

 航空機内での医療って興味があっても、学べる機会が少ないと思いませんか? 実は自分自身がそうでした。しかし、Dr Callを経験し、改めて勉強してみると非常に奥が深く、航空機内での緊急事態への対応のみならず、慢性疾患受療者が旅行する際にアドバイスするポイントがあることに気づきました。今回、株式会社日本航空インターナショナルの協力を得て、実際に搭載している医療設備の紹介、緊急時の医療支援体制の説明、遭遇しやすい疾患・気をつけるべき疾患などのレクチャーを開催します。航空機での移動が多い世の中、安心して空の旅を楽しめるように知識を得てみませんか?他では絶対に経験することが出来ないレクチャーですよ。

(10)「Shared Decision Making:診療における新しいパラダイム」

   ミシガン大学 家庭医療科   神保真人氏

 Shared Decision Making (SDM)って、何?医師が全てを決定するPaternalismとも、医師が情報提供に終始し、患者に全てを決定させるInformed Consentとも異なります。検査や治療で複数の選択がある場合、医師・患者関係を基盤に、患者と医師が、情報だけでなく、互いの経験や価値観をも交換し、患者が以下の条件を確認し、自分にとって最良の選択を行なうことです:
1. 問題の疾患について理解する。
2. 選択対象の検査や治療について、リスク、限界、利点、代替案、不確実性等の条件を理解する。
3. 自分が望むレベルで選択の決定に参加する。
4. 自分の価値観に基づき、最終決定をするか、決定を延期する。
 本WSでは、英国で開発された、OPTIONというSDMの度合いを評価するツールを基に、SDMについて更に理解を深めることを目的とします。

(11)「はい!あーんと口開けて ― 子どもの咽頭写真を、みんなで見ませんか ―」

   うめもとこどもクリニック   梅本正和氏

 外来で子どもたちが入ってきますね。問診をします。それで大半の子は診断が予想できます(75%)。咳や鼻水といった症状がある場合は安心です。でも、発熱だけが症状の場合、「なんだろう?」と立ち止まります。これは、最悪“髄膜炎”のことがあるからです。年齢、機嫌、周囲の状況など考えながら、「最後の神頼み!」といった気持ちで咽頭を見ます。それで所見があれば一気に解決。何にもなければ、振り出しに戻ります。この辺から、親御さんは医師の顔を伺い出します。
 咽頭の粘膜所見がとれるかどうかは、診断する上でターニングポイントになると思います。粘膜は角化していないので血管透過性があり、炎症所見は見やすいです。限りなくローカルな所見から、疾患の診断につなげるため、皆さんで咽頭のスライド写真を見ながら勉強しましょう。

(12)「学会賞をとるための7つのステップ」

   京都大学 医療疫学   福原俊一氏

1. 学会賞を取るためには、学会賞のクライテリアを知る必要があります。(私も知りません。ごめんなさい)まずこれを確認するのが第一歩ですね。
2. 学会賞に限らず、一般に臨床研究には禁じ手があります:「7つのご法度」
3. このご法度をおかさないためにも研究には段取りがあります:「7つのステップ」
4. 最低限の基礎知識も要りますね。フルタイムで最低半年、パートタイムでその2〜3倍はかかりますね。(www.mcrkyoto-u.jp)
5. 知識だけでなく、自分で作った研究計画を他の人や指導者とシェアすることも重要ですね:「研究計画を揉む」
6. 上記を1時間半では全てできないので、今回は段取りのレビューとさわりを。
7. このWSの最大の目的は、「臨床研究は何でやるのかを考えること」なのかも知れません。

(13)「日常診療にNLPを生かす!」

   まった生協診療所   玉城浩巳氏

 心理学と言語学から生まれた比較的新しい学問分野である NLP(神経言語プログラミング)を従来の傾聴などの基本的面接技法に加えたらどうなるか・・・
 6月の日本家庭医療学会のWSで好評だった内容を、その時に参加された、みなさんの熱いフィードバックを受けて更にバージョンアップしてお送りします。家庭医として、日常的に患者さんの悩みをきいたり、寄り添ったりしているみなさんにそして寄り添うのが苦手なみなさんにも、是非、NLPを自分の日常診療に生かして頂きたいと思います。それはまた、スタッフとの良好な人間関係のためにも使えるものです。NLPの基本からお話しします。従って今まで全くそのような基本的な面接技法に触れてこられなかった方でも大丈夫です。

(14)「家庭医だからこそ禁煙支援を!」

   奈良女子大学   高橋裕子氏
   禁煙マラソン   三浦秀史氏

 2006年より、ニコチン依存症管理料が導入され日本でも禁煙治療に健康保険が提供されました。禁煙導入においては、治療に基づくニコチン代替療法は有効で、喫煙者にとっては禁煙に取り組むきっかけになり、現に多くの皆さんが受診されています。しかし、生活習慣に密接に関連したことの行動変容、特に、維持期への対応はダイエットや運動同様に困難な状況にあります。そこで登場するのが、家庭医です。家庭医は日常的に患者と関わりも多く、また、コメディカルも含めたチーム医療として、喫煙者の長期の禁煙支援に最も適した医療機関です。来年度からは、特定保健指導も始まり一層禁煙支援のニーズが高まります。一緒になって遣り甲斐のある楽しい禁煙支援を学びませんか。

(15)「家庭医の為の肩・肘の診かた」

   西伊豆病院   仲田和正氏

 家庭医が日常遭遇する整形疾患で多いのは、腰、膝ですが、それに次いで見られるのが肩と肘です。今回は、肩と肘で日常よくみかける疾患についてお話します。肩は特に診療所にあるエコー(可能なら軟部組織用)が大変役立ちます。インピンジメント症候群や上腕二頭筋長頭腱炎などはエコーなしでは診断が難しいと思いますしMRI以上に役に立つのがエコーなのです。翌日から診療所ですぐ使える実践的知識を提供いたします。

(16)「神経学における視診のこつ」

   国立秩父学園   池田正行氏

 シャーロック・ホームズオタク(Sharlockean)には臨床医が多い。それもそのはず、ホームズの生みの親であり、医師でもあったアーサー・コナン・ドイル(Sir Arthur Conan Doyle)が、エディンバラ大学での臨床の師、医学部主任教授のジョゼフ・ベルの面接・診察能力に感銘を受けて、ベル教授をモデルに生み出したのがホームズなのだから。視診の面白さは、自分がホームズ、あるいはそれ以上の人間観察の達人になれるところにある。しかもその達人の守備範囲は、診察室に限らない。電車内の飲料水の広告、第二次大戦の記録映画、スポーツ新聞・・このセッションで、あなたも明日からホームズ気取りに。

(17)「心電図が正常(または異常)の臨床的意義を考える」

   伊賀内科循環器科   伊賀幹二氏

 心電図は、簡便な検査で、手術前等では心臓のスクリーニングに使用されます。手術患者では、正常なら手術に関してはOK、異常なら循環器内科にて精査となり、時にはST、Tの変化のため冠状動脈造影まで施行されることもあります。上記の判断は正しいのでしょうか?心電図が正常なら心臓は手術に耐えうるのでしょうか?
 今回のセッションでは、症例を呈示することで、心電図が正常であることや異常であることの意味を議論したいと思います。それにより、心臓診断学における心電図の役割や限界を理解してもらえることを期待しています。結語は、「心電図が正常(異常)であることと心臓が正常(異常)であることは異なる」です。

(18)「ここまでわかる関節診察〜Hands-Onセッション〜」

   亀田総合病院 リウマチ膠原病内科   岸本暢将氏

 リウマチ性疾患・筋骨格系疾患の診断は難しい、と考えている医師は非常に多いようです。日常よく遭遇する関節痛患者に対するアプローチとしてまずは病歴聴取・身体診察で的をしぼる。セッションを受けた次の日からは「肩痛」=「整形外科コンサルト」、という短絡的な発想は一切やめていただくこと、を今回の目標とします。具体的には、「プライマリケアでも簡単にできる関節診察技術」を習得していただきます。

(19)「血尿を攻略する方法、一緒に考えましょう!」

   横井内科医院   横井 徹氏
   松木泌尿器科医院   松木孝和氏

 血尿は日常診療で非常に多く経験するcommon problemです。しかし案外、比較的軽視されるかまたは避けて通られてきました。その理由の一つは「緊急性がないものが多いし、専門家に聞いても結局よくわからない」ことではないかと想像します。ちょうど昨年、厚労省研究班および関連5学会により「血尿診療ガイドライン」が作成され確かに一つの目安が出来上がりました。しかしその内容は案外複雑で、家庭医としての環境によっては実施困難な指針も見受けられるように思います。そこで、今回、泌尿器科医・内科医の二人組で「ここまですればよい!」というminimum requirementを提示できればと思います。演者の独断が入るにしても、明日から実施可能な現実的な提案をできるだけ単純化することができればと思っております。

(20)「家庭医のための眼底鏡・耳鏡の使い方 ― 正しい見方で確実な所見を ―」

   名古屋大学総合診療部   鈴木富雄氏

 日常診療の中で、患者さんが眼や耳の症状を訴えることがよくあります。糖尿病や高血圧などの慢性疾患でも、眼底所見の評価は非常に重要です。そんな時、皆さん方はどうされていますか?すぐに専門家に紹介?もちろん紹介が必要な場合もありますが、その場合でも、家庭医が緊急性と重要性を症状と所見により評価し、患者さんに説明した上で、次の選択ができると最善ですよね。しかし、正しい見方をしなければ正確な所見をとることはできません。このWSでは、今まで全く眼底や鼓膜がうまく見えなかった方も、自信を持って評価ができるようになります。乞うご期待を。

(21)「気道症状診療レベルアップ〜耳鼻咽喉科領域の所見の取り方と診断・治療」

   かみで耳鼻咽喉科クリニック   上出洋介氏

 耳鼻咽喉科領域の検診は額帯鏡を用いて所見をとることが多いため技術的に鍛練された者でないと難しいと言う条件がある。一定の技術を修得しその中で的確に患者の情報を得るには相当の時間が必要であった。しかし光学系機器や専用機器の発達により、一般臨床医でも充分対応することができるようになってきた。


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