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日本家庭医療学会 議事録

日本家庭医療学会 運営委員会記録(平成17年8月7日)
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【議案】
  1. 会員数報告,新入会員承認,会費未納退会者
  2. 第20回学術集会決算報告
  3. 2005会計年度中間報告
  4. 常設委員会報告
    ◇ 編集委員会《会誌『家庭医療』》
    ◇ 広報委員会《会報,Webサイト》
    ◇ 研修委員会《第13回生涯教育ワークショップ》
    ◇ 研究委員会《学会賞,課題研究》
    ◇ 倫理委員会《申請研究に対する結果》
    家庭医療プログラム・専門医認定検討委員会
  5. ワーキンググループについて
    (1)家庭医療後期研修調査WG(山下、その他)
    (2)患者教育WG(松下)
    (3)FDについてのWG(HANDS-FDF)
  6. 若手家庭医部会《若手家庭医部会セミナー》
    (1)「臨床研究初学者のための勉強会」:山本先生、前野先生、岡田先生の御協力のもと若手家庭医部会で企画中の臨床研究ワークショップについて
    (2)若手家庭医部会WEBの立ち上げについて。今後のWEBの管理方法など
  7. 学生・研修医部会
  8. 第21回(2006年)学術集会について
    基調講演候補者について
  9. 大会(長)のあり方について
  10. その他
    program directors' workshopの提案

山田 : 日本家庭医療学会運営委員会を開催したい。今回もこの運営委員会の議事録を公開したいと思うが異議はないか?前にも提案があったように個人名など一部不適切な場合を除き、ホームページ上にそのまま公開し、あとは議事のまとめ、どういうことが決まったかということを2つ別にして、ホームページ上に載せるということで了解いただきたい。
全員 : 了承

【議事】
4. 常設委員会報告(うち、家庭医療プログラム・専門医認定検討委員会について)

山田 最初の報告は、前回の運営委員会及び総会で家庭医療学会をNPO法人日本家庭医療学会ということで申請し、その後定款の若干の文言に訂正を加え、監督省庁に申請をした。まだ最終的な受理報告を受けていないが、それ以降の指導は特に無いようなので、NPO法人としての登録は無事に進んでいる。新しく法人に認められた時点で、次回から運営委員会は理事会ということになる。
今日の大きな議題は、家庭医の後期研修プログラムに関する作業である。前回、全国のプログラムに関する調査、設立の支援、評価、認定といった事項に関して議論を進めていきたい。
先週、家庭医療専門認定に関する意見交換会を、プライマリケア学会、総合診療学会、日本家庭医療学会と三学会が合同で、それぞれ会長、副会長という立場の人たちが9人ほど集まって議論を重ねた。大筋として、できるだけ協調しながら進めていくのは当然あったが、当学会としてはいわゆる新卒の人のプログラム認定やその評価をまず学会として明確にし、その後三学会の協議会に提案したいということを申し入れた。
プライマリケア学会では「プライマリケア学会専門医」というのが動いているし、総合診療学会の方は独自で総合医の認定プログラムを作るということはあまり考えていないということであった。それぞれの間で若干の温度差があるようだ。プライマリケア学会からは、三者合同になって外部評価機構を作り、そこへあくまでも仮称だが、家庭医療専門医認定評価機構を三学会合同で作ってはどうかとの提案があった。場合によってはプライマリケア専門医に合格した人が当面、家庭医療専門医として認定を受けていくことになっていくかもしれないというような状況だったので、家庭医療学会としては家庭医の後期研修プログラムの内容を作らないで、制度が先に走ってしまうということは非常にまずいことではないかと意見を述べた。
家庭医という文言に関して国民的コンセンサスが得られていない、まだ難しい状況で、家庭医療の専門医認定を始めたということが報道されると、私としては危惧を感じると述べた。
当学会として当面の仕事は、新卒の卒業生たちに質の保障された後期研修プログラムを提供し、その先に研修を受けた人たちに一定の家庭医療専門医として認定なり称号を与えていくことが、やり方として適当ではないだろうかと述べた。
三者で続けて協議していくことは概ね合意されたが、法人格を持つかどうかは別にして、家庭医療専門医評価機構という名称を使うことは現時点では差し控えて欲しいと述べた。
プライマリケア学会としては、すでにもう認定医制度があり、厚労省に申請すればすぐ通るんだから、先走ってプライマリケア学会だけでやってもいいという意見もあり、その際に、家庭医療専門評価機構という名称を使いたいということだった。プライマリケア学会で認証した人が家庭医療専門医という称号を使うことは、ねじれ現象になってしまう。そういうことで軋みができてもいけないので、当面、家庭医療学会で提案する後期研修プログラムを3者の会に持っていって、それをご追認いただければ、一緒にやって行ったらどうかという話し合いが進んだ。
もう一つは、多くのプライマリケア学会の会員がその対象となろうが、今後再研修をして家庭医療専門医の受験資格を受けるというようなシステムが必要であるとの意見があった。
すでに臨床経験が一定以上ある人に対して、受検資格を比較的にルーズに与え、5年毎の更新研修を厳しくするという方法もある。しかし専門医認定評価機構の一般的認定評価を見ていると、一定の研修後でないと専門医として認めにくいという傾向もあるようなので、まだまだ議論を要するという認識であった。
日本家庭医医療学会としては、当面、初期スーパーローテーションが終わった人の後期研修プログラムが基本路線になるので、そこを整備し、一方で他学会と協調しながら再研修プログラム、生涯研修プログラムを構築していきたいと提案し、概ね合意されたと思う。
津田 プライマリケア学会としては、3者の公式な集まりとして協議を始めていこうということです。それを持ち帰ってそれぞれの学会の運営委員会などで認めていただいて、次のステップに進みたいということです。
話が複雑になってきた時に、一部からプライマリケア学会単独でもできるという発言があったが、ちょうど私が司会をさせていただいていたので、3者が決裂しないように調整したつもりである。
いずれにしても、日本の中にそれぞれの学会がそれぞれの専門医を作るという状況は避けなければ、主要(?)専門医と同じように大批判を浴びると思う。それぞれの学会のご検察をいただいて●●を作っていくということが●●だと思う。
山田 まず急がれるのは、家庭医療学会として後期研修プログラムのモデルを示してほしい。それを作らないと、なかなか3者協議にならない、と。家庭医療学会が作るべきは、家庭医養成コースの研修プログラムである。まず、一つのモデルでいいと思うが、どういうものをイメージしているのかを出して欲しいということを言われた。今後、それを少し早めないといけない。
3者協議も、11月のワークショップの際に同時にやりたいという提案があったので、それまでに少し具体的に進めたい。
岡田先生がメーリングリストでも出されていた、いわゆる研修プログラム責任者・プログラムディレクターの会のようなものを立ち上げて、具体的なプログラムを作っていくことが妥当かと思う。またそれを基準にして他のプログラム設立の支援をしていくことが望まれる。
今後は、少なくとも1泊2日で、研修プログラムの責任者が中心となって、オープンに学会主催で後期研修プログラムの協議をしたいと思っている。
また、それ以前に、できれば来月から月1回のペースで、若手医師の会やプログラムディレクターたちと一緒に、ワークショップの準備をできるだけ多くの理事の先生方と作業を進めていきたい。作業の進め方については、討議をしながらお話をしていきたいと思っている。
三者の話し合いで、総合診療学会は、今どのような立場(位置づけ)に?
山田 卒前教育に深く関わっているというのは、総合診療学会としての特色であると思われる。総合診療部に入ってくる人たちの中には、家庭医として育っていきたいという人と、総合内科としてやっていきたい(内科専門医としてやっていきたい)という人と、二種類あるようだ。その中で家庭医療コースというものに関しては、家庭医療学会が示していけば、それに則った形でやっていくのが良いのではと。ただその中で、必ずしもその病院がサテライトのクリニックを持っていないといけないとか、総合診療部にとって組織上やりにくいようなプログラムを作られると困る。たとえば、我々の構想としては、家庭医という称号を与える試験を行うときには、診療所での経験が一定の期間欲しいわけで、それをどう調整するかということが問題となる。正規の診療所医師として働かないと認めないということではなく、むしろ関連した施設で、週に何回、あるいは年間で何日診療した経験があるということを盛り込んでいけばいいのではないか。総合診療学会にとっては、総合内科(内科)の専門医をとるコースと家庭医療の専門医をとるコースと二本立てで考えたらどうかと。総合診療学会には、プライマリケアあるいは家庭医療専門医という認証を、いわゆる基本診療科群第一群(内科、外科、小児科、産婦人科)には入れないで、第二群もしくは第三群に入れたほうがいいのではないかという提案もあった。会長の小泉先生のご意見としては、三者でやるのであれば、第一群として申請し、総合内科と家庭医コースでやっていったらどうかという雰囲気だった。
津田 総合診療科に入ってきている若い人たちの7割は家庭医志向である。そういう状況を踏まえると、総合診療科としては、家庭医になりたい人たちの道を閉ざすわけにはいかない。
総合診療学会としては積極的という参加ではないが、みなさんがやるなら一緒にやるという感じである。本心は、一緒にやっていかないと大変なことになるという思いはあると思う。家庭医になれないなら総合診療科に入らないという人もでてくる可能性がある。
山田 総合診療学会としては、内科専門医あるいは内科認定医をうまく取得できれば、という雰囲気であった。関連三学会で外部評価機構を作る方向で進めることになったが、当面は家庭医療という用語は使わない。三者で合同して専門医についての協議を進めることでは、同意を得られそうだ。これについて、各々の学会で持ち帰って運営委員なり理事会で協議するということであったので、これをまず最初にお諮りしたい。NPO法人を立ち上げることに関してもご提案があり了承する方向で進めたい。
プライマリケア連絡協議会はこれまで卒前教育を主に協議してきたのだが、本来は認定制度を扱うために枠組みを広げてきたので、一旦プライマリケア連絡協議会を発展的に解消し、三学会の協議の場とするということにしたらどうかということになった。当学会として毎年の会費を納め、ご提案のNPO法人に加わるという方向を考えたい。
NPO法人の設立の目的や内容など、具体的に一部であまり先に進めてしまうと、三学会ともバックグラウンドが違うので、非常に難しいであろうということで、三学会で協議していく場を作るということに関してご意見を伺いたい。
前野 夏期セミナーでは、いつそういう場ができるのか?という話になる。枠組みを作るという話は数年前からずっと言われているが。何年に何をやるというようなロードマップを一日でも早く若手に示していただきたい。
山田 我々が提案したことは、当学会では三年間の研修プログラムを作るわけだから、その人たちが出る時に初回の、いわゆる三学会合同の認定試験が出来ていれば良いかと思う。
誰も正式な研修プログラムを受けていない状態で、今までの過渡的な経過処置が先行して始まってしまうと、世の中に…前も強調したが、国民のための質が保証された新しい世代の家庭医を考えているということを学会としてアピールしてきただけに、それ以前に経過処置で「私が家庭医だ」「私も家庭医だ」という人たちが多く出てしまうと、今までせっかく慎重にやってきたことが後退する危険性がある。
当然、数年後は、プライマリケア学会や医師会も含めて、賛同してくれる人たちに門戸を広げて、新しく認定された人たちが既存枠組みの中で隔絶した家庭医にならないように配慮しなければいけないと思う。そういった意味では初回認定は3年後を考えている。
前野 例えば3年後といったことを明確に公表して、締め切りを作らないと、何年経っても進まないと思う。家庭医研修のプログラムが終わる3年後というのは納得できる数字なので、まず3年後には作るということを公表して、そこから逆算して詰めていけばいいのではないかと思う。
山田 前野先生にご提案いただいた行程で、できれば今年度中に家庭医療学会の研修プログラムのモデル案を作成して3学会に投げかけて、来年から履修する人たちにモデルだけでもホームページ上で公開して、来年度から家庭医療学会としてはこういったプログラム認定をして評価していきますということを打ち出せば、途中からでも家庭医療学会の評価を受けてもらえるようなことをアピールできるのではないかと思っている。
山本 今、北海道でプライマリケアネットワークを立ち上げて、●を作っているが、3年経った時に専門医がとれるようにということで、3年後は内科認定医が受けられるようにして、かつ●ですけど、今のモデルになるのがプライマリケア認定医しかない。それ(認定医制度)に何とかクリアできるように進めているので、合同学会に早く出していただきたい。プライマリケア認定医と大枠が変わらないものであればよいが、どうしても合わないものがあるということがあるのならば、来年の4月前くらいまでには提案でもいいからあげていただけると参考になる。
津田 プライマリケア認定医は、もっとレベルの高いものにしたかった。それは日本家庭医療学会が目指そうとしているものと殆ど同じではないかというレベルのものを考えたが、それは理想的すぎて、プライマリケア学会にとっては、受ける人が少なくて、毎年1人か2人受ける程度かと。それでは全然大きくならないので、妥協したところにもっていった。
今回、日本家庭医療学会が若手を中心にプログラム認定を立派なものにしようということは大賛成である。そこに関しては、プライマリケア学会の立場では反対しない。若い人たちのプログラムというのは反対のしようがない。それをいち早く作ってスタートさせることは非常に重要である。そうすれば、これから入ってくる後継者は、よい意欲を持ってくることになる。
ところが、では今若手として活動している人はどうなるのかという問題が生じる。私は、早くプログラム委員の基準を作って、それに合致するような研修を受けた人たちが専門医としての試験を受けてもいい。しかも専門医の試験はレベルが高いですよ、と。そういう形にすれば、山田先生が懸念されるような質の悪いのがどんどん早めに出てくるというのは回避できるのではないか。また、早く専門医を作っていくことも大事ではないか。1年以内というのは不可能だが、3年と言わず2年後ぐらいにはできる形のほうが望ましいのではないか。
山田 そのときも議論になったが、プライマリケア学会の専門医というのは、認定試験を受けるためにはスーパーローテート2年が必要となっているが、その後1年間の医療福祉施設群での後期研修だということだけである。みんながスーパーローテートすると、とにかく1年間複合施設群でいれば、必然的に受験資格が取れることになっている。これは、家庭医療学会が目指そうとしている家庭医療の後期研修プログラムとはあまりにも差がある。
それで、この後期研修の部分を家庭医療学会で書き直させて欲しいと提案した。それが認められれば協議の対象になるのではないかということをお話した。
前野 プライマリケア学会の専門医制度は、正規の認定プログラムで受験資格を得るルートと、もうすでに開業してしまって今からは小児科など他の診療科に所属して研修できない医師が受験資格を得るための研修制度という2ルートを作った。手っ取り早いのは、正規ルートのほうの合意である。正規ルートで研修した人はプライマリケア学会の専門医を受けられるわけだが、それをこちらでも合意できる形にして、家庭医療学会で専門医として認定する。当学会として足りないものがあればそれをちょっとreviseするのは全然抵抗ないと思う。正規ではないルートについては、当面の間は家庭医療学会では認めず、時間をかけて扱いを審議する。そういう形なら、割と早く合意されるんじゃないか。
竹村 今のは、ちょっと反対です。というのは、先ほど国民に対して、この人はきちんとした専門医です、というような話をしておきながら、片方ではきちんとしたプログラム認定にのったプログラムで認定試験を受けた人、片方は各学会で合意のない形の試験を受けて、それが認証されていて家庭医療専門医になった人、と2種類の家庭医がいるとすると、国民側からしたら同じ家庭医という目で見ると思うが、それは先ほど山本先生がおっしゃったような、国民に対して真摯に我々が良い医者を認定しているかということに関しては、ちょっとどうかなと思う。そこのところも3学会合同で話し合ったほうがいいと思う。
前野 そうなると、すでに開業されている先生は一生専門医を取れないということになる。どんなに勉強してもどんなに家庭医としての気持ちがあっても、どんなに小児科とかの症例経験を積んでも、自分でオーナーになって開業してしまったら、例えばそこを半年休んで研修ということは出られないわけです。だから、事実上若手以外の道を塞ぐことになる。
竹村 一つ言えることは、プライマリケア学会の認定医というのは問題ないわけです。認定医は維持ができるから。ただ、専門医ということに関しては、各学会がおのおのの認定基準を作って認定するのは、ちょっと問題があるのではないかと思う。実際、プライマリケア学会は、妥協に妥協を重ねて誰が見てもちょっと困るなというような認定のしくみ、例えば誰も取れないようなものを作っても仕方がない、誰でも取れるようにしたいからこのような認定条件にした、というお話があったとも聞きますが・・・。もし、そのフィロソフィーでこの認定を作って、それをパスした家庭医なり家庭医療専門医なりという人たちを世の中に出すのは問題なんじゃないかと。
前野 それは、何を認定条件にするかだと思う。たとえば小児診療であれば、プログラムで小児科を回っていればいい、とするのか、それとも、認定に足るだけの小児の診療能力を持っていればよいのか、ということだ。プライマリケア学会でも同じような意見が出たが、認定は最後にOSCEがある。一度きりのOSCEで受験者のパフォーマンスがどこまで評価できるかはかなり議論が必要だが、少なくともパフォーマンスのチェックはそこに必ず入っている。だから、経験年数を積めば自動的に認定されるわけでもないし、書類審査で認定されるわけでもない。それは確かに山田先生がおっしゃるように3年では終わらないかも知れない。しかし、もしそこを完全に塞ぐとなると、プライマリケア学会の専門医というのは、どんなに努力しても開業した人はなれないということを宣言することになる。
竹村 塞ぐということではないと思う。誰でも努力さえすれば絶対大丈夫なシステムになる必要はある。ただし、そこの部分を、プライマリケア学会の既存の認定システムだけで専門医になれるルートの存在はいけないと思う。例えば、今から認定システムが確立するまでの3年間にプライマリ・ケア学会で本認定を取ったものが専門医となれるシステム。そうすれば救われるという形にしてしまうと、認定が国民に家庭医療を保障する意味からは良くないのではないか。
本ルートはもちろん3学会でやるが、脇のルートも個々にやるのではなくて、3学会で行うべきだと思う。例えばプライマリケア学会ルートは取りやすいよ、誰でも取れるんだから、となると家庭医療専門医という意味が、いい加減なものになり、きちんとした審査を経てやったものなのか疑わしいものになり、本来あるべき家庭医療専門医とかなりずれが出てきてしまうのではないか。そこの部分も、もちろん誰でも通れないようなものにすることはないが、3学会が合同してきちんとしたものを作ったほうが良いと思う。
前野 そうすると、現在の流れで行けば、プライマリケア学会だけではなくて、家庭医療学会としては、一度開業した人はもう絶対専門医は取れないものを作るということか。
竹村 そんなことはないと思います。
前野 そこが問題として残ります。
津田 この前の3学会の協議会でも、そこがディスカッションになったが、そこがお互いにうまくかみあっていない。つまり、どちらも同じことを思っているのだが、言っているのがうまくかみ合っていないだけで、今の議論も同じである。だから、既存の人たちが取れる道は作るが、それはやはりレベルの高いものにしようと。だけど努力しさえすれば取れるというものにしようと。それは3学会合同の道にしようと。そういうことです。
前野 それは全然反対ではない。ただOSCEだけで評価が足りるかどうかです。
津田 だからMEQ(?)ということも含めて…。
前野 それで質を保証しているということが社会的に説明できるのであれば、いい加減な研修をしたら落ちるようなOSCEをするということで合意できれば一番いいかと。
竹村 その部分に関して、最後の試験、認定専門医試験だけでその人を評価するというのはかなり難しいと思う。オスキーも非常に難しいし、実際に各国の認定に関しても、かなりプログラム認定のところで担保されているから試験ができるというようなところがあると思う。そのプログラム認定が地域で1年以上やっていれば良いというような形で通してしまうのは、非常に危険ではないかと。ただ、前野先生がおっしゃったように、誰もが受けられないというような形は良くないが、努力さえすれば通るような形にしなければならない。その努力することを今、津田先生がおっしゃったように3学会合同でなければ、楽な道をみんな選んでしまうのではないかと。そこはやはり、プライマリケア学会だけではなく3学会合同できちんとしていただきたいと思う。
津田 前野先生も、プライマリケア学会のそれを通せと言っているわけではないのではないか。そういう道を作りなさいと言っているのではないか。
前野 そうです。決して今のあのルートがそのままで良いと言っているわけではなくて、プログラム認定だけがベースになると、開業した人が一人も取れなくなってしまう、ということになると、それもまた問題ではないかと思っているだけです。
山田 実はコアなところは、当学会としては今日の学生・研修医部会ではないが、その人たちに提供するものを早く用意してあげるということに主力を置きたい。それに関しては3学会の合意が得られたわけである。とにかく、家庭医療学会のプログラムを尊重しようということを言っていただいたので、まずそれを作り上げる、と。それから今お話が出たとおり、経過処置ではないが、そういった人たちの認定に関しては、かなりポリティカルな側面を帯びてくる。もっと広げようと思うと、かかりつけ医の人たち、日本医師会のほうから自分たちはどうなんだ、と。新しく出てきた人だけ家庭医と呼ばれていて、以前から頑張っている医師はどうするのかという意見が出てくるだろう。私は生涯教育などのプログラムを提供して、おそらく最初のうちは広く認めることが適当かと思っている。今家庭医療学会は新卒の医師だけに焦点を絞って我々の役割を明確にすべきだと考える。全体のことまで考慮すると、保険制度、システムのことまで論じ合うことになって、それを受けて我々がそこまで意識しないと言っても、当然厚労省はそういうことを意識してくるだろうし、日本医師会はそのことに対して意見表明をされるであろう。そういうことになってくると、我々の本意ではないので、そこの行程表というのは充分気をつけるべきだと思う。そこらへんに配慮しながら、とりあえず家庭医療学会は新しい人たちのことしか今は考えていない、と。理事会をやっても、自分の専門医資格のことは誰も一人も考えていません、と表明したほうが社会に対して判りやすいのではないか。日本の医療ニーズに耐え得る人たちが本当に育ってくるかどうかは、提供する側の責任だと思うので、まず基本を示すことが重要ではないかと思う。そういうものが出ていないのに、誰が家庭医の専門医になる、とか、どういった人がなるということを議論してしまうと、国民の側からすると非常に不透明で分かりにくいのではないか、と。ただ、戦略としては十分そういうことを考えてやりたいと思っている。
(第20回日本家庭医療学会のシンポジウムの際に使用したファイルを参照)
※以下、資料A(050807A.gif
資料Aは、私が第20回家庭医療学会学術集会のシンポジウムで使ったスライドのうちの一枚です。初期研修2年間の上に後期医療専門研修プログラムが3年間。一応3年〜5年が他の学会でも標準のようなので、家庭医療学会としては3年間。臨床研修の2年間のスーパーローテートは1年になるかもしれないという噂があるが、家庭医療学会としては、必ず2年間のスーパーローテートが必修だということを前提としたい。1年減らされたら2年間にするとか。要するに2年間は初期研修としてスーパーローテートする、と。そのうえに3年間すれば、通算(最低)5年間で家庭医療専門医の受験資格が得られる、と。内科学会の場合は、たとえばスーパーローテートは内科の研修は1年としか数えない。2年やるのだが1年と数えて、そのあと認定医のためには1年。それから専門医のためには、あと3年ないし4年という提案をしているが、家庭医療の分野では、スーパーローテートの2年は丸々2年換算できる。これは必須の項目なので、そういう意味ではこれは非常に重要だと。2年プラス3年というコースで家庭医療専門医の受験資格を与える。
右に書いてあるほうが、本来は外科など他の科だった方たちが今後開業したいとか、そういった分野を希望された際に、1年ないし2年の再研修プログラムを受けてもらえば受験資格を与えましょう、というものです。
一番右側は非常に議論になったところで、専門医評価機構としてはこういったバイパスは許しませんよ、という話があったが、社会や一般の公衆が許してくれればよいわけなので、むしろそのためにはどうするかということをポリティカルな判断を含めてやっていくところではないかと思う。
松下 移行措置で入るという問題は、日本だけでの問題はなくさまざまな国で起きている状況である。そういったものを参考にしながら、もちろん家庭医療学会の後期研修プログラムを作ることにかなり力を入れるべきだと思うが、同時進行で3者合意での形をよりスマートにしていかなければならないのではないか。この人たちが3年後試験を受けて、家庭医療の専門医が出る段階で、移行措置の人たちも同時期に出してあげないといけないのではないかと思う。新しい人たちだけを出すと、あっちは家庭医で僕は家庭医ではないのか、というような世界が生まれてしまうのではないか。スケジュール的には、今のところプログラム認定のほうが1年後なり2年後に実際動き出したとして、3年後に行われる試験に間に合うように3者合意のほうもうまく進めていくという流れを組んでいったほうがよいと思う。
前野 要するに、山田先生のお話では、少なくともこれは認められるといったコア中のコアを示そうということですね?
山田 そうです。
前野 つまり、どこまでを認めるかというボーダーラインについての議論は後回しにするとして、とりあえず学会が考える理想的なものはこれだというものを出せばよいのですね?また、それは家庭医療学会の中で決められるわけですね?
山田 そうです。
前野 そうすると、またタイムラインの話になるが、ぜひ後ろを決めていただきたいと思う。
山田 基本的なモデルを示すことができるのを今年度としたい。実際に認定作業というか、それができるのが4月以降になってしまう。最初の初期研修必修化の研修医には少し遅れるわけですが、現在認定作業を進めているということを広告しながら進めていけば3年後の認定に対してもそんなに差し支えないのではないかと思う。
前野 パブリックコメントをとるような形でやればいいと思う。完成版をいきなりボンと出すのではなく、学会ではこれをたたき台として考えている、と。そしたら何日までに意見をくださいというものを出すと、研修を組む側としては、確定ではなくても、だいたいこのような路線なんだということがイメージできるので、プログラムが非常に組みやすくなる。
山田 先日の3者の集まりで言っていたのは、10月か11月にプログラム責任者に値するような人たちに出来るだけ多く入ってもらって、1泊2日で作業をしてモデルプログラムを作ろうと。そのときに、ぜひ関わる人をたくさん入れて、プログラムディレクターの会の母体を作ってしまいたいと。その準備を考えているところです。
津田 (資料Aの)研修プログラムの左上に「経過措置」とあるが、これは何を意味するのか?
山田 このプログラムと同じような研修を十分行ってきた人たちに、いわゆる総合診療部だとかあるいは葛西先生のところとか他の施設ですね。それを追認定するというか。すでにこの3年間の家庭医療後期研修プログラムに見合ったところがあれば、ということですが。実際、指導医としてもランクの高い先生方がいっぱいいらっしゃるわけです。そういう人たちを、どうやって評価していくか、というか同じネットワークの中で協力していただくか、若い人たちに対してフィードバックしていただかなければ、意味がないので、そのためにその人たちには指導医として登録してほしいというか、教える側になってほしい。この枠組みを理解して、自分たちもその枠組みに入って欲しいという気持ちで作ったところです。
津田 私はそれに賛成ですが、それをプログラム認定医の試験を受ける人たちの後にするのか同時にするのか、少し構えても(?)いいのではないかと思うが。
山田 社会がどういうふうに認めてくれるか…家庭医療の専門医試験が始まったときに、誰が受けるのかといったときに、特定の恩典を受けた人達だけだった、というような不公平感があったりすると問題になる。だから、家庭医療学会でこういう研修プログラムを打ち出しました、こういう医師像を求めています、日本はこういう医師像が足りないと思っています、だから全ての臓器専門科ではなく、こういった医師を育てるように家庭医療学会としては世の中に対して表現します、というプログラムを訴える。その上でなければ、家庭医療専門医というものが出た途端に、この枠組みに今のところ入っていない開業医の先生方などが、自分はどうなんだという形で捉えられるのは必定だと思うので、もう少し慎重にしたほうが良いと思います。
津田 プログラム認定をきちんとして、それに合致する人がこれから研修を受けていくのですが、それに合致するような研修をすでに受けた人がいるわけです。その人たちを資格有りと認定する。そして試験を受けていただく。それは、プログラム認定されたプログラムを経て試験を受ける人たちより1年ぐらい手前でも悪くないのではないか。そういう意味です。それは、質が保証されているからです。
山田 そこを、この仕事を進めていくときに、どれだけパブリックに対して理解が得られていくかという…やり方だけだと思う。加速度的にそういったことをサポートしてくれる記事が出ればいいのだが、反対にそうではない記事だって出かねないので。
しかし、純粋に若い人たちに焦点を当ててやっているということに関しては、おそらく医師会の先生方でさえ、一昨年に大宮でシンポジウムを行ったときに寺岡副会長が来られて、前向きなコメントをいただいたと理解しています。そういった意味で、少し慎重に経過を見ながらやりたいと思う。
山下 学会に入って試験を受けるときに、(入会時期を)ある時点まで遡って、たとえば年会費をその分まで払って、試験に行けるというような。
表向きには有り得ないと思う。
山下 内科学会でも、入った時点で3年目で、もう初期研修2年に関してはカウントされる、とかいうようなものがありますよね、実際。
前野 内科学会に関して言えば、その2年間を内科学会に入っていたことと認めるのではなくて、内科学会の受験資格を学会歴1年でも認めるということです。どの学会でも、基本的に会員歴を遡るということをおおっぴらにやることは有り得ないと思う。
山下 研修歴を遡るということはあると思うので、そういう意味では、具体例でいえば今の時点でカレスであるとか亀田とか幾つかありますけれど、そういう所にいて、そういう人たちが受験資格をその時点で自動的に得るというのは有りだと思う。私はいろんなところをバラバラときていて、私は結果的に(資料Aの)一番右側のサイドのところからステップしつつ試験を受けるということになっても、ある意味仕方がないと思っている。それは多分若い人たちの中でも、その部分は分かってくれるのではないかと思う。むしろ、きちんとしたプログラム認定にしようということのほうが(強い)、今のところそういう雰囲気がある。
山田 えてして今まで専門医を作るときに、自分たちの資格としての専門医だという意識が強くて、会員の拡大だとかそういったことのために認定医制度が使われてきたという物悲しい寂しい歴史がある。やれば学会員も増えるだろうが、今までの轍を踏んでいたら、おそらく家庭医というのは自分たちのための家庭医じゃないか、と。何ら変わらないんじゃないかという批判を受けても仕方ないのではないかと思う。私としては、今の時代にやらないといけないことは、とりあえず社会に恥じないようにひとり立ちさせるというモデルを作ることだと思う。少なくとも、今、必修科が終わった人たちに3年間の研修後、誰にも「いい医者が育った」と言ってもらえるように。そういう意味では、そこで評価してもらわないと、先に専門医ができてしまうと、非常に分かりにくくなってしまうと思う。ピカピカの家庭医療専門医一年生をみんなで作って、それをまず世間に問うという形が重要だと思う。自信をもって、私たちが推薦できる新しい家庭医だということを、まず世間に示したうえで、その後に既存の世代は、順番に認定させていっていますというところを理解していただきたい、というところです。
山下 経過処置の部分についての対応については、もう一歩話が進んだ時点で私たちに譲っていただければ、我々の中でいろいろな立場の人たちがいるので意見としては出せると思う。
前野 津田先生のお考えでは、数年(最大1年ぐらい)前倒しして、正式実施の前に経過処置の人のためだけに試験を新たに別途やるということか?
津田 そうです。
山本 山田先生の意見に賛成で、山田先生が他の学会と違って素晴らしいものを作ったというのが先にあって、それでやった後に僕はなりたい人には年寄りも行けますよというのでいいのではないか。
鈴木 私もまったく同意見である。内科の専門医を作る時も色々あったし、10年20年先を見据えて、世界に誇れる専門医制度をぜひ作っていただきたい。
藤村 山田先生にほぼ合意である。全面的に全ての知的体力を投入して、フレッシュマンのところのプログラムを確立することが、今はここ数年の使命であると思う。その後で経過?を考えてもいいのではないか。逆にここでいう家庭医の専門医というのは、センター的なプログラムで卒業した人に与える名称にしてもらえればいい。家庭医というのはかかりつけのスタンダードであるみたいな主張をしているわけではない。このプログラムを終わった人を家庭医という形にしないと、私は家庭医ではないという人が必ず出てくる。とりあえずプログラムを終えた人を家庭医と我々は呼んでいるという構造をまず作った方がいいのではないか。
山田 僕も全くそのつもりです。家庭医療学専門研修プログラムを終わった人たちが、試験を通ったら家庭医療専門医という称号を家庭医療学会、あるいは三者で与えているということをまず内々で決める。しかし、その人たちが社会に受け入れられるかどうかはまた別問題である。とりあえずは学会がこういう人たちがいます、ということを社会にアピールできるチャンスだと思う。ここにいる理事の皆さんがリーダーシップをもって、理解してくれないと、何年たっても同じことになる。僕はたった3年のことだと思う。たった3年で改革できるのならば、この3年でやりたい。家庭医療学会の方針として、特にプライマリケア学会や総合診療学会に対してアピールするには、我々の理事会では自分自身の資格は考えていないと自信持って言えるとかっこいいのではないか。当面は、若い人たちのためのことだけを専任事項として考えているということで了解いただきたい。
かなり上の先生たちは、僕らが認めてくれないということに対してピリピリしているのではないか。彼らのために同時に認定という格好を認めていただきたい。新しいことにエネルギーを注がなければならないというのも分かるが、同時に移行措置としての認定も行えるぐらいのタイムスパンで計画を練っていただかないと、彼らが寂しい思いをするのではないか。
松下先生の考え方は2つに分ける必要があると思う。現場でずっと長くやっていたから認めよう、あるいは学会に入った理由が標榜できる専門医が欲しいからだけ、という努力しないで結果だけ欲しいという人は結構いる。それと今の若手部会のように本当にやっているのだが、のらないというのは切り離して考えるべきだ。やる時に経過処置については、必ず道は作るというだけ正式にステイトメントするけれど、具体的に何年やって、どういうプロセスでという部分にはあまりエネルギーをかけない。そしてまずきちんとしたものを作って、ちゃんとその人を世に出して、そしてこの人に見合うこっち側のルートをおもむろに伝える。まずは正当なものを作るということにおいて僕は賛成である。それでスピードアップしていただければと思う。
内山 ピリピリしている若手に言いたい。我々も内科専門医になる時に言われた。将来、専門医を持っていないとある種の患者を診れなくなる時代が来る、収入も違う時代が来ると言われたので取った。しかし結局、何も起きていない。これを取ったり称することが、それほど大事な時代が近くに来るとは思わない。それよりもやっぱり地道に三年間いい研修を受けることの方が大事だということを、ピリピリしている若手にアピールすることが必要だ。
山下 おそらく今の若手の構成を見ていると、大きく分かれるのは多分プログラム認定を行った時に、おそらく認定される施設にすでに存在している人たち、それにほぼ準じた形で複数の施設に行った人たち、3つめが家庭医になりたいけれどよく分からない、もしくはそうでない施設にいる。この中で真ん中の分(2群)にいる人たちは微妙な選択を迫られるかもしれないと思う。1群の人たちは周りも社会も含めてかなりすんなりと認定ができる。3群めの人たちに関しては、僕が感じるのはおそらくこの人たちは3群のプログラムができればそこに入るのではないか。そういう形になるのではないかと思う。多少気を使っていただくとすると真ん中(2群)の人たちであるが、1群めのものを見ながらの研修なので、大丈夫なんじゃないかと楽観的に感じている。
竹村 山田先生に質問。経過処置に関して認定など非常に時間がかかることはよく分かるのだが、医師会の動向を見ながら経過処置を考えるという話は、どちらにしても急ぐという時点で、医師会からの批判は免れないのではないか。
山田 あまり深い意味はない。ようするに今、我々がやろうと思っていることは、国民に対して質の高い家庭医の役割を担った人たちがいた方が絶対いいというのは概ね経験則でもあり、外国の例から見ても感じる。日本では役割をしっかり担っている人が十分教育されていない現状があることも事実であり、そのためこういう会が出来てきたのだと思う。それを実現するためには、組織を改革しなければならない。新しい力が起こってくることで反対にマイナス面を受けてくる人たちも出てくるわけで、それは当然起こる混乱であると認識している。非常に留意してやっていかなければならない。今回の外部評価機構の三学会での提案というのは、とりあえず先にアドバルーンを上げてしまおうということだった。それは経過処置をむしろ優先しようということになりかねない動向だったので、僕は今は待った方がいいのではないかと述べたつもりだ。外部評価機構は認めてくれるかもしれないが、実は日本医師会は受け入れにくいのではないか。医師会には受け入れてもらいやすいが、外部評価機構ではその枠組みでは専門医として受け入れられないといった色々なパターンがあると思う。今は既存の枠組みを充分尊重して不要な摩擦を起こしたくない。実は一番意識するなのは、国民であり、パブリックであり、メディアであり、「やっぱりそうい医師を作って欲しい」という声が出てくる方が今は重要である。そこで方向性をうまく舵取りしていった方がいい。一度は、市民公開講座のようなワークショップを開いて、どのような医師を望むのかといった市民の声を聞きながら当学会では認定について考えたり、評価についても一般市民の意見を聞いたり、評価者に入れてもいいと思う。これらを重視していかなければならず、旧態の枠組みに関しては不用意な摩擦は避け、情勢を見ながら進めていくのが賢明ではないか。家庭医療学会では三年間、後期研修と若い人たちの評価や認証について任せて欲しいということで、三学会では合意してもらえそうだ。
前回の運営委員会や総会を受けて、やはり早くやらなければならないと思うので、ぜひ皆さんのご協力をお願いしたい。経過処置についても、十分考慮して慎重に対応していくつもりである。その件についても意見を仰ぎたい。

1. 会員数報告、新入会員承認、会費未納退会者
山田 会員報告は手元資料にある通り、1240名。内、学生会員が176名。
5月から7月までの新入会者は資料に載っている。(65名(医師54名、学生11名))
退会者、年会費未納者だが、未納者は13年度までは納めていただいているが、これ以降納めていない者が資料に載っている。この人たちは請求して入金がないと退会扱いになってしまうので、未納者に心あたりがあれば、ぜひ声をかけてもらいたい。学会や事務局からも丁重に案内を出す予定である。
松下 クレジットカード決済の案は進んでいるのか?
山田 あゆみコーポレーションに一任しているが、まだ報告はない。クレジットカード決済については、事務局のあゆみコーポレーションで検討中である。
会員数、新入会員の承認、会費未納者、退会者について異議はないか。
  (異議なし)

2. 第20回学術集会決算報告
山田 今回の学術集会は、実はWONCAと全く一体型でやっている。今回の共同開催は国内学会で催したものの、会員は家庭医療学会とダブってWONCAへ登録して、WONCAそのものに参加していただいたもので、特に家庭医療学会としての会計は設けていない。だから家庭医療学会としての分担金を出して欲しいというようなことは、WONCA全体の方から言われていない。但し、赤字が出た時には何らかの動きがあるかもしれないが、それはないと思う。参加した人の会費で運営されていて、WONCAが一括して処理していただいたので、家庭医療学会だけの予算決算は成り立たない。ただWONCA全体の決算報告はこちらで報告していく。資料が出来次第、次回の理事会で報告させていただく。
学術集会決算報告についてはそのような理由で報告をしていないが、そのような事情であることをご了解いただきたい。

3. 2005年会計年度中間報告
山田 貸借対照表と収支計算書があるが、これは会計年度が去年の10月からになっているので、それから以降の推移を示している。大きな推移はないが、会費収入が概ね残って7月末で当月残高が1,353万円ある。今後どの程度見積もっていけばいいのか、総会でもお諮りしないといけないが、さっきのプログラム等に関する会議費だとか、それに関わる実費は現在の状況だと、どんどん請求していただいて、よりアクティブにして欲しいと思っている。ただ、委員会等々を開催する際に旅費交通等々が一回あたり、50万円、100万円になるので、それは無制限にやるわけにはいかない。それに関しては経過を見ながらになるが、特にプログラムに関しての会合については、旅費等は支給したいと思っている。何かご質問、ご意見はないか?
鈴木 例えば学生部会の夏期セミナーの講師の負担について。かなり若手の先生方が呼ばれている。その辺は家庭医療学会としては今まで通りの姿勢で臨むのか、それとも考えるのか、その辺りの意見はどうなのか?
前野 これまで、夏期セミナーは伝統的に世話人会の手弁当というスタイルでやってきた。しかし実際、これだけ組織が大きくなってくると、手弁当で家庭医療を開拓するという時代ではなく、セミナーも長続きするシステムにしていかなければならない時が来ている。講師が、旅費、交通費も自腹、謝金もなしで教えにくるのは学会員だから当然だという考え方は、他の会員とのバランスから考えても問題があると思うし、実際そのことについてかなり強いクレームを今年もらった。また、役員会には交通費がでるのに自分にはないというクレームをつけた人がいた。それもまた正論だと思う。ただ、今回の参加者200人に対して講師50人という非常に贅沢なセミナーができたのは、講師の費用が無料だったからである。若手の講師で、仲間を大勢呼んでみんなで担当するセッションもあれば、先輩のサポートを受けて、研修医が講師を務めるセッションもある。もし、セミナー側がきちんと謝金を払って講師を呼ぶとなると、たとえば1セッションにつき講師は1人までと言わざるを得ない。今のように気軽に講師を増やせるのも謝金の縛りがないからで、それはそれで今の夏期セミナーの良い点でもある。大変難しい問題だと思うが、こちらとしては、現実的な案として、セクションごとにディレクターを一人お願いして、ディレクターには現金で一万円渡せるようにしてはどうかと思っている。とりあえず今年は5,000円の謝礼相当の図書カードを渡したが、来年からは現金で渡せるように、事務局と議論させてもらいたい。
ワークショップ一つあたりいくらという考えか?
前野 そうである。
山田 学生たちがここまで育ったのは凄いことである。それに支えられている学会だと思うので、ぜひサポートしたいと考えている。しかし、いま議論になったように、無秩序ではないが学生たちに全て運営を任せておきたいという気持ちの一方で、会費から使いたいということになると、運営委員会なり理事である我々が会員に対して責任をある程度持たなければならない。学生セミナーであっても、学生に全てプランニングしてもらうのは若干困ることも出てくる。場合によっては何人かの理事がある程度中に入って、調整をせざるを得ない。学生・研修医部会の方でも、正式に日本家庭医療学会主催という形があるのならば、皆にコンセンサスが得られるような一つのルールを作らないと、お金を出しにくいのではないか。
竹村 山田会長が言われたように、学会の事務局が一括的にやる場合、秋にやる「家庭医の生涯教育のためのワークショップ(秋のワークショップ)」も、そういう価格にならざるを得ない。得た収益を均等に割ることになる。来年の2月に、若手家庭医部会ではセミナーを計画している。これにも非常に強く関わってくる問題である。もし統一するのであれば、全部の統一になるのではないか。
前野 統一といっても、秋のワークショップで出しているような謝礼は出せない。講師も若手が中心であり、秋のワークショップと夏期セミナーを一律に論じるのは難しいという気がする。
来年度は、ある程度の制約を設けた上で講師の先生には謝礼が渡るような形が望ましいと思っている。それは理事会の交通費が1万円であることとの整合性を考慮してやりたいと思っている。先に述べたように、こちらから公式に依頼した各セクションのコーディネーター一人に限り、1万円を支給するということで、来年度やらせていただきたい。そのための出費は20万円ぐらいになるので、来年度の学会からの補助は50万円程度を支出していただけないか。
今の話を文章にまとめて、次回に提案していただいて、それをルール化したらどうか。
前野 学生は、学会からこういうルールで運用しなさいと言われたら、きっちり守って運営している。実際、過去3年間1回も赤字を出していないし、むしろ黒字で学会の収益に貢献している。学生が自分たちでセミナーを運営しようというモチベーションをもって、スタッフミーティングだけで全国から30人以上も集まる文化を、ぜひとも大事にしていきたい。ただし、その一方でNPO法人にもなるのだから、学会のお金を使う以上、計画性のある、責任ある運用をしていかなければならない。学会で決めたルールを提示して、それが守られているかどうかは僕もチェックするし、決算報告で報告する。
山田 学生・研修医部会が、当学会のエンジン部分に当たるのは事実なので、ぜひ活発な活動を支えるようにしていきたいと思う。

4. 常設委員会の報告について
◇ 編集委員会<会誌『家庭医療』>
藤沼 あゆみコーポレーションに全面的に依頼してから、編集作業がとても簡易化されるようになった。そのためむしろ編集方針に力を注げるようになっているので、次期編集委員の方には編集方針を考慮してもらえる場になりつつあるように思う。一応目標は年2回であり、到達できているのではないか。
◇ 広報委員会《会報、Webサイト》
松下 前回の運営委員会で年4回の発行が決まった。今回の夏期セミナーの報告は11月前頃に予定している。
竹村 2月頃に若手家庭医部会でセミナーがあるので、イベントの後で発行する方が良いと思い、4回発行を提案させていただきましたが・・・。
松下 定期的な期間を設けて動かないと、流動的になってしまう恐れがあるので、ある程度時期を決めてやっていくが、なるべくアナウンスや報告をタイムリーにしていかないと、ずれてきてしまうので、時期は微調整していきたいと思っている。あと今、運営委員の先生に一人ずつ依頼を出して、診療所便りを出している。
山田 写真が載っているといい。
前野 夏期セミナーの特集をするのであれば、こういう方針でこういう記事が欲しいということをあらかじめ伝えていただければ、そのつもりで写真を撮ってくれると思う。記事の割り振りも、メールで後で頼むよりは顔を見て言った方がいいのでは。
山田 Webサイトについては?
松下 議事録の公開など、掲載されないといけないのに掲載できてない情報を依頼していく役どころである。もう少しWebサイトもよくしていかないといけない。
山田 僕自身は議事録や総会のメッセージだけを流していくことに対して責任持っているつもりである。もっと華やかに、楽しいと思わせられたらいいのではないか。
松下 提案だが、運営委員の紹介もぜひやった方がいいのではないか。誰がどんなことをしているのかというのが分かるので、ぜひ写真入りでお願いしたい。
山田 メーリングリストで写真とあいさつの依頼を出したいと思う。
◇ 研修委員会《第13回生涯教育ワークショップ》
武田 例年と違って場所と期間が変わった。今年の11月12、13日に東京の永田町にある全共連ビルで定員150名を想定して開催する。東京なので集客もありそうで、かなり面白いものができそうだ。今までは特別に予約金がかからなかったので、学会のお金を借りずに運営できたが、これからは若干かかるようになってきている。手持ちを出すのも難しいので、ワークショップ内で収支を合わせるつもりで体制を考えているが、一時的に学会からお金を借りる形を取りたい。
山田 そのことについては、全く問題はない。
武田 家庭医療学会は若手の人たちがかなり多いが、開業されている先生あるいは総合診療部で長年働いている先生もかなり多い。実際的な臨床能力の向上ということでワークショップを考えている。そういう意味では、専門科の先生や、家庭医をある程度理解している先生を選んでいるつもりだ。来年も秋の開催になると思う。例年は会場と宿泊が一緒だったが、今回は会場だけなので、宿泊は個人で取ってもらうことになる。懇親会はどうするかとかいろいろな問題が生じた。今回すぐに定員に達した場合、人数を増やすことはできるだろうか、とか、今回のような交流形式とワークショップを組み合わせたり、色々な方法を考えていかないと運営はできないのではないだろうか、というようなことを今後考えていきたい。
岡田 プライマリケア学会の医療研修委員であり、生涯教育の委員として関わっている。そちらでは10月に会が予定されている。中味が非常に似通ってきつつあるので、今後は総会と同じように一緒に開催してもいいのではないか。プライマリケア学会では学会の中で別々にやっていた在宅医療研修会や指導養成ワークショップ、生涯学習などを一つにまとめている。だから場合によっては学会間で話し合って一緒に開催するのが良いかも。もしくは共催という形にはするけれども、各々が年に2回の内1回ずつメインを担当するという方法もある。
山田 学術集会が来年の5月に開かれる。今後もプライマリケア学会に歩調をあわせた合同開催になると思われるので、5月の開催となると思う。それに合わせて秋もそのようになるのではないだろうか。いわゆる研究発表みたいな学会形式の発表会は春にやり、生涯教育のためのワークショップは秋にやる。同じような講師で同じような内容でやっているので、プライマリケア学会と協議する余地は充分あると思う。
内山 2ヶ月の間に東京と横浜で開催される。東と西に分担するとか、少なくとも場所を分けるというようなことにしたほうが良いと思う。
山下 CMEの活動自体はチャンスが多いほうが良いと思うので、合同にしないほうがいい。むしろ毎月どこかで開催されているといったほうが望ましい。
山田 当学会とプライマリケア学会の研修委員会が、時期や場所、内容やテーマについてお互い調整し合うなど交流を持っていただけるようご提案するということでどうか。
前野 将来的に専門医制度とかになってくると、生涯教育単位などがあって、単位の互換とかそういうことを進めていただきたい。
山田 そうですね。結局、そういうことを意識しながらやっていくことで、お互いの意見共有やコンセンサスがだんだん含まれてくると思う。関係をもちながらワーキンググループなりワークショップをやっていくというのは非常に重要だと思う。
竹村 NPO法人になって、事業計画を作ったことで、学会が実施しなければいけない事項となった。現在のように各自で事業をやっていくことで、同じ学会の事業なのに利益のばらつきが出てくるなどの問題が生じることが、今後望ましいかどうか。意見を聞きたい。
山田 全体的なバランスを考えて預金をシフトしたりすることは理解していただけると思う。ただ、夏期セミナーや秋のワークショップなど伝統的なやり方を大切にすることのほうが大切だと思う。ある程度執行部が責任をもって采配するということより、収支の面での調整を理事会でやっていけばいいのではないかと思う。
武田 秋のワークショップと夏期セミナーとでは、集まる人たちが違う。開業医の先生方は、便利な場所で時間も効率よくして欲しい。講師もきちんとした先生を呼んでほしいという希望がある。ただ、講師が多ければ参加費を上げる形になると思うが、一応中で全部賄えるようにしようと思っているし、それでも参加してくれると思う。学会が運営するようになると、どの辺りが変わるのか。金銭面か?
学会として、学生のセミナーに力を注ぎたい。それは、お金が流れるのは当たり前だと前は考えていて●。秋のワークショップは、ドクターたちの集まりと考えているので、学生にとっては高いし、それでもお金をもらいますよ、と言っているので、もちろん来たい人は来てもいいと思っている。だから、分けてやってもいいかと思っている。
山田 決算の後20万円足りないから学会会計から20万円出してほしい、ということではなく、全体の収支を中央本部としては把握させていただきたい。そうすれば事業計画書にも載せられるし、家庭医療学会が生涯教育の場をこんなに活発にやっているということが分かる。学会として10万出したとか、10万もらったという報告だけではなくて、事業計画書に入ると、収支報告書の中に全部入れていくことになるので、今度は予算という形状で出していただければありがたい。
前野 これまで夏期セミナーは、どんぶり勘定で補助金をいただいて、決算報告をしていた。補助金をいくらもらえるという段階で予算を立てているが、それを公式に学会には出していない。これからは事業前に予算として公式に提出するという理解でいいか。
山田 その通りである。今年度の事業計画書については、時間的な問題もありいろいろと不備があるのでご追認をいただかないといけないが、今後はあらかじめ事業の計画を出していただいて、担当理事から概ねの予算を事業計画とともに出して欲しい。そうすれば全体の会計を把握することにつながると思う。
◇ 研究委員会《学会賞,課題研究》
学会賞、課題研究に関しては、まだ何も動いていない現状である。課題研究は、後期研修に関してのものだったが、むしろ学会の公式なワークとしてやるという形になったので、課題研究という形ではなくなった。学会賞に関しては、今年のWONCAに演題を出してということがあるので、学会賞に関しては来年度からということで準備をしたいと思っている。
それ以外のことで、「臨床研究初学者のための勉強会」についてご相談したい。家庭医療についての研究をしたいという人が集まって、しかし自分たちでは学ぶ場もないしやり方も分からない、ということで、そういう勉強会をしたいという話があった。具体的には16名くらいが集まって、それぞれリサーチクエスチョンを持ち寄って研究デザインを組む形式を考えている。年4回くらいワークショップを開催して、最初はリサーチクエスチョン、2回目は1泊2日で研究計画書を書くということを考えている。彼らの要望としては、指導してくれる人がいないのでそういうことを学会としてサポートしていただければありがたい、ということである。研究委員会を中心としたメンバーが関わって、そういったものをサポートしていこうということになった。
その活動をボランティアとしてやるとなると、例えば合宿をするとなると、講師の交通費などをどうするかという問題があり、16人の参加者が、自分たちが習うんだから払うという検討もされたようだが、学会としてある程度そういった部分をサポートしていただけないか。
具体的には、研究委員会の活動として行う。また、ワーキンググループとして立ち上げるなど、さまざまな位置づけがあるかと思う。特に学会側として、ファシリテーターとして参加する場合に自腹を切ることがないようにサポートしていただけないかと考えている。活動費としては20〜30万を考えている。
山田 参加者はオープンに募っていいのか?
前野 学会の活動としてやるのであれば、全員に平等に機会を与えなければいけないと思っている。
山田 研究委員会で主催していただいて、宣伝をしていただいて定員を決めて公募をする。かかった支出に関しては、ご提示いただいた運営費は当然出すべきだと考えている。
前野 かかった実費(交通費)をいただくということでよいか。
山田 これは、研究委員会を開催するというよりは研究委員会が主催する勉強会を開催する際に、協力する指導医として関わる人たちへの旅費を認めて欲しいというご意見です。事業として打ち出してもらえれば、収支決算の中に出せるものであれば問題ないと思う。
津田 参加費はとらないのか?
前野 とる。
津田 参加費の設定によっては、経費を節減できる(全部をカバーすることはない)のではないか。
山田 事務費として年間数百万程度を運用していっても良い状況と思っている。その事務費をどのようにシェアしていくかということが問題であって、公平なシェアの仕方であれば何も問題ないと思う。できるだけ、コストのかからない方向では考えていただくものの、みんなに説明して、納得してもらえることが自信をもって言えるのであれば、出してもらっていいと思う。
竹村 1点は、活動内容のこと。この勉強会は、臨床研究を初めてしたい人たちに勉強会ということで情報をどんどん流すという会なのか。それとも研究をするためのミーティングであって、その中でいろいろな議論をしながら、各々の研究資質を上げていくものか。
今後もしやられるのであれば、サデッションというか、まさしく勉強会であって、いろいろな教育を授けるような形にしていただいたら、より参加者も増えるであろうし、それだけお金をかけてもいいと思う人もいっぱい出てくると思う。
前野 学会のお金を多少なりとも使う以上は、こういう事業計画で、こういう位置づけで、というようなものを出すことが前提になるかと思う。時間の関係もあるのでメーリングリストでご意見を募る形になると思うが、基本的には実際に走りながら準備をしていくという形になると思う。今のご意見をいただいて、事業案を作って、リーズナブルな設定にしたいと思っている。
山下 これに関連して、課題研究に対してお金が出るという…。たまたま先日AAFP(アメリカ家庭医療学会)の研究ワークショップに出たが、それをやっているところとリンクして、課題研究みたいなものというか、レジデントの研究に対して研究費を出す。研究ワークショップに参加してプロトコールが出ると、その中で一番妥当性があって且つ良いものが出てくると、そういうものに対して助成して研究を走らせる資金(賞みたいなもの)を、学会で出せればいいと思う。
山本 学会賞でやらなければいけないのは、どうやって学会賞を決めるかということである。僕が一番簡単に考えているのは総合診療医学会がやっているような形で、ある期日までに出されたものを、先生方に一定の基準で点数をつけてもらって、●の人を学会賞を与えるということ。総合診療学会では、40歳以下といった制限を設けているが、そういった制限を設けるのか設けないのか、また学会賞の名称を何にするのかということを決めなければならない。
もう一つの課題研究に対して2件、公募する形で期日を決めてプロトコールを出してもらって、何人か審査員を決めて投票で上位のものにお金が出るということにすればいい。
山下 来年度は時間的に難しいと思うが、今後そこのヘッドラインとこのワークショップがうまく合えば良いのではないか。前述のワークショップでは授業として研究のリソースをどこで得るかということがレクチャーとしてあった。そういう意味でリソースの一つとして、学会もこういう賞を用意している、ということがリンクするといい。
前野 要するに、自由研究に対するサポートがないということか。
山下 そこをサポートできればいいと思う。
山田 課題研究の枠で自由研究の枠をサポートして欲しいというご提案です。このフィールドの研究自体が住みにくい、あるいは手法が分からない、研究デザインが分からないということも多くて、何をやったらいいのか分からないというところもあるので、そういったこともサポートしながら、最終的な目的は、家庭医療の分野での質の高い研究ができることを学会としてサポートするということなので、発表が出るとか研究が出るということがアウトカムとして出てこないといけない。課題研究は学会(理事会)主体として、全体を通してこういうことをやらなければ、学会を継続するためには大きな問題をクリアしておかなければならないというものは当然また起きてくるだろうから、その枠は残しておいていいと思う。課題研究が特別理事会から出てこない場合は、その2つを以ってして自由研究に振り分けることは問題ないのではないか。
前野 学会は企業ではないので、例えば課題研究を10個設定するから100万円ください、ということより、むしろ学会から枠を示してもらって、その範囲で課題研究のテーマを組むという作業になってくると思う。
山田 会員が納める会費によって、どうやってシェアをしたら一番良いのかということを考えてやることが重要。
(学会賞の公募時期と名称について議論)
内山 参考までに、外来小児学会は、研究費助成金の募集をしている。
山田 学会賞については、卒後15年以内。2名にトロフィーと賞状。副賞を設定するとすれば5万円以内。
課題研究は一題20万円。年間3題。課題1(題)、自由2(題)をベースにして、課題が多い時は課題2(題)、自由1(題)。お金を出す代わりに家庭医療の投稿を義務付ける。
山田 公募や締め切り、決定などのスケジュールは?
(未定)
一般の人が家庭医のことをどう思うか、という研究をやらなければいけないと思う。
山田 いいと思う。
何年か前に、アメリカがフューチャー・ファミリー・メディスン・プロジェクトというのをやった際、個人的には専門医が家庭医に何か求めるものがあるのか、といった部分が面白いと思った。また、医師会で長くされてる人たちと開業医で長くされている人たちとコンピテンシーの違いがあるのか、研修を通ってきた人たちと現場で長くやってきた人たちと何か違いがあるのかといったこともやらなければいけないと思う。
課題研究は年齢制限がないのか?
山田 ない。
◇ 倫理委員会《申請研究に対する結果》
山本 (5月に行われた第1回倫理委員会の報告。)検討した倫理委員会の方向性を、学会ホームページの倫理委員会の中に公開した。次に、7月末に第二事例である一診療所におけるうつ病の調査の倫理審査を始めている。前野先生が関わっているということで、前野先生が抜けて、その他の人で今検討するということで、メールを中心にやっている。あと、倫理委員会の報告を学会ホームページで掲載したほうがよければ、公開したいと考えている。
山田 外部から来ていただいている先生方が非常に積極的で、研究デザインに対しても提言をしていただいている。ここの資源をみんなで共有するために、今のところ学会ホームページでの公開がいいのではないかと思い、指示をした。先ほどの若手医師の勉強会に関しても、外部の先生方に関わっていただいて、倫理的な側面ということで考えていただければいいと思う。
◇ 家庭医療プログラム・専門医認定検討委員会
山田 家庭医療プログラム・専門医認定検討委員会というのは、一番最初に言ったまとめのことです。お話を進めながら、まずワーキンググループのところでお話をいただいてから、最終的に日程や行程表について協議したい。

5. ワーキンググループについて
◇ 家庭医療後期研修調査WG
山下 (ワーキンググループという名称について)前回も同じ議論をしたが、ワーキンググループではなく、若手家庭医部会のプロジェクトとしたほうがいいと思う。
山田 プロジェクトにする。
山下 7月に家庭医療後期研修調査の依頼書を会報に同封する形で会員に向けて行った。現時点で36施設ほど返事をいただいている。まだまだ予想より少ないので、8月10日の締め切りまでに、周囲も含め、他薦もできるので、ぜひ返事をいただければと思う。
山田 執行部では、それに合わせて、第1回目の若手医師調査研究グループと家庭医療プログラム検討委員会の合同の会合をしたいと思っている。中途でもいいのだが、同時並行でやらなければ、研究を待ってからというわけにもいかないので。例えば、調査で集まったもの以外のものがたくさんあったりして、それを調査という形で必ずしも集めなければならないのか、あるいは自由に家庭医療学会とリンクして、プログラムの立ち上げに対しては早めにこの研究にのってなくてもいいから…。
山下 今回の調査研究は、意思がある方という形になっているので、そういう方々に印をつけていただけるようにお願いしたい。
山田 そうですね。それを早く始めて、今年度末までにプログラムをある程度示すことができる、あるいは年内にでもできるところまで持っていきたいので、9月中に専門医認定検討委員会を若手医師の会と一緒にやりたい。それに関する参加者は、公募というか、できるだけ理事の方には入って欲しいし、プログラムディレクターの会についても将来作るであろうが、このときから呼びかけていってもいいと思う。
山下 研修を受けている当事者として、その中に参加をしたい、ぜひディレクタークラスの先生方にしっかりと入っていただいて、実現可能なプログラムというのも一つのポイントになると思うので。
山田 基本的には、先ほど示したように秋のワークショップと重なることになると思うが、そのあたりにワークショップをやって研修責任者、プログラムディレクターの会と同質のようなものができればいいと思う。その準備というか段取(日程や集め方、講師など)を決めたいと思う。理事の方主体になって、プログラム委員会だけでは無理だと思うので、後期研修だけに焦点を絞った会合をやりたいと思っている。1ヶ月経たないうちにやりたいので、8月末に不十分ながらでもデータが出るとすれば、9月早々にでも後期研修プログラムに対する会合、自由参加でもどういう枠組みでもいいが、場合によってはホームページで呼びかけてもいいが、その会で一回吟味してからやったほうがいいと思っている。
山下 ロードマップを出していただけるとありがたい。なぜなら、まさに今研修中の人たちもいるので、研修のサイクルによって日本にいないという人たちがここ後期研修委員会に入ってしまうということもあり得るので、だいたいこのようなサイクルでやるということを出して、それに適した人に入っていただくことが大事だと思うからである。
山田 後期研修だけのことで協議する会合は、今一番必要である。メーリングリストで日程調整したほうが良いと思うが、第1回の会合を9月の土曜日あたりで1日使って、会が出来たらと思う。そのときに行程表を(民主的に)決めたいと思う。プログラム自体は、11月くらいには作りたいと思っている。土曜日であれば午後からになるかも知れないが。
(日程調整についての話し合い)
旅費は出るのか?
山田 今回は委員会の延長ということもあり、非常に重要な会合なので、専門委員会立ち上げのために参加する理事の人たちの旅費は実費を負担するということでご了承いただきたい。
◇ 患者教育WG
松下 今年は横谷先生と藤原先生に主体となってもらってやっている。今後の課題としてはプロダクトをどういうふうに出そうかということである。パンフレットの話が、なかなか議論してもうまく前に進まなくて、あまり意味がないのではないか、という意見もあるが、学会としてツールを提示したいという感じはあるので、もう一度そこに立ち戻る作業を1、2年以内にしてみようと思っている。各製薬会社のパンフレットなんかは、結構いいものがあるので、そういうものをもう一回検討して認めるとかいうレベルでもだいぶん違うのではないかという気もする。もう少し話を詰めていこうと思っている。
途中からメンバーを推薦してもいいのか。うちのシニアレジデントで、その辺に興味をもって、個人的に患者教育通路を電子化してライブラリをためている人がいるので。
松下 ぜひよろしくお願いします。
◇ FDについてのWG(HANDS-FDF)
岡田 あえて学会のWGという形ではなく、個人的なプロジェクトとして動いており、そのへんをみなさんにご意見いただきたいと思う。
家庭医を育てるというところとは別で、指導医を育てる、特にジェネラリストを育てるということに関しては、プライマリケアも総合診療も小児科も指導医に必要な能力に差がない。できれば、逆に家庭医療学会WGという形で広げようとすると、その名前で入ってこない人がいるかも知れないという懸念があって、できれば私自身はジェネラリストエデュケーターのための、という感じでやっているので、今は個人的な活動をやっている。このことに関して、どっちのほうがいいかという意見をいただければと考えている。将来的にはなるべく●のように参加したい人の中からインストラクターを作って、どんどん標準化して、ということを考えている。
山田 ということで、FDに関することを他学会にまたがる活動としてやっていただいているということですね?
岡田 今のところはオープンにはしていない。今年は●ということでクローズドでやっているが、4回中の2回終わったところで、うまくいきそうなので、来年は参加者をオープンにしようと思っている。そこで、家庭医療学会のWGとして広告をしたほうがいいのかなと思っている。
山田 家庭医後期研修プログラムを作っていくというのは、確かに今後枠組みが出来て器が出来てくることだと思うが、指導医を養成するということも本当に重要なことで、次に課題になってくるというか同時に考えなければいけないことである。それがないのに内容が出来ないわけであるから、家庭医療学会としては家庭医後期研修プログラムの質を高めるというか内容を議論する時に、FDの話は切っても切り離せない重要なことになると思う。私自身としては、家庭医療学会のWGとして他の学会とも指導医としての技能は共通するものがあると思うので、家庭医療学会ということで狭める必要はないかも知れないが、家庭医療学会にとっては、今、後期研修プログラムを作成するときに、かなり重要な課題でもある。もし、先生が家庭医療学会の中でWGとしてやっていただいて、なおかつFDに関係したり興味を持っている人たちが家庭医療学会のWGという枠組みで参加して一緒にやれるような雰囲気に発展的にできるものであれば…。ただ、先生が個人的に自立性を保ってやりたいという理念とそぐわなくなってしまうと、ちょっとどうかなという気もする一方で、学会としてのFDというのは最も重要なことで、プログラム認定のことを中心に議論しているが内容を議論しようと思えば、こういうことがついてこなければ話にならない。僕としては、これを母体にして何人かFDに関心を持つ人たちを含めて、正式にFDに関するWGか委員会を作っていただきたい。家庭医の認定をしていく時に、非常に重要な肝になると思う。
費用はいくらか?
岡田 今年は、費用は取っていない。事務局は●にやってもらっているのと、講師は僕と、時々単発で非常勤という形。ほとんど実費+アルファくらい。
会費は1回ごとに設定していて、一応1万5、6千円で、14人参加している。ほぼ実費。
岡田 運営費もそんなにかからない。それぞれの病院の持ち回りで会場をとっていないので。ただ、すごくいいものを今作っているので、お金を取ろうと思ったら取れると思う。
藤沼 FDは、大変お金がかかる。それは、医者が1泊で診療を抜けていくことと、講師も1人でやるのは非常に大変なので、実際には施設からそのプログラムにお金を出してまで発表してもらう…(例は少ない)。今、厚労省がやっている例のワークショップが相当高い金額をとっているのだが、岡田先生は、通年的にやっているというところが特に独特で素晴らしい。意外に単発でのFDはない。その後のフォローアップなどを含めてやっていくと、かなりなコストがかかるので、事業化しないと、ボランティアだけでは続かないと思う。場合によっては、それ自体が事業化して収支を含めてかなり第一に…。
山田 これからプログラム認定をしていく、プログラム評価もしていく、プログラムディレクターの会を運営していく、ということが全てリンクしていって、その中に参画される人たちは当然、その枠の中でやることになると思う。僕としては、家庭医療学会の重要な事項として、委員会としてお金をかけてでも続けていきたい。認定施設ができてくれば、認定のために受けるとか、当然受けなければいけない。認定を受けるところからは、お金は集まりやすいと思うので、それと学会事項と関連付けてやっていけば良いと思う。
岡田 みなさんのご異論がなければ、学会の事業という形で事業計画書を作成するなど進めたいと思う。それに関して、総会が5月だと、実はこの4回という1年間のサイクルは、今年と同様で1回目を3月に考えている。初期研修が入ってくる4月、後期研修が始まる5月という時期の前にやっておいて、いざ研修が入ってくる人たちの準備をしたいと思う。そうすると、来年度の5月の事業計画書だと間に合わないが…。
山田 来年度の事業計画書も作成しているので、途中で補正するなりすれば良いと思う。できれば、先生方がコアになることはいいと思うが、できるだけ学会で告知をしてFDに関することを…、これは今度の後期研修に関することと徐々にシンクロしてやっていけばいいと思うが、そういったことに対して興味がある人たちに参入してもらって、一緒にやっていくような雰囲気ができれば良いと思う。
前野 事業化するということですが、いろんな企業研修などはすごいお金をとりますよね。その事業化を学会が公式にやるということは、事業化された後にビジネスとしてやる場合も、学会がそのビジネスをやるということでしょうか。
つまり、岡田先生が中心になって開発されたものを学会の事業としてやるということは、岡田先生自身も勝手に使えできなくなるということですね。
山田 そういうことになります。ただ、今やろうとしていることはかなり公益的というか…微妙なところですね。もし、先生がノウハウを学会に提供していただくというか、NPO法人に提供するつもりで一緒にやっていただくというご承認が得られれば、学会の事業としてやっていって…。それに対する利益の処分をどうするかと言われると、これはむしろプログラム認定や評価などにかなり大きなお金が必要になってくるので、それと兼ね合わせて、というニュアンスを持っている。
前野 岡田先生が開発されて、それを学会で買うという手もあると思う。
山田 なるほど。買うにしろ、これから開発するにしろ、これから肉付けするにしろ、あるいは学会の中で日本型のFDに対していろんな意見がある人もあるだろし、一緒に肉付けしていきたいという気持ちを持った人もいるだろう。それは常に国民の医療ニーズというか、どういう医師を育てるかということに裏打ちされていないといけないと思う。大学などいろんな立場の人がいるので、学会としてまとめようとすると、コアにするにしろ肉付けしていかなければいけないと思う。その時に、先生を最初の開発者として評価することに対して当然考えなければいけない部分はあると思う。
WGの数を増やすなどの予定はないか?
山田 WGをやりたいという意志があれば、ぜひ作っていただきたい。
女性家庭医のグループや家庭医の家庭は、こういう会合ごとにセッションやワークショップを行っているので、それをWGか、できれば学会への●ということでプロダクトが出てくるような、報告書や研究が出るふうにできるだけ人をたくさん巻き込む方向で。
山田 ぜひ女性家庭医のことに関係して、家庭医としての女性の役割といったようなことはお願いしたいと思うが、誰かやってくれる人はいないか?
(西村先生。高屋敷先生。ハヤミ先生など候補が挙がる)
それに関しては「がんばれ!女性医師・医学生」が日本家庭医療学会・編で出ましたよね。あのコアメンバーを中心にして参加者100人くらいのメーリングリストがある。
山田 WGの提案をメーリングリストで流して、次の理事会に出てきてもらいたい。
山下 WGを作るプロセスを明確化して明示おけばよいのではないか?
山田 会報およびホームページ上で公募する。

6. 若手家庭医部会《若手家庭医部会セミナー》
(1)「臨床研究初学者のための勉強会」:山本先生、前野先生、岡田先生の御協力のもと若手家庭医部会で企画中の臨床研究ワークショップについて
山下 「臨床研究初学者のための勉強会」については、研究委員会の先生方のほうで、ちょうどうちのメンバーと先生方のご協力があって、これについては進めてゆきたいと思う。
他の報告としては、家庭医療後期研修の調査に関しては、すでに報告したとおり。もう一つは、2月にワークショップができないかというところで、今少し考えている。武田先生方がされているワークショップは「すぐ使える知識」というのが多いが、先ほどのFDと少し関わったりするかと思うが、今後指導医になっていくにあたって、家庭医でよく使う技能、患者中心の技能であったりとか、趣向を変えたワークショップで、小さな規模で最初にトライアルで始めていきたい。希望としては、四季一つずつ家庭医療学会の何かイベントがあって、僕らも貢献できないかということです。
(2)若手家庭医部会WEBの立ち上げについて。今後のWEBの管理方法など
山下 若手家庭医部会ができたという告知をWEBでさせていただいたが、学生・研修医部会のような形でWEBを設立させていただければ、というのが一つ。今後のWEBの管理方法だが、告知ということだけのホームページであれば、さほど費用もかからないと思うし、今までの一環でいいかと思うが、僕らとしてはホームページをもう少し発展的に使えないかという案がありますので、そういう形も含めて、WEBを作るとなるとお金が発生するので、その部分についての費用のサポートをご承認いただければと思っている。
例えば、アイデアが出ているのは、パワーポイントのスライドなんかで非常にいいものをシェアできるような、これはSTFMがやっているものだが、デジタルライブラリーみたいなものを企画している。これはサーバーを大きくしないといけないとか幾つかの問題があるので、具体的なものが出たときに事業という形になるかも知れないので事前に報告していただきたいと思う。
山田 WEB管理については、事務局のあゆみコーポレーションにて、割かしリーズナブルな価格で、あの程度のWEB管理だったらできるということだが。そういった程度で若手家庭医部会のことも含んでやってもらうということであれば問題ない。ただ、多機能だとかストリーミングだとかいうと、サーバーの問題もあるので、そのときはもう一回検討し直さないといけないことになる。
山下 WEBのセクションを作っていただくということでよろしいでしょうか。
  (承認)


7. 学生・研修医部会
前川 11月12、13日に秋のワークショップを開催されるということですが、今まで学会に合わせてスタッフ会議をやってきたので、実際に面と向かって話す機会が1年に1回しかないので、そのワークショップをやる時にスタッフ会議の部屋を貸していただきたい。また、ワークショップのほうにも、学生スタッフが参加できるような配慮をいただきたい。
(スタッフ会議の部屋についての調整)


8. 第21回(2006年)学術集会について
◇ 基調講演候補者について
大園 会期 平成18年5月13・14日(土・日)、会場 名古屋国際会館
プライマリケア学会、総合診療医学会の臨床研究インタレストグループと同時開催
テーマは、「地域ニーズに対応した家庭医療の展開」
実際どのくらい対応して家庭医療が展開されているかということで、すでに後期研修プログラムなど、先生方のご努力で立派なプログラムや家庭医ができてくると思うが、実際に地域の場で家庭医がどのように活躍していくか、そういったことを、今現在活躍されておられる各施設や先生方のロールモデルなどを含めて、また地域ニーズに対応したということを国民とかみなさんに知ってもらう方策として、テーマを挙げさせていただいた。
内容については、基調講演を「地域ニーズに対応した家庭医療の展開」とし、米国や違った地域での地域ニーズということで、候補者を選択中。ご提案があり、倫理委員会が立ち上がったということで稲葉先生に教育講演をしていただき、その後にシンポジウムを考えている。また、岡田先生のほうからは、米国ピッツバーグ大学の家庭医療学科のchairを教育講演に入れているが、そういった形ではどうかということでご推薦を受けている。渡航費や謝礼の問題もあるので、先生方のご議論をいただきたい。会長講演は地域ニーズの先導役みたいな話をさせていただこうと思っている。シンポジウムは、「各地域での家庭医療の展開」とか、「家庭医療における医療倫理」、また先ほどからお話に出ている家庭医のプログラムを終わって育てるという非常に重要な部分と指導の先生方、実際は家庭医が養成されるためには、現在の運営委員の先生方の指導をもとに出来てくるわけなので、学生、若き研修医だけではなく、私たちも含めてどういう形で実際に指導医を養成されているかということ、それを養成する方策ということで「家庭医療指導医養成の方策」とした。他にもワークショップなどいくつか考えているが、皆さんの意見をお伺いしながら公募したりして形作っていきたいと思っている。特に若手家庭医部会もできたので、後期研修などに関連したワークショップを作っていただければと思っている。また、プライマリケア学会との共催をできるだけ活かし、いろんなことが見れていろいろ勉強できて帰れれば、ということで、ランチョンセミナー、ワークショップ、懇親会は共同開催だが、他に自由に行き来できるようなものが出来ないか、という形で進めている。学会参加費については、ご相談ですが、2回前が6,000円だったが、プライマリケア学会と一緒にするということで、前登録として8,000円、当日10,000円、研修医の方は前登録・当日関係なく8,000円、学生2,000円とした。あと、学会賞の話が出たので、学会賞を宣伝しながら作っていきたいと思っている。
前野 懇親会の共同開催だが、プライマリケア学会の懇親会は、すごく豪華である。参加費も高いので、若手は行きにくい。
津田 懇親会は検討中だが、懇親を深めるということを第一に考えて、リーズナブルな額を設定する方向で検討中。
両学会に入っている人は、どっちから登録するかという問題がある。
津田 確かに両学会に入っている人は多い。参加登録を一緒にしてよければ、そうする。ただ、今度はジェイコムというところに大会事務局を頼んでいるが、皆さんの了承を得て会員の名簿をもらって、ダブリを全部チェックして、コンベンションから抄録などの発送をやっていただく。今回、私が目論んでいるのは、3学会が合同でコンベンションのサービスに頼めば、それぞれの学会から会長が一人立てば、全部が動くというしくみを作ることである。
登録を分けるメリットはあるのか。
山田 収入、支出の案分というか。例えば家庭医療学会としてはこの人を呼びたいとか、この人のために出資したいという場合、その案分の根拠になる資料があるとわかりやすい。
料金は違うのか。
同じである。
(参加登録の受付方法や費用の案分についての議論)
山田 今回のように大会長をお願いして、家庭医療学会としての特色を出したいとか、この人を呼びたいとかいった時に、どういうふうに調整していくのか。
津田 そんなルールを作らないで、自由にやったらいいのではないか。
山田 相互に調整しないと不満が出る可能性がある。
前野 赤字が出る前に決めておいたほうがいい。
黒字が出たときも同じか。
山田 そうですね。ある程度責任の所在をはっきりさせておいたほうがいいのではないか。
津田 計算上、難しい部分がある。最終的に赤字や黒字が出たときは、会員数に応じた案分をするとか。
会員数ですか?当日参加者数ですか?参加者が両学会に入っている場合でも、ダブルカウントすれば参加者数が出ますよね。そういうところを決めておかなければいけないと思う。
内山 今回は津田先生なのでうまくいくと思うが、別の大会長になると、かなり考え方のギャップが出てくると思う。とりあえず今回はルールをつくらないでやってみて、それ以降のルールを作るというのでもいいかと思う。
津田 今回は、そういったルール作りを念頭に置きながら事を進めていくと。
山田 そこは、大会長が関係する部分と、理事会が関与していかなければいけない部分がある。共同開催についても、両学会で事務局を含めて詰めていかなければいけない部分があると思う。今の教育講演の講師等々についても、どういうふうに費用を見込んでできるかということを両学会に説明してやっていくのか、それとも家庭医療学会としてこれでやっていくということをご提案したほうがいいのか。
教育講演2のDr Jeanette South Paul氏は、来るついでがあるのか?
来日される時に、時期を合わせてお願いしている。
津田 今まで、何でもいいから来てもらって話を聞こうという時代だったが、ある程度テーマを決めて展開していく時に、この人が来たからということではなく、この人がどういう話が出来るのかということが重要だと思う。
それに関連して、(資料では、教育講演2の部分に)シンポジウム3に対応と書かれていますが、僕が意図していたのは、Dr Jeanette South Paul氏は、かなりリーダーシップをかなり発揮されている方で、いわゆる女性として初めて大学のデパートメント・チェアになった人であったり、去年のSTFMのプレジデントもされていて、他学会との調整などをやったりなど、学会としてのリーダーシップをどうとるかというところに関連するのではないかと思い、そこの部分の話をしてもらうといいかというイメージを持っていた。
山田 基調講演の海外講師も選択中。
大園 どのように家庭医療を展開しているかということで、ベルギーとかオランダとか、オーストラリアの方とかから候補を選択というか交渉中である。旅費の問題など考えていかないといけない部分もある。
津田 それぞれの学会が海外の講師を1人呼ぶということで予算立てしている。
一般演題は、どういった形を?
大園 学会賞ができるので、ポスターだけでなく、できれば講演も取り入れていきたいと思っている。
学会賞候補演題とは別に講演のセッションも立てるということでいいのか?
大園 学会賞の応募という形になったので、それ以外にも講演にできれば入れたい。

(一般演題セッションの時間帯についての話し合い)


―録音時間終了―

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