精神看護学 御挨拶

 みなさまこんにちは。東京大学医学系研究科健康科学・看護学専攻精神看護学分野の准教授の宮本です。

 精神看護学は、こころの健康(メンタルヘルス)に取り組む領域であり、医学、心理学だけでなく、社会学や哲学などとも関わる学際的な領域であると言え、当教室員の取り組んでいる研究や実践も多岐に渡ります。現在精神看護学分野で取り組んでいる研究や実践は、「精神健康に困難を有する人のリカバリー」、「精神疾患と社会」、「職場のメンタルヘルス」、「看護とケアの質の向上」の4つに分けることができます。

「精神健康に困難を有する人のリカバリー」

 ここでいうリカバリーとは、疾患や症状がなくなることや、機能が戻ることのみを指すのではなく、自分の送りたい人生、ありたい姿へと近づく過程を指しています。私たちは、精神的困難を抱えている人が、自分にとっての良い状態へと近づいていくために助けとなること、たとえば、精神的困難を有する人が自分の健康を自分で把握し自己管理するプログラムや、自分のありたい状態へと近づいていく場やコミュニケーションの方法についての研究を行っています。

「精神疾患と社会」

 精神疾患と呼ばれているものは、文化や社会の中で定義されるものです。また、環境や他者との関わりの中で困難や不調和が強まったり弱まったりするという側面があります。このため、社会の中で、精神疾患はどのように扱われているか、精神疾患はどれくらい発生し、どのような対応がなされているか、それらは社会(あるいは文化や環境)によって違いがあるのか等について研究を行っています。

「職場のメンタルヘルス」

 働く人たちの心や健康問題に着目し、働いている方達にとって働きやすい職場、より活き活きと働ける環境を研究し、その知識や技術を発信しています。

「看護とケアの質の向上」

 精神科医療や、認知症を有する方に対するケアは、より質の高いケアへ、患者・利用者やそのご家族にとっても、ケア提供者にとっても心地よいものへ変化させていこうという取り組みがなされています。たとえば、精神科患者と医療者がもっと異なる関係へと変化することで、精神科医療で実施されることのある行動制限(隔離・身体拘束)が減るのではないか、というような研究にも取り組んでいます。


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2016年05月06日更新