川上憲人教授からのご挨拶


はじめに

 半年間の兼務期間を終えて、2006年4月1日に岡山大学から正式に着任しました。「精神保健がやりたい!」と言って東京大学大学院医学系研究科博士課程の大学院生(指導教官 小泉 明教授)となってから25年。当時から、故逸見武光教授をはじめ精神衛生学教室の教員、院生、卒業生の皆様には、大変にお世話になりました。その教室に着任させていただくことを感慨深く感じています。同時に精神看護学分野の教授も兼担しております。どうぞよろしくお願いいたします。

現在の関心

 現在の私の主要な研究テーマは、大きく分けると2つあります。

 1つは、精神保健疫学です。精神保健の疫学は、地域や職場、あるいは患者集団において精神障害の頻度や関連要因、受診行動を解明する研究領域であり、精神障害の診断分類を改善するために、精神障害の第一次、第二次、第三次予防の方法を確立するために、精神保健福祉の政策立案のために、とても重要です。私自身も、世界精神保健調査(World Mental Health, WMH)の日本調査(WMHJ)をはじめ、地域住民を対象とした構造化面接による研究を行ってきました。本分野では、国立精神・神経センター精神保健研究所と協力しながら、精神保健疫学の研究拠点を東京大学に形成し、この分野の専門家を育ててみたいと思います。

 もう1つの関心領域は、職場のメンタルヘルスです。雇用形態や仕事の内容が急速に変化する中で、働く人たちのストレスや心の健康問題が増加しています。これらの問題を扱う「職場のメンタルヘルス」は、働くことと心の健康双方についての十分な知識、予防およびケースマネジメントの技術、関連する制度と法規の理解が複合的に必要とされる領域であり、今日、高い水準の知識と実践技術を持った専門家が求められています。東京大学では、引き続き事業場向けの情報提供を行うとともに、わが国における職場のメンタルヘルスの研究と実践のリーダーとなる高度職業人の育成を手がけてみたいと考えています。

 特にこれからの精神保健では、予防(第一次、第二次、第三次予防)に力点を置き、心理学・行動科学など関連する学術を積極的に応用し、研究と実践をつなぐことが大切と考えています。精神看護学についても、こうした立場から貢献できればと思います。

これからの精神保健学・精神看護学分野

 「こころの時代」と呼ばれる21世紀初頭の現在、さまざまな心の健康問題が解決を待っています。すでに述べた以外にも、慢性精神障害を持つ方の社会復帰・ノーマライゼーション、地域のうつ病・自殺予防対策、子供や思春期あるいは高齢者の心の健康問題などがあります。こうした社会的要請の強い精神保健上の課題に対しても取り組んでゆきたいと考えています。

 精神保健は、さまざまな国々のよき友人、よきライバル達と、国際的なネットワークの中で研究や実践を進める時代に入っています。当分野の大学院生もワンクラス上の研究と実践を目指して努力しています。東京大学精神保健学・精神看護学分野がアジアおよび欧米を含めた国際社会の中で、役割を持ち、世界の人々の心の健康と幸福とに貢献できるために、一緒に世界を目指してくれる仲間を求めております。

川上教授の連絡先

メールアドレス: (画像ファイルとなっておりますのでご注意ください)

住所:〒113-0033
東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科
健康科学・看護学専攻精神保健・看護学分野
(東京大学医学部3号館3F S306号室)
電話:03-5841-3521
FAX:03-5841-3392

川上教授の略歴

所属学会

委員会委員など

川上教授の最近の公表論文