ごあいさつ
当番世話人李 雅弘(太田市医師会長)
この度、第25回群馬県救急医療懇談会を太田市において開催する運びとなりました。あの未曾有の大災害 東日本大震災が6年前に、22年前に阪神淡路大震災が、昨年には熊本地震が発生し、改めて自然災害の凄まじい破壊力を見せつけられました。太田市は6年前に関越自動車道と東北自動車道をつなぐ北関東道が完成し広域交通網の利便性が再認識されました。しかし、交通量の増加による負のリスクの増大も懸念されます。あの5年前に起った藤岡市での関越道バス事故は救急体制自体に反省すべき多くの問題点が惹起されました。私達は大震災や不測の大事故等に対して考えうる訓練を十分に行っていますが、実際に発生した場合の対応策についての検討を行なっても、そこに限界があります。しかしながらいかなる状況であっても、救急医療現場における医療機関、消防署、行政機関等との幅広い連携体制の構築が必要不可欠であることを再確認し、本懇談会を活用し、群馬県の救急災害医療体制のさらなる発展へのきっかけになる事を望み、市民への啓蒙を高めていただきたいと思います。結びに、随筆家で物理学博士であった高名な寺田寅彦先生の言葉を述べたいと思います。
「天災は忘れた頃に来る」
まだ多くの大災害によって避難生活を送っている人達がいることを銘記しましょう。
当番世話人佐藤吉壮(太田記念病院院長)
この度、第25回群馬県救急医療懇談会を太田市社会教育総合センターで開催する運びとなりました。第12回群馬県救急医療懇談会を有坂實太田市医師会長、難波貞夫富士重工業健康保険組合総合太田病院病院長が当番世話人として開催させていただいてから13年が経過しております。救急医療は目覚ましい進歩をとげておりますが、平成7年の阪神淡路大震災、平成16年の新潟県中越地震、平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震と震度7を超える地震が周期的に発生しており、救急災害医療は今後も重要な位置を占めると考えられます。
またSUBARU健康保険組合太田記念病院は、平成24年6月の新築移転後本格的に三次救急を担う救命救急センターとして救急科が活動を開始しておりますが、一方で救急搬送された患者さんが急性期を過ぎた後に、連携して受け入れる病院・施設の整備・体制は十分に整っているとは言えません。行政を交えた地域の皆様との連携が重要と考えております。
本懇談会は、群馬県内の救急災害医療および日常で行なわれている救急医療の更なるレベルアップに貢献してきており、今後も自然災害や大事故等に対応するための連携体制構築、資質向上のため救急医療懇談会を活用していただければと思います。
職種を超えて参加される皆様の活発な討論を期待しております。
実行委員長秋枝 一基(太田記念病院救急科主任部長)
この度、第25回群馬県救急医療懇談会を太田市で開催させて頂くことになりました。救急医療と災害医療は、医療計画のなかでも推進事業に含まれる重要なカテゴリーであり、来年度改定される第7次医療計画でも重要な位置づけになることは言うまでもありません。
全国的には、平成26年度を境に救急搬送人員の過半数を高齢者が占めるようになり、群馬県も同様に高齢者の救急搬送は増加の一途を辿っています。地域連携や地域包括ケアシステムの構築など多くの課題があり、更なる高齢化社会に向けて改革が必要な時期になっています。
災害についてはどうでしょうか? 群馬県は災害が少ない地域と言われ、私が6年前に群馬県に赴任したときも、「群馬は災害がすくないから」と皆口を揃えて言っていました。しかし、関越道バス事故や、軽井沢スキーバス転落事故、近県の鬼怒川決壊など、局地的ではありますが、災害は起こり、多くの被災者が発生しました。群馬県にも幾つかの活断層があり、昨年の熊本地震のように、いつ広域災害が発生するかわかりません。
救急医療も災害医療も、病院だけで成立することはなく、関係する全ての機関が日常から連携を維持することが重要と考えます。
群馬県の救急医療や災害医療について、参加される全ての皆さまに活発な討論をして頂けますと幸甚です。