1次検診での患者さまのPSAが4.1ng/ml以上の場合、直ぐに前立腺生検により確定診断が行われることもありますが、先ずは直腸診やPSA再検などによるスクリーニング検査を進めることもあります。この場合、がんの疑いがさらに強まったケースでは生検が行われます。病理検査によりがんと診断された場合には、画像診断検査によりがんの進行度(広がり)、すなわち病期が決定されます。
肛門から5cmくらいまで示指を挿入し、前立腺の表面を直腸ごしに触って状態を見る検査です。患者さまは診察台に寝た状態(横向き、仰向けなど)で行われます。前立腺がごつごつして石様に硬いとがんの疑いが高くなります。
この超音波検査では、肛門から棒状の超音波探子(プローブ)を直腸に挿入し、前立腺の内部を画像で観察します。がんがある場合、黒い影(低エコー病巣)として描出されます。また前立腺の被膜が鮮明でない場合や前立腺の形態が左右対称でない場合などにもがんが疑われます。
PSA検査、直腸診、超音波検査の結果、がんの疑いがあれば行う検査です。最終的にがんが有るかどうかの診断のほかに、がんであればそのがんの悪性度を調べることができます。実際の手順は、前立腺を経直腸的エコーで観察しながら、18G生検針とバイオプシーガンという自動生検装置を用いて、通常8ヶ所に針を穿刺して前立腺組織を採取します。これを病理検査に提出してがんの有無を顕微鏡的に診断します。痛みはほとんどなく日帰りでも出来ますが、合併症として血尿や直腸からの出血や、ときおり38〜40℃におよぶ高熱がみられることもあり、とくに遠方からの患者さまには1泊2日の入院をすすめています。
CTは、高速に回転するレントゲン装置の中に入って体の断面像を撮影する検査で、骨盤内リンパ節や肺、肝臓などへの臓器への転移の有無を調べるために行います。MRIは、強力な磁場を利用した断層装置で、特に前立腺内でのがんの局在や周辺臓器への浸潤の有無を診断します。
骨シンチグラムは、弱い放射線を発生するように作られた物質を注射し、これが転移のある骨に集積する様子を撮像するもので、骨への転移の有無を診断します。