災害医学・抄読会 110114

航空機事故

(齋藤大蔵ほか、山本保博ほか・監修 災害医学、東京、南山堂、2009、p.136-142)

 航空機事故は大量の死傷者を出すため、平時からの訓練、備え、航空機の安全性確保など予防が最も重要である。

航空機の誕生と事故防止

 太古より、空を飛びたいという願望は様々な人物により試みられてきた。1783年フランス人医師ピレートル・ド・ロジェの気球により始めて人類は宙に浮くことができた。その後飛行船へと発展し、1903年ライト兄弟が航空機飛行に成功した。それから1世紀経過した今日、航空機は目覚しい進歩を遂げ人々の移動手段としても普及した。航空機の歴史は航空機事故の歴史でもある。当初航空機事故は機械的な原因が主であったが、現在は80%が人為的原因であるとされている。1939年アメリカ空軍材料局航空医学研究所は航空機の事故防止のための4原則を提唱した。すなわち「1)操縦員は全て航空法規を守ること、2)飛行中においては自己の最上の判断に従い、他人の思惑を考慮して不必要な危険を冒したりしないこと、3)精神的にあるいは肉体的に能力が極度に低下しているときは飛行を行わないこと、4)飛行を行う際には自己の能力を過信しないこと」である。これは現在でも重要な基本原則となっている。

航空機事故の動向

 航空事故原因は1960年代まで現在ほど技術が発達していなかったため、パイロットの操縦技術に依存していた。1960〜1980年代には航空需要が増加し航空安全は社会的関心をもたれるようになった。航空機の自動化などの技術革新により事故件数は減少傾向を示したが、一方で航空機の大型化、航空機需要増大により事故犠牲者数は増加する結果となった。国土交通省交通白書によると現在は大型機の航空事故は乱気流によるものが年2,3件発生し、小型機事故が大半を占めている。

航空安全対策

 1985年の日本航空123便御巣鷹山墜落事故は国民・航空会社に強い衝撃を与え、航空安全への厳しい追求がなされるようになった。以来航空会社による乗客死亡事故は発生していないが、2005年以降ヒューマンエラー、機材不具合に対するトラブルが目立つ傾向にあり、安全面への信頼回復が重要な課題となっている。

 航空事故防止のため第8次航空安全基本計画では航空交通環境整備、航空機の安全運行・安全性確保、救助救急活動充実、被害者支援が挙げられている。

救護活動と体制について

 航空機事故は外力が大きく被災者の死亡率が高く、生存者がいる場合は重症の可能性が高いので初動救護活動が極めて重要である。空港内事故の例から、自衛隊、消防、通信、補給、医療など異なる組織が連携して航空災害救護態勢をつくり、即応対応できるよう訓練しておく必要がある。航空機事故は離発着時に多いこと、また山や海などの事故現場と違い、空港内、空港周囲での事故はある程度予見できるため、前もって事故対策要領などを作成し備えることが大切である。通常地元医師会が空港・空港周囲事故の救護対策を指導し、医療活動に対する協定が締結される必要がある。この一例として山本ら(防衛衛生43,1996)は航空自衛隊美保基地の空港内事故対処要領を公表しており、緊急事態発生後の救援活動、応急医療処置、周辺機関との連携等が一連の流れにより速やかに行われるよう考慮されている(図1)。これらを参考とし、安全対策の救護体制をより最適化していく努力を航空機の進歩とともに行わなければならない。

図1(略)


DMAT本部機能

(森野一真、石原晋ほか・監修 プレホスピタルMOOK 9 DMAT、東京、永井書店、2009、51-56)

 DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)は医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職、事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。

 DMATは厚生労働省が養成し、所属する都道府県に属するが、被災都道府県からの応援要請を受けた都道府県知事により他都道府県へ派遣されることもある。震災などの災害時には少なくとも数十のDMATが被災地区内の災害拠点病院に参集する。参集したDMATがその活動目的を達成するためにはDMATの指揮、運用、連携・調整、後方支援という機能の実現、活動戦略と装備が不可欠となる。

 災害時にDMATの組織化を担う中心はDMAT事務局(国立病院機構災害医療センター内)やDMAT現地本部(通常、1つの災害拠点病院に設置)である。

 DMAT現地本部などにおいてDMATの指揮、運用、連携・調整、後方支援を担う機能体をDMAT本部と呼ぶ。責任者を本部長、構成員は本部員と呼ぶ。

 DMATは災害時に救急医療を提供するチームであるが、DMAT本部員は直接医療を提供しない。参集したDMAT全体が適切な医療を被災地に提供できるような条件を整える業務に専念できるような役割分担が求められる。

 DMAT本部を構成する隊員は統括DMAT登録者(都道府県から推薦を受け、統括DMAT登録者養成研修を受講後、厚生労働省の認定を受けた者)であることが原則だが、実際には先着隊がDMAT本部の機能を担う状況になる場合も想定される。統括DMAT登録者養成研修は定員50名の研修会として平成20年3月に開始され、同年12月現在、約200名が認定を受けている。


 災害発生時、被災地内においてDMATの指揮が求められる局面として

  1. DMAT現地本部(原則として参集拠点である災害拠点病院に設置)
  2. SCU(広域搬送医療拠点)DMAT本部
  3. 被災地内病院
  4. DMAT現場指揮所(仮称)
などがある。またリエゾンとしてDMATの活動調整、後方支援が求められる局面は以下が想定される。
  1. 都道府県災害対策本部(医療本部、緊急消防援助隊活動調整本部)
  2. 現地(市町村)災害対策(医療)本部
  3. 被災地内病院本部
  4. (県内応援もしくは緊急援助隊支援本部)消防本部
  5. 現場調整所(なければ消防の現地指揮所)

 また被災地外においてDMATの指揮、運用、活動調整、後方支援が求められる局面は以下が想定される。

  1. 被災地外参集・受け入れ拠点
  2. 厚生労働省
  3. DMAT事務局
  4. 厚生労働省調査ヘリ


 上記に列挙した各局面にはDMATの指揮、運用、調整、支援に関する共通項目があるものの、各々局面に特異的な項目がある。

 DMAT現地本部においては院内の安全確認やライフラインの確認、院内の他医療救護組織との調整、二次医療圏内の医療機関の把握・評価、院外へのDMAT派遣がある。SCU本部においてはSCUの設置・安全確認、空港・自衛隊・消防・警察など関係機関との連携、搬送先拠点・搬送方法の調整などの項目がある。災害現地調整所では救護所の設置や重症度別エリア・搬送エリア・車両搬入搬出路の確認、トリアージタグ回収などに関する消防との調整が必要である。都道府県災害対策本部においては厚生労働省・保健所・医師会との連絡調整、ライフライン・道路情報・DMATの安全確保などに関する情報収集とEMIS(広域災害救急医療情報システム)などを利用した情報発信などがある。


 DMAT本部活動の流れを以下に示す。DMAT本部が担う指揮、運用、調整、支援に関する個々の内容は上述の如く多岐にわたり、かつ災害ごとに流動的に変化するため指揮の在り方の基本骨格を定めた。

  1. 現地DMAT本部決定

  2. 統括DMAT本部立ち上げ
     基本骨格=HeLP-SCREAM:“He”llo(カウンターパートへの挨拶)、”L”ocation(本部の場所の確保)、“P”art(初期本部人員の役割分担)、”S”afety(安全確認)、“C”ommunication(連絡手段の確保)、“R”eport(上位本部への立ち上げの連絡)、”E”quipment(本部機材の確保)、“A”ssessment(アセスメント)、”M”ETHANE(状況の評価と情報発信)

  3. 統括DMAT活動開始
     基本骨格=HeLP-DMAT:“He”llo(DMATの登録)、”L”iaison(他機関現地本部との連携)、“P”lan(作戦イメージの共有)、“D”irection(DMATへの指揮系統の指示、役割の付与)、“M”ETHANE(被災状況の把握)、”A”llocation(ニーズに応じて資源を再配分)、“T”ransceiver(各部署との連絡体制の確立)

  4. 活動中
     基本骨格=REMEMBER:“R”eport regularly(定期的に報告をする・させる)、”E”quipment(資器材に不足はないか)、“M”edical needs(医療需要はどうなっているか)、“E”ffect and Exchange(救援効果判定と適切な交代)、“M”ember and Meeting(参集DMATと会議)、”B”alance(各拠点におけるDMATのバランス)、“E”nding(活動終了に向けたThank you)、”R”etreat(Retire)(撤収)

  5. 撤収
     基本骨格=THANK you:“T”imely(適切な時期に)、”H”and over(引き継ぎを)、”A”ppoint(選任してもらう(都道府県))、“N”umber(必要な人数(医療班))、”K”ind of medical needs(医療ニーズを伝え)、“you”(あなたにお願い、そしてDMAT受け入れありがとう)

 災害時の複雑多岐にわたるDMATの指揮、調整、支援のためには、平時からDMATならびに地域の災害医療にかかわる必要がある。すなわち統括DMAT登録者に求められる役割として以下のようなものがある。

  1. 日本DMAT隊員養成
  2. 地方におけるDMAT隊員の指導、教育
  3. 災害医療体制の計画・準備
  4. 各種訓練の企画
  5. その他


化学・生物剤テロへの対処 除染

 除染とは、被害原因となった危険物(ハザード)を除去することである。化学・生物テロ事態発生時の災害現場および病院前における除染は、被害拡大防止ならびに被災者のメンタルケアのために非常に重要な機能である。

除染の分類

a.Gross Decontamination(応急除染)

 目で見て明らかな汚染を除去すること。

b.Dry Decontamination(乾的除染)

 水を使用しない除染で、脱衣、舌圧子やアイスキャンディのヘラ様の物で化学剤を取り除くこと。

c.Wet Decontamination(水的除染)

 脱衣の上、水を使って汚染を洗い流すもの。原因物質の性状が不明な場合(液体、スプラッシュ、蒸気)には、この除染を行う。

人への除染

a.除染所の位置

 現場の風上・高所に位置し、平坦で、一般市民・メディアの影響を受けることがなく、除染で生じる汚水を管理できる場所を選定する。

b.除染所の構成

  1. トリアージ

     除染所の前に一次トリアージポストを設け、被災者の全身状態・汚染の有無などによりトリアージを行い、効率的に除染・救護を行う。

  2. 除染ライン

     『歩行可能、男性用』、『歩行可能、女性用』、『歩行不能、被災者用』の三列で基本的に行う。

  3. 汚水処理

     地形を利用したり創意工夫により、可能な限り汚水を全量回収する。既存の側溝や簡易水槽などの利用、危険物回収セットの活用などが考えられる。

c.除染所の運営要領(歩行可能被災者用)

 人口に複数の説明人員を配置し、被災者に対し『脱衣により汚染の80-90%は除去可能』であるなど、懇切丁寧に脱衣要領・効果を説明する。

d. 除染所の運営要領(歩行不能被災者用)

 歩行可能な被災者の除染に比べ、多くの時間と支援が必要になる。この除染所では医療処置と除染が並行して実施されるため、除染所の運営は医療従事者による応急処置が必須である。

地域の除染

a.屋内の汚染要領(地下鉄など)

 基本的には、大量の携帯除染器を使用して除染する。可能であれば、除染車(除染装置)などのホースを延長し、屋内にスプレーガンを持ち込み除染する。

b.屋外の除染

 汚染区域が広範囲で複雑な構造物(住宅地、ビルなど)が汚染された場合は、平坦な地域は除染車による除染、狭いあるいは複雑な場所は携帯除染器による除染など、複数の手段を併用する。

汚染時の通信体制

 災害時に通信体制を確立することは重要であり、特に除染時には通常除染に使われる防護衣で音声が通りにくく、通常の会話は困難である。そのため、小さなホワイトボードにペンで意思疎通を図るなどして、十二分に除染従事者間の意思疎通を図る必要がある。

病院前除染

 医療機関内に汚染を持ち込まないことが肝要である。まず病院周囲を含め汚染区域と非汚染区域とに分ける。次に医療スタッフは、除染エリアの外と内に分かれ、汚染チーム、非汚染チーム、被災者受け渡しチームに分かれる。そして救助者や器具、ストレッチャー、その他の物品が汚染区域から非汚染区域へ移動することを避け、汚染区域が明瞭に区分けされていることを常に確認する。また汚染区域内では、適切な防護衣を着用することも大切である。

生物剤の除染に関する特記事項

a.人の除染

 生物剤に汚染された服はただちに脱衣させ、衣服に霧状の水をかけて生物剤を衣服に固着させる。炭疽エアロゾル暴露時には、目・口腔内洗浄も念入りに実施しなければならない。それ以外は、化学テロ対処時の除染要領に準じる。

b.地域の除染

 炭疽菌で汚染された地域・施設の除染には、検査機関で使用されている芽胞に効果のある消毒薬(ホルマリンなど)を使用するか、0.5%次亜塩素酸塩ナトリウム溶液を使用する。

世界保健機構による薫蒸要領

  1. 部屋をテープなどで完全に密封し、濃縮ホルマリンに水を加えて沸騰させ、室温を15度以上保ったまま一晩放置する。この際ドアまたは窓に『ホルマリン薫蒸中』と明示して警告する。

  2. 桴後、部屋の換気を十分実施する。

  3. 芽胞が完全に死滅したことを確認するために、指標となる芽胞の培養を行う。菌が増殖しなければ、滅菌が成功したといえる。

  4. ホルマリン桴は危険な作業であるので、専門の業者に相談する。

    *本邦では厚生労働省の見解はなく、基本的には専門の業者が実施する。


家族のケア

(宇都宮明美、丸川征四郎・編著 経験から学ぶ大規模災害医療、大阪、永井書店、2007、p.236-244)

 人の生活において「家族」とは最も身近にありながら、平時は最も無意識な存在である。しかし、その家族メンバーの誰かに何らかの変化が生じるとそれが良い事や悪いことに関係なく、他の家族メンバーに及ぼす影響は大きい。

 このため家族システム論では、家族を1つの有機体と見做して、家族集団内の相互作用に焦点を当て、大きなストレス下では家族をシステムとして捉えてケアしていく必要性がある。

1.家族が危機に陥りやすい要因

 家族が危機に陥りやすい要因として 1)出来事に対する予測や準備がないこと、2)家族メンバーの死が想起させられること、3)情報が十分に得られないことが挙げられる。 災害はある日突然やってくるものであり、なんの準備も予測もないまま被災する、または家族メンバーが被災することは家族にとって大きなストレスとなる。

 以上のことから、被災者家族は心理的危機状況に陥る可能性が非常に高く、支援を必要とする。

2.家族の心理状況

(1) 被災家族構成員への思い

 家族の誰かが生命の危機に陥っている場合、重症な傷を負った場合、残る家族は「なんとかしたい」という強い思いに駆られる。しかし、現実は見守るだけで何もできず、無力感を感じ、その後出来事に対する怒りや、自然災害の場合は自身が無傷であることへの罪悪感を感じる。

(2) 入り混じる期待と不安

 家族の最大で唯一の期待は、負傷家族の回復である。そのため、家族は負傷家族の状態の変化に一喜一憂し、最悪の状況を心配することで、激しく気持ちが揺れ動く。

(3) 医療者に従うしかないという気持ち

 負傷家族が重症で、高度な医療処置を必要とする場合、残る家族は無力感を感じる。また、医療の知識がない家族は圧倒され、近づき難くなり、医療者に期待し、従うしかないという気持ちに傾いてしまう。

(4) 自分を鼓舞する

 大きなストレスの中でも家族は様々な意志決定を迫られ、自分に課せられた役割と期待を感じ、心理的消耗が激しくなる。

3.家族の心理プロセスとそのケア

(1) 衝撃の段階

 家族は突然の出来事に驚き、パニックに陥り、無気力や思考停止状態となり、判断や計画ができなくなる。この段階の家族は心理的安全と、身体的安全も含めて静かで落ち着いた環境を与えることが望ましい。

(2) 防御的退行の段階

 パニックの段階を過ぎても、家族は現実を受け止めることができず、行き場のない怒りや無力感を感じる。このため、現実に対して否定的な言動を示したり、反対に願望や多幸的思考が強く現れたりする。これらの言動は防御的退行といわれ、なんとか自分を取り戻そうと心の安定を保とうとしている反応である。 この段階では無理に現実を直視させることはせず、支援的に関わることが重要である。

(3) 承認の段階

 現実と向き合う段階である。現実を受け止め、今までの家族のイメージや各々の家族成員の役割が変化することで、一種の喪失感を体験する。悲しみや苦しみ、不安を感じるが、一方で今までの価値観を変容させ、家族としての機能や役割を再調整していく。

 この段階では、家族の役割に変化を伴う場合、具体的に援助できることは指示する。

4.家族のニーズとケア

 被災患者の家族に効果的なケアを提供するためには、家族のニーズに注目する。救急現場では家族のニーズは概ね、保障・接近・情報・快適さ・支持の5つに分けられる。

(1) 保障

 これは患者に行われている治療や処置に対して安心感を得たいという家族のニーズである。看護者は、家族とコミュニケーションを密に取りながら、医療者が治療とケアに真摯に取り組んでいることを伝え、家族が最後まで希望を失わない姿勢を支える必要がある。

(2) 接近

 これは負傷家族に近づき、何かしてあげたいと思う家族のニーズである。家族は負傷家族のそばを離れ難く、また患者にとっても家族の支援は心強いものである。そのため、看護者は家族の面会のためのスペースを確保しなければならない。プライバシーの保護に努めるため、他人の目を気にすることなく面会できる環境調整が求められる。

(3) 情報

 これは負傷家族に関するあらゆることに関して情報を求める家族のニーズである。情報の少なさは、家族を一層不安にさせるため、情報提供は重要である。一方で、説明内容がどの程度理解出来ているか、キーパーソンは誰かなどの情報を得るため、家族とのコミュニケーションを積極的に取る。

(4) 快適さ

 これは家族自身が安楽・安寧・利便を求めるニーズである。家族の被災というストレスは、家族に身体的影響を及ぼす。しかし、長時間の待機など身体的にも無理をしなければならない状況におかれることも多い。この解決にはハード面の整備が必要となる。

(5) 支持

 これは医療者などに人的・社会的資源を求める家族のニーズである。突然の被災によって家族は、経済的、育児、介護、進学問題などが起こる。看護者は家族がこれらの問題を抱え込み、閉塞状態とならないよう、各種専門家との窓口・調整役となることが望まれる。

 もう一つは、自身の感情を表出し受け止めてもらいたいというニーズで、このニーズは意識的または無意識的にも存在する。看護者は家族と同じ空間で、同じ時を過ごし見守る姿勢を示すことが重要である。しかし、深刻な抑うつ症状が出現した場合には、専門家への紹介へと繋げることが望ましい。


 突然の大規模災害に被災した患者家族は、その衝撃の大きさのあまり様々な心理反応を示す。看護者は自身の家族観を押し付けることなく、個々の家族の状況を十分に理解し、あるがままの姿を受け止める姿勢が求められる。


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