災害直後における被災者へのケア、トリアージ(渡邊智恵、南裕子ほか・編:災害看護学習テキスト、日本看護協会出版会、東京、2007、p.60-65) |
治療の優先度を決定するうえで最も重要なことは、緊急度と重症度の判定により、速やかに適切な処置を行うことである。救急時においては、生命に直結し、1秒でも早く治療を必要とする緊急度が優先される。
START法
消防機関は、通常管轄区域における責任を果たすことが基本原則となっているが、大規模な災害や特殊な災害が発生した場合は、都道府県や市町村の域を超えて消防力の広域的な運用を図る必要がある。そのため消防機関は相互応援に関して協定を結ぶなどし、大規模な災害や特殊な災害に備えている。
2.広域防災応援体制
大規模災害発生時の対応については、関係機関があらかじめ協議し、応援要請の手続き、情報連絡体制、災害現場における指揮体制などについて具体的に定めておき、広域防災応援体制が迅速かつ的確に実施されるようにしなければならない。
3.緊急消防援助隊
緊急消防援助隊は、国内で発生した大地震などの大規模災害における消防活動が効果的に実施されるよう、全国の消防機関相互による応援体制を構築するため、平成7年6月に発足した。創設当初は総務省消防庁が設置した要綱により運用されていたが、近年では消防機関の緊急対応体制の更なる充実・強化を図るため、法律で明確に位置付けられた。また被災地からの要請による出動に加えて、大規模な災害で2つ以上の都道府県に及ぶものや、毒性生物の発散などによる特殊災害等に対処するため特別に必要がある場合は、消防庁長官の指示による出動も可能になった。
4.医療体制
大地震などの大規模災害の発生時には、外傷や熱傷の傷病者が同時に多数発生することが予想される。そのため厚生労働省の補助事業として災害医療センターの整備が進められている。
5.広域災害・救急情報システム
広域災害・救急情報システムは、従来から都道府県単位で運用されていた救急医療情報システムに加えて、医療機関、医療関係団体、医師会、消防機関、保健所、市町村などを結んだ情報ネットワークからなっている。
本システムは、平常時には医療機関から科目別の診察の可否、空床状況などの情報収集や、地域の医療機関、消防本部、住民等に対する情報提供を実施している。そして大規模災害発生時には災害運用となり、被災地内の各医療機関からの要請情報と被災地外の各医療機関からの支援提供情報などを収集するために運用されている。
6.広域医療搬送アクションプラン
大規模災害発生時は傷病者同時に多数発生し、医療機関においても被災する可能性が高いことから、被災地内の医療資源が不足されることが予想される。このような広域的かつ大規模な災害に対して迅速に対応することを目的にこのプランが定められた。具体的には、大規模災害発生時における、被災地内外の医療機関、航空機やヘリコプターに同乗する医師、ヘリポートや飛行場などの広域医療搬送に必要な施設確保の必要性などが示されている。
災害医療は、野外での医療活動を含むため、病院では起こりえない、あるいは想像を超えた阻害要因が存在する。その阻害要因と対策について述べる。
その対策としては、
対策としては、
その対策としては、
その対策として、
これに対する法的考え方を述べると、
緊急被ばく医療というと、原子力発電所の事故を想起することが多いであろうが、実際は原子力発電所というより密封線源を扱うマイナーな事故の方が圧倒的に数が多く、一般病院に患者が駆けこむケースが多いことが分かる。換言すれば、国を挙げての原子力発電所の原子力緊急事態の訓練は本当にまれな事象を想定して訓練しているのである。
〈シミュレーションの目的〉
放射線事故として、原子力発電所に起因する事故は非常にまれであるが、いったん事故が発生するとその被害の拡大は相当のものである。日常診療とはかけ離れた事象であるだけに、緊急被ばく医療に関してはシミュレーションを定期的に行っていく必要がある。
原子力緊急事態における流れは、国や地方行政、原子力事業所などが協力して事態の収拾に努める計画になっている。発生した患者は地元の初期被ばく医療機関から二次被ばく医療機関そして三次被ばく医療機関への救急医療の連携で搬送・治療していくことになる。
日本でもアメリカと同様な訓練が行われるようになった。緊急被ばく医療シミュレーションでは、サーベイメーターなどを使用した線量測定実習、汚染を伴う外傷患者の搬送・受け入れ・除染処置、内部汚染を伴う患者に対する被ばく線量測定、安定ヨウ素剤配布訓練などが主に行われている。
まず、外傷患者が発生した場合、通常の救急患者受け入れと同様、受け入れ前に情報を受けるが、放射線が関連してくると特に気をつけなければいけない点がいくつかある。それは
次に、放射線障害とは1〜2週間して起こってくるものであり、中枢神経障害をただちにきたすほどの高線量被ばくでない限りすぐその場で死亡するわけではない。つまり、外傷を伴う汚染患者がすぐ死ぬとすれば、むしろ外傷が原因であり、除染処置を優先するあまり、外傷が原因で死亡するなどということがあってはならない。
また、感染症の際と同様に全身をくるむが、線量測定装置をつけること、手袋は二枚着用し、二枚目の手袋だけを頻回に交換することが、緊急被ばく医療での特徴である。感染症と異なりサーベイメーターを使用することでどこに汚染があるのかリアルタイムにすぐわかる点で、感染症よりむしろ扱いは容易である。
最後に、われわれ救急医療を担う医療者は、基礎的知識さえ身につけて専門的放射線障害の程度は放射線管理要員にお願いして、通常の医療を行えばよいだけである。「むやみに放射線をこわがる」のではなく、「正しく放射線をこわがる・注意する」心構えさえあれば、シミュレーションを通じて自信を持って緊急被ばく医療にも立ち向かえるようになる。
自分自身のミッションの目的や役割を明確に。自分のストレス耐性を知る。
2.チーム全体として
チームの目的、役割の確認。チームの中で健康管理を行う人を決める。
3.海外へ送り出す組織として
救援者の勤務調整、残る側の勤務調整。
生命の危機を伴うような重大な出来事から
2)累積的ストレス
長時間の活動、自己嫌悪、罪悪感等
3)基礎的ストレス
共同生活や人間関係から
2.人間関係
3.周囲の状況
2.相互援助(バディ・システム)
3.ミーティングによるストレス処理
救助・救急体制
(横山雅巳、山本保博・監修 精神・中毒・災害、東京、荘道社、2007、p.224-228)
救助・救急体制について
考察
災害医療における救護活動の阻害要因と対策
(丸川征四郎、丸川征四郎・編著 経験から学ぶ大規模災害医療、大阪、永井書店、2007、p.323-329)
1.救護班
などが挙げられる。2.通信と情報
がある。
などが挙げられる。3.救護班スタッフの健康
が挙げられる。
などが挙げられる。4.野外での救護活動
が挙げられる。
などが考えられる。5.災害医療活動と法的考え方
となっている。もちろん、災害現場を想定しての定期的、組織的訓練や、教育、準備がされていることが前提である。緊急被ばく医療シミュレーション
(林 寛之、救急医学 31: 1543-1547, 2007)
はじめに
シミュレーション内容
などである。救援者へのこころのケア
(弘中陽子、災害人道医療支援会ほか・編:グローバル災害看護マニュアル、東京、真興交易医書出版、2007、p.76-82)
ストレス対策の目標
救援者が受けるストレス
ストレス症状の自己診断
ストレス反応を左右する要因
ストレスの処理法
II) 現場でのデフュージング
III) 活動終了後のデブリーフィング