災害対策基本法では、災害を「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう」と定義している。
※「政令で定める原因」:放射物質の大量放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没、その他の大規模な事故(旅客列車の衝突転覆、航空機の墜落など)が含まれる。
(1)地震の被害
地震が発生する場所を大別すると海底の深い場所で発生する海溝型の地震と、内陸で発生する直下型の地震の2つに分けることができる。
(2)津波災害
津波は、主に海底の断層が地震で上下方向に変位したときに発生する。発生した津波の速度は速く、時速740kmとジェット機なみの速さになることもある。
人的被害は、非難が遅れて流速の速い津波にのまれて犠牲になることがあるほか、破壊された家屋の木材の破片や船舶、車両が漂流するため、これらに巻き込まれて負傷する人が多発する。
(3)水害
近年、過去の観測記録を超えるような豪雨が頻発している。
2000/9/11 東海豪雨災害 観測史上最大の総雨量500mmを記録。18,000戸が被災。
2004/7/12 新潟・福島豪雨災害 一時間あたりの雨量が87mm。14,000戸が被災。16名が犠牲となった。
犠牲者のうち多くが70歳以上の高齢者であった。寝たきりや一人暮らしの高齢者、いわゆる災害時要援護者が逃げ遅れて犠牲となった。このことから、国は豪雨時などに災害要援護者を優先的に避難させる「避難準備情報」のシステムを2005年からスタートさせ、また、2007年には「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を公表した。
(4)土砂災害
土砂災害の種類には 1.土石流、2.地すべり、3.がけ崩れがある。現在これらの災害が発生する危険か所は全国に50万件以上あり、毎年1000件の土砂災害が発生、そのたびに多くの犠牲者が出ている。
(5)噴火災害
火山の噴火とは、火口から高温のマグマ物質や、その火山体を構成している岩石の破片や、火山ガスを放出する現象である。
B.人為的災害
(1)大型交通災害
列車災害や航空災害がある。
(2)特殊(NBC)災害
核災害、生物兵器災害、化学災害は、放射性物質、生物剤、化学剤に起因することから、頭文字をとってNBC(nuclear, biological, chemical )災害という。
1995/3 地下鉄サリン事件
1999/9 JOC臨界事故
2001/9 米国では同時多発テロ事件後に炭疽菌による事件が発生
トリアージに関しては、現場の活動状況、救出見込み時間、救急車の数、病院の受け入れ状況など、ゴールまで絵を描きつつ何が優先されるのかを考えて活動を行う必要がある。地域によっては、医師1名、看護師1名といった出勤形態もあり、その場合は看護師が上記の医師の役割を一部担うことになる。以下にドクターカーにおける看護師の役割を列挙した。
今回はハッサケ県立病院関係者と最終的には良くコンタクトがとれ、救急医療の現場、システム、手術現場を見ることができ、討論し、技術指導を行った。救急では心臓病関係の設備が不備で、特に心臓カテーテル検査の設備が必要である。また日本から寄贈の救急車も旧式となっており、救急車の寄贈は非常に意味のあるものである。
災害救急医療活動の準備 個人の準備
石川 清ほか、丸川征四郎・編著 経験から学ぶ大規模災害医療、大阪、永井書店、2007、p.19-30場面別トリア−ジの特徴と実際 ドクターカーの場合
丹野克俊、EMERGENCY CARE 2008年夏季増刊 34-39●ドクターカーとは
●ドクターカーの役割
・多数傷病者 ・閉じ込め事故
・救急搬送に長時間を要する地域で途中に容態変化が予想される場合●ドクターカーでの出動における現場活動の特徴
S:Safety(安全) 3S(自分の安全、現場の安全、生存者の安全)
C:Communication(情報伝達)
A:Assessment(評価)
T:Triage(トリアージ)
T:Treatment(応急処置・治療)
T:Transport(搬送)●ドクターカーにおけるトリアージ
●おわりに
シリア・アラブ共和国への救急医療体制支援
浅井康文ほか:日本集団災害医学会誌 13: 198-203, 2008はじめに
経緯
救急専門家チームの構成
ハッサケ県への移動
救急医療体制
救急車と救急機材の調査
難民支援
考察
おわりに