B. 給水系統のダメージ
C.通信機能のダメージ
給水系統
情報通信系統
また、耐震構造計画には一般的な「耐震構造」の他「制震構造」や「免震構造」の構造計画手法がある。免震構造では建物内部の医療器具が移動したり転倒しないレベルにまで耐震機能を上げることができ、実証もされている。この切り札とされる免震構造にもコストや増築時の問題が残されていることからそれぞれの施設ごとに必要とされている耐震性能やコストのバランスから選択する事が肝要である。
緊急消防援助隊は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、同年6月に「緊急消防援助要綱」により発足した。
その後、平成15年6月に消防組織法を改正し、緊急消防援助隊を法律上位置づけ、明確化するとともに消防長官の指示権を創設し、平成16年4月に法律に基づく部隊として新たに発足した。平成19年4月現在では、登録部隊3751隊、登録人員は約4万4000人となっている。
より大規模な災害や特殊な災害が発生し、都道府県規模で対応できない事態の場合、国の責任として、消防長官の「求め」または「指示」により、緊急消防援助隊が全国規模で災害発生市町村の消防を応援するために出動する。「指示」は、「求め」に比べ法的な拘束力が生じるため、被害が2以上の都道府県に及ぶことや「毒性の物質の発散」などにより、特別の必要があると認めるときといった具体的要件を例示している。
今回、緊急消防援助隊について学ぶことができ、大変良かったと思う。これからも、病院の中だけでなく、広く社会や地域の中での医療の果たすべき役割について考えていきたいと思う。
2005年4月25日に107名が死亡するJR福知山線脱線事故が発生した。この際に、関西労災病院では、preventable deathを防ぎえたという観点からは一定の評価がなされたが、災害マニュアル、災害対策本部、災害時の職員の対応などの内容や周知が不十分であったという初動体制に関わる重要な課題が残された。そのため、今後さらに充実した災害救急体制の構築のための方策について考察する。
災害マニュアルの周知徹底がなされていない点や、対策本部の設置基準が明文化されていない、搬入経路が一目で認識できるように図示されていないなどの問題点に対しては、まずマニュアルの改訂を暫定的に行い、災害訓練を行うことで、その内容の妥当性を評価することとした。また災害現場では判断を現場職員にゆだねる部分が多かったことから、リーダーとなる人の基本的行動を示したアクションカードを作成した。このような改訂されたマニュアルと新たに導入されたアクションカードをとともに以下の研修を行った。
トリアージや災害医学についての基礎知識についての院内講習、看護部門における災害救急看護の教育(経験年数により災害医学の基礎知識から入院患者の誘導の仕方など、講習内容を考慮する)、看護師や研修医に対する実技研修、院外研修や学会参加などの他施設における災害対策状況の見聞、そしてこれらの集大成として、多くの職種の参加した災害発生から初動体制を中心に、傷病者の受け入れ、トリアージ、治療、入院までを想定したフルスケールの災害訓練を行った。そして、訓練に参加した職員を対象にアンケートを行い、また訓練の様子をビデオで撮影することで、それらを検証し、問題点について検討した。
災害マニュアルについては災害医療センターのものを参考にしたが、加えて、短時間で自分がすべきことが把握できる簡易版マニュアルが必要との意見があった。基礎知識に関する研修については災害対応の全体像やトリアージに関して多くの職員の理解が深まった。災害看護に関する教育については、その必要性を多くの職員が感じていたが、中堅看護師や管理職を対象とした災害教育については行われていなかった。トリアージの実働訓練では改めてどのようなものか実感でき、その必要性を感じたとの声が聞かれている。院外研修と学会活動に関しては訓練のマンネリ化を避けるなど、災害対策を計画する上で、様々な工夫が必要であることが実感された。フルスケールでの災害訓練では看護師の参加は8割近かったものの職種間でばらつきがみられた。参加した職員のほとんどが訓練の必要を感じた、アクションカードを用意したことで各個人の動きが円滑であったなどの結果が得られた。ただし、リーダーに情報が集まっていない、といった情報の集約に関する問題や、医師の治療や処置が適切でなかった、医師の問診が曖昧で不安など診療に対する未熟さが指摘された。
これらのことより考察する。まず災害マニュアルはシンプルで一目瞭然であることが望ましい。そのため今回の改訂では記載を簡略化した。また傷病者の搬入経路を一か所に集約してしまうと混乱をきたすことから複数個所で受け入れるように変更し、それを図としても記載し、訓練を行った。これは数的に多い待機群への対応をエントランスホールで行うことで、優先・最優先治療群が集まる搬入口での混雑を軽減し、初期治療を円滑にするためである。アクションカードの作成は、今回はリーダーに対するものであり、部署ごとに個別のアクションカードを用意したわけではなかったため、今後部署ごとの対応がわかるようなものを作成したいと考えている。トリアージの実動訓練では、より知識を深めていく手段になることが確認された。また職員のモチベーションの向上にも役立っている。フルスケールの災害訓練後のアンケート結果からは、自分がどのように動けばいいかがイメージできたと考える職員が多く、参加者の理解・満足が得られたことは有益であったが、実際により多くの職員が参加するためには病院としての意識向上のための工夫や、支援体制が必要と考えられた。加えて、診療実技の向上も今後の課題として残っている。
以上を踏まえて今後の関西労災病院の方針を示す。
マニュアルの簡易版を用紙1枚程度にまとめたものを各部署に常備し初動時に必要な物品を各部署の救急カートにつるしておく。診療技術実習を含む実践的内容を盛り込んだ教育プログラムを考案し、実行していく。そして集大成として、自治体と合同でフルスケールの災害訓練を行う。病院職員以外の人が参加することで訓練の臨場感が増し、客観的な評価も加わり、職員の意欲も向上すると考えられる。これまでの行程を約6か月かけて行い、その後の6か月で行った一連の研修や訓練を再検討し、次年度の災害教育プログラムや訓練内容の決定を行うことを考えている。これらの一連の災害研修を継続的に行うことで全職員が共通の認識で災害へ対応できる体制を目指している。
緊急消防援助隊の概要
門倉 徹:プレホスピタルMOOK4号 Page 137-148, 20071.緊急消防援助隊発足の経緯
2.各部隊の概要
3.緊急消防援助隊の出動
4.法制化後の主な出動事例
5.医療機関との連携
感想など
JR福知山線脱線事故後の関西労災病院における災害対策への取り組み
高松純平ほか:日本集団災害医学会誌 13: 8-14, 2008米国の田舎町の地域病院における災害訓練を見学して
永田高志、救急医療ジャーナル 16(4): 52-56, 2008はじめに
訓練の概要
ルート93でタンクローリーとバスの衝突事故が発生、多数傷病者発生
現場および司令センターは混乱HICSの意義
最後に