大規模地震対策特別措置法:地震防災対策強化地域を指定し、観測体制、防災応急対策などの特別措置を定めた法律。
地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律:その指定地域での地震対策緊急整備事業にかかる経費の国の負担など、財政上の特別措置について定めた法律。
1)病院建築 病院の建築物としての耐震性、構造物の脆弱性が病院の機能面に及ぼす影響を知る必要がある。災害時に半壊の病院での診療は可能かなどを判断できる病院周辺在住の建築物応急危険度判定士の利用は可能か、エレベーターなどの復旧を誰がするかなどを調べておく必要がある。
2)ライフライン
1.多数傷病者受け入れ計画(被災地医療施設) の概念
1)command and control (指揮と統制) 指揮とは院内の指揮命令系である。統括指揮者の下に、医師・看護師・事務部門の責任者を決め、災害対策本部を構成する。統括指揮者不在時の対応を必ず決めておく。各部門の指揮命令系を作るさいの優先順位を決めておく必要がある。また、アクションカードに任務内容を事前に記載しておく必要がある。統制とは、各部門が独自の指揮命令系を持つが、統括指揮者が問題点が生じたときの協議・調整を行い、最終的に責任をもつ体制をいう。
2)safety(self,scene,survivor:安全の確保) 災害対策本部に安全担当者を配置し、安全に関する情報はすべて担当者に報告する仕組みが必要である。安全確保の優先順位は院内医療従事者、病院の建築物、入院患者・外来患者の順である。
3)communication(情報伝達・情報共有) 災害時に必要な情報の伝達方法をアクションカードで決めておく必要がある。発災と同時に指揮者に必要な情報が伝達されるようにする。また、停電時の情報の伝達手段も決めておく必要がある。
4)assessment(評価:病院の現状および変化予測、負傷者予測) 院内情報より、患者受け入れ人数、どの程度の重傷患者なら受け入れ可能か、入院患者の他病院への避難の必要性を評価する。院外情報より地震の規模、ライフラインの状況などから戦略を立てる。
5)triage(トリアージ) 殺到する傷病者を一方向にながれるように一次トリアージ区域を病院入り口や玄関待合室などに設定し、緊急治療群(救急医、麻酔科医、外科医)、準緊急治療群(外科医、内科医)、軽症者(看護師)の治療区域を区分し、治療を行うゾーニングを行う。臨時霊安室の準備も重要である。一次トリアージを行うものは経験豊かな救急医や外科医が望ましい。また、緊急治療群や準緊急治療群では繰り返し二次トリアージが必要である。一次トリアージの際に事務職員が事前に作成している災害時用の簡易カルテを記載し、患者情報の把握や広報に役立てる。
6)treatment(応急処置) 日常と災害時の頭の切り替えが非常に重要である。応急処置を行うことで、患者1人に要する時間を短くし重症負傷者の対応時間を確保することができる。
7)transportation(病院間傷病者搬送) 重症負傷者の症状が安定すれば被災地外の医療施設への搬送を考える必要がある。しかし、情報網・交通網が寸断した状況下での従来通りの搬送は困難である。近年、DMATの養成が進んでおり、また災害医療マニュアルで病院間の事前通知なしで患者搬送可能な取り決めがある地域もある。
阪神淡路大震災を契機に、防災対策の全面的な見直しが実施され、消防、医療はそれぞれの制度、体制を整えてきているところであるが、実際の現場では、相互に連携することで被災者の救命率を効果的に向上させるという論点については、具体的に検討がなされることは少なかった。そこで総務省消防庁では、H18年より、「災害時における消防と医療の連携に関する検討会」を開催し、検討を始めたところである。H18年度より4回の検討会及び作業グループの会合が開催され、H19年3月に中間取りまとめが報告された。以下、その検討の背景と今後の課題について要約を紹介する。
実態の把握のための情報収集、活動方針の決定、二次災害発生防止のための安全管理
b.現場救護所、医療機関への搬送
トリアージの決定(一次トリアージ、二次トリアージ)、医療チームの現場への派遣
c.現状活動円滑化のために
適切な医師の助言、救命救急士の気管挿管、ルート確保、薬剤投与、安全装備
※DMAT(Disaster Medical Assistance Team)
b.要請体制→連絡窓口の一元化と情報の共有化、EMISの活用など
例:消防機関→都道府県→DMAT指定医療機関→都道府県医師会など
B案:派遣医療機関から直接現場に移動し、同時に救急隊と連携して活動する方式
医療チーム…定まった指揮系統を持つことは稀→統括医師(メディカルディレクター)の決定
今回の中間報告書は、主に地域で起こる災害時の活動を念頭においた検討の結果であり、総務省消防庁においては、H19年度は、災害が面的、広域に拡大した場合の連携のあり方について引き続き検討する予定としている。
(参考)「災害時における消防と医療の連携に関する検討会」の中間報告書全文(ウェブサイト)
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/190416-1/190417-1hondou.pdf
平成8年5月に厚生省(当時)が発出した「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」に基づいて、全国に500を超える災害拠点病院が整備された。さらに都道府県に少なくとも1か所の基幹災害拠点病院を設置し、医療者に対して研修を行うものとした。平成19年12月末までに約650チームの災害拠点病院が受講終了している。
2.研修の特色
地震の発生するメカニズム、国の対応、病院の耐震化、傷病者受け入れ計画、トリアージの実習、医療救護班派遣など講義の内容は多岐にわたる。災害の種類は多様化しており、あらゆる種類の災害に対応できるようにバイオ・原子力災害などの特殊災害の基本的な内容も盛り込まれたプログラムとなっている。
DMATは専門的な訓練を受けた機動性を有する災害派遣医療チーム(医師、看護師、調整員)で、大地震などの被災地や災害現場にいち早く駆けつけ、救急治療を行う。平成17年度より日本DMAT隊員養成研修会が開始された。4日間の規定講習を修了し筆記・実技試験に合格した者に日本DMAT隊員証が交付される。年10回開催されており、平成19年10月までに2171名の隊員が誕生している。
2.研修の特色
プログラムはMIMMSを基礎に日本の外傷標準医療の要素を盛り込んでいる。内容は、近隣災害、遠隔地災害、広域医療搬送についての講義、実技が盛り込まれ、消防の連携、機内の閉鎖空間での医療体験、航空搬送の実動訓練も行っている。
近年テロ対策の強化が必要となり、従来の化学災害に核・放射線災害・生物災害・テロ災害を加え、平成18年からNBC災害・テロ対策研修会が開始された。
2.研修の特色
テロ災害に対応し傷病者を受け入れることのできる医療機関を都道府県に整備することが最終目的となる。受講生は日本DMAT隊員の資格を有することが原則とされている。個人防護服の着脱、除染法の実習、模擬患者の受け入れ実働訓練を実施している。
集団災害事故に対する救急対応医療」を教育するプログラムでイギリスを中心として各国で開催されている。3日間のアドバンスコース(医療者が対象)、1日のプロバイダーコース(トリアージを行う職種が対象)、院内受け入れ態勢のためのHospital MIMMSの3つがある。MIMMSは日本DMATなどの災害研修プログラムの基本になっている。
2.研修の特色
大災害時の医療にかかわる警察・消防・救急・医療・ボランティア・行政などの各部門の役割と責任分担・組織体系・連携方法・装備などを組織横断的に講義、訓練する。基本コンセプトをCSCATTTとしている。(表1)
2003年アメリカで設立された。4時間のコアコース(医療従事者以外が対象)、1日のベーシックコース(医療従事者が対象)、2日のアドバンスコース(ベーシックコースを修了したものが対象)からなる。
2.研修の特色
アメリカ同時多発テロを契機に誕生したため、テロ災害に重点が置かれている。災害対応の原則をDISASTER Paradigmとしている。(表2) MASSトリアージは、移動または手足を動かせる(Move)者を評価排除(Assess)し、残った患者を二次トリアージ(Sort)の後に優先的に搬送する(Send)方法である。
日本がはじめて毒ガスを使ったのは1930年の台湾霧社事件である。この時使用された毒ガスは塩化アセトフェノンである。
霧社事件の後毒ガス戦の教育訓練が行われる様になった。
イラクが毒ガスを使い始めたのは1983年であるが、毒ガスの生産を始めたのは外国から特殊化学薬品や機械等を買い始めた時期から想像するとだいたい1980年か1981年ぐらいだと思われる。
松本サリン事件では精製された純度の高いサリンが使用されたため、毒ガス効果も高く7人が死亡し、約150名が中毒症状を示した。
東京地下鉄サリン事件で使用されたサリンは精製がされていなかったので松本事件のときよりも密閉システムであるのにも関わらず、死亡者数12名であったが、負傷者は5500名にのぼった。
また、オウム真理教はVXを3名に使用し、内1名が死亡している。
終戦後米国は731部隊の人たちを保護して細菌兵器のノウハウを習ったのであった。
現時点で化学兵器を所有している国は、ロシア、米国、イギリス、エチオピア、朝鮮民主主義人民共和国、コート・ジボワール、フランスなどである。生物兵器を所有または開発、あるいは防御法を開発している国は、米国、ロシア、イギリス、フランス、スウェーデン、中華人民共和国などである。
大規模地震災害と病院の対応
(甲斐達朗ほか.救急医学 32: 197-200, 2008)はじめに
地震災害を知る(彼れ[敵]を知る)
病院・地域の地震に対する脆弱性を知る(己を知る)
院内災害計画(己の準備)
おわりに
災害時における消防と医療の連携に関する検討会報告書(中間とりまとめ)の概要について
(荒木裕人:プレホスピタルMOOK4号 Page 61-69, 2007)1.検討の背景
高速網の発達や都市整備の進展、生活様式の変化 → 災害形態の多様化2.災害現場において必要とされる医療活動
円滑な医師への情報提供、現場における安全確保3.医療チームの種類と機能
4.具体的な連携の進め方
5.医療チームの現場移動手段;交通の分断など、問題点は多い
6.今後の検討課題
7.まとめ
また、上下の指揮系統よりも、現場では得意分野を役割分担することが重要。災害医療研修
(本間正人.救急医学 32: 143-149, 2008)はじめに
災害医療従事者研修会
日本DMAT隊員養成研修会
NBC災害・テロ対策研修会
MIMMS (Major Incident Medical Management and Support)
NDLS (National Disaster Life Support)
化学・生物兵器の歴史
(Tu AT・著、井上尚秀・訳.化学・生物兵器概論 22: 1545-1550、じほう、東京、2001、p.3-22)1、第一次世界大戦まで
2、第一次世界大戦
3、第二次世界大戦
4、日本軍の毒ガスの歴史
5、イラン―イラク戦争
6、最強の毒ガスVX
7、テロに利用される化学兵器
8、生物兵器のはじまり
9、化学兵器、生物兵器の現状