DISASTER MEDICINE

Application for the Immediate Management and Triage of Civilian and Military Disaster Victims

Burcle FM Jr, Sanner PH and Wolcott BW

翻訳・青野 允、谷 壮吉、森 秀麿、中村紘一郎

(情報開発研究所、東京、1985)


4、トリアージ

rederick M.Burkle,Jr、M.D., M.P.H


A、トリアージとは

 トリアージ(triage)とは、フランス語で選り抜く(pick out)とか選り分ける(sort)という意味である。この言葉は第一次世界大戦中に英語に導入され、負傷者の分類に用いられた。現在ではこの定義は次の二つの重要な要素からなる。

  1. 犠牲者を外傷または疾病の重症度によって分類する
  2. 治療の優先順位を決める

 民間でこの何年か用いられているトリアージは少しあいまいである。この修飾された形のトリアージは、日常まったく自動的に、医師の診察室、外来、救急室などでだいたい看護婦によって行われている。しかし、医師も、外来で予約患者をスケジュールどおりに診療している最中に突然、喘息患者の診察や治療で短時間そちらに手をとられることがある。その結果、スケジュールを作り直したり、遅れたりすることは日常茶飯事である。しかし、全部の患者に効果的なよい治療を行うことに重点がおかれている。

 これに比して、トリアージを行わねばならない事態では、その場で治療の優先順位を決定しなければならない。たとえば田舎の病院で、限られた看護体制で2人の重症患者を抱えた場合には、待機体制の人々の応援が到着するまではどちらかの患者を優先させて治療するトリアージが必要な体制におかれる。

 このトリアージ体制は、病院や救急医療部門ではしばしばまえもって準備されている。しかし、これは現場に十分な人員がそろえばただちに解除されるものである。

 本稿では、通常の医療体制の能力を超えた多数の患者が発生し、長時間にわたりストレスの多い場面でトリアージを行わねばならないような、民間または軍事的大災害について言及したい。

 トリアージは大災害時の医療対策の三大要素のうちの一つである。

  1. トリアージ
  2. 救出(「8、救出計画」参照)
  3. 標準治療方式(「6、被災者治療の標準方式」および本稿「付」参照)

B、トリアージのための必須条件

  1. 準備
  2. 動員可能な人員を全部参加させる
  3. 現場では梯子形になって前進してトリアージを進める。
  4. 単純であること
  5. 下記のトリアージの原則を全員が厳守すること1)
    a) 四肢より生命が優先する
    b) 生命に対する直接の脅威は、窒息、出血、心停止につながるショツクである
  6. 卓越したトリアージ指揮者(triage officer;TO)を選び、その命令には全員が従う

C、トリアージ指揮者(官)

 災害現場では、民問でも軍隊の場合でも指揮の及ぶ範囲と指揮者をはっきりと決める。

 民間災害では、現場に最初に到着した救急隊のうち上級のパラメディクか集中医療技術者(medical intensive care technician;MICT)が指揮をとる。現場のトリアージ指揮者は“TO”と反射性塗料で背中側と腹側にはっきり書いたチョッキをつけておく。軍隊では上級の衛生兵がこれに当たる。きわめてまれに、大災害時には、医師、看護婦からなるチームが現場に派遣されねばならないことがあるが、このような場含には消防隊や救急隊は萎縮してしまって仕事ができない。英国Be1fastにおいては過去20年問の民間災害で、医師・看護婦チームが出動したのはまれであった2)

 すべての地域の防災計画は病院の入口にトリアージ指揮者の名前を掲げておくべきであり、病院内の救急室の医師はあらかじめ決められたトリアージ指揮者がくるまではその役をつとめる。さらに指揮者が不在の場合を考慮して、かわりの指揮者の養成を行っておく。

 トリアージ指揮者を選ぶことは非常にたいせつである。不幸にして、大災害時のトリアージ指揮者として上級外科医が責任者になっていたとすると、災害発生時には手術中であって現場に急行できないかもしれない。また、手術がじょうずなために最初の患者の手術を行うはめになることもある。このような事態での指揮者の不在は決定的な損害である。

 適切な判断をくだすには外科的経験は必要ではあるが、いちおうある程度のことを全体的にこなせる一般医か一般外科医であって、ほかの任務についていない人が理想的なトリアージ指揮者である。

 軍事災害時には、野戦病院のレベルでは、一般医で、トリアージの訓練を積み、外傷の初期評価、蘇生法、交信のできる者がこれに当たる。後方の軍病院でこれに当たるのは経験を積んだ上級外科医で、しばしば麻酔科医や整形外科医の助けを借りる3)

 トリアージは30分で終了することもあるが、数時間または1日を要することもある。この仕事は繊細さと協調性のある計画を要求し、消耗した医師や助手を交代させる必要がある。病院内でのトリアージ指揮者は通常、各科(たとえば臨床検査、X線、外科、ICU)の主任であり、彼らは各科の勝手な要求を退け、かつ各科間の壁を取り去り、緊密な連絡を常 に保つ。以下に、トリアージ指揮者に適した人の特徴をあげる。

  1. 外科的経験がある

  2. 知名度が高く、尊敬されている

  3. 判断力があり指導力がある
  4. 物事に動ぜず、無用の批評を処理し制止する能力がある

  5. 決断力がある

  6. 状況をよくのみこんでいる:医療資材、医療スタッフの能力と限界、設備、搬送能力などを熟知している

  7. ユーモアのセンスを有していること:これは非常にたいせつで、リーダーシップをとり続け、かつ、かなりのストレスのもとで働く部下をリラックスさせるものである

  8. 想像力と創造力:相当のストレスのもとでも決定的な、創造力に富んだ決断をくだせる人。特に資材が払底したときに、たとえばMASTのかわりに両足を高位としてエースラップを使用したり、多数の熱傷患者にホースで水をかけたり、などできる人

  9. できれば病院の近くに住んでいること:すべての重要人物は召集してから5〜15分で到着できることが望ましい

  10. 災害の種類の予想:災害の性質から患者の治療計画を立てる(たとえば航空機墜落では多発外傷、熱傷。ホテル火災では気道熱傷、熱傷、精神的ストレス。地震では挫滅傷)

     数日の間は災害の実際の規模が不明なこともある。トリアージ指揮者は常に予想しえない状況の変化に注意する。経験のあるトリアージ指揮者のいた場合、事は適切に処理されている。患者の流れ、手当て、優先順位のすばやい確認などには、持続的に注意をはらっておく必要がある。

D、トリアージの評価

 救急医療サービスシステム(人員、訓練、資材)の発展により、民間、軍事を問わず、その出動が増すにつれて、後方病院には重症で、一時的には安定した多数の負傷者が運び込まれるようになった。これまでの戦争や災害では、被災地または戦場に生きたままで放置された例は少ない。

 朝鮮戦争において、遅れて治療を開始すると、早期治療の場合よりも死亡率は高く、この理由として主として五つの要素が提起されていた4)

  1. 失血量の補正が遅れる
  2. 機械的欠損の是正の遅れ
  3. 感染による罹病率の上昇
  4. 組織破壊の増強
  5. 二次縫合の遅れ

 これらの知見が衛生兵の教育に導入され、また、近年EMSの教育プログラムにも広く取り入れられ、下記の事項が特に強調されている5)

  1. ショックの早期是正(医師の主たる対象)
  2. 創傷の早期消毒
  3. 機械的欠損の早期是正
  4. 二次的組織破壊予防のための処置

 さらに近年の民間または戦闘による災害対策により得られた優秀な成績により、各防災関係者やトリアージ指揮者に次の事項に注意するよう助言がなされている。

  1. 四肢の再縫合の可能性を考える
  2. 挫滅傷の患者は透析を考慮にいれる
  3. どのレベルにおいても統制のとれた順序正しい搬出と持続した集中看護を行う3)

 トリアージ指揮者は、いつでも二次救命処置法の原則を忘れずにAmerican Co1lege of Surgeonsの二次的外傷救命処置(advanced trauma 1ife support; ATLS)の推薦するガイドラインに沿って創傷の初期評価を行わなければならない6),7)

 トリアージの評価のためのガイドラインは外傷の重症度を表すいろいろな係数で表現されている(IPCAR, injury severity score, ER triage model, hospital trauma index, triage index, anatomic index of injury severity8), 9), 10), 11), 12), 13), 14)。種々の重要な考察や研究がなされているが、残念ながら、災害現揚のトリアージにはほとんど応用できない。

 現在のところ、的確な判断、経験、トリアージの原則を守る以外によい方法はない。現在、経験豊かなトリアージ指揮者によって再評価がなされつつあり、直観的な方法が自動的に行われるようになるであろう。

1) トリアージの確実性

 トリアージが現在、治療を必要としている負傷者をどれほど敏感にとらえるか、または見出すかが間題である(ただし、トリアージ後、数時間も現場に放置されていれば、トリアージの確実性は低くなる5), 15), 16)

2)トリアージの特殊性

 いかにうまく、トリアージが非緊急症例の混入を除外できるか(たとえば災害現場で、軽症者、加療の必要のない者、助けることが不可能な者、または助けるべき資材のない場合5), 15), 16)

 以下に示すような数量化されたデータは、防災計画の立案者にどの医療部門を優先すべきか示唆し、そしてトリアージ指揮者に種々の診断面においてどういう点を重視するかしないかを示唆する。2,3の標準的な効率の表し方があり、トリアージの評価に役立つであろう3)

全死亡率=死亡者数/全負傷者数
死亡率=災害現場で医療班到着以前の死亡者数/全負傷者数
負傷による死亡率=外科医に委ねられてから死亡した者の数/受傷したが生存していた者の総数

E、民間または地域災害におけるトリアージ

1)トリアージの場所

 民間災害時でも少なくとも3か所のトリアージ場所(triage site)が存在する17)(図I−7)。

triage site1:野外(災害現場)

triage site2:病院、救急室入口

triage site3:病院内

  1. 救急、蘇生部門
  2. 非救急治療部門
  3. 外来治療部門
  4. 待期治療部門
  5. 放射線部
  6. 検査部
  7. 外科
  8. ICU、救急病棟
  9. 退院準備、搬出部門

 triage site 1,2ではトリアージはすばやく行い、蘇生部門、または他の部門へ患者を送る。triage site 3では決定的な治療、評価を行い、患者は病棟か、待期部門あるいは退院か、にそれぞれ移動する。

2)トリアージを成功させる方法

  1. 患者をけっして逆方向に移動させない。たとえば救急部門でX線検査の指示を受けたら外科部門への途中でX線を撮る。けっして救急部門に逆行させない。

  2. 必要以上の治療をしない。全体の流れに渋滞が生ずるからである。どこのtriage siteでも同様である。

  3. トリアージ指揮者は治療に参加しない。

  4. トリアージを行わない限り患者は動かさない。ただし、下記の場合は例外である。

    a) 暗くて適切なトリアージが不可能なとき
    b) 悪天候
    c) さらに傷害者が増加しているとき(たとえば航空機事故での火災の危険、山崩れ、ビルの崩壊など)
    d) 近くにより適切な施設が見つかった場合(大きな、照明の行き届いた体育館など)
    e) 戦場での危険な場所

  5. 病院(triage site 2)レベルで、医師、管理者ともにトリアージ作業で多少間題がある点としては

    a) 災害時にはこれまでの伝統的な医師―患者間の関係は存在しない

    b) 個々の患者すべてに十分な資材を用いて治療できないかもしれないのに、病院管理者のなかには経営面から考えて、患者を自已の病院からほかの病院にやりたがらない場合がある18)。指導的立場にある医師や管理者はトリアージ責任者の命令に従わなくてよいこともある。理解できないのに従うのは無駄な所業である

3)トリアージ:分類と手順

 トリアージとは常に再評価を繰り返す連続した過程である。その基本は、被災者というものは外傷であれ、伝染病であれ、または放射線障害や熱傷であれ、同一のものである。トリアージによる分類は、病院の総力をあげて一人の患者に取り掛からねばならぬような患者を除外できなければやる価値がない。両極端の患者を病院にいれて、無用の重荷を強いてはならない(たとえば何もしなくても治癒するとか、治療してもまもなく死亡する患者など)。

4)triage site1(災害現場)

a) 初期評価(primary survey)

 まず、現場の全体の状況をみる。このときからトリアージが始まる。これは現場のトリアージ担当者(上級または経験豊富な救急隊員)によって自動的に行われる。この評価は数秒以内のきわめて短時間にすばやく分類を行い、治療順位を決定する。したがって分類は、軽症、重症、最重症、見込みなし、というように単純にする。

  1. 軽症:不具にならない。ほとんど専門医の治療を要しない。ただちに日常生活に戻れるか、時にはほかの被害者の救助に当たれる

  2. 重症:ただちにというほどでないが、治療には時間がかかり、しっかりした治療が必要なもの。少し時間が遅れても生命にかかわらないもの。たとえば呼吸不全のない胸部挫傷、出血の止まった腹部や胸部の貫通創など

  3. 最重症:生命を救うためにただちに処置を必要とするもの。窒息、出血、ショックの危険にあるもの。たとえば気道閉塞、緊張性気胸、大量出血など

  4. 回復見込みのないもの:予後不良で搬送に耐えられないもの。これらの患者には疼痛、苦痛をやわらげる処置のみ行う。貴重な時間、労力、資材は浪費せず、上記三つのカテゴリーの患者にそれらを用いるべきである

b) トリアージ回診(triage rounds)

 第1回めの回診はただちに始める。優先順位1の最重症に属する患者に最初の処置(表I−1)を行う。パラメディクに指示してABC(airway,breathing,circu1ation)を単純かつ効果的に行う。この処置を行うには数秒あればよい。トリアージ指揮者は次に2,3,4位の優先順位の患者の回診を行う。しかし自分は治療のために立ち止まってはし)けない。2度めの回診を始める。パラメディクは指揮者に次の指示を与えられるまでは一次、二次救命処置を続ける。トリアージ指揮者は、第2位の優先順位の患者に対する酸素投与、MASTの着用などの処置に移る以前に、第1位の患者の処置が行われていることを確認する。あらかじめ計画的な訓練を行い、パラメディクの技術を向上させておくと優先順位と回診はスムースにいく。

 トリアージ指揮者の監督、指導力、臨床的判断はこの過程において最も重要な鍵である。

 第1、 第2優先順位の患者に対するトリアージ回診は、患者数と傷害度によるが、数秒から15〜30分程度で終了させる。

c) 基幹病院との連絡

 トリアージ指揮者は基幹病院と違絡をとらねばならない。通常、この連絡は3度めの回診の最中か終了時であり、最初の通信では、以下のことを連絡する。

  1. 災害の種類
  2. 正確な場所
  3. 被災者概数
  4. 災害の特徴、たとえば建物の下に被災者がいる、火災の危険、老人、小児が多いなど
  5. 現場で特別に必要な道具など
  6. 指揮をとっているチーム名(通常は現場に最初に到着したチーム)とトリアージ指揮者の名前

d) タッグをつける

 タッグをつけることは治療に一貫性と持続性をもたせることを意味する。いくつかの種類のタッグがある。たいせつなことは読みやすく、かつ指示がはっきり書き込めるものであることである(図I−8,9a〜c)。

 トリアージタッグに記入すべき事項を以下に掲げる。

  1. 患者の氏名か番号。アルファベットで分けるとイニシアルとまちがえやすいから用いない
  2. 性別
  3. 傷病名、主たるもののみ、略語でよい
  4. すでに行った処置または投薬
  5. パラメディクの氏名、これは非常ににたいせつで、記録、のちの反省、患者の追跡と識別に用いられる
  6. 救急車の番号
  7. タッグは第1趾につける。第1趾がないときは手首につける。衣服や靴ひもには絶対につけない

e) 搬送優先順位

 パラメディクは現場で二つの優先順位と遭遇する。治療と搬送の優先順位である。気道が確保されて安定した患者は急いで搬送する必要はない(表I−2,p.64)。色分けしたタッグが通常、使用されており、不必要な部分を切り離すと必要な部分がタッグの最下端にくるようになっている。この色分けは国際的に統一されており、交通信号と同じ赤、黄、緑に分けられる。カラーコードを用いたメリーランド州Montgomery郡の32)搬出基準は次のとおりである32)

(1) 搬出の方法

 建物やがれきなどに閉じ込められていない被災者を最初に運び、かつその順位は

  1. 赤色
  2. 黄色
  3. 緑色

 次は、閉じ込められている被災者でその順位は

  1. 赤色
  2. 黄色
  3. 緑色
  4. 閉じ込められていない灰色
  5. 閉じ込められている灰色

(a) 赤色タッグ

  1. 呼吸不全の統いている者
  2. 心停止:助かる可能性の少ないときには心肺蘇生法は行わない。それよりも同じ労力で多くの生命を助けるのが原則である
  3. 大量出血:2パイント以上(約1L以上)
  4. 意識のない者
  5. 数カ所の大骨折
  6. 重症ショック
  7. 熱傷(気道熱(外)傷を合併している者)

(b) 黄色タッグ

  1. 重症熱傷
  2. 中等度出血:1〜2パイント(約500〜 1,000 ml)
  3. 脊柱損傷:脊髄損傷の有無を問わず
  4. 頭部外傷で意識のある者

(c) 緑色タッグ

  1. 小骨折
  2. その他の小外傷
  3. 小範囲熱傷
  4. 一見して死亡すると思われる大きな外傷のあるもの(灰色タッグに相当するもの)

(d) 灰色タッグ

  1. 20分以上、呼吸、脈拍のない者
  2. (e) 蘇生法が不可能な損傷を受けた者

 タッグがすでになくなってしまったときには額にX印を消えないマジックペンで記入することが認められている19)(図I−10)。

f) 致死的損傷

 致死的損傷をただちに判断したら“死亡”のラベルを張る。何人もの人が同じように診断にきて、人と時間を無駄にするからである。

 ポータブル心電計は何人もの被災者の心拍を確認するのに便利である17)。死亡者にはみなで協カして適当にシートやビニール袋をかける。その後なるべく速く死体仮安置所に移送する。残った死体はビニール袋にいれて、防腐剤である4%ホルムアルデヒドを含む200ml溶液を腹腔内注入し、さらに200mlをビニール袋にいれておく。こうすれば、死体の腐敗を最大2週間遅らせることが可能である20)。大災害では死体の身許確認には長時間を要することがあり、特に重症の熱傷や体の変形がはなはだしいときに多い。

g) 地域医師の現場における義務

 通常、その地域の医師および医療関係者はただちに災害現場に現れる。パラメディクはその地方のEMSによってあらかじめ定められたプロトコールに従ってトリアージ、応急手当てを行っているので、医療関係者といえども彼らの仕事の邪魔をしたり、妨害をすることは許されない。これらの医療関係者は次のようなステップをとることがすすめられている。

  1. 現場の責任者に自已紹介をして、自分の専門分野(内科など)を告げる
  2. 何か手伝えることがないかを聞く。そして特技のない限り、責任者 の指示に従う
  3. 自分ができない処置をしている揚所に近寄らない。邪魔するだけである

5)triage site 2(病院、救急室入口)

a) 場所の決定

 防災計画によりあらかじめtriage site 2は決めておく。病院入口、救急室入口、またはその他の適当な場所など。

 決められたトリアージ指揮者と助手はトリアージが完了するまで現場から離れない。

 タッグをすばやく点検、蘇生法のABCが確実かどうかを確認。必要に応じて二次救命処置を行う。実際の処置は助手が行う。指揮者は処置に手を出してはいけない。さらに犠牲者の一団が到着すれば同様に処置する。triage site 1でのトリアージがうまくいっていれば、最重症患者のようすを特に慎重にみてもよい。しかし、あくまで全体の犠牲者の観察が必要である。

 患者の状態は急激に変化する。緊張したtriage site 1の熱気のなかでは診断ミスも当然ありうる。ABCも不確実なことが多い。したがって、タッグのつけなおし、治療優先順位の変更の必要性も起きる。triage site 1でのトリアージタッグの正確さは約70%であるという。新しいタッグは古いタッグの上に重ねる。古いのをけっして捨ててはならない。

 トリアージ指揮者は、看護婦、医学生、パラメディクまたは看護学生をそれぞれの患者に配置する。

b) 状況の報告

 トリアージ指揮者にはトリアージの決断をするのに必要なすべての状況を常に報告しておかねばならない。それらは、

  1. 災害の種類
  2. 犠牲者数
  3. 現場から病院到着までの時間
  4. 特殊状況:悪天候、小学校スクールバスの事故など
  5. 参加できる医師、医療関係者、専門家の人員
  6. 検査部門、血液銀行の体制
  7. 外科手術チームの状態
  8. 病院各診療科主任の在、不在、災害対策チームの存在
  9. 搬送能力
  10. 救急ベッド空床数
  11. トリアージ、およびその後の患者動線の単純化
  12. 通信センター(院内、院外)に近い位置にいること
  13. メッセンジャー、助手の数

c)患者の分類

 triage site 2においてはすべての患者を以下の四つのカテゴリーのうちの一つにいれる21)

  1. 外来治療
  2. 救急治療
  3. 非救急治療
  4. 待期治療

6)triage site 3(病院内)

a) 治療場所の設定

 各治療方針に従って場所を設定する必要がある。たいせつなことは、このカテゴリーは疾病の重症度でなくて治療に要する日数で分類することである。トリアージは病院内のどこでも持続的に行われ、患者は病院側の医療スタッフや資材の関係によっても常に一つのカテゴリーからほかのカテゴリーに移りうる。

(1) 救急治療部門(immediate treatment area;ITA)

 通常、救急蘇生法は救急室で行われるが、熱傷、ショック、骨折などではもう少し大きい施設が必要となる。

(a) 条件

  1.  外来治療に適しない小外傷で、短期間で治療が終わるもの
  2. 重症で、救命のために短期治療を要するもの

(b) 例21)

 簡単に処置できる気道損傷、止血容易な部位からの出血、四肢の不完全離断、15〜40%以内の熱傷、大きな開放性骨折、単純かつ広範囲な軟部組織の損傷。

(c)施設

  1. 外科
  2. ICU
  3. CCU
  4. 救急病棟
  5. 1〜4は通常、X線部を通じて行く

(2) 外来治療部門(ambu1atory treatment area;ATA)

 治療後帰宅させ、ほかの患者のためにスペースをあけてやる。

(a) 条件

 入院を必要としない外傷、疾病。

(b) 例21)

 15%以下のIII度熱傷、消毒、包帯のみ必要な軟部組織の裂創、通院可能な小骨折、放射性物質に被曝したもの。

(3) 非救急治療部門(de1ayed treatment area;DTA)

(a) 条件

  1. 少し治療が遅れても、のちに大きな影響がないもの
  2. 重症または多発外傷の患者であるが、治療に多大の時間と管理が必要なもの

(b) 例21) 下肢の単純骨折、重症眼外傷、骨盤・脊椎骨折。

(c)施設

  1. 静脈確保後、頻回にバイタルサインのチェックをする
  2. ITAに空床ができたら移送する

(4) 待期治療部門(expectant treatment area;ETA)

(a)条件予後不良の患者。

(b) 例21)手待ちの人員、資材で間に合わない重症多発外傷患者、重傷ではないが年齢やその他に心疾患などを有する患者、大量放射線被曝者。

(c)施設

  1. 観察のみ
  2. 疼痛に対する鎮痛薬、鎮静薬

b) 臨床検査部門

(1) トリアージ指揮者

 検査室主任または同等の経験を有するものが当たる。

(2) 予想される事態

  1.  大部分の患者が、安定し、搬出されるまで2〜5日程度を必要とし、その間のサービスが必要。

  2. 指揮者は血液、血漿などの在庫量をトリアージ指揮者(triagesite 1,2,3)に通知する。

  3. 次の検査ができるように準傭する22)。まず、O型血液を集める。血液型判定を5分、4単位の血液のクロスマッチを20分で終了させる22)

  4. 臨時の移動献血車をだして採血する。

  5. 検査項目の制限(表I−3)。結果が患者の臨床的判断に最も重要なものに限る。

表I−3 検査項目の制限

平常時災害時
血液一般
電解質
尿一般
腎機能検査

血液ガス
ヘマトクリット、ヘモグロビン
ナトリウム、カリウム
比重、血尿
血液尿素窒素
デキストロスティック
炭酸ガス分圧

(3) 注意

 一時に多量の血液のクロスマッチは不可。1人につき2〜4単位までに制限する。

c) X線部門

(1) トリアージ指揮者

 上級放射線専門医がこれに当たる。

(2) 予想される事態

  1. X線検査は最小限度に抑える17)。災害処置がじょうずな場合にはX線検査の件数が少ない。骨折の疑いはすべて骨折として扱う。蘇生法を行う以前にはX線検査はしない。はっきりした開放骨折は術後X線検査をする。

  2. 検査申し込みは診療処置に必須のものから順に行う。血胸の疑われる場合には、側臥位で1枚だけとる23)。この方法では15m1程度の少量の液体でも読影可能である。通常の前後像または側方からの撮影は、血胸ドレナージのための診断には不必要である。

  3. 軍隊で用いている担架は副子として有用であり、撮影中に患者を動かさなくてすむ24)

(3) 注意事項

  1. X線撮影の申し込みはあらゆるところからくるので、優先順位を決めるのがむずかしい。救急処置部門からの申し込みには注意しておく。外来、非救急、待期治療部門からのものは厳密にチェックし、拒否するときにははっきりと断る。

  2. 多発外傷患者を診て不安の渦中にある医師や、いちおう状態が安定して小康状態の患者を診ている医師は、あせって不必要な申し込みをすることが多いので注意する。

d) 外科部門

(1) トリアージ指揮者

 上級外科医がこれに当たる。

(2) 予想される事態

  1. 外科医・外科看護婦チーム、麻酔係、麻酔医とともに、致命的な重症患者のトリアージを行う。

  2. 致命的であるが、短時間の処置で決定的に救命できる患者が手術の第一選択となる。

  3. 重症であるが、安定している患者は集中治療看護婦または医師が、バイタルサインのチェック、輸液、輸血のモニタを行う。不安定のサインがでたらただちに報告する。多くの腹部外傷患者は晶質液のみで3〜4時間安定させておくことができる。

  4. 特殊な外科医(眼科、泌尿器科、産婦人科、形成外科医など)に創の縫合を任せてしまい、一般外科、胸部外科、整形外科医は次の手術にかかる。

(3) 注意事項

  1.  戦揚や災害では二次縫合がよく行われるが、これに外科医が馴れていないことが多い。

  2. 外科医は、死んだ筋組織やデブリドマンの適応についてはよく知らない場合がある。

  3. 内科医が外来部門で扱った感染創や、デブリドマンの不十分であった小さな傷が感染することがある。急いで縫合しなければならない場合もある25)。早期の適切なデブリドマン、創傷の固定、十分なドレナージ、2〜7日後に二次縫合というのが基本である。

  4. 優先順位の早い患者が一般状態の安定するのを待っている間に、優先順位の遅い患者をすばやくよんで手術しようと思わないこと。もしその時間があれば、救急や蘇生部門の優先順位の高い患者が一般状態が安定して、手術可能となる。

e) 救急看護単位

(1) トリアージ指揮者

 看護部長、婦長がこれに当たる。

(2) 予想される事態

  1. 重症でない患者を自宅またはその他の看護体制のある場所に移送する。全国的にみて少なくとも50%の患者は緊急に移送できる。病院によってこの非重症患者の比率は30〜60%である。

  2. 適切に構成されたスタッフが救急看護単位を受け持ち、非重症患者 のためには看護婦、看護学生、医学生、パラメディクまたは地域の経験を積んだボランティアが当たる。またはこれらで救急看護単位の手伝いにも当たる。

  3. 防災計画のなかで1ブロック、または一つの病棟を災害時に利用する計画を立てておく。1病棟全部を利用する方法は、緊急時、特に看護婦が少ない場合にはより有効である26)

(3) 注意事項

 救急ベッドは5日間使用されると計算する。スタッフの疲労、物資の不足は必ず生じ、ほかの病棟への移動を必要とする。それをしないと後の罹患率、死亡率が高くなる。

f) 内科部門

 内科医、小児科医は下記の分野でのトリアージに責任がある27)

(1)水電解質に関するコンサルテーション

  1. 挫滅創、腎不全による高カリウム血症の治療と診断
  2. 長時間放置されていた患者の電解質、栄養管理
  3. 重症外傷患者の透析療法の必要性

(2)感染症に関するコンサルテーション

  1. 外傷の合併症、混合感染による二次的菌血症の治療
  2. 災害後の伝染性疾患の発生の予知

(3) 放射線、化学性、環境性災害のコンサルテーション

  1. これらの分野における評価、治療、経過観察は、一義的には、内科医、小児科医、一般医の役割である。

  2. 軍、連邦政府、州や大学の専門家のコンサルテーションは災害の早期から得ておくべきである。

g) 外来息者の退院前部門

 この部門は、静かで、病院入口のトリアージ部門から離れていて集まりやすい場所がよい。ここでタッグ、記録、識別などすべての事務的処理を終了し、最後に収集する。すべての患者に、次の三項目を記入したものを渡す。

  1. 病状の説明
  2. 与えられた治療の要約
  3. 病状の要約と経過観察のときに必要な事項の要約

F、病院内トリアージにおける地域医師の役割

  1. 病院内トリアージ指揮者に自已紹介する
  2. 配置の指示を受ける
  3. 標準的処置方法を知っておく(「5.被災者に対する評価」参照)
  4. 自分のやり方でやりたい誘惑を抑える
  5. 軽症例でもどんどん処置して退院させる(えてして“大物”を待って、何もしないで立っている傾向がある)

G.軍事的トリアージ

 大災害時のトリアージの目的は、最小限度の時間に最大多数の被災者に最高の治療をしてやることにある。戦闘の真っ最中でのトリアージの最大の目的は、戦闘に戻れる者をすばやく決めて治療し、前線に送り帰すことであって、重症者を処置して撤退させることは重要ではあるが、第二の目的である。

 医療資材が極度に少ない前線での一連の処置は楽ししい仕事ではない。しかし、生存のチャンスのある者は救出し、そうでない場合にはあとにまわすという軍事的決定が必要である。

 朝鮮戦争では、トリアージの原則が守られたため、被害者の生存率の向上がみられた。それ以上の好成績がベトナム戦争で得られ、ここではよりきめの細かいトリアージ、そして救出が行われた 5), 28), 29)表I−4にその成績を示した。

 死亡率は第二次世界大戦以釆、有意に減少しており、これを表I−5に示す28)。ベトナム戦争で死亡率が1%に減少した理由は、ヘリコプターに よる早急な搬送、スタッフ、資材ともに豊富な病院、すばやいトリアー29)ジと処置、そして敵側の戦力の劣勢のためである。負傷者は一違の医療施設において適切な処置を受けていた(図I−11)。

表I−4 確定治療までの時間

第一次世界大戦
第二次世界大戦
朝鮮戦争
ベトナム戦争
12〜18時間
6〜12時間
2〜4時間
1〜2時間

lO人中9人は受傷後70分以内に開腹術が開始された。

表I−5死亡率

第二次世界大戦
朝鮮戦争
ベトナム戦争
4.7%
2.0%
1.0%

1)戦場における状況30)

 戦場における衛生兵は、早急に、効果的に負傷兵のトリアージ、処置を行うように訓練されている。

  1. 衛生兵は前線のすぐ後部に位置している。

  2. 負傷兵をまず砲火のなかから救出する。したがって、衛生兵は次の知識を有していなければならない。

    a)砲火の飛び交う場所
    b)命令の形式
    c)身を隠す場所

  3. 衛生兵は負傷兵に対して無防備で近寄ってはいけない。

  4. 分隊長または小隊長が援護射撃をする。

  5. 負傷兵が比較的安全な場所にまできたら応急手当てを行う。

  6. 最初に負傷兵を診た衛生兵がトリアージを行う責任を負う。診断は次の事項に対して行われる。

    • 後方搬送の要、不要
    • 早期搬送の要、不要
    • 前線に復帰できるかどうかの判定

  7. 戦場におけるトリアージは三つのカテゴリーに分けられる。衛生兵はその戦場において隊長を助ける重要な位置にある。衛生兵の助言により、隊長は、必要に応じて、無線でヘリコプターでの搬送を依頼しなければならない。

    • 緊急:致命的な傷や疾病で、ただちに搬出しなければ生存にかかわるもの

    • 優先的:重症疾患や外傷で、ただちにではないが早期に入院の必要なもの(たとえば小さな多発創、小範囲の筋挫滅、窒息のない胸部外傷、小骨折、脱臼、眼外傷など)

    • 定期的:小さな外傷か小疾病であるものは、衛生兵が処置してただちに前線に送り返す(たとえば小切創、擦過創、異物の刺入、捻挫、頭痛、歯痛、下痢、便秘はもちろん搬送の必要なし)

      i) 定期的カテゴリーにはいる場合でも、死者や患者の搬送のために医療施設問に定期便が飛ぶときにはこれを利用する(「7。通信手段」参照)

      ii) 外傷自体は定期的カテゴリーこはいっても、隊が目的を遂行するのに妨げになる場合、優先的に格上げして空輸する

2)組織化された最初のトリアージ施設

 これは戦場にある移動可能な救護所、またはそれに近い野戦診療所である。救急作業は徒歩または少数の車で行われる。

 この野外施設には1人の臨床経験豊かな医官と獣医、歯科医、看護婦と8人の衛生兵がいる33)。3軍(陸、海、空)野戦医療コースが現在すべての医療担当者のためにあり、救急蘇生法、トリアージについて教育を行っている。

 戦場にあっては、医師でない医療担当者がこの施設で重要な役割を握っている。

 もう1ステップ後方の施設または野戦病院への搬送は、武装した車輌で行われる。ヘリコプターは、戦場または最初のトリアージが行われた場所から負傷者を運ぶ。このような場合には、第2トリアージの場所を通り越して次の場所へ運ぶ。

3)第2トリアージ施設

 通常、第1施設より車で20〜30分以内の場所。これはちょうどヘリコ プターを搬送手段とした沿岸警備船のようなものである。この施設は一般医、麻酔士、麻酔医、一般外科医、整形外科医、その他の特殊専門医、看護婦、衛生兵、補給や搬送に当たる係員、記録係から構成されている。本稿「E.民間または地域災害におけるトリアージ」で取り扱った原則および間題点が軍事的トリアージにもそのまま当てはまる。本稿「E-4)-b)トリアージ回診」で扱った分類の効力は、この施設でも最重要項目である(参考資料)。


H. 民間災害トリアージにおける医事法制的考察

 トリアージを行う側の責任の評価は、災害を取り巻く種々の環境因子を考慮にいれなければならない。その主たるものは、以下の二点である。

  1. 犠牲者の処置に当たることのできる医師の数と能力
  2. トリアージ行為の妥当性

 最も重要なことは、その地方に特別な災害対策計画があり、それらの義務を妥当な方法で遂行することができる経験豊かなトリアージ指揮者が存在することである。また、そのために用意してある資材を十分に利用するのに最善を尽くす医療従事者が待機していることである。

a)トリアージ要員のための標準実施手順


 初療に当たるとき、種々の程度のショック患者の処置、評価、モニタをすることがしばしばある。患者が手術室や搬送途中で決定的な治療を受けられるようになるまで患者の状態を安定させたり、また、安定した状態を保つことが要求される。このようなときには爆弾の上にでも座っているような感じとなり、時間が無限に長く感じられる。救急隊員は、犠牲者の状態をこれ以上安定させることができないと思われたら、ただ ちにトリアージ指揮者に報告しなければならない。輸血などの方法を用いて安定させ、優先順位をあげてすみやかに手術室に搬送するか、または治療のできる場所に送るかする責任がある。

 災害という不安と混乱のなかでは、外傷に対する基本的蘇生法をしっかりのみこんでから仕事ができるとは限らない。したがって、初療に当たる人が病院にきたときに初療の方針を単純かつ明瞭に書いたガイドラインのリストを渡すのも一つの方法である。多くの医師、特に外科以外の専門家が外傷患者の取り扱いについて知識をひけらかすのはよくない。ガイドラインは、犠牲者に蘇生法を施すかどうか、蘇生法のABCのための予備的な処置が取られているかどうかを確かめるためにあるからである。

b)臨床的ショック


(1) 第一段階:ただちに行うべき処置

  1. 静脈路の確保:太い径で少なくとも2本、生理食塩水か乳酸加リンゲル液を点滴
  2. バイタルサインチェック:血圧、脈拍、毛細管再充満度、もしあれば、ECG
  3. 理学的所見と既往:特に心と肺疾患
  4. 検査所見:血液型とクロスマッチ(1回につき2〜4単位まで)、ヘマトクリット、血液ガス所見、尿所見
  5. 骨折には副子固定
  6. フォーリーカテーテル、経鼻胃管、マスクによる酸素投与、外科医と協議して腹腔内洗浄
  7. X線検査:最小限度(たとえば血胸の診断除外のための側臥位撮影)

(2) 第二段階:バイタルサインが安定したら

  1. 静脈内点滴続行
  2. バイタルサインのモニタと記録
  3. より完全な理学的所見
  4. 検査:血液型とクロスマッチ、ヘマトクリット、血液ガス所見、必要により尿所見
  5. 骨折の副子固定
  6. X線検査:根本的治療を開始する以前に必要ならば他の診断的検査

(3) 第三段階:搬送に備えての準備

  1. バイタルサインが安定していること
  2. 気道の確保が確実なこと
  3. 静脈路を確かめる
  4. 経鼻胃管がはいっていること
  5. フォーリーカテーテルがはいっていること
  6. トリアージ担当者がいること
  7. 蘇生に必要な器具の用意があること


引用文献

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―訳 青野允


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