第2部:成人の一次救命処置
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前回の2000年のILCORレビュー以来、蘇生の科学においていくつかの重要な進歩があった。以下にエビデンスに基づくBLS実施上の勧告事項を要約する。
疫学
毎年、米国で40〜46万人(LOE 5(訳者註))1、
ヨーロッパでは70万人(LOE7)2が突然の
心停止(SCA)に陥っている。心肺蘇生は、その内およそ3分の2において試みられている。3つの
症例累積およびコホート研究を見ると、心停止の発生率には評価方法によって幅広いばらつきがあ
る。
予後 W138B(機械訳)
前回の国際的なエビデンス評価の過程(CPRとECCに関する国際的なガイドライン2000検討会議)10
以降、病院外心停止患者が治療されつつ搬送された場合の生存退院について、3つの体系的なレ
ビューがあった(LOE5)5,11,12。EMS実施者によって治療された心停止患者総数のうち5〜10%が蘇
生され、VFを伴った患者の15%が生存退院した。全国的な統計データでは、院内心停止後の生存退
院率は17%であった(LOE5)13。院内での心停止と院外の院外心停止とでは病因も病像も異なってい
る。
心停止のリスクは、いくつかの要因によって影響される。たとえば人口統計学、遺伝、行動、食
事、臨床、解剖、および治療の特徴などである(LOE4-7)4,14-19。
認識
頚動脈のチェックは、循環の有無を確認するには不正確な方法である(LOE3)20。しかし、体動、
呼吸、咳(つまり"循環のサイン")のチェックが診断的に優れているというエビデンスもない
(LOE3)21,22。死戦期のあえぎは心停止の初期段階で一般的に見られる(LOE5)23。救助者はしばし
ば、心停止の患者が死戦期のあえぎを示していることを"呼吸している"と通信指令に報告してい
る。このことは本来CPRの恩恵を受けたであろう患者に、実際にはCPRが差し控えられる可能性があ
るということである(LOE5)24。
推奨される処置:
患者の意識がなく(反応がなく)、体動がなく、呼吸をしていなかったら、救助者はCPRを開始す
べきである。患者が時折あえいでいても、救助者は心停止が起きていることを疑いCPRを開始すべき
である。
気道
気道開放を臨床的(LOE 3)25,26および放射線学的(LOE 3)27-29方法で評価した5つの前向き臨床研
究と一つの症例累積研究(LOE 5)30では、頭部後屈あご先挙上法は実現可能で、安全で、効果的であることが示されている。
明らかな気道閉塞がない場合に、気道を開通させるために常にフィンガー
スイープ法(指掻き出し法)を実施することについて評価した研究はない。
推奨される処置:
救助者は頭部後屈あご先挙上法を使って気道を開放すること。
救助者は、気道閉塞の疑われる意識障害患者において、口腔咽頭内に固形物が見える場合に限り、
フィンガースイープ法を実施するべきである。
気道位置決め(airway positioning)の装置 W1, 49A, W49B
気道の位置決めに必要な器具の効果について発表されたエビデンスはない。
頚椎を固定するために使う頚椎カラーは気道管理を困難にし、頭蓋内圧を亢進させる可能性がある
(LOE 431-33; LOE 534)。
異物による気道閉塞 W151A、W151B
科学的コンセンサス:
FBAOを取り除くどの方法が最初に使われるべきであるかは明らかでない。
意識のある患者についての症例報告では、背部殴打法(LOE 5)35-37, 腹部突き上げ法(LOE 5)36-44,
胸部突き上げ法(LOE 5)36を用いたFBAO除去の成功例が示されている。
閉塞物の除去を成功させるためには、しばしば1つ以上の手技が必要であったとも記されている36,45-
50。
生命に関わる合併症が、腹部突き上げ法の使用で見られた(LOE 5)48,51-72。
意識のない患者には、胸部突き上げ法(LOE 5)49と腹部突き上げ法(LOE 5)73を使ったFBAO除去の成功
を示した症例報告がある。
遺体における気道異物除去方法に関する無作為試験(LOE 7)74と、麻酔下のボランティアにおける2
つの前向き研究(LOE 7)75,76では、胸部突き上げ法を実施した際に腹部突
き上げ法より高い気道内圧が生じた。
症例累積研究(LOE 5)36,37,45によると、意識のない成人と1歳以上の小児では、FBAOの除去に、
フィンガースイープ法が有効である。
4つの症例報告で、患者の口が傷つき(LOE 7)77,78、または救助者が指を噛まれた(LOE 7)29,30とい
う記載がある。
推奨される処置:
胸部突き上げ法、背部殴打法、 腹部突き上げ法はそれぞれ意識のある成人、および1歳以上の小児に効
果がある。しかし、腹部突き上げ法に伴う損傷についても報告されている。最初にどの方法を使うべきかを決定するにはエビデンスが不充分である。
これらの手技はすぐに開始され、閉塞が解除されるまで継続されるべきである。また、複数の手技が必要となること
もあろう。意識のない患者にはCPRを施すべきである。フィンガースイープ法は気道閉塞を伴う意識
のない患者で、固形物が気道に見えた場合に限り使われるべきである。FBAOを伴う肥満または妊娠
した患者に推奨される処置に関するエビデンスは不充分である。
人工呼吸
症例累積研究で、成人の口対鼻人工呼吸は実施可能であり、安全で、かつ効果的であることが示唆
されている (LOE 5)79。
推奨される処置:
口対鼻人工呼吸は、口対口人工呼吸の代替手段として許容できる。
口対気管切開孔人工呼吸 W158A, W158B
口対気管切開孔人工呼吸の安全性または効果を示すエビデンスは発表されていない。
喉頭切除術を受けた患者における唯一のクロスオーバー研究では、小児用フェースマスクが標準的な
換気マスクより切開孔の周囲を良好にシールすることを示している(LOE 4)80。
推奨される処置:
口対気管切開孔人工呼吸の実施、または良好にシールする小児用の丸いフェースマスクの使用は理
にかなっている。
一回換気量と換気回数 W53, W156A
初期換気を何回行なうべきか決定するには、エビデンスが不充分である。
マネキンでの研究(LOE 6)81-83とヒトでの研究(LOE 7)84では、二次的気道確保器具(気管チューブ、コ
ンビチューブ、LMAなど)が留置されていない場合、一回換気量 1,000mLの方が換気量 500mLの場
合より明らかに顕著な胃膨張を生じることが示された。
二次的気道確保器具を留置されていない麻酔下の患者での研究は、一回換気量455mLの室内気による換気は受け入れられるが、719mLに比較して明らかに酸素飽和
度が低下することを示している(LOE 7)85。
一回換気量624mlと719mLでは酸素飽和度には違いは見られなかった(LOE 7)85。
100%酸素にて12回/分の人工換気中に患者に気道確保器具を用い、一回換気量500mLと1,000mLを比較した
心停止患者における研究が報告されている(LOE 2)86。
少ない換気量は、動脈血PCO2の上昇とアシドーシスの悪化に相関したが、PaO2には違いが無かっ
た。
小規模の症例累積研究(LOE 5)と動物実験(LOE 6)の両方を含んだ報告87,88では、過換気は胸腔内圧
の上昇、冠潅流および脳潅流の低下を伴い、特に動物では心拍再開(ROSC)の減少を示した。
病院外心停止の後、二次的気道確保器具を留置された患者を含む症例累積研究の二次分析で、10回/分以
上の換気回数と1秒以上の吸気時間の組み合わせでは生存した者はいなかった。
重症ショックの動物
モデルによる研究から推測(extrapolate)すると、6回/分の換気回数は12回/分以上の換気回数に
比して、適切な酸素化とより良い循環動態をもたらすことが示唆された。要約すると、より大きな一
回換気量と換気回数は合併症に相関する可能性があり、これに対して、小さな換気量で観察される悪
影響は容認できる。
推奨される処置:
呼気による口対口人工呼吸または大気下または酸素を用いたバッグ・バルブ・マスク換気に関し
ては、胸部が上がる程度に吸気時間1秒以内の人工呼吸を実施することは妥当である。二次的気道確
保器具(例えば気管チューブ、コンビチューブ、LMA)を留置した後は、酸素を用いて、胸が上がる
程度に換気する。二次的気道確保器具を留置して実施するCPRでは、換気を行なうために胸骨圧迫を
中断することなく、8〜10回/分の速さ(呼吸回数)で換気することが適当である。心停止の原因に
関係なく、同じ初期一回換気量と回数で実施すること。
人工呼吸器と自動式搬送用人工呼吸器 W55, W152A
心停止をシミュレートしたマネキンによる3つの研究では、バッグ・バルブ・マスクを用いた換
気に比較して、手動トリガー従量式,酸素駆動による蘇生器は胃膨張を著明に減少させることが示さ
れた。麻酔下の患者を消防士が気道確保器具留置なしで換気した研究は、バッグ・バルブ・マスク
を用いるより、手動トリガー従量式酸素駆動の蘇生器を用いたほうが胃膨張が少なく気道内圧も低
いとの結果を示した。挿管された患者に関する前向きコホート研究では、病院外という状況でのほ
とんどの心停止において、自動式搬送用人工呼吸器を用いた場合と手動の場合では、動脈血酸素化
に有意差は無かった。2つの実験室での研究は、自動式搬送用人工呼吸器は成人患者のCPR中に安全
で効果的なマスク換気を供与できることを示した。
推奨される処置:
バッグ・バルブ・マスク換気を用いた成人心停止患者の蘇生中に、手動トリガー従量式・酸素駆
動の蘇生器もしくは自動式搬送用人工呼吸器の使用が推奨されるか否かについてのデータは不充分
である。
胸骨圧迫
成人に対するCPRの際に、手を置く位置についての満足できるエビデンスはない。
小児では胸骨下1/3の圧迫が胸骨中央に比べ高い血圧を生み出せる(LOE 4)97。
医療専門職によるマネキンを用いた研究で、利き手を胸骨に当てて胸骨圧迫をした時が効果的であった
(LOE 6)98。
手は単純に「胸部の中央」に置くとした方が換気と胸部圧迫の間の中断が少ない(LOE 6)99。
推奨される処置:
市民、医療専門職のどちらに対しても、患者が成人の場合、胸部の中央に利き手の手掌基部を置き、その上にもう一方の手を置くと指導することが適切である。
胸骨圧迫回数、深さ、胸部圧迫解除、圧迫時間比 W167A, W167B, W167C
1分間当たりの胸骨圧迫の回数は、圧迫の速さ、圧迫と換気との比率、口対口人工呼吸もしくはバッ
グ・バルブ・マスクの換気に必要な時間、そして救助者の体力(もしくは疲労度)によって決まる。
観察研究では、救助者の実際の圧迫回数は、現在推奨されている回数より少ないことが
示された(LOE 5)100-103。
動物実験では速度の速いCPR (120〜150/分)の方が現
行のCPRと比べて血行動態を改善し外傷も少なかったという報告(LOE6)104-107と、効果はないとす
る報告(LOE6)108がある。他の動物実験では圧迫時間比などのその他の要素による改善も報告(下記参照)109されている。人体での研究報告では圧迫回数の多いCPR(120回/分)が現行のCPRに比べ血行動
態を改善している(LOE4)110。しかし、ヒトに対する機械的なCPRでは、圧迫回数の多いCPR(140回/分まで)は60回/分の場合と比べて血行動態を改善しない(LOE5)111,112。
深さ:
病院内100、外102どちらの研究においても、CPR中の圧迫の深さについては、現在推奨されている深さ
と比較して評価できる深さに達していない(LOE5)100,102。動物モデルによる成人の心停止に関す
る研究では、より深い圧迫(3〜4インチ)は現行の方法と比べてROSCと24時間後の神経学的転帰の改
善に相関があるとされた(LOE6)107,113,114。救助者がマネキンにCPRを実施した研究では、胸骨圧
迫の開始1分後には深さが浅くなり、それにもかかわらず、わずか5分後には救助者
が疲労を感じている(LOE6)115。
圧迫解除:
ヒトによる観察研究(LOE 5)88やマネキンによる研究(LOE 6)116で、CPR中の胸部の拡張の戻り(再拡
張)は一般的に不完全であることが示されている。動物実験では不完全な胸部の拡張の戻りは、CPR
中の顕著な胸腔内圧上昇、静脈還流減少および冠・脳血流減少に相関した(LOE6)117。マネキンでの
研究では、圧迫解除の際に手を胸壁から僅かであっても完全に離すことで、完全な胸部の拡張の戻
りが得られる(LOE 6)116。
圧迫時間比(Duty Cycle)
圧迫時間比とは、胸骨圧迫開始から次の胸骨圧迫開始までにかかる時間のうち、その周期内での胸
骨圧迫にかかる時間比率と定義される。冠血流は圧迫時間比(圧迫時間比50%以上で冠血流は減少す
る)と、1回の胸骨圧迫終了ごとにどれだけ完全に胸が減圧されているかで決定される(LOE6)118。
動物実験においては、圧迫時間比20%と50%との比較では24時間後の神経学的転帰に有意差はなかっ
た(LOE6)107。機械的CPRの数学的モデルで、圧迫時間比50%での肺、冠、頚部の血流は、圧迫―減圧
のサイクルで圧迫により重きを置いた場合と比較して有意に高かった。動物モデルで圧迫時間比を
20〜50%とし、圧迫回数を130〜150回/分まで増加させたら、脳環流、冠血流ともに増加した
(LOE6)104,105,109。マネキンによる研究では、圧迫回数を40〜100回/分に徐々に上げても、圧迫
時間比は圧迫回数には依存していなかった(LOE6)120。圧迫時間の割合がより少ないサイクルより、
圧迫時間比50%は機械的に実施しやすい(LOE 7)121。
推奨される処置:
成人の胸骨圧迫では、市民であれ医療者であれ、圧迫回数は最低でも100回/分以上
とし、深さは少なくとも4〜5cm(1〜2インチ)とするのが妥当である。救助者は胸骨圧迫ごとに完
全に圧迫を解除する。圧迫担当者は、可能であれば頻繁に交代すること。長時間の圧迫は救助者を
疲弊させ、疲労は妥当な圧迫を供給できなくする恐れがある。圧迫時間比(圧迫と解除の比率)は
50%が妥当である。
胸骨圧迫のための硬い表面 W167A
マネキンによる研究では、体の下に除圧マットを敷いたベッドの上でCPRを行なった場合は、下が
床の場合と比べ胸骨圧迫の効果が落ちる。マットレスの緊急脱気では胸骨圧迫の効果
は改善しなかった(LOE6)122,123。これらの研究では、標準的なマットレスやバックボードでの検討
はしていない。また患者をベッドから床に移す方法については考慮していない。
推奨される処置:
心停止の患者は仰臥位でバックボードや床などの硬い場所に寝かせることで、最大限に効果的な胸骨圧迫が可能となる。
CPRの方法 対 転帰 W182A, W182B, W194
市民救助者(LOE 5)124、研修医(LOE 5)100そして 救急隊員 (LOE 5)102によるCPRの
胸骨圧迫の頻度と深さは、いずれも現在推奨される方法と比べ不充分であった。CPR試行中の換気回数ならびに
換気時間が、推奨基準より多くまた長いと血行動態を損ない、生存率を低下させる(LOE6)88。未熟
なCPRも同様に、血行動態と生存率の悪化させる可能性がある。
推奨される処置:
インストラクター、研修生、市民救助者、EMS従事者に対して、推奨された圧迫と換気の回数と深さを
確実に遵守するために、CPRの過程をモニターし改善することは適切である。
圧迫の代替法
6つの症例累積研究において、合計22人の挿管中の入院患者が腹臥位でCPRを受け、うち10人が生
存退院した(LOE 5)125-130。
推奨される処置:
挿管された入院中の患者で仰臥位にできない場合には、腹臥位でのCPRは適切である。
脚−足(Leg-Foot)胸部圧迫 W166C
マネキンによる3つの研究では、脚−足による圧迫では、通常の胸骨圧迫と比較して、圧迫回数も
深さも違いはなかった(LOE 6)131-133。
2つの研究132,133においては、脚−足胸部圧迫を行なった時、救助者は疲れと足の痛みを感じてい
る。ある研究132では、脚−足胸骨圧迫を行なった場合、胸部の拡張の戻りが不完全であった。
“咳”CPR W166A
症例累積研究(LOE 5)134-136によると、心臓カテーテル検査室において突然のVFを発症した、仰
臥位で、心電図装着中の、事前訓練を受けていた患者が1〜3秒ごとに咳を繰り返すことにより、
平均動脈圧を100mmHg以上に維持し、また90秒まで意識を保たせることができた。他の状況で咳CPR
の有用性を支持するデータはなく、また監視されていない状況下での市民による咳CPRの是非を問う
特別なエビデンスもない。
圧迫に対する人工呼吸の影響
動物の研究では、胸部圧迫の中断は、ROSCと生存率の減少に相関しているとともに蘇生後の心機能
障害の増加を示唆している(LOE 6)137-139。
観察研究(LOE 5)100,102と2つの無作為試験の二次分析(LOE 5)140,141をみると、圧迫の中断がよ
く見られている。VF波形の遡及解析では、CPRの中断はVFにおける除細動成功(conversion of
VF to another rhythm)の可能性を減少させることにつながっていた。
推奨される処置:
救助者は胸骨圧迫中の中断時間を最小限にすべきである。
CPR中の圧迫−人工呼吸比 W154
観察研究において、経験豊富なパラメディックは、病院外心停止の処置中に、挿管された患者に
対し、必要以上の頻度で換気を行なっていることが示された(LOE5)88。病院内研究においても、二
次的気道確保器具の留置の有無に関わらず、患者に対する必要以上の頻度で換気が実施されていた
100。2つの動物研究は、過換気が胸腔内圧の増加と冠潅流と脳潅流の減少、および生存率の減少と
の相関を示唆していた
(LOE 6)87,88。
ヒトの観察研究において、救助者は現行で推奨されているより少ない回数の圧迫を行なっていたこ
とを示した(LOE 5)100-102。
心室細動性心停止に関する多数の動物研究では、中断の少ないまたは全く無い胸骨圧迫
を続ける方が、現行のCPRに比べて血行動態も生存率も良かった
(LOE 6)137,139,142-144。
挿管した動物モデルにおける実験結果、および理論上の計算においても、圧迫−人工呼吸の比率
を変えた場合、功罪相半ばする結果が生じている。心停止の動物モデル実験の一つでは、100対2の圧
迫−人工呼吸比は24時間後の神経学的機能に関して15対2または持続圧迫CPRに比較して明らかに改
善していたが、潅流圧や生存率には有意な差は無かった(LOE6)145。50対2の圧迫−人工呼吸比を
使った心停止の動物実験では、15対2または50対5のどちらを使った時よりも胸骨圧迫の回数
が有意に多かった(LOE 6)146。
頸動脈血流は 50:2の方が 50:5に比べて明らかに多く、15:2との比較では差がなかった。動脈血
酸素化、並びに脳への酸素供給量に関しては15:2比が、50:2もしくは50:5の場合と比較して有意
に高かった。30:2の圧迫−人工呼吸比で行なった動物実験では、ROSCまでの時間は、中断のない継
続的な胸骨圧迫に比較して有意に短く、かつ全身及び脳への酸素化が良好であった
(LOE6)147。理論上の解析結果によると、30対2の圧迫−人工呼吸比が最も良い血流と酸素供給を生じる可能性を示唆している(LOE7)148。
窒息性心停止の動物実験では、胸骨圧迫のみのCPRは酸素化の有無に関らず、圧迫と換気の両方を
行った場合より著明な肺水腫を来した
(LOE 6)149。
推奨される処置:
心停止患者の転帰を最善にする圧迫?換気比がどのようなものかについてのエビデンスは充分でな
い。圧迫回数を増やし、胸骨圧迫の中断を最小限にし、教育と技術の保持のための
指導方法を単純化するために、乳児、小児、及び成人の患者に対して救助者が1人の時は、30対2と
いう1種類の圧迫−換気比を推奨する。蘇生の最初の手順として、(1)蘇生が本当に必要か確かめ
ながら、気道を開放する、(2)蘇生の開始時に、2〜5回の人工呼吸を行なう、(3)次に、圧迫と
換気を30対2で行う。
胸骨圧迫のみのCPR W52, W164A, W164B
胸骨圧迫のみのCPRを実行する方針を評価した前向き研究はない。電話でのCPR指
導に関する無作為試験では、EMSシステムにおいて、訓練されていない市民救助者に対する短い(平
均:4分間の)応答時間では、胸骨圧迫のみを教える戦術と胸骨圧迫
と換気の両方を教える戦術とでは生存率に関して有意差はなかった(LOE 7)150。
窒息以外の原因による心停止の動物研究において、蘇生の最初の数分間において、胸骨圧迫のみの
CPRが、圧迫―換気のCPRと同様の効果を持つ可能性が示された(LOE6)142,151。しかしながら他の窒
息でない心停止実験においては、30対2の圧迫?換気比では動脈酸素含有量を正常値の3分の2倍に
は維持できたが、胸骨圧迫のみのCPRでは2分以内に脱飽和となった(LOE6)147。現行のCPRを訓練さ
れた市民救助者によって処置された、成人の心停止についての観察研究では、圧迫のみのCPRを行
なった場合、CPRを行わなかった場合より生存率が高かったが、圧迫と換気両方行なった場合ほどで
はなかった(LOE 3152; LOE 4124)。
推奨される処置:
もし救助者が気道確保や人工呼吸をしたがらなかったり、CPRの訓練を受けていない、または方法
をはっきり憶えていない場合には、圧迫のみCPRを行うよう促すべきである。研究者には、圧迫のみ
のCPRの有効性について評価することを奨励する。
正常に呼吸している意識のない患者において、回復体位を評価した調査はなかった。健康なボラ
ンティアにおける小規模コホート研究(LOE5)153と無作為試験(LOE7)154では、患者の下側の腕を体
の前面に置いた場合、回復体位にした時に稀に下方の四肢に血管と神経の圧迫が生じた。しかしな
がら、患者をこの体位に回転しやすい点において当該リスクを上回ると考えられる。
推奨される処置:
正常の呼吸をしている意識のない成人の回復体位においては、下側の腕は体の前方に置くことが妥
当である。
脊髄損傷疑いの患者には、更なる時間をかけて呼吸と循環を慎重に評価する必要があり、もし、患
者が腹臥位であるなら、動かす必要もあるかもしれない。全脊柱固定は更なる脊髄損傷のリスク
を減じる効果的な手段である。
頚椎損傷の発生率は、鈍的外傷後では2.4%であった(LOE 5)157が、頭蓋顔面外傷(LOE 4)158、GCS 8未満(LOE 4)159、あるいはその両方を併発している(LOE4)160患者ではさらに高率であった。
大規模コホート研究(LOE4)161では、専門の救助者が対処した場合に、受傷機転、精神状態の変化、
神経学的欠落、中毒の証拠、脊椎痛や圧痛、気がそらされるような損傷(頚椎痛の自覚症状より患者
の気をそらす別のケガ)などの徴候は脊髄損傷を予測する上で高い感度(94〜97%)があった。損傷し
た頚椎を固定し忘れると、二次的な神経学的損傷のリスクは増大する(LOE4)162,163。受傷した患者
に頚椎固定をしたかどうかに関するケースコントロール研究では、以前に考えられていたより二次
的な損傷は少なかった(LOE 4)164。
どんな気道操作も頚椎の動きを伴う(LOE5)165。遺体での研究では、あご先挙上(頭部後屈の有無に
かかわらず)および下顎挙上法は、ともに頚椎に大きな動揺を与えている(LOE6165-167;LOE7168,169)。用手による正中固定(manual in-line stabilization、MILS)169または頚椎カラー
(LOE6)165の使用では、脊椎の動きを防ぐことはできなかった。その他の研究では、気道操作時にお
ける正中固定の適用により、脊椎の動きを生理学的なレベルまで減じると報告している(LOE5,6)
170,171。気道操作は正中固定を用いた方が、カラーを使用するより安全である(LOE3,5)172-174。
しかし、麻酔下で筋弛緩状態のボランティアにおける小規模な研究では、下顎挙上を実施しても頭
部が正中位である場合には、放射線学上の気道開通性は改善していないことが分かった。脊椎損傷
が疑われる患者での蘇生処置を評価した研究はない。
推奨される処置:
脊椎損傷が疑われる患者であっても、気道の管理と充分な換気が最も優先される。脊椎損傷が疑
われたり気道が閉塞した患者であっても、頭部後屈・あご先挙上法または下顎挙上(頭部後屈を伴
う)の手技は実行可能であり、また気道開放にも効果があると思われる。どちらの手技も頚椎の動き
を生じさせる。もし、適切なトレーニングを受けた救助者が充分にいる場合には、頭部の動揺を最
小限にとどめるために正中固定を適用することが妥当である。
腹臥位の患者 W143A, W143B
頭部の位置は気道の開通に影響を与える重要な因子であり(LOE5)175、患者の顔面が下方を向いて
いる場合、呼吸の確認はより困難である。市民であれ専門の救助者であれ、呼吸のチェックは、推
奨されている10秒以内に、常に正確に実施できているとは言えない (LOE7)21,22。呼吸のチェック
に時間がかかるほどCPRの開始が遅れ、結果も悪くなる。
推奨される処置:
反応のない腹臥位の患者では、慎重に仰臥位に回転させてから呼吸のチェックをするのが妥当で
ある。
溺水
溺水は世界中で一般的な死因となっている。溺水患者に特に必要なことが再検討された。
水中における呼気吹き込み蘇生法は、訓練された救助者の場合に考慮してもよいが、その際には
浮き具を使用することが望ましい。しかし、胸骨圧迫は水中では試みられるべきで
はない。
推奨される処置:
水中における呼気吹き込み蘇生法は、訓練された救助者の場合に考慮してもよいが、浮き具があ
ればなおよい。しかし、胸骨圧迫は水中では試みられるべきではない。
水中から救助した溺水患者 W161
人体における研究によると、創傷(signs of injury)および明らかな神経学的な損傷、また、飛び込みやウォー
タースライドの使用、外傷(trauma)、急性アルコール中毒などがない溺水患者では、頚椎損傷は生じ
ていないことが多いと報告されている(LOE 4179,180; LOE 5181-185)。
推奨される処置:
溺水患者はまず水から引き揚げ、その後可能な限り迅速な手段により蘇生されるべきである。創
傷の危険因子や臨床的徴候(飛び込み、ウォータースライドの使用、外傷、アルコール)が見られ
る場合、また神経学的な局所症状のある患者の場合には、潜在する脊髄損傷があるものとして、頚
椎・胸椎を固定して扱うべきである。
EMSシステムにおける、訓練されていない市民救助者への通信指令による短時間(平均4分)のCPR
の電話(口頭)指導に関する観察的な研究(LOE4)186,187と無作為試験(LOE2)150では、CPRに関する
通信指令の指導は、バイスタンダーによるCPRの可能性を増加させたが、心停止からの生存率を増加
させたかどうかは不明である。
推奨される処置:
CPRの電話(口頭)指導は妥当である。
EMSの応答時間の改善(訳者注) W148A
院外心停止患者に関するコホート研究(LOE 3)188-191と、コホート研究の系統学的なレ
ビュー(LOE 1)12によれば、通報から到着までの所用
時間(応答時間)が短縮された症例では生存退院率が上昇している。この応答時間は消
防隊員、警察官その他の専門的な救助者や方法を活用することで短縮可能と
なろう。
推奨される処置:
心停止患者に対応するEMSや他のシステムに責任ある管理者は、可能な限り応答時間を短縮させるた
めに、ケアを提供する過程を評価し、資源を確保しておくべきである。
世界中で毎年何百万もの人々が訓練を受けているにも関わらず、CPRのトレーニング中に重大な有害
事象が起ったという報告はインストラクター、受講者どちらからもほとんど提出されていない。症例累積研究で受講生に以下のまれな有害事象の発生が報告されている(LOE5):単純疱疹ウイルス
(HSV)192;髄膜炎菌193;B型肝炎ウイルス(HBV)194;口内炎195;気管炎196;を含む感染、過換気197
や致死的な心筋梗塞198に起因する胸痛や失神も含まれる。
「潜在的に危険な状態にある」受講生を事前に医学的に評価すると、予見される危険が減るというエ
ビデンスはない(LOE7)199。
一般的に使われる化学消毒剤でも、訓練用マネキンに付着した細菌やウイルスの汚染を効果的に除
去した(LOE6)200,201。別の研究では、70%エタノール(0.5%のクロルヘキシジン含有、非含有にか
かわらず)を使用しても、数時間後の時点では完全に単純ヘルペス汚染を根絶していなかった(LOE6)192。
推奨される処置:
トレーニングマネキンは人工呼吸の訓練において受講生ごとに消毒されるべきである。市販されている消毒剤の30%イソプロピルアルコール、70%アルコール溶液、または0.5%次亜塩素酸ナ
トリウムなどでマネキンを消毒し、少なくとも1分は乾燥に時間をとることが推奨され、これは訓練生
の換気訓練ごとに行なわれるべきである。
救助者のリスク W141A, W159A, W159B, W184A, W184B
CPRが世界中で頻繁に実行されている中で、CPRを提供することに起因している有害事象はほとんど
報告されていない。
CPRを施した後に感染症、例えば結核202、および重症急性呼吸不全症候群(SARS)203に罹患したと
の個別の報告があるだけである。CPR施行中にHIVに感染したとの報告は1件もない。
CPRの実施中に感染症に曝露される救助者は、適切な予防手段をとることによって感染す
るリスクを軽減できるであろう(LOE7)193。
CPR中に使用する防護具の安全性、有効性または実用性について述べたヒトでの研究はない。実験室での研究で、不織布繊維フィルタや一方向弁付き防護具が、口対口人工呼吸中に患者から救助
者への口腔細菌叢の伝播を防止することを示している(LOE6)209。
有機リン酸塩またはシアン化物中毒に罹患した患者に口対口人工呼吸を施すことは救助者のための
悪影響を及ぼすことがある(LOE5)211,212。ある研究では、空気感染する非常に有害な病原体(例えばSARSコロナウイルス)が大量の状態では、ガウン、二重手袋、フルフェイス・シールドそしてフィットテストをしないで使用
するN95使い捨てレスピレータでは防護できないことを報告している
(LOE5)203[意見交換あり]
推奨される処置:
救助者はできる限り常に、感染防護用具が手に入るのであれば適切な安全対策をするべきであり、
特に患者が重症感染症(HIV、結核、HBV、またはSARSなど)に罹患しているとわかっている時には必ず
実行すべきである。
傷病者に対するリスク W140A
標準的なCPRを受けた心停止から生存した者の中で、肋骨骨折がどのくらい発生しているかは分かっ
ていない。肋骨骨折やその他の損傷は、心停止で死亡した標準的CPRを受けた患者において普通に認められる
(LOE4)213。
ある研究(LOE4)214では、標準のCPRだけの群に比べて、積極的圧迫- 減圧(ACD)-CPRを施行した群
で胸骨骨折の発生が増大していた。
機械的心臓圧迫装置による胸部圧迫における肋骨骨折の発生率は、標準のCPRと同等であった
(LOE6)215。蘇生を必要としていない者に対して心臓圧迫をした場合の悪影響の発生率については
発表されたエビデンスはない。
推奨される処置:
肋骨骨折とその他の損傷は稀ならず発生しているが、心停止から救命するために実施されるCPRの容
認しうる結果である。蘇生後、すべての患者は蘇生に関連した損傷について再評価され、見直され
るべきである。
入手可能ならば、口対口人工呼吸中の感染防止用具の使用は妥当である。SARSコロナウイルスなど
の非常に伝染性の高い病原体の大発生の場合に蘇生を試みる場合には、適正な防護具の使用と、行
政、環境、および品質管理上の方策が必要である。
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■心停止の疫学と認識
■気道と人工呼吸
■胸部圧迫
■圧迫―人工呼吸の手順
■蘇生後の体位
■特殊な状況
■EMS(救急医療サービス)システム
■患者と救助者、それぞれのリスク
この記事はResuscitation誌において共同発表されている。