普通救命講習の工夫救急関連メーリングリストより(2003年7月) |
ウェブ担当者:県立新居浜病院麻酔科 越智元郎
(本資料の著作権などに関する責任はすべてウェブ担当者が負います。)
目 次
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■普通救命講習の工夫
eml-nc3(2003年7月)より
目 次
(発信者の敬称は省略させていただきます)
A [eml-nc3: 1767] 普通救命講習
榧 [eml-nc3: 1768] Re: 普通救命講習
・・[eml-nc3: 1780] Re: 普通救命講習
・・[eml-nc3: 1781] Re: 普通救命講習
伊賀[eml-nc3: 1796] Re: 普通救命講習
A [eml-nc3: 1798] Re: 普通救命講習(長文です)
榧 [eml-nc3: 1801] Re: 普通救命講習(長文です)
榧 [eml-nc3: 1814] Re: 普通救命講習
A [eml-nc3: 1823] Re: 普通救命講習
・・[eml-nc3: 1826] Re: 普通救命講習(長文です)
・・[eml-nc3: 1827] Re: 普通救命講習(雑談)
越智[eml-nc3: 1836] Re: 1823 普通救命講習(市民 CPR 普及の評価)
伊賀[eml-nc3: 1842] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
・・[eml-nc3: 1843] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
田邊[eml-nc3: 1844] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
・・[eml-nc3: 1849] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
・・[eml-nc3: 1852] Re: 普通救命講習
・・[eml-nc3: 1854] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
岡田[eml-nc3: 1863] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
・・[eml-nc3: 1864] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
入江[eml-nc3: 1866] Re: 普通救命講習(カーラー曲線)
伊賀[eml-nc3: 1871] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
・・[eml-nc3: 1873] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
田邊[eml-nc3: 1875] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
伊賀[eml-nc3: 1877] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
A [eml-nc3: 1878] Re: 普通救命講習(循環のサインについて)
A [eml-nc3: 1879] Re: 普通救命講習
榧 [eml-nc3: 1882] Re: 普通救命講習(循環のサインについて)
From: "A"
Subject: [eml-nc3: 1767] 普通救命講習
Date: Mon, 16 Jun 2003 10:16:29 +0900
皆さん、こんにちはA@・・消防です。
我が社では、普通救命講習(3時間)を非番職員で対応の団体用と、当務で対応
の個人用に分けて行っています。個人で申し込まれる方は、やはり積極的で何らか
の『背景』がある方が多いようです。
私が担当した普通救命講習を、・年前に亡くなられた
児のご両親が受講されました。 偶然ですが、その救急に私が出場しており…
お会いしすると、子供さんの横で呆然とたたずんでおられた父親…はじめて、LMを使用
して気道確保したこと…鮮明に蘇ってきました。
今回は、《あの時何もできなかった》の想いで受講されています。
私は、明るく楽しい講習で自信をつけて貰って、現場で一歩を踏み出せるバイスタンダー
の育成を、今までずっと目指してきました。他の受講者のためにも、講習のスタイルは、
あえて変えませんでした。 が、言葉の中に「必ず救命につながるわけではありません」
とネガティブな表現が多くなっていた様な気もします。
ご夫婦が自己紹介の中で、自分たちの受講の背景を、他の受講者に言われなっかった
ので、全体の雰囲気もいつもと変わりなく流れていきました。ただ最前列に座っていただいた
奥さんは、笑顔を保ちつつも時折目は涙を浮かべ、悟られないように、ハンカチで拭かれて
いました。
現場に携わった者として『私に出来ることがないか!』講習の間中ずっと自問していました。
3時間の普通救命講習では成人のCPRを中心に指導し小児、乳児の指導は紹介する程度
となっています。
講習の後、他の方には分からないように、ご夫婦に残っていただき小児のダミーを用意して、
30分間交替でCPRをしていただきました。
広い会議室で若い夫婦のすすり泣く声が響き、思わず感情が込み上げてきました。
押しつけがましかったか?と不安でしたが、消防署の玄関で、これで「やっと落ち着きました」
「この講習は生涯、受け続けます。」と言われたときには良かったと思う一方で自分の仕事の
重要さを改めて重く重く感じ…いろいろな想いが交錯しました。
当たり前のことですが、皆さん、お互いの分野で救える命を救っていきましょう!
・・消防組合
救急救命士
A
From: "kazuhiro kaya"
Subject: [eml-nc3: 1768] Re: 普通救命講習
Date: Mon, 16 Jun 2003 10:58:14 +0900
Aさんこんにちは、榧@玉野消防です。
ぐっとこみ上げてくるものがありますね。
今後の指導に参考になることがたくさんありました。
さて、そんなことはとっくにやっているよ、という方も多いのではと思います
が、いままでは、講習のながれとして応急手当の重要性を訴えた後、通しのデモ
を見ていただき、解説しながらのデモをさらに1回。ではグループに分かれて皆
さんやってみましょうで、やってみると全然流れやセリフが覚えきれてなくて、
全員に最初から最後まで手取り足取りの指導になってしまっていました。そし
て、これでは、覚えていただけないなと感じていました。
しかし、最近、ACLSのインストラクションをやるようになって、パートに分けた
指導に切り替えてみました。
つまり患者との遭遇から通報まで、気道確保から人工呼吸2回まで、循環のサイ
ンの確認から4クールのCPRの後の循環のサインの確認までの3つのパートに分け
てグループごとに指導し、実際に全員やっていただいた後に、全部を通してやっ
ていただきました。
すると、ほとんどの方がパートごとに頭の中で整理できているようで、するする
と最後まで、ほとんど間違いなくできてしまいました。一緒に指導した隊員も驚
きで、人数が多い時の対応など、もう少し改良して受講者を混乱させない指導に
努めていこうと思っています。
もっと、いいアイデアがあればアドバイスをいただけたらと思います。
Aさんの内容とは少しそれてしまいましたが失礼しました。
榧 一宏@岡山県玉野市消防署
From: 伊賀正泰
Date: Fri, 20 Jun 2003 00:19:58 +0900
Subject: [eml-nc3: 1796] Re: 普通救命講習
Aさん、榧さん みなさん はじめまして。伊賀正泰@松山市東消防署と申します。
普通救命講習の内容に関して、自分以外の人がどんな風にすすめているか
なかなか知る機会がありませんので、大変参考になります。
私もいろいろ模索していますが、現在の形は、応急手当の必要性を説明した後、
2人1組のバディを作ってもらって、お互いに生体で観察の部分(意識の確認〜
気道確保〜呼吸の確認〜循環サインの確認)をやってもらってます。
特に呼吸の確認の時は、1)胸部が上下すること、2)呼気が聞こえること、
3)呼気を頬で感じることをわかるまでやってもらいます。
その上で、傷病者役になってる人に呼吸を止めてもらい、
再度、呼吸の確認をしてもらって、呼吸がある時とない時の違いを体感してもらってます。
以前、中学校へ体育の授業中に生徒が倒れたとの指令で出場した際、
生徒はCPAだったのに、先生はCPRを知ってたにもかかわらず何もしてませんでした。
後でどうしてCPRをしなかったのか聞いてみると、
やっていいかどうかわからなかったと、言ってました。
人工呼吸や心マの実技は知っていたものの観察ができてなかったようです。
この事例があってから、観察がおろそかになっては、
いくらCPRを知っていてもダメだと思い、こういう形でやるようになりました。
その後で、人工呼吸と心マを個別にしっかり練習してもらってから、
通してやってもらうようにしてます。
いろいろなやり方があるようですので、他にもこうやってるよというのを
教えていただけたらと思います。
***************
伊賀 正泰(いが ただやす)
松山市東消防署(救急救命士)
愛媛県松山市道後湯之町18-4
From: "A"
Subject: [eml-nc3: 1798] Re: 普通救命講習(長文です)
Date: Fri, 20 Jun 2003 06:59:21 +0900
榧さん、・・さん、・・さん、・・さん、・・さん、伊賀さん、emlのみな
さんお早うございます!
A@・・消防組合です。
コメントを頂き有り難うございました。講習習終了後に行った小児のCPR
が、本当にご夫婦にとって良かったのだろうか? 私も5歳の男子の父親で
す。この子を失うという事を想像もできませんし、想像できたとしても、空想
でしかありません。
〈あの時できなかった事をしてあげてください!〉言葉には出しませんが、
私の最終的な想いでした。同じ事をしても受取側の背景によって正反対の効果
が現れる事も考えられます。帰り際の短い会話の中から判断するしかありませ
ん。皆さんのコメントで、重い気持ちが少し楽になりました。ありがとうごさ
いました。
さて、榧さんと伊賀さんから普通救命講習の具体的な指導方法をご紹介頂き
ました、榧さんの3つのパートに分けてグループごとに指導や、伊賀さんの書
かれた、可能な限り生体から読み取る観察の指導方法など皆さんの工夫が参考
になりました。
我が社も、基本のカリュキラムは押さえつつも担当者のカラーがあるようで
す。私の場合は、CPRを含めた応急手当の必要性、特に【救命の連鎖】の中で
除細動につなげることを強調したスライドとビデオを使用しています。
スライドについては、文字を少なくアニメを多く使用し、眠気防止のために
カッコ抜きクイズのスライドを所々にいれて質問しています。ビデオについて
は「良しバイスタンダーと悪いバイスタンダー」と題し、近く高校に協力頂い
て、隊員と本当の教員の出演で【職員会議中、教師が突然倒れる〜救急隊の会
議室での除細動(良い場合はVf、悪い場合はAsystole)】を見て貰っていま
す。
実技については、やはりダミーが中心で所々生体からの情報も取り入れてい
ますが、伊賀さんの言われるように、観察(吹き込み直前)まで生体で実際に
やるのは良い案ですね!私の同僚の西村さんという方は講習中、突然自らが急
に意識を失い、他の隊員が迫真の演技で蘇生する。といったインパクトのある
講習を最近行っているようです。(残念ながら私は彼の演技を未だ見ていませ
んが…)
あくまでも受講者の記憶に残る救命講習が目的です。何か良い工夫があれば
ご紹介下さい!よろしくお願いします。
From: "kazuhiro kaya"
Subject: [eml-nc3: 1801] Re: 普通救命講習(長文です)
Date: Fri, 20 Jun 2003 10:18:20 +0900
みなさんこん○○は、榧@玉野消防(岡山県)です。
みなさんが、指導内容にインパクトを与えたり、ビデオを使って悪い例や正しい
例を確認したり、さまざまな取り組みをされていることを知り、ますますがんば
らねばと思っています。
さて、私は受講者が最低1年は忘れない受講内容にするには、どのようにしたら
いいかを模索していました。
ACLSを広める会の教え方の中に「教えることは二度学ぶこと」というのがありま
すね。
こんなことを思いついたのですが、受講者の方に「今日学んだ心肺蘇生の流れを
資料を見ないで家族の方に説明してみてください」。と、宿題を出すのはどうで
しょうか。
そのために受講者の方は順番と手技を整理して組み立てなおすという作業が頭の
中で行われます。そして、家族に説明することで整理された内容をしゃべります
ので(つまり教えること)記憶がさらに深くなると思われます。
さらに、その内容を聞いた家族の方が私も受講しなければと思っていただけたら
最高ですね。ほんのわずかな人でも、受講者を増えることにつながってくれれば
いいと思います。
まだまだ、いろいろなアイデアをお持ちの方、全国区ですのでいらっしゃると思
います。よろしくお願いします。かや
From: "kazuhiro kaya"
Subject: [eml-nc3: 1814] Re: 普通救命講習
Date: Sat, 21 Jun 2003 00:10:48 +0900
・・先生、こん○○は、榧@玉野市消防署%救命士(岡山県日本)です。
みなさんオリジナルで工夫されていることと思います。
さらなる課題は、まさに直面した場面で、いかに家族とか自分の大切な人以外の
方にでもマウス ツゥー マウスでの人工呼吸を行っていただけるかとか、応急
手当を受講したのでできます、だから私がやりますという方を一人でも受講され
た方の中から出ていただけれたらという思いだけです。救命という言葉の重さを
一般市民の視点から考え直すという謙虚さも必要かと思っている今日この頃で
す。Aさんの投稿はその導火線になればと思い感謝しています。かや
From: "A"
Subject: [eml-nc3: 1823] Re: 普通救命講習
Date: Sun, 22 Jun 2003 20:10:14 +0900
榧さん、・・さん、・・さん、皆さんこんばんは! A@・・消防です。
・・さんコメント有り難うございました。私の方こそ・・さんのチャレンジ
精神にいつも感心しつつ、どうしたらあんなパワフルな人になれるのだろうか
?それと学生時代4年間広島に居たので、懐かしく感じています。
(引用部分省略)
→年間受講者数18,000人は凄いですね!昨年、「岡山救急医療研究会」で普通救命講習
の事について、発表したとき、座長から広島市のバイスタンダーCPR実施率
は、20%以上(違っていたらごめんなさい)と紹介されて、津山圏域の場合
は、8%と低く情けない思いをしたことがありました。
(引用部分省略)
→我が社の場合は、未成年は高校生まで(といっても、管内に6校中1校のス
ポーツ学科のみ)です。
最近、直面している問題は、非番対応の年間の時間外予算ががもうすでに底
をつきそうなことです。上司に先日相談をかけましたが…個人用(当務対応)
月2回土曜日についても、年々受講者が増え
1回10名の定員がいっぱいに成りつつあります。うれしいことなのですが、
受け皿が小さすぎの状態です。
問題解決の手段として、
1)指導者1名に対して5名の受講者の割合を規定の10名までにする。
2)個人用を月3〜4回とする。(結構人員確保が難しい…)
3)ボランティア市民の会的なモノを作る。
引き続き、指導法または回数確保について、ご意見をお聞かせ下さい、お願
いします。特に3)について実施されているところがあれば、成り立ちについて
ご紹介して頂ければ、非常に助かります。よろしくお願いします。
Date: Mon, 23 Jun 2003 15:14:25 +0900
Subject: [eml-nc3: 1836] Re: 1823 普通救命講習(市民 CPR 普及の評価)
From: Genro Ochi
Aさん、香川さん、皆様、県立新居浜病院麻酔科 越智元郎です。
〇
A さんは書きました(eml-nc3: 1823):
>→年間受講者数18,000人は凄いですね!
市民CPR普及の努力について消防組織などが自己評価をされる場合に
救命講習を実施した人数(だけ)でなく、地域における実際のCPA症例でど
のくらい市民CPRが行われているか(市民CPRの実施率)を、過去との比較、
他地域との比較をしながら示していただくとよいですね。受講者数だけで
は自己満足になりかねません(沢山の人に教えながら CPR実施率が低いの
であれば、指導方法が悪いか、動機付けができていない)。
――――――――――――――
越智元郎ほか:心肺停止(CPA)とプレホスピタルケア I. 心肺蘇生術の
普及(救急医学 23: 1883-1887, 1999)
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/99/j8cpr2.htm#03
1) 蘇生処置実施率に関する地域ごとのデータを、積極的に公表する
市民による蘇生処置に関する自治省消防庁のデータからは、地域に即し
た評価を行うことは困難である。このため、各消防本部から管轄地域の資
料を入手して、地域性に応じた蘇生処置普及の方略を立案する必要がある。
本来は、このようなデータを各地域内で積極的に公表することで、事実
を以て市民による蘇生処置率の向上を呼びかけるべきであろう。ところが、
実際には、消防職員に「あなたの管轄地区の、市民による蘇生処置の実施
率はおよそ何%か」というような質問をしても、明瞭な回答が得られない
ことがままある。逆に、年間の救命講習受講者数や累積受講者数について
は、立て板に水のごとく説明していただけることが多い。
関係者は指導そのものを最終的な目的としてはいないだろうか。指導に
よって市民の意識がどう変わったのか、蘇生処置の実施率がどう変わった
のか、という本来の目的を忘れてはならない。また、蘇生処置の普及は、
消防・日本赤十字社をはじめとする関係組織の協力なしにはあり得ない。
地域住民に対して全体としてどの程度の働きかけがなされ、その結果どの
ような成果が得られたのか、各地域の関連組織間で積極的に情報共有を図
るべきであろう。
――――――――――――――
〇
>昨年、「岡山救急医療研究会」で普通救命講習
>の事について、発表したとき、座長から広島市のバイスタンダーCPR実施率
>は、20%以上(違っていたらごめんなさい)と紹介されて、津山圏域の場合
>は、8%と低く情けない思いをしたことがありました。
→ この情けない思いをバネにしましょう。よいデータは人を喜ばせ励み
になりますし、悪いデータもまた頑張らねばという意欲をかきたてま
す。自組織に不利なデータをすべて隠してしまうのは考えものです。
(総務省消防庁は市民CPR実施率に関する消防本部ごとのデータを持っ
ていますが、各本部のイメージダウンになるのを恐れて公開しませ
ん。)
第3回中国四国救友会のアンケート調査(2002)
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/m5chusi3.htm
によりますと、2001年の岡山県の市民CPR実施率は20.8%(目撃例で
43%、非目撃例で15%)でした(中国四国全体では実施率28.5%、目
撃例42.5%、非目撃例 22.8%)。
過去のデータでは1994年、米国Pittsburgh市の市民CPR実施率が35.2%
(目撃例40.4%)であったのに対し、松山市8.4%、愛媛県東温地区
2.6%、米子市8.9%に過ぎませんでした。その後、米子市ではすばら
しいCPR普及活動が展開され、現在は50%近いCPR実施率を誇っている
とお聞きしています。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日米の地方都市におけるプレホスピタルケアの比較検討
(越智元郎ほか、日救急医会誌 1997; 8: 247-52, 1997)
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/98/9801pitt.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Aさん、皆様、包括的指示による除細動やACLSの普及だけでは病院外
心肺停止患者の社会復帰率は上がりません。目撃例に対する市民CPRの実施
率100%をめざして、引き続き努力をしてゆきましょう。
From: 伊賀 正泰
Date: Mon, 23 Jun 2003 21:35:53 +0900
Subject: [eml-nc3: 1842] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
皆さん、こんにちは。伊賀@松山消防(愛媛)です。
・・さん、ご存知だろうとは思いますが、愛媛では一昨年、
宇和島水産高校の実習船・えひめ丸が
ハワイ沖でアメリカの潜水艦と衝突・沈没し、9人もの方が亡くなっています。
事故自体には関心がありましたが、乗組員の中に医療関係者がいるとかいないとか
考えたことがなかったので、今度、宇和島消防の救急隊員に会った時に
聞いてみようと思います。もし、医療関係者がいないのであれば、
乗組員に応急手当を知っといてもらわないといけないですよね。
ただ、生徒さん以外の乗組員は愛媛県外の方が多いようです。
ちなみに先日、新・えひめ丸が完成し、初航海に出て、ハワイの慰霊碑の前で
乗組員が手を合わせているところがニュースで流れていました。
急に話が変わって申し訳ないのですが、昨年から指導している
【循環サインの確認】について教えてください。
1)循環のサインというのは、呼吸がなかった場合に行なう2回の人工呼吸に対して
いき・せきをしているかということと体の動きがあるかどうかということですが、
今までに呼吸・体動がないのに、脈拍は触れるという傷病者を何人も搬送しました。
医療従事者は脈拍を必ずチェックしますから、確実に心停止を確認できますが、
一般市民が行なう循環のサインだけでは心停止かどうかはっきりわからないんじゃないかと
個人的に思っています。
一般市民の講習の際、「循環のサインがなければ、心臓は絶対動いてないのですか?」
と聞かれた時、言葉につまってしまいました。
多くの場合は心停止してますと、答えたのですが、それでよかったのかどうかわかりません。
みなさん、どうお考えでしょうか?
2)上記のことから考えると一般市民の方にも一応、総頚動脈をとる練習をしてもらったほうが
いいんじゃないかと思う時があります。とってみて総頚動脈が触れれば、
心マをしなくていいと、指導したらどうかと・・・
みなさん、どう思いますか?
現在も総頚動脈を触れる練習を救命講習の中でやってる人いますか?
3)心マを開始して1分後に循環のサインを再度確認しますが、
以前ですと、脈拍が触れたら心マをやめて人工呼吸だけ継続ということでしたが、
循環のサインがあるということは、いきもせきもあるということなので、
人工呼吸も必要ないと思っています。
[改訂版指導者のための救急蘇生法の指針]の中の44ページの
年齢別の心肺蘇生法の比較という表の中頃の「循環サインがある」という列には
気道確保と人工呼吸と書かれていますので、
循環のサインがある=いきがあるということなら人工呼吸は必要ないと思うのですが・・・。
1分後の循環サインの確認後、循環サインがある場合について
どういう風に指導されてますか?
長々とすみません。普段から[循環サインの確認]について疑問に思っているところを
書かせていただきました。どれかひとつでもいいですので、みなさんのお考えを
聞かせてください。では、失礼します。
***************
伊賀 正泰(いが ただやす)
松山市東消防署(救急救命士)
愛媛県松山市道後湯之町18-4
From: "田邉 俊司"
Subject: [eml-nc3: 1844] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
Date: Mon, 23 Jun 2003 22:30:17 +0900
伊賀@松山消防さん、皆さん、こんばんわ。
田邉@大津消防です。
伊賀さんが書かれた
> 1)循環のサインというのは、呼吸がなかった場合に行なう2回の人工呼吸に対して
> いき・せきをしているかということと体の動きがあるかどうかということですが、
> 今までに呼吸・体動がないのに、脈拍は触れるという傷病者を何人も搬送しました。
> 医療従事者は脈拍を必ずチェックしますから、確実に心停止を確認できますが、
> 一般市民が行なう循環のサインだけでは心停止かどうかはっきりわからないんじゃないかと
> 個人的に思っています。
> 一般市民の講習の際、「循環のサインがなければ、心臓は絶対動いてないのですか?」
> と聞かれた時、言葉につまってしまいました。
> 多くの場合は心停止してますと、答えたのですが、それでよかったのかどうかわかりません。
> みなさん、どうお考えでしょうか?
→ 伊賀さんのお気持ちは良く分かりますが、これに拘っちゃうと改正前に戻っちゃいま
す。総頸動脈を触知して判断すると「心臓が止まっているのに動いている」と判断するエ
ラー、すなわち10%のエラーを回避するため簡便な評価方法に変わった訳です。
そして、心臓動いているのに心臓マッサージするエラー、40%のエラーはそれほど重
要なエラーではないとされております。
> 2)上記のことから考えると一般市民の方にも一応、総頚動脈をとる練習をしてもらったほうが
> いいんじゃないかと思う時があります。とってみて総頚動脈が触れれば、
> 心マをしなくていいと、指導したらどうかと・・・
> みなさん、どう思いますか?
> 現在も総頚動脈を触れる練習を救命講習の中でやってる人いますか?
→ 上記にもつながりますが、インストラクターが受講者の正確性を求めて色々な知識を
教えることは、心肺蘇生法の技術を継続することにはならなかったとされています。あく
までCPR講習の目標は心肺蘇生法の技術の維持と継続ですからこの事をまず考えるべき
と思います。
よって私は、「今回の心肺蘇生法の改正は受講者の皆様方が主体で、そして緊急事態時
に皆様方に正確性が求められている訳ではない」と説明しております。
> 3)心マを開始して1分後に循環のサインを再度確認しますが、
> 以前ですと、脈拍が触れたら心マをやめて人工呼吸だけ継続ということでしたが、
> 循環のサインがあるということは、いきもせきもあるということなので、
> 人工呼吸も必要ないと思っています。
> [改訂版指導者のための救急蘇生法の指針]の中の44ページの
> 年齢別の心肺蘇生法の比較という表の中頃の「循環サインがある」という列には
> 気道確保と人工呼吸と書かれていますので、
> 循環のサインがある=いきがあるということなら人工呼吸は必要ないと思うのですが・・・。
> 1分後の循環サインの確認後、循環サインがある場合について
> どういう風に指導されてますか?
→ 私の理解では呼吸と咳はひとくくりとして、体動と分けております。伊賀さんの言わ
れるように十分な呼吸が現れれば人工呼吸も必要がなくなると思います。しかし、体動
(反応)があっても呼吸が止まっている場合があります。その場合は人工呼吸が必要と思
います。
勝手な解釈ですが、人工呼吸後もし、呼吸が無く体動(反応)があれば人工呼吸のみ、
人工呼吸後、呼吸・咳・体動(反応)が無ければ心臓マッサージと思っています。
ご批判があるかと思いますが、受講者に対してこんな事もあるのでしっかり確認とかを
強調しちゃうと「やっぱり自信が無い」と引いちゃいます。現実に「こんな事を言われる
と自信が無い」と受講した身内も言っております。受講者にもっと自信を持ってもらうた
めに、もし間違っても大丈夫ですよ、緊急事態ですから、もし、心臓が動いていて心臓
マッサージをしても反応が無ければ、それほど状態が悪いのです。と言ってあげても良い
のではないでしょうか。
****************
大津市消防局市民安全課
田邉 俊司
****************
From: "岡田勇"
Date: Tue, 24 Jun 2003 20:00:29 +0900
Subject: [eml-nc3: 1863] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
みなさんこんにちは はじめまして岡田@周桑消防(愛媛)です
私も新しい心肺蘇生法に関する疑問がたくさんあっていろいろ調べているときに、下記のインターネットのホームページにたどり着きました。
http://www.teate.jp/inf/osirase_01.htm
東京救急協会 <新たな心肺蘇生法に関する質疑応答>
ここのホームページを読んでから自信を持って心肺蘇生法を指導できるようになりました。ぜひ参考にして下さい。
From: "Irie Kousi 1"
Subject: [eml-nc3: 1866] Re: 普通救命講習(カーラー曲線)
Date: Wed, 25 Jun 2003 08:39:13 +0900
岡田さん、皆さん、おはようございます。
サブタイトルを変更させていただきました。
【岡田さん】
> みなさんこんにちは はじめまして岡田@周桑消防(愛媛)です
> 私も新しい心肺蘇生法に関する疑問がたくさんあっていろいろ調べて
いるときに、下記のインターネットのホームページにたどり着きました。
>
> http://www.teate.jp/inf/osirase_01.htm
>
> 東京救急協会 <新たな心肺蘇生法に関する質疑応答>
⇒このHP見てきました。最初に目に飛び込んだのが、ドリンカー曲線から
カラー曲線に変更した理由。
しかし、このカラー曲線、科学的でしょうか?日ごろの救急活動の経験から
言っても、何か変だな―?と思うものです。
原因と時間因子のみに注目して、救命率を出すというのは、乱暴過ぎると
思います。
以前にも話したことがあるのですが、救急講習の受講者には正確な情報を
提供すべきだと考えています。私の考える正確な救命率に関する情報とは、
その地域の社会復帰率だと思うのですが。
受講する人達が、その社会復帰率のあまりの低さに、驚かれることもある
かもしれませんが、「低いからこそ少しでも高くしたい。」と訴えたり、善意で
蘇生を試みた人が、『救えなかった。』と心に傷を負わないように、正しい
情報を伝える必要があると考えます。
高い確率で救えるような錯覚を与える、『カーラー曲線』を使用する講習は
皆さん、止めませんか。
===========================
YONAGO-TOTTORI-JAPAN
Irie-Kousi 入江 幸史
===========================
From: Genro Ochi
Date: Thu, 23 May 2002 02:43:23 +0900
Subject: [eml-nc2: 2194] JRCへの疑問:カーラー曲線の原文を読みたい
・・さん、・・さん、皆様、愛媛大学の越智
です。もう一つJRCへの疑問点を書かせて下さい(これも皆様と同じ
意見なのだと思う)。
ドリンカー曲線は姿を消しましたが、カーラー曲線は残っています
(最後の指導手順か何かのところに出てきますね)。この原文である
国連文書なるものをどなたか私に読ませて下さいませんか。
AHAにも、ERCにも出てこない、PubMedでもひけない、ウェブにもな
い(たぶん)、カーラー曲線の原文を・・ です。
それでは皆様、また。
From: "榎本"
Subject: [eml-nc2: 2205] Re:カーラー曲線の原文を読みたい
Date: Thu, 23 May 2002 11:26:36 +0900
eml-nc2
の皆さん
コンニチワ
榎本@東京消防庁です。
越智さんより
> ドリンカー曲線は姿を消しましたが、カーラー曲線は残っています
> (最後の指導手順か何かのところに出てきますね)。この原文である
> 国連文書なるものをどなたか私に読ませて下さいませんか。
以前にドリンカー博士は実在するとレスした関係でカーラー曲線について
upさせて頂きます。
私の知る限りでは、そもそもカーラー曲線が我が国に初めて紹介された
のは、昭和56年3月16日全国山村振興連盟から自由民主党山村振興
対策特別委員会に対して「山村地域におけるヘリコプター利用による救急
医療組織の確立についての要望書」の中で「助かるはずのものを助ける
救急」を実現する基準が挙げられ、その中でフランスの救急専門医カラー
博士の「専門的な初期救急治療がいつ開始できるかによって変化する
死亡率」を示す曲線が引用されたのが最初だと思います。
その後、昭和59年12月1日に自治省消防庁長官宛てに日本蘇生学会
と日本麻酔学会から「救命救急治療開始時間目標値の設定の件」が提案
され、その学術的裏打ち資料として「救急活動の効果 ZU DEN WIRKUN
GEN DES RETTUNGSDIENSTES」1982年3月西ドイツ連邦道路局の
参考文献が紹介されカーラの「緊急原因による死亡事故の死亡率」として
カラーの曲線が載ったものと思われます。
この西ドイツの文献を元国立熱海病院長医学博士渡邊茂夫先生と元航空
自衛隊岐阜地区病院長医学博士榎本コウ(故人となりましたが私の叔父です。)
が訳監修をしています。
その引用文献として
CARA,M.
Tentative Classification of Emergency
Situations,in:Planing and Organization
of Emergency Medical Services(EURO
Report and Studies 35)
Hrg.Wored Health Organization
Kopenhagen 1981,S.21−28
と載っていました。
以上、あくまでも私個人の知る限りの情報として参考になるかどうか
わかりませんがレスさせて頂きました。
榎本 暁 東京消防庁第五消防方面本部
From: Genro Ochi
Date: Thu, 23 May 2002 11:50:03 +0900
Subject: [eml-nc2: 2206] Re: 2205 カーラー曲線の原文を読みたい(Evidence Based Guidelines
の時代)
榎本さん、皆様、愛媛大学の越智です。
榎本さんからは大変貴重な情報をいただき、誠に有難うござい
ました。ほかの方からも個人メールをいただき、ひょっとしたら
該当論文を送っていただけるかも知れません。勉強させていただ
きます。
ただ、昨今の Evidence Based Medicine (EBM), Evidence Based
Guidelines の考え方には批判もありますが、G2000が文献の信頼
性などを十分に検討した上で作り上げられたガイドラインである
ことを立脚点にしたいと考えています。容易に入手できず、また
G2000やガイドライン策定会議資料に引用されないレベルの文献を
大々的に取り上げるのは、やはりわが国のローカルな指導方法で
はないかと思うのです・・
それではまた色々とご指導お願い致します。
From: 伊賀 正泰
Date: Wed, 25 Jun 2003 14:56:39 +0900
Subject: [eml-nc3: 1871] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
みなさん、こんにちは。伊賀@松山消防(愛媛)です。
みなさんのご指導、本当にありがたく思っております。
私は指導する立場でしか考えていなかったことを痛感いたしました。
岡田@周桑消防(愛媛)さん、たいへん参考になりました。
田邉@大津消防さん、ちょっと教えてください。
>> 3)心マを開始して1分後に循環のサインを再度確認しますが、
>> 以前ですと、脈拍が触れたら心マをやめて人工呼吸だけ継続ということでしたが、
>> 循環のサインがあるということは、いきもせきもあるということなので、
>> 人工呼吸も必要ないと思っています。
>> [改訂版指導者のための救急蘇生法の指針]の中の44ページの
>> 年齢別の心肺蘇生法の比較という表の中頃の「循環サインがある」という列には
>> 気道確保と人工呼吸と書かれていますので、
>> 循環のサインがある=いきがあるということなら人工呼吸は必要ないと思うのですが・・・。
>> 1分後の循環サインの確認後、循環サインがある場合について
>> どういう風に指導されてますか?
>
>→ 私の理解では呼吸と咳はひとくくりとして、体動と分けております。伊賀さんの言わ
>れるように十分な呼吸が現れれば人工呼吸も必要がなくなると思います。しかし、体動
>(反応)があっても呼吸が止まっている場合があります。その場合は人工呼吸が必要と思
>います。
> 勝手な解釈ですが、人工呼吸後もし、呼吸が無く体動(反応)があれば人工呼吸のみ、
>人工呼吸後、呼吸・咳・体動(反応)が無ければ心臓マッサージと思っています。
循環サインを確認して、いき・せき・体動のうち、いずれかの反応があれば
心マは実施しない。
体動のみがあった場合は人工呼吸のみ継続するということですね?
しかし、循環サインの確認の前半の5秒間程度では有効な呼吸をしているかどうか
わかりにくいと思うのですが、体動が確認されて心マを中止した後、
有効な呼吸をしているかどうか確認をするように指導したほうがいいんでしょうか?
心マ継続ということであれば、通常は2〜3分おきに循環サインの確認をしますが、
呼吸確認を実施ということに切り替えるのでしょうか?
それとも、人工呼吸のみ継続している場合でも循環サインの確認を行なうのでしょうか?
ここらあたりは考えれば考えるほどこんがらがってきました。
講習のシンプルさという点からどんどん逆行していってますが・・・。
実際、どのように指導されてますか?
細かい部分をつつくようで申し訳ないのですが、おしえてください。
よろしくお願いします。
***************
伊賀 正泰(いが ただやす)
松山市東消防署(救急救命士)
愛媛県松山市道後湯之町18-4
From: "田邉 俊司"
Subject: [eml-nc3: 1875] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
Date: Wed, 25 Jun 2003 23:27:32 +0900
伊賀@松山消防さん、皆さん、こんばんわ。田邉@大津消防です。
伊賀さんが書かれた
> 田邉@大津消防さん、ちょっと教えてください。
中間を省略させて頂きます。
> 循環サインを確認して、いき・せき・体動のうち、いずれかの反応があれば
> 心マは実施しない。
> 体動のみがあった場合は人工呼吸のみ継続するということですね?
> しかし、循環サインの確認の前半の5秒間程度では有効な呼吸をしているかどうか
> わかりにくいと思うのですが、体動が確認されて心マを中止した後、
> 有効な呼吸をしているかどうか確認をするように指導したほうがいいんでしょうか?
> 心マ継続ということであれば、通常は2〜3分おきに循環サインの確認をしますが、
> 呼吸確認を実施ということに切り替えるのでしょうか?
> それとも、人工呼吸のみ継続している場合でも循環サインの確認を行なうのでしょうか
?
> ここらあたりは考えれば考えるほどこんがらがってきました。
> 講習のシンプルさという点からどんどん逆行していってますが・・・。
> 実際、どのように指導されてますか?
> 細かい部分をつつくようで申し訳ないのですが、おしえてください。
> よろしくお願いします。
→ 私の救命講習は6月20日から始まりました。いつもMC担当等をしているので講師
依頼等がなければ機会がありません。
本題ですが、実際に私が発言したような内容を私の方から進んで受講者には伝えてお
りません。
受講者から「心臓マッサージをしていて痛みによる顔をしかめる等の反応が出てきた
場合にはどうするのか」よく質問されますので、その時に「呼吸がなければ人工呼吸をし
て下さい」と説明して何分か後に、また循環のサインを確認してサインが無ければ心臓
マッサージをする。そして心臓マッサージをして、また、顔をしかめるとかあれば呼吸を
確認して無ければ人工呼吸・・・・・こんな風にしております。
こんな質問を受ける理由は、必ず受講者の方に自分の親指で胸骨を押して頂いており、
そして「痛いでしょう。ここを3.5pから5p押し下げるのです。それでも反応しない
人はすごく状態の悪い人です」と説明しているからかも知れません。
現実、本当の心停止で医療従事者以外が体動があると判るまで反応が出れば、蘇生成
功。しかし、ほとんどの場合、サインは気付かれず心臓マッサージが続けられるのでは無
いでしょうか。そして、救急隊が到着するまでの時間内であればそれほど問題が無い。
正確性を求めてインストから進んで、この様なことに触れない。しかし、受講者から質
問があればニーズに応えるため答える。
そもそも循環のサインは、心臓停止から来る呼吸停止が中心で考えていると思っていま
す。呼吸停止から来る心臓停止の症例を中心に考えられたのなら変わっていたかも知れま
せん。
私は、つい最近まで「意識づけが大切で意識づけがうまく行けば実技も身に付きうまく
行く」や「もっとたくさん知って頂きたい。伝えたい」と思って講習会をしておりました
が、G2000を呼んでCPR実技収得に中心をおこうと考え直しました。ですから私の
講習はすぐ班分けから入って、@意識の確認から助けを呼ぶまでA気道確保・人工呼吸・
循環のサインの確認B心臓マッサージと人工呼吸C始めからCPRして1分後循環のサイ
ンの確認までを私の展示を見て受講者の方にして頂いております。各班にはインストのサ
ポートもあります。そして実技がほぼ終わった後に質問を受け語るようにしております。
受講者の方は実技を行っている見ている中で「こんな時はどうするのだろ」と思われる
みたいです。質問に答えるだけでも深い内容になります。
あくまで私のやり方の紹介です。
****************
大津市消防局市民安全課
田邉 俊司
****************
From: 伊賀 正泰
Date: Thu, 26 Jun 2003 00:36:15 +0900
Subject: [eml-nc3: 1877] Re: 普通救命講習(循環サインの確認)
みなさん、こんばんは。伊賀@松山消防(愛媛)です。
田邉@大津消防さん、ありがとうございました。
田邉さんのおっしゃるとおり、はじめからあまり細かいことは
言わないで、聞かれた時に指導するようにしたいと思います。
簡単・シンプルでわかりやすい講習を目指して
今後もいろいろ模索していきたいと思います。
普通救命講習のことが話題になってるついでに、
もう1点、教えていただきたいことがあります。
救命講習に限ったことではないかもしれませんが、
人に話をする時や講習をうまく進めるうえで、
受講者の気持ちをいかに引き付けるか
ということが重要だと思うのですが、
みなさん、どのような工夫をされてますでしょうか?
私は、笑いがある楽しい講習会にしたいと思って、
時どきジョークとかを織りまぜたりしてますが、
人を笑わせるというのは結構むずかしいですよね。
ご教示の程、よろしくお願いいたします。
***************
伊賀 正泰(いが ただやす)
松山市東消防署(救急救命士)
愛媛県松山市道後湯之町18-4
From: "A"
Subject: [eml-nc3: 1878] Re: 普通救命講習(循環のサインについて)
Date: Thu, 26 Jun 2003 05:17:42 +0900
伊賀さん emlの皆さん、こんばんわ!
A@・・消防です。
勤務明けでメールを見ると、「普通救命講習」のサブタイトルで活発な意見
が交換がされていてびっくりしました。大変勉強になります。
※循環のサインについて
〔G-2000(p53)に再評価の項目で米国では、循環のサインを確認し循環
の再開が確認されたなら、呼吸の状態を観察する…〕とあります。
→循環のサインは、あくまでも循環についての評価
呼吸or咳or体動があれば、もしかしたら循環があるんじゃないかなぁ〜?
なら、もう一度、呼吸の確認に戻って、10秒以内でどんな呼吸か観察す
る。
十分な自発呼吸があれば、回復体位で「呼吸の観察、循環のサイン」の継続
観察、不十分な呼吸もしくは無い場合は、またプロトコールに戻れば良いと理
解しています。
市民にとって、よりリスクが少ないというエビテンスで呼吸or咳or体動が脈
拍の確認になっている訳ですよね! これとは別に呼吸の確認には、見る聞く
感じるで、より呼吸に集中し、十分な自発呼吸か否かを判断するしかないと思
います。
ところで、市民にとって普通の呼吸ってなんだろう?結構、疑問なのではな
いのでしょうか、伊賀さんが紹介されたように、2人組で呼吸の確認をしても
らって、呼吸がある時とない時の違いを体感してもらうことは有効だと思いま
す。
A的オプションとして、10秒以内の観察(呼吸、循環のサインどちら
も)最初の1〜2秒は心の中で「落ち着け!」と叫ぶために使っても良いです
よ!って指導しています。これって反則かもしれませんね(^_^;)
From: "A"
Subject: [eml-nc3: 1879] Re: 普通救命講習
Date: Thu, 26 Jun 2003 06:28:22 +0900
榧さん、・・さん、越智さん、・・さん、emlの皆さんお早うございます!
A@・・消防です。
ちょっと話題が混乱してきたので、指導内容は、G-2000の市民の行うBLSを
前提と考え、下記のことについて皆さんのご紹介を、よろしくお願いします。
1)受講者の記憶に救命講習を残すための指導要領、ちょっとしたアイデアをご
紹介下さい。
2)通救命講習の回数確保の方法をご紹介ください。
◆榧さんからの紹介
3つのブースに分けて手順を指導する方法。
→未だ試せてません。順番が整理できて、記憶しやすそうですね!
受講者の方に「今日学んだ心肺蘇生の流れを資料を見ないで家族の方に説明
してみてください」と、宿題を出す方法。
→早速昨日の講習の最後に、使わせて頂きました。効果が確認できないのが残
念ですが、実行して貰えば、時間を少し空けての復習となるので良いと思いま
す。
◆・・さんからの紹介
実技が終った方に次の方に指導して頂く方法。
→この方法は、昨日私の同僚にためして貰いました。最初からは無理なので何
人か回ったところで、この方法に切り替えました。効果は、とにかく他の人の
受講についても食い入るように見学しておられ、予習ー体験ー復習 効果が凄
かった!
◆越智さん、コメントを頂き有り難うございました。
越智さんが書かれました。
> >昨年、「岡山救急医療研究会」で普通救命講習
> >の事について発表したとき座長から広島市のバイスタンダーCPR実施率
> >は20%以上(違っていたらごめんなさい)と紹介されて津山圏域の場合
> >は、8%と低く情けない思いをしたことがありました。
>
> → この情けない思いをバネにしましょう。よいデータは人を喜ばせ励み
>になりますし、悪いデータもまた頑張らねばという意欲をかきたてま
>す。自組織に不利なデータをすべて隠してしまうのは考えものです。
>(総務省消防庁は市民CPR実施率に関する消防本部ごとのデータを持っ
>ていますが、各本部のイメージダウンになるのを恐れて公開しません。)
→一昨日、MCになっての初めての勉強会が病院で開かれました。その中で、昨
年の10月から先月までのウツタインのデータが発表されました。中にバイス
タンダーCPR実施率が34%に上昇していました。社会復帰できそうな事例も
紹介されました。情けない思いから開始した努力(いろいろ)が少し実ったよ
うな気がして、うれしかったです。
◆・・さん、ご無沙汰しています。
(引用部分省略)
→・・ちゃん!救命講習には受講者のいろいろな背景があって、自分に何かでき
ることがないだろうか?突き詰めると、やりきれない気持ちになりますよね。
記載されていたようにドクヘリやAEDなど、浦ちゃんと共に救命士の勉強をし
ていた頃と比べると取り巻く環境も、次第に変わってきています。今、私たち
にできることは、最良の講習を提供することだと思います。頑張りましょう!
From: "kazuhiro kaya"
Subject: [eml-nc3: 1882] Re: 普通救命講習(循環のサインについて)
Date: Thu, 26 Jun 2003 19:05:31 +0900
Aさん、こんにちは、榧@玉野消防です。
みなさんが、Aさんの提案に帰ってきてくれるのを期待しながら、やはり乗っ
てしまいます。
最近、成人男性が仕事中に倒れているのを仲間に発見され意識がないという通報
で出動しました。じつは呼吸停止でしたが、通報までに観察が行われていない、
つまり救命講習を受けていない方に発見されています。これは受講者数を増やす
ためにはの問題です。
現場到着してみると仰臥位の患者に仲間が心マだけ行っていました。うれしかっ
たのですが、観察してみるとレベル300で呼吸停止、しかし頸動脈はビンビン
に触れ127回の頻脈でした。
救命講習を受けていない方の応急手当だったので、レベル300で呼吸停止を心
肺停止と思い心マを開始したのでしょう。除細動器でモニターするとSinus。コ
ンビチューブの指示をもらい、現場出発。搬送中に挿入して100%酸素で人工呼吸
を継続すると心拍は87回に安定し、病院到着後、輸液、採血、12誘導心電図と
原因検索に移った頃、自発呼吸再開となりました。
さて、呼吸停止で脈拍がある患者に心マをしたことは、本当に悪かったのでしょ
うか。心マにより胸郭の運動・内圧変化で人工呼吸の効果もあったのではないで
しょうか。
もちろん救命講習を受けていただき、正しい応急手当が行われることが目標では
ありますが、あの心マが呼吸再開につながったかも、と思えるふしもあります。
ここでの問題は救命講習を受講していなかったということもありますが、循環の
サインの確認ができなかったということでもあります。たとえ、受講していても
見た目に心肺停止と思ったのは循環のサインつまり体動が無かったからでしょ
う。頸動脈触知無しに循環のサインで心マに移行と指導している中での、患者の
状態が指導内容では説明しきれていない例外です。
でも、昔に戻ってしまわないように、現在の指導方法で、いかに多くの方に受講
してもらうか、受講した内容をいかに長く記憶していただけるか、そして、勇気
をもって患者さんに呼びかけをしてもらうかの議論が大切です。
Aさんも使われたリスクという言葉も、危険というネガティブな言葉のような
ニュアンスがありますが、イタリア語の語源は勇気を持って試みるという意味
だったと記憶しています。バイスタンダーの方が講習の内容を必死で思い出しな
がら患者に呼びかける姿を想像してしまうのは、甘いかもしれませんが、救命率
の向上とは.......
みなさん、帰ってきてくださいね。かや
■普通救命講習の工夫
okayama-acls(2003年7月)より
目 次
(発信者の敬称は省略させていただきます)
谷野[okayama-acls:1891] 日赤コースお疲れさまでした
御川[okayama-acls:1892] Re: 日赤コースお疲れさまでした
B [okayama-acls:1897] BLS
御川[okayama-acls:1903] BLS パート分割指導法!
B [okayama-acls:1906] Re: BLS パート分割指導法!
谷野[okayama-acls:1907] Re: BLS パート分割指導法!
Date: Wed, 9 Jul 2003 23:40:46 +0900
From: "谷野 雅昭"
Subject: [okayama-acls:1891] 日赤コースお疲れさまでした
・・先生、御川先生、みなさまこんばんは。
国立病院岡山医療センターの谷野です。
遅くなりましたが、日赤コースお疲れさまでした。
ブース長デビューで結構参りましたが、いい勉強をさせてもらいました。
ポジティブフィードバックって本当に難しいですね。
ところで、DCを誰がかけるか?の件ですが、
私はリーダー以外のメンバーがかけた方がいいのではと思っています。
理由は他の方がもう既に言って下さっているのとほとんど同じですが、
リーダーがかける前提があると、立ち位置はどうしても除細動器のそば
に決まってしまいますし(状況にもよると思いますが除細動器のそばが
ベストの立ち位置になることもあるかもしれませんが)、除細動の
際に流れが止まりがちになってしまったり、、、。
それから、除細動をリーダーがかけてしまうと、チームメンバーの1人が
する事がなくなってしまって、暇にしている人ができてしまうというのが
見受けられたような気がします。
しかし、実際の現場では、ACLS受講者ばかりなら蘇生チームのメンバーに
除細動を依頼できるかもしれませんが、リーダーがかけざるをえないことも
多いのではないかと思います。
ACLSコースにおいてはリーダーはチームメンバーのマネージメント、
状況の把握、判断に徹するのがいいのではないかと、私は思います。
あと、BLSの件です。
50分みっちりできたので、それなりにこなせるようになったのでは
ないかと思いますが、午後からのシナリオブースでBLSがいまひとつ
と感じたのは私だけではないと思います。
そこで、田口さん@東備消防がふれてくださった、国立病院岡山医療センター式?
BLSについて少々。
私が岡大麻酔科にいた頃に・・先生、・・先生と少ない時間で学生に
BLSを指導したとき、BLSを3パートに分けて行い、あとで通して
行うようにしました。
それもあって、当院でBLSを教える際にもパート練習を取り入れました。
以前、院内ミニコースで、ほとんどの受講生がBLSをマスターできなかった
苦い経験からです。
当院のBLSでのやり方ですが、意識確認〜人工呼吸、循環確認〜心マの
2パートに分けて教えました。
パート練習のメリットですが、細かいところまで指導が可能になることです。
通してばかりやると、どうしてもポイントがたくさんあって、1つ1つ修正
しながら教えても、なかなかうまくいかないことが多いと思います。
しかし、パートに分けるとその部分を徹底して教えることが出来、教える側
の目も行き届きます。こうして、BLSという言葉さえ聞いたことのない
人たちにBLSを覚えてもらえることができました。(もうわすれたかも、、)
参考までに、、、。
看護学校の・・先生、うちも負けていられませんね。
頑張りましょう!
<<<<<<<<<<<<<<<>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
谷野 雅昭 (Masaaki Tanino)
<<<<<<<<<<<<<<<>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
Date: Thu, 10 Jul 2003 03:03:12 +0900
Subject: [okayama-acls:1892] Re: 日赤コースお疲れさまでした
From: 御川 安仁
谷野先生、みなさん、振り返りありがとうございます。
御川です。
(中略)
〇
On 2003.7.9, at 11:40 PM, 谷野 雅昭 wrote:
> ところで、DCを誰がかけるか?の件ですが、
> 私はリーダー以外のメンバーがかけた方がいいのではと思っています。
> 理由は他の方がもう既に言って下さっているのとほとんど同じですが、
> リーダーがかける前提があると、立ち位置はどうしても除細動器のそば
> に決まってしまいますし
少し考えれば、見やすい位置でかつ除細動しやすい位置に移動させれると思うのですが、そこまで
受講生は考えてないですからね。みやすい位置とか、リーダ ーとしての立場、パドルの(位置)安
全性についてインストは細かく考えていても、受講生はそこまで考える余裕はないでしょうしね。
難しいですね。
〇
> (状況にもよると思いますが除細動器のそばが
> ベストの立ち位置になることもあるかもしれませんが)、除細動の
> 際に流れが止まりがちになってしまったり、、、。
> それから、除細動をリーダーがかけてしまうと、チームメンバーの1人が
> する事がなくなってしまって、暇にしている人ができてしまうというのが
> 見受けられたような気がします。
これに関しては、コース開始時点で一人休憩、5人でシュミレーションとしていましたが、気道確
保が十分でないときに2人法を徹底する意味で6人全員参加 にしました。一人余ることもあったと
思いますが、それ以上に気道確保を確実に(2人法を含めて)できているかチェックできたがが気
になります。。。
〇
> しかし、実際の現場では、ACLS受講者ばかりなら蘇生チームのメンバーに
> 除細動を依頼できるかもしれませんが、リーダーがかけざるをえないことも
> 多いのではないかと思います。
実際の現場では、リーダーが挿管し、DCすることが多いのではないでしょうか?
特に医師一人、あとは看護師の当直体制だったらね。。。そういう意味では人にやらせるより自分
がいかに安全でかつ合理的に(無駄なく)できることを練習 するのも大切なのではないでしょうか?
〇
> ACLSコースにおいてはリーダーはチームメンバーのマネージメント、
> 状況の把握、判断に徹するのがいいのではないかと、私は思います。
理想的にはね。。少なくとも「コース」ではそうかもですね。
〇
> 私が岡大麻酔科にいた頃に・・先生、・・先生と少ない時間で学生に
> BLSを指導したとき、BLSを3パートに分けて行い、あとで通して
> 行うようにしました。
それはよさそうですね。どこかで導入したいですね。。。
では
(後略)
Date: Thu, 10 Jul 2003 19:16:26 +0900 (JST)
From: B
Subject: [okayama-acls:1897] BLS
みなさん、こんばんは、Bです。
(中略)
1.まず3つのパートに分けて指導する方法ですが、私も以前からやっていま
した。ACLSの指導をスキルごとにやっていることからひらめいたものでした
が、つまり患者さんとの遭遇から通報まで、気道確保から人工呼吸2回まで、循
環のサインの確認から4クールのCPRの後の循環のサインの確認までを3つのパ
ートに分けて指導し、実際それぞれやっていただいた後に、全部を通してやっ
ていただくという方法です。すると、ほとんどの方がパートごとに頭の中で整
理できているようで、するすると最後まで、ほとんど間違いなくできてしまい
ました。われわれはたったこれだけのことがと、思いがちですが、医学の知識
の浅い初めての方にとっては、かなり混乱します。
2.わざと傷病者役の方に呼吸を止めてもらい呼吸のない状態と普通に呼吸し
ている状態との違いを体感していただくという方法。シムマンは呼吸の観察の
時に胸郭は上下しませんね。音声だけで。
3.アニメを多用したスライドとビデオを自作し訴える方法。すでにお昼休み
にやっていますね。アニメはないけど。
4.BLSのパートだけ、自宅に帰ってから家族にハンドブックをみないで説明し
てもらう方法。短い時間差ですが、教えることは二度学ぶこと。説明するには
頭の中できちんと整理が必要なので結構記憶につながり有効かも。
5.指導を受けたあとに、すぐ次の受講者に対し指導してもらう方法。
これはプレッシャーかかりますね。最短時間の教えることは二度学ぶことです
ね。
(後略)
Date: Thu, 10 Jul 2003 22:08:21 +0900
Subject: [okayama-acls:1903] BLS パート分割指導法!
From: yasuhito mikawa
御川です。
谷野先生、Bさん、・・先生。みなさん、今晩は。
なかなか、「分割して指導する」方式は良さそうですね。
第5回コースでやってみますか。
それから。「おっ、」と思ったのが、以下のBさんの報告。
> 5.指導を受けたあとに、すぐ次の受講者に対し指導してもらう方法。
> これはプレッシャーかかりますね。最短時間の教えることは二度学ぶことです
これいいですよね。受講者は自分がほんとに分かっているかすぐに確認になるし、イ
ンタラクテ?だし。この方式を導入すると、すこしいつもより時間かかりそうです
が、なかなかいい方法です。
今回は、とりあえず、BLSの一連の流れを分割指導方式でいきますか?
どこで分割するかは、インストの皆さんのやりやすい所で分割する、、で良いかな?
決めた方がいい?
僕なら「だれかあ!来てください!」の部分だけ独立させてまず声を出す練習をやっ
ちゃうなあ。。。。
谷野先生、Bさん、オーソドックスな分割法の進め方をアップしてくれませんか?
Date: Thu, 10 Jul 2003 23:25:35 +0900 (JST)
From: B
Subject: [okayama-acls:1906] Re: BLS パート分割指導法!
御川先生、こんばんは。Bです。
(中略)
さて、私が普通救命講習などで、いつも感じていたのですが、通しでデモ・指
導しても、さあグループに分かれてやってみましょうになってから、全員に手
取り足取りの最初からの指導を繰り返すことになり、しかも覚えてもらえない
んだろうなと思いつつ指導しているという変な実感があったからです。
私がやっている方法は
1.まず、全員に、隣の人に呼びかけた瞬間、隣の人はカクッと首を倒して、
死んだふりをしてもらい、救急車をよんでもらう。
2.全員にアンちゃんで気道確保・呼吸の確認・2回の呼気吹き込みをしてもら
う。
3.またしても、全員にアンちゃんで循環のサインの確認・4クールにCPRをし
てもらい再度循環のサインの確認で心マの手の位置までをしてもらう。
このあと、一人づつ通してやってもらってます。これは、普通救命講習での場
合ですので、ACLS版のBLSでやればいいと思います。
Date: Thu, 10 Jul 2003 23:32:11 +0900
From: "谷野 雅昭"
Subject: [okayama-acls:1907] Re: BLS パート分割指導法!
御川先生、Bさん、・・先生、みなさんこんばんは。
国立病院岡山医療センターの谷野です。
分割指導法にこれだけ反応していただいて嬉しいです。
岡大麻酔科にいたときに学生に超短時間でBLSを
教えたときは榧さんが言われているような3分割で
やりました。
国立岡山では2分割でやっています。
・意識確認〜人工呼吸
・循環サインの確認〜心臓マッサージ
です。
コンセプトは2分割も3分割も・・先生がおっしゃられて
いたように、短いパートを確実に繰り返して行うことで
覚えてもらうことです。
3分割でやるとよりきめ細かくできると思うのですが、
それぞれのパートで時間を費やしていくと、結構、
時間がかかりそうな気がして、意識確認〜通報までは
手短に、人工呼吸まで含めるかたちとしました。
それから、この2分割法で、院内メンバーによる
インストラクションを練習したことがあるのですが、
1人で解説しながらのデモを行ったところ、いずれの
パートも確か1分40秒程度でほとんど時間的な差が
なく行えました。
当院でBLSコースを行った際は各パートを別ブースにして
それぞれをまわる形で行ったため、時間的に同じである
必要もあったわけですが。
意識確認をして人とモノを集めるところはすぐ覚えて
くれると思うのですが、それからあとが問題です。
わりと、人とモノを集めたところで間のあいてしまう
人がいます。それもあって、直ぐ呼吸の確認につなげる
意味もあって一気に人工呼吸までをしてしまった方が
いいのではないかとも思っています。
それから、私の個人的な考えですが、ことばを声に出して
言うことで、口で流れを覚えさせてしまうのが重要と
考えています。
「○○さん、大丈夫ですか?」「意識ありません」
「ナースコール」「△△号室の○○さん急変です。人を
集めてください。それから、救急カートと除細動器を
持ってきてください」
「気道確保」「頭部後屈、顎先挙上」
「見て、聞いて、感じて、・,2,3,4,5」
「呼吸ありません」「人工呼吸開始します」
これらのセリフすべてをあえて口に出させるようにしています。
口に出すことで自分のやっていることを再確認させるためです。
みなさん、そうやっていらっしゃると思うのですが、ついつい、
声に出さずともできていればいいか、、と思ってしまうことも
あるものですから。
そうそう、剣道でこんな言葉がありました。
「気、剣、体、一致」 いくら面を打突しても同時に「メン」
と発しそれに一致して体も動いていなければ一本になりません。
体、口、頭すべて同時に覚えることが一番だと思います。
それから、循環サインの確認からのパートでは
頭部後屈し顎先を挙上して息を吹き込んだ後の姿勢から
スタートです。
頭の手はそのままで、もう片方の手は直ぐ頸動脈触知へ。
吹き込んだ呼気を患者が吐き出すのを確認した耳と頬は
(頭を上げず)そのまま息、咳を感じ、頭を上げて体動
を確認する。という具合に。
あと、私のこだわりですが、院内で教える際、解説付きデモの
後で、解説無しのデモを行っています。
理由は、解説つきのデモだけでは受講生に解説はできても
流れをつかませることが難しいと思うからです。
あえて、直前に解説無しのお手本を見せることで、それを
まねてやってくれます。
長々と書いてしまいました。ごめんなさい。
こんなんでよろしいですか? 御川先生。
よろしくお願いします。
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谷野 雅昭 (Masaaki Tanino)
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