第3回地域防災民間緊急医療ネットワーク・フォーラム

資料集より


 目 次

■フォーラムについて
(フォーラム実行委員会事務局長 鎌田裕十朗)

■本フォーラムにおける発信の引用についての御願い

■公開図上訓練コーディネーターから一言

(小村隆史)

■東京都の災害時応急体制と医療救護体制

(東京都衛生局医療統計部救急災害医療課長 小室 匠)

■都医師会と東京都の災害医療体制

(社団法人東京都医師会 理事  木村 佑介)


フォーラムについて

(フォーラム実行委員会事務局長 鎌田裕十朗)


 この度のフォーラムにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。 フォーラム実行委員会事務局長として厚く御礼申し上げます。

 前回フォーラムでは「東海大地震」をテーマに、京都大学巨大災害センター長 河田教授の御講演と静岡県を中心としたシュミレーションを行い、参加の100 余名の方に御好評をいただきました。

 河田教授の御講演は、7月のパプアニューギニア大津波への対応につながる誠 にタイムリーなものとなりました。またシュミレーションは9月の静岡県総合防 災訓練(掛川市)において、フォーラム参加団体の中から医療ボランティアとし て自衛隊ヘリコプターを用いて国立病院災害医療センター東京病院(立川市)へ の広域搬送に参加するなど、より実際的な訓練実施ならびに民間医療組織と行政 体との連携強化につながっております。

 今回は、平成9年8月に見直された「東京直下型地震想定」をもとに昨年同様、 コーディネーター小村隆史氏を中心に各現場担当者のパネリストがシュミレーシ ョンを行います。

 どうぞ皆様、コーディネーターが繰り出す難問をパネリストと一緒に解決して いって下さい。

 なお、この「図上演習」は「チャタムハウス・ルール」に則り進めさせていた だきますので御理解と御協力をお願い申し上げます。

 最後に、このような素晴らしい会場を御提供いただきました日本大学に深謝申 し上げます。

フォーラム実行委員会事務局長 鎌田裕十朗


■本フォーラムにおける発信の引用についての御願い

 本フォーラムにおいては、参加者に自由に発言していただくため、「いわゆるチャタムハウス・ルール」を適用します。このルールは、元々は、国際政治の研究において、本音の理論ができる場を担保するために作られたもので、その要点は以下の通りです。

  1. 研究会における発言を公刊文書やマスメデイアにおいて引用する場合、発信者が特定されるような形での引用は行わない。

  2. すなわち「○○という研究で△△という意見が出た」という引用はよいが、発信者の名を明記したり、明記しなくても、発信者が推測できるような形での引用は行わない。

  3. 発信者が個別に了解すれば、この限りではない。

 各シンポジストにはこのルールを選定として、参加し、発言していただくことになっております。参加者のみなさんのご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。シンポジウム終了後、懇親会があります。シンポジストの了解を求める場として、そして何よりも懇親を深める場として、ご利用下さい。


第3回地域防災民間緊急医療フォーラム
「公開図上訓練:東京直下の震災への初動対処を考える」

コーディネーターから一言

(アカデミック・コーディネーター 小村隆史)


 今年のフォーラムでは、初めての試みとして、公開図上訓練を行うことにしました。図 上訓練と言っても、堅苦しいものではありません。パネリストの皆さんと、また会場の皆 さんと、想定上の被災地の地図を囲み、想定上の被災状況を踏まえ、ただし現実の対応能 力に基づいて、「ああでもない」「こうでもない」と議論を交わしながら、問題点を探り 出そうというものです。

 災害としては、発災が危惧されている東京直下の震災を想定しました。東京都は、一昨 年(1997年)8月に、東京直下で地震が発生した場合に想定される被害に関する調査報告(「東京における直下地震の被害想定に関する調査報告書」)を発表しました。今回の図上訓練では、この被害想定を踏まえ、関係各機関の対応を議論したいと思います。

 議論にあたっては、3つの焦点を定めました。それは……

  1. 医療救護を必要とする被災者の動線(流れ)と、それに関わる救援活動の内容と実行可能性を中心に議論を進める。

  2. 発災直後の混乱の中から関係機関が組織立った対応を始めるまでの間、具体的には3時間〜24時間までを対象とする。

  3. 冬の夕方6時の発災とする。つまり、職員の多くはまだ職場に残っている時間帯での発災である。そして、すでに辺りは暗くなっている……。

の3つです。

 つまり、捜索・救助→応急手当→被災地域内搬送→被災地域内の医療施設への収容→治療→被災地域外の医療施設への搬送、という一連の流れ(患者動線)を想定し、この動線を 軸とする様々な救援活動の実行可能性を、フリー・ディスカッション形式で議論しよう、その際、マンパワーには比較的恵まれているが、これから長い夜が始まるという暗く寒い 時間帯に発災したと想定してみよう、というのです。医療救護に焦点を当てたのは、医療救護活動に、救援活動の良し悪しが、最もシンボリックな形で現れるからです。

 といっても、災害時の医療救護活動は、実はそのほとんどは医療関係者の領域ではありません。電気や水、ガス、通信手段、物流等があって、はじめて医療活動が可能になります。この意味で、氷山の水面から顔を出している部分に過ぎません。水面下で支える人があってこその医療救護活動なのです。往々にして、医療関係者はこの事実を忘れがちです。今日の公開図上訓練では、この点について、じっくりと議論したいと思っています。

 議論は大きく2つに分けたいと思います。前半は、発災直後の地域に密着した形で、発災直後の局地的な救援活動のあり方を議論したいと思っています。議論の舞台には、一旦地震が起これば深刻な被害の発生が危惧されるが、住民参加の防災活動が積極的に行われている、墨田区を選びました。後半は、発災翌朝から本格的な広域救援活動を開始するために、翌朝までの約半日の猶予期間内に、被災地の内外で、何を準備すればよいのかを議論したいと思っています。(当然「12時間も待機する必要はないではないか」と言う人もあるでしょう。その必要性はわかりますが、夜が明けないうちに被災地内に入り込もうとしても、しかるべき準備は必要ですし、救援活動はより困難ではないでしょうか。)

 この区分は、日本の災害医療研究の草分けであられる、日本赤十字社OBの河野正賢先生による「フェイズ0」から「フェイズ1」への移行をモデルとしました。河野先生によるフェイズ区分と各フェイズの特徴については、資料として本プログラムに収録してありますので、あわせてそちらもお読み下さい。  会場中央には3.6m四方の地図台を用意しました。地図の縮尺は、前半は2,000分の1、後半は2万5千分の1です。したがって前半では約7km四方が、後半では約90km四方が、地図台に収まっています。7km四方という大きさは、中くらいの区がひとつ入るくらいの大きさであり、90kmという距離は、東京都区部を中心とすると、東は成田空港まで、西は横田基地までがカバーできるくらいの大きさです。東京直下の震災は、「区部はひどいが多摩はそうでもない」、「多摩はやられたが区部は何とかなっている」という様相になるといわれています。ですから、「揺れはひどかったけれど深刻な被害には見舞われていない」隣接地域との連携が大きな課題となるのです。

 今回のパネル・ディスカッションでは、答えは求めません。しかし、言いっ放しで終え ないように、議論の中で出てきた問題点はその都度書きとめ、終了時に皆さんに持ちかえ ってもらえるよう手配しました。今回明らかになった課題を、これから先、共に考えてい くための、皆さんとの共通財産にしたいと思っています。

 最後に。

 被害想定は都庁に行けば900円で売っています。住宅地図は、東京23区については、1区当たり8,000円(1冊4,000円×2冊)で、2万5千分の1の地図は1枚270円で、それぞれ購入できます。地図の上に透明シートをかぶせて書きこみを行いますが、このシートもm単価300円程度です。全部合わせると、個人負担としてはちょっとした額ですが、自治体や施設単位で見れば、大した出費ではないはずです。そして、今回の公開図上訓練で使った関連データは、すべてこのプログラムの中に収録しました。

 皆さんの出身母体に戻られたら、この公開図上訓練の話をしてみて下さい。そして一度 、皆さんなりに、防災図上訓練をやってみて下さい。きっと、何かしらの発見があるはず です。その発見を、今度は私達にフィードバックしてください。そのような双方向の関係作りが出来れば、今回のシンポジウムの企画には意味があったと、私達は考えています。

第3回地域防災民間緊急医療ネットワーク・フォーラム
アカデミック・コーディネーター  小村 隆史   


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