救急救命士の気管挿管問題について

【2月28日〜】


From: 和泉 潤(一般市民)
Subject: [eml-nc2: 0848] RE:  救急救命士のジレンマ
Date: Thu, 28 Feb 2002 23:05:30 +0900

こんばんわ みなさん
和泉@日赤彩玉です。

早速、見ましたNステ特集! 現場の生の現場と、救命士さんたちの本音。そして、
関係者の理解があってしっかりしているな〜と思って見ていましたが。
厚生労働省の方の発言…危険⇒事故発生⇒責任の追及!という恐怖に取りつかれてい
る様にも見えました。(今までの薬害事件の後遺症??)
日本医師会の理事さんの話…この人のまず、インタビュー態度が悪い!ダラ〜とした
格好で、「消防庁が医師を雇えばいいじゃねかー!」という発言。しかし、そんなに
裕福な消防機関はあるのでしょうか?また、土日など、都会でも、急病などで掛かろ
うとすると医師不在で、病院を捜すのが苦労している現場をしっているのでしょうか
?…前の違う番組のインタビューでも、同じ様に、「気管挿管は危険だ!」という事
を、ぶっきらぼうに言っていた。  一般の人達はやはり、救える手段があれば、そ
の場で、方法が出来るのであれば、行って欲しいと多くの人は思うし、一番悔しいの
は、その事を知っている、救急隊の方ですよね。
これは、やはり多くの人が、今の日本の救急医療システムが、先進国の中でも遅れて
いる…という事を知ってもらう必要があるのではないでしょうか?

ざっと、書きましたが、一般の人として、思った事を書きました。
また、皆さんの色々な意見をお聞かせください。

 和泉 潤


From: 古川 猛(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0849] Re: [eml-nc2: 0829] 救急救命士のジレンマ
Date: Thu, 28 Feb 2002 23:16:52 +0900

・・さん、皆さん、こんばんは。守口市門真市消防、古川です。
ニュースステーション見ました。

奇しくも本日父親の手術が何とか無事終わりました。
術後、病棟に帰った父親は酸素、経鼻エアウェイで気道管理がされて
おり、ホッとした反面、何故か術中の事を考えていました。

確かな気道管理が行われ、そして幾人かの医師により次のステップへ。
全ての手技がひとつの命の為に融合し、昇華する。
何一つ欠けてはいけないし、ひとつの手技では人の命は
助からない。そんな事を何故か考えていました。


これから救急隊がどんな処置が出来るようになるかは私には
解りません。
たまたま焦点が気管内挿管にあてられていました。
(たまたまではないですね)
秋田の救命士の方、医師、番組の出演者の方の意見もありました。
以前にもこのメーリングリストリスト
に意見を出させていただいた事があります。
前進していく事に異論、反論はありません。
でもそれだけでは・・。

もっともっといろんな事を考えたくなりました。

   守口市門真市消防組合
    庭窪出張所
    警防係 救急  古川  猛 


From: 杉本桂司(救急隊員)
Subject: [aml.18266] ニュースステーションの挿管報道
Date: Thu, 28 Feb 2002 23:27:17 +0900

皆さん、こん**は。杉本@上野原消防山梨です。

たった今、ニュースステーションを見終わりました。
直感的な感想を述べさせていただきます。

社会に対する問題提議としては、クオリティーは高かったように思います。

報道の骨子を整理してみると
1.気管内挿管でなければ、救命できない場面は存在する。
2.挿管できない医師も存在する。
3.トレーニング次第で、技術的には誰でも可能。(?)
4.診療は医者が行うべきで、救急隊の任務ではない。
5.消防庁は処置拡大を厚生労働省に要望している。
6.厚生労働省は、時期尚早と考えている。
7.救命士は、技術を持っている。(?)
8.アメリカでは、問題も発生している。
9.挿管が一番安全で確実。(?)
10.現状の救命士制度では、プリベンタブルデスを解消できない。
11.法律より命が大事。

上記の3,7,9に疑問を感じました。

 技術だけなら、トレーニング次第で可能かもしれません。しかし、技術が問題なの
ではなく、適応や処置の評価、処置後の容態評価などを的確に判断できるか否かが問
題となっているのではないでしょうか?
 また、全ての救命士が技術を持っているとは到底考えられません。
 患者さんに対する侵襲や合併するリスクを考えると、挿管が一番だとは思えません。
患者さんにとって一番、安全で確実なのはマウスツーマウスだと思います。

挿管するしないではなく、救急医療システムを構築するのが喫緊の課題だと思います。
ニュースステーションの報道は、挿管だけ捉えている所に、問題ありだと思いました。
私は、厚生労働省の意見のとおり、時期尚早だと思います。

でも、医師会の先生の見解は、「医者でなければ、命を救えない。」という印象でした。

医者だけでは、命は救えないのに・・・・。
救急隊だけでも、救えません。
チェーンオブサバイバルが確立されてこそ、救える命が生まれるのだと思います。

取り留めない、文章ですみませんでした。

杉本桂司  上野原町消防本部 山梨


From: 益崎隆雄(医師)
Date: Thu, 28 Feb 2002 09:48:10 EST
Subject: [eml-nc2: 0851] ニュースステーションをみて

みなさん,こんばんは。益崎@福岡大学救命救急です。
今夜のニュースステーション見ました。
朝日系お得意の手法で世論誘導を目論んでいると感じました。

あの放送をみた一般国民は,気管挿管をすれば必ず救命率が向上すると思いこみます。
Drのコメントもそうとれるように編集してありましたね。しかし本当に気管挿管は絶対必要
な手技でしょうか?
G2000には「換気と酸素化をコンビと気管チューブで比べてもコンビの方が優れている。」
という記載があります。

また年に6〜12回以下の回数しか気管挿管を経験できない人は挿管すべきではないとの記載
もあります。
救命士は医療職であると同時に消防職員です。救命士の知識・技術に地域格差があってはな
らないことが前提となります。
しかし実際はどうでしょう?全国の救命士は秋田のように日常的に訓練を積んでいるのでし
ょうか?
厚生労働省が心配しているのはこの点でしょう。すなわち厚生労働省が言うところの時期尚
早であるとは,救命士の医療レベルが全国的に一定の基準を満たしていない。
そういう教育がまだなされていないということではないでしょうか?
このまま法改正がなされて無条件に救命士が気管挿管を許された場合,バッグ・マスクで適
切に換気し,適切な蘇生術を行って搬送しても気管挿管をしなかったことで文句を言い出す
市民が必ずでてくることでしょう。
逆に気管挿管さえしてあれば,他の観察・処置がいい加減でも「あの救命士はよくやってく
れた」という評価がなされるかもしれません。
また呼気終末CO2モニターを搭載している署はどのくらいあるのでしょう?
現在,気管挿管が医師にしか認められていないのは,医者なら挿管に失敗しても自分で責任
をとって法廷で裁きを受けろという意味が込められているものと私は思っています。
現状では救命士にそんな責任を負わせるわけにはいきません。
救命士の気管挿管を認めるなら,条件をつけなければなりません。
最低限ある一定の再教育あるいは資格試験が必要と考えます。

以上のことなどから個人的には時期尚早と思っています。
みなさんのご意見をお聞かせください。


From: 伊藤太一(救急隊員・看護師)
Subject: [eml-nc2: 0853] Re: [eml-nc2: 0848] RE:  救急救命士のジレンマ
Date: Fri, 1 Mar 2002 00:19:46 +0900

こんにちは みなさん
可茂消防@伊藤(看護士&救急救命士)です。

ニュースステーション見ました。大変興味深く見てしまいました。
厚生労働省・日本医師会・現場の救急隊員・消防長・医師・それとキャス
ター、色々な意見がありますね。
この方たちを分けて見ると、

厚生労働省=役所
日本医師会&救命士指導担当医師=医師
救命士&消防長=消防関係者
キャスター=一般市民

と、なるのでしょうか。

で、ここで、この方達と違う目を持つ医療従事者、看護士からみた個人的な意
見を・・・

色々な意見、それはどれも(法律という枠組ではみないで)間違いではないと
考えます。
ただ、救命士の方も「尊い命」という表現をされていたかと思います。が、そ
の「尊い命」を扱う者が、他の医療従事者とくらべて短い期間で資格を取得で
きてしまうことには違和感を感じざるおえません。
それだけ救急救命士も知っているように「命は重い」ものなのです。

気管内挿管の是非の前に、医師ももちろんのこと他の医療従事者にも、救急救
命士が、その「尊い命」を扱うだけの理解を得られる資格習得制度(特に研修
期間)の改革を先に行って欲しいと願っています。
このメーリングリストに参加されている方は、間違い無く情熱と共に知識も技
術もあることでしょう。
しかし、それ以外の救命士の方はどうなのでしょうか。皆さんと比べてあまり
にも差が有るのではないでしょうか。
そして、その差を埋めるものが資格試験なのです。

ナイチンゲールが看護婦資格試験制度に強く反対したことは有名です。しか
し、資格試験制度の流れをとめることは出来ませんでした。
それは医療のサービスを受けるものにとっては、資格=ある程度の知識技術が
あるということを認識する材料です。
そこで、今、救急救命士全体に気管内挿管を許せるだけの資格と理解が得られ
るのか、とともに救急救命士にも自信があるのでしょうか。

私も救命士ですが・・・皆さんの意見が気になります。


Date: Fri, 1 Mar 2002 01:08:50 +0900
From: B(医師)
Subject: [eml-nc2: 0855] Re:  ニュースステーションをみて

益崎@福岡大学救命救急さん、みなさん、こんばんは。

Bです。

複雑な思いで番組を見ました(番組放映に帰宅が間に合わなかったので
ビデオに録画しました)。

益崎さんの仰るとおり、

> 朝日系お得意の手法で世論誘導を目論んでいると感じました。

ですね。

例えば、救急救命士は医師よりも気管内挿管の実技は上だと言う発言が
ありました。本当にそうですか? もちろん、あの発言は「気管内挿管を
一度もしたことのない医師よりも」という枕詞が省略されていただけだと
思います。この点については、私は必ずしも否定しません。気管内挿管に
限らず救急処置全般において、確かにそういった部分があることは
認めます。

しかし番組で紹介されていた、すでに30例近くの気管内挿管をしていた
救急救命士(emlのメンバーでいらっしゃるかもしれませんね)の方は、
その程度の経験だけで食道挿管を100%避けるだけの知識と実技を持っており、
さらに搬送途中における挿管チューブの事故抜管を確実に発見し、適切に
対処できるだけの能力があるというのでしょうか。

確かにコントロールされた状況下での気管内挿管の95%程度までならば、
ちょっと気の利いた中学生にでも訓練すれば出来ないことではありません。
しかし、残りの5%の命を奪うことになりかねないという点についても
考えていただきたいと思います。LMAやコンビで助けられない命と
気管内挿管にこだわることで助けられない命の数の比較になります。

CPA状態で搬送されて社会復帰をされた方のコメントもありましたが、
その方の社会復帰は、本当に気管内挿管でなくては為し得ないことだった
のでしょうか。法が認める方法では助からなかったのでしょうか。

一方で、医師会や厚生労働省のコメントは、いかにも悪役としての出演
でした。時期尚早という言葉は、法改正のための論議をまつことなく
熱意のみで気管内挿管に突っ走った行為にこそ当てはまることばでは
ないのでしょうか。

私は、このような感情的な手法は好みません。あまりにも切り口が安易に
すぎます。安っぽいコメントで最後を締めくくるやり方も情けない。


From: D(救急隊員)
Subject: [aml.18271] やっぱり時期尚早?
Date: Fri, 1 Mar 2002 01:10:00 +0900

皆さんこん○○は。D@・・消防 です。
気管内挿管報道、ご覧になられて、どうでしたか?

酒田市の救命士さんの、法を犯してまでやった挿管行為の発言に彼らの誇り、自信す
ら感じました。
どこから出てくるのでしょうか?揺ぎ無い自信?ドクターの後押し?使命感?地域性
?・・・何でしょう?

ニュースステーションで発言されてた日本医師会の方、感じ悪いです!。「救急隊は
患者さんを早く病院に連れて来い!挿管は医者のがよっぽど上手い!」
なぁ〜んて発言。MC、コラボレーション?何か消えてしまいそうです。

見下しているのでしょうか?NHKで言ってました・・・
先般の大阪でのシンポジウム、「今年はいつになく最終日まで熱心に聞いていた。・・・」
確かに場違いな人も沢山見かけました。初日の朝から「今晩どこ行こう?」 金のブ
レスレッドにオーストリッチのカバン・・・あんたはいったい誰やねん!あんた一人
で皆がそう思われんねやで!!

どうしたら認められるのでしょうね?


Date: Fri, 01 Mar 2002 01:13:08 +0900
Subject: [eml-nc2: 0856] Re:  ニュースステーションをみて
From: 中村利仁(医師)

 益崎さん、こんばんは。中村@町立中標津外科(4月からは東
北大医療管理学)です。

> 朝日系お得意の手法で世論誘導を目論んでいると感じました。

 目的は何と読まれましたか? レミングを誘導して行くその先には、どんな深淵が
口を開いているのでしょう?

> あの放送をみた一般国民は,気管挿管をすれば必ず救命率が向上すると思いこみます。
> Drのコメントもそうとれるように編集してありましたね。しかし本当に気管挿管は絶対
> 必要な手技でしょうか?

 その点、同夜のNHK総合TV「あすを読む」の議論は冷静でした。

 1)人命救助のためとは言え、違法行為を平然と認めるというのは乱暴な議論である。
 2)国は、気管内挿管の有効性と必要性の有無を検証する責任を果たせ。
 3)時代の推移にともなって、医師法第一七条に定めた医業の範囲を常に検討、修
整して行く必要がある。
 4)搬送時間等の地域性を無視した画一的な規制には問題がある。
 5)PARAMEDICのように厳密な能力評価に基づいた資格制度の整備が早急に必要である。

> 現状では救命士にそんな責任を負わせるわけにはいきません。
> 救命士の気管挿管を認めるなら,条件をつけなければなりません。
> 最低限ある一定の再教育あるいは資格試験が必要と考えます。

 医師にも言えることですが、今後の資格制度は、過去の一時点での能力の担保では
なく、常に時代の要求するレベルにupdateした能力の担保である必要があります。

 老兵はただ消え行くのみ。…では、取引コストが高過ぎます。

 3段階にするのか、4段階にするのかはともかく、救急救命士に階層資格制度を導
入するという妥協が、国民のためでありましょう。
 少なくとも、PARAMEDICレベルの審査は、厳正で現実に即したものでなければ、制
度の成立/維持は望めません。格上げ、格下げ自由自在。

-- 
Toshihito"rijin"Nakamura MD 中村 利仁


Date: Fri, 01 Mar 2002 03:28:11 +0900
Subject: [aml.18274] Re:  やっぱり時期尚早?
From: 山本五十年(医師)

山本五十年@東海大学です。

朝日テレビ『ニュースステーション』とNHK『救える命を救うために』の
気管内挿管報道は、同じ問題でも、こうも異なる解説になるのかと、驚い
ています。

NHKの山崎解説員は冷静に分析されていましたが、『ニュースステーショ
ン』は感情に訴える手法でしたね。

さて、気管内挿管問題には、率直に言って、うんざりしています。
『何考えてんねん。アホか。気管内挿管をなめたら、あかんで!』
『今の救命士制度の現状は、気管内挿管以前的ではないのか?
 救命士の苦しみは、気管内挿管が出来ないところにあるのではなくて、
 救命士が置かれている環境、消防組織の構造、医療機関/医師との関係、
 努力しても評価されない現実、モチベーションを失った同僚、理解しよ
 うとしない幹部や医者。フォーカスをあてるところが、ちょっと違うん
 じゃないか!きれいごとは止めようや』

気管内挿管を処置拡大の範囲とする場合、必要なことをまとめてみます。
/////////////////////////////////
1)気管内挿管の適用、準備、手順、合併症、合併症の予防と緊急処置に
  ついての徹底的な研修
  *気管内挿管が無理に実施された場合、挿管チューブによる喉頭部/
   声門の損傷、や上部食道の損傷が生じる。喉頭鏡が正しく用いられ
   なければ、歯芽骨折、咽頭損傷が起きる。挿管チューブや喉頭鏡に
   より喉頭部が刺激されると、喉頭痙攣による窒息、気管支痙攣によ
   る換気不全、迷走神経反射による血圧低下や徐脈が起こる。
    また、食道への誤挿管も少なくなく、正しく気管に挿入されても
   深く挿入されると、右気管支への片側挿管が起こりうる。
  こうした知識を叩き込むことが、先ずは必要です。

2)気管内挿管のトレーニング
  挿管器材の準備(挿管チューブの選択、カフのチェック、喉頭鏡のチ
  ェック、吸引準備、マスクバッグの準備等)、バックマスク換気、喉
  頭鏡による喉頭展開、気管内挿管、スタイレット抜去、バイトブロック
  の挿入、カフのエア入れ、挿管位置の確認、バイトテープ固定、バック
  換気、換気の確認。

  *研修医は上記の項目をマスターするのに2〜3カ月の研修を行って
   います。むしろ100件以上経験した後から、修羅場を経験することに
   なります。私も、2カ月で120例の全身麻酔の研修を受けましたが、
   危機回避や危機対処を含め、本当に自信を持ったのは、気管内挿管
   300例を越えてからです。2カ月の麻酔研修を終えた研修医が、ER
   で誤挿管し再挿管した光景を湘南の救急隊員は何度も目にしています。

  *最低1カ月の麻酔科研修を実施するためには、日本救急医学会、日本
   麻酔学会の全面的な協力が必要であり、気管内挿管の対象、実習施設、
   実習期間とカリキュラム、インフォームドコンセントのあり方につい
   て検討しなければならない。日本救急医学会と日本麻酔学会の協力を
   得て、実習ガイドラインを策定し、実習医療施設において気管内挿管
   の教育環境が整備されなければ、絵に書いた餅でしかない。

3)指示システム
  『気管内挿管が必要です。指示ください』との要請に対し、『どうぞ』
  と許可をし、事後の報告を待つだけの指示システムでは、到底、責任あ
  る対応はできません。
  『気管内挿管が必要です。指示ください』との要請に対し指示できると
  は、どういうことかを考えれば良い。

  ERで、研修医に気管内挿管をやれ!と命ずることができるのは、相手の
  技量を知っているからです。未熟な研修医に無理矢理させることは出来
  ません。看護婦が医師に患者の状態報告をするとき、その看護婦は当直
  のリーダーであり、医師の指示はリーダーに行うことが原則です。
  未熟な看護婦が間違った観察結果が医師に伝えると、医師の指示内容に
  過ちが生じ、指示内容を未熟な看護婦が受けると、ここでも過ちが生じ
  る可能性があります。

  先ずは、指示をする医師が、現場の状況を把握できる医師であって、救
  命 士の力量を知っていることが前提です。その上で、気管内挿管の一
  部始終を電話をとおしてキャッチし頭に描き、その都度、適切な指示を
  与えることが必要になります。そのような指示システムを確立し指示医
  師を要請することが前提になります。

4)事後検証
  果たして、指示医師が頭に描いた通りの状況であったか、処置は確実に
  行われたか、合併症はなかったか、その結果は患者に有益であったか、
  反省すべきことはなかったか、こうした、事後の検証が行われなくては
  なりません。これは、気管内挿管に限ったことではありません。
  事後検証の結果は、処置を行った救命士にフィードバックされ、更に、
  全体の問題である場合は、症例検討に持ち込むべきでしょう。
  そうした、事後検証、生涯教育のシステムが確立されているかどうか。
//////////////////////////////////

結局、気管内挿管を含む、処置範囲の拡大のためには、上記の、研修ー指示
ー検証のシステムが整備されなければなりません。秋田、山形、青森、新潟
では、一体、どのようにしていたんでしょうか。MCは完璧だったとでも言っ
てくれるのでしょうか。

全国の皆さん
メディカルコントロール体制の構築を押し進めると、様々な矛盾にぶち当た
ります。顔の見える関係どころか、全国には、救急隊員が真に信頼できる顔
がほとんどいないのです。何故か。救急医の多くは、病院内のハードな診療
で疲弊し、とても地域に目がいきません。国も自治体も、学会ですら、救急
隊員の教育指導やMCを救急医の業務とは位置付けてこなかったのです。
2000年に厚生労働省が、2001年の総務省消防庁が、これではいけないこと
に気付きました。学会は、2001年の救急業務高度化推進委員会の報告書が出
て、初めて、腰を上げたのです。

とても、とても、つらい10年でした。
湘南は宇宙に飛んだと、言われていますが、渦中の救急隊員はどれだけ涙と
汗を流したことでしょう。私についてきたばかりに、飛ばされた救急隊員も
います。私も、つらい日々を送りました。そして、今もなお、根本的には解
決していません。一部では、当直中に消防署で医学書を読んでいる救命士に、
他の職員から椅子を蹴られ、『何をやっているんだ。テレビを一緒に見よ!』
と命じられる状況があるのです。

メディカルコントロール体制の構築を押し進めると、MCを業務とする救急医
を大量に養成せざる得なくなります。多くの先輩救急医は、今、とても戸惑っ
ています。湘南救急活動研究協議会で行っていることを提示しただけで、ある
高名な医師は、ため息をつき、とても出来ないと嘆きました。でも、その医師
は敵ではありません。これまで考えたことがないことを、計画しなければなら
なくなり、足がすくんでしまっているのです。

今、救急医療システムの根本的な改革を成し遂げなければ、21世紀の救急医
療はタイタニックに陥ることは目に見えています。今、危機があるとすれば、
この危機的な状況を正しく認識できないという点にあります。

救急医療を改革するチャンスは、今です。メディカルコントロール体制構築
事業、医療制度改革にともなうセーフティネット/危機管理の確保、救急医
の国家的な確保等、これらを推進することが必要であり、危機管理21世紀プ
ロジェクトとして、災害救急医療の新たなシステムの青写真を作成すること
が不可欠です。秋田等の気管内挿管の違法問題が易々と発生し自治体が居直
る状況は、我が国の危機を象徴的に示すものです。

メディカルコントロール体制構築は、今後5年間にわたる国家的事業である
と理解してください。このプロセスを通して、救急医療システム、消防組織
と救急医療機関の改革、救急医のアイデンティティの確立と本格的な養成を
実現しなければならないと思います。

テレビで、日本医師会の医師が、つまらないことを言ったからといって、
がっかりしないでください。それは個人です。日本医師会の中でMC事業に
関わる担当理事は、それはそれは立派な方です。我々を後押ししてくれて
います。

先ずは、しっかりした思いを持つことです。
我々は、正しい方向へ向かって歩んでいます。

現場を大切にし、患者さんのことを考え、同僚を大事にしてください。
日々、修錬です。私も無能力を曝け出しながら、目一杯、頑張っています。

       ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
       神奈川県伊勢原市望星台
       東海大学医学部総合診療学系救命救急医学
                       山本五十年
       ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


From: 齋藤清治(救急隊員)
Subject: [niigata.1610] ニュースステーション
Date: Fri, 1 Mar 2002 07:18:01 +0900

皆さんおはようございます。新潟消防齋藤です。

昨晩ニュースステーションを見ましたが、日本医師会側から、「救命士に処置の拡大
をさせるより、消防が、医師を雇い救急車に乗せればよい」と発言されていました
が、これは、救命士がいらないと言う事に聞こえました。救命士制度が出来て10年
たったのに認知されないなんて(-_-;)

///////////////////////////////////////////
齋藤清治  新潟西消防署黒埼出張所
///////////////////////////////////////////


Date: Fri, 01 Mar 2002 07:42:03 +0900
From: 市川高夫(医師)
Subject: [eml-nc2: 0857] Re: ニュースステーションをみて

On Thu, 28 Feb 2002 09:48:10 EST
益崎さん wrote:
益崎さん、どうも。

> 今夜のニュースステーション見ました。

留守録してあるのですが、時間がなくまだ見ていませんが・・。
私の気道確保、換気についての意見を少し書かせていただきます。

> Drのコメントもそうとれるように編集してありましたね。
> しかし本当に気管挿管は絶対必要な手技でしょうか?
> G2000には「換気と酸素化をコンビと気管チューブで比べても
> コンビの方が優れている。」という記載があります。

気道確保は私の前からの持論は、「十分な研修と、継続的な病院実習という
前提の下で」の気管内挿管がもっとも現実的であると考えています。
(現在は違法で行えませんが・・)

その他の器具、ラリンゲルマスクは、多くの患者移動に使用した経験の
ある人はわかると思いますが、フィットがいまいち決らない場合があり、
そのまま継続していいか迷う事例があります。
また最初フィットしても、移動などでずれるとまたまた漏れが出てきたりと
固定にも問題があります。
全国的にも、フィットが悪く、病院到着時腹部膨満の事例が多いと
されているようです。
メリットは再生ができることくらいです。

病院でも、手術のようにほとんど頭を動かさなければ、一旦決った
フィットネスは最後まで保てますが、移動では自信がありません。
つまり、病院内ではCTやMRIへの移動にラリンゲルマスクは使えないと
思います(使いたくない)。
もちろん全身麻酔における撮影ということでCT室、MRI室でのラリンゲル
マスクの使用は行ないます。撮影が終われば抜去します。

コンビや、EOAはまず訓練が非常に難しいです。
当院でも患者さんを対象にしての、これらの器具は使う気に
なりません。(自分の家族に使用したくないという気持ち)
訓練が行えない器具をストリートで使うということは倫理的にも
許されないと思います(たとえ法律で許されていても、人体に本来
使いたくないものを使うことは許されるのだろうかと)

救命研修所終了した人から、九州研修所はコンビチューブが最適、
東京研修所は、東京でコンビチューブの食道損傷、失った例による訴訟事例
に懲りて、コンビチューブを過去のものとして資器材からはずし、WBチューブを
改良品として採用しているようだとの、同一教養機関内の不一致例が指摘されて
います。
両方の養成機関の修了者の数名を知っていますが、コンビチューブなどと
いう話は出てこないので、全国的にラリマス、WBが現実的には多く使用されて
いるのではないかと想像しています。

消毒に関してはEOGはこれからは使えなくなります。
再使用はラリンゲルマスクは洗浄後オートクレーブできます
(消防隊も卓上の簡易オートクレーブの機械を購入すれば可能ですし
コスト的にも問題は少ないと思います)
それ以外のコンビ、EOAは残念ながら再使用は困難と思います。
一個1万円内外の器具で貴重ですが再滅菌は困難です。
どこかからコストをひねり出して、一回使用するしかないと思います。
病院実習ができない地方では、その費用を、こういった備品代にあて、
病院実習が定期的にできる地方では、できれば気管内挿管チューブの
使用ができることがコスト的には釣り合うように思います。

> また年に6〜12回以下の回数しか気管挿管を経験できない人は挿管すべきで
> はないとの記載もあります。

そう考えます。

> 救命士は医療職であると同時に消防職員です。
> 救命士の知識・技術に地域格差があってはならないことが前提となります。

そんなことはないと思います。
研修の基準を満たせなければ、その技術を行使できない、その資格を
将来も維持できないとするのが自然と思います。
地域差はしかたがないと思います。
遅れたところは、自治体、医師会など一丸となって危機感をもって
住民のために先進の所に追いつく努力が求められればいいと思います。
全国一律にならなければなんでもスタートできないという論理は、
結局なにも日本でやれない状況を作り出すだけだと思います。


以上をまとめて再度、「病院研修とその後の継続した研修のもとで」の
気管内挿管が現実的と思います。
挿管してはいけない事例や、抜管すべき状況ももちろんそこで
研修することになります。

外傷で、顔に血液が付いている事例や、どうしても助けたいが
現在心停止の事例などは、挿管以外、十分な気道確保と酸素投与が
非常に困難です。
BTLSでラリンゲルマスクやコンビチューブを指導しますか?

EOAやコンビ、WBを病院で患者さんに使用している麻酔科医、救急医は
いるのでしょうか?
ご自分の家族にこれらEOA、コンビ、WBを使えますか?
EOAは救急に本当に使用できますか?

---------------------------------------------
市川高夫        済生会新潟第二病院 麻酔科


From: 金枝俊宏(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0911] 研修所での気道確保教育について
Date: Sat, 2 Mar 2002 16:35:04 +0900

救急救命東京研修所の金枝です。

  市川高夫さんのメールの中で一部事実と異なる部分があるため、当事者として
訂正させていただきます。

> On Thu, 28 Feb 2002 09:48:10 EST
> Mr.or Ms. Mass0228@aol.com wrote:
> 益崎@福岡大学救命救急さん、どうも。
>
> > 今夜のニュースステーション見ました。
>
> 留守録してあるのですが、時間がなくまだ見ていませんが・・。
> 私の気道確保、換気についての意見を少し書かせていただきます。

(途中省略)

> 救命研修所終了した人から、九州研修所はコンビチューブが最適、
> 東京研修所は、東京でコンビチューブの食道損傷、失った例による訴訟事例
> に懲りて、コンビチューブを過去のものとして資器材からはずし、WBチューブを
> 改良品として採用しているようだとの、同一教養機関内の不一致例が指摘されて
> います。

 ⇒  いつ、どちらの研修所を卒業した方が言ったのかは知りませんが、東京研修所
   のことに関してはまったくのでたらめです。少なくとも私が指導したこの2年間
   はコンビチューブもWBチューブも同じように指導しています。決してコンビを
     過去のものとして外したという事実はありません。

    これはもしかして「東京消防庁はコンビチューブを資器材から外し、WBチュ
     ーブを採用している。」の聞き間違いではないでしょうか。

>   両方の養成機関の修了者の数名を知っていますが、コンビチューブなどと
> いう話は出てこないので、全国的にラリマス、WBが現実的には多く使用されて
> いるのではないかと想像しています。

 ⇒   今期の研修生300名についても、所属する本部でコンビチューブを積載してい
   ると答えたのが約75%、WBチューブを積載しているのが約55%と、コンビ
   チューブのほうが九州以南を除く全国的にはまだまだ需要があります。

   以上、当事者として訂正させていただきます。

  金枝俊宏 Toshihiro Kanaeda
    救急救命東京研修所


Date: Sun, 03 Mar 2002 16:54:08 +0900
From: 市川高夫(医師)
Subject: [eml-nc2: 0935] Re: 研修所での気道確保教育について

On Sat, 2 Mar 2002 16:35:04 +0900
"Toshihiro Kanaeda" wrote:

kanaeda> 救急救命東京研修所の金枝です。
kanaeda> 
kanaeda>   市川高夫さんのメールの中で一部事実と異なる部分があるため、当事者として
kanaeda> 訂正させていただきます。
kanaeda> 
kanaeda> > 救命研修所終了した人から、九州研修所はコンビチューブが最適、
kanaeda> > 東京研修所は、東京でコンビチューブの食道損傷、失った例による訴訟事例
kanaeda> > に懲りて、コンビチューブを過去のものとして資器材からはずし、WBチューブを
kanaeda> > 改良品として採用しているようだとの、同一教養機関内の不一致例が指摘されて
kanaeda> > います。
kanaeda> 
kanaeda>  ⇒  いつ、どちらの研修所を卒業した方が言ったのかは知りませんが、東京研修所
kanaeda>    のことに関してはまったくのでたらめです。少なくとも私が指導したこの2年間は
kanaeda>    コンビチューブもWBチューブも同じように指導しています。決してコンビを過
Kanaeda>    去のものとして外したという事実はありません。
kanaeda> 
kanaeda>     これはもしかして「東京消防庁はコンビチューブを資器材から外し、Wチュー
kanaeda>    ブを採用している。」の聞き間違いではないでしょうか。

ありがとうございました。
これは、全くの私の伝聞情報なので、当事者の金枝さんの言われていることが
事実と思います。
これからも、またいろいろ情報を集めます。
今後もご指導宜しくお願いします。

----------------------------------------------------
市川高夫        済生会新潟第二病院 麻酔科


Subject: [eml-nc2: 0858] Re:  ニュースステーションをみて
From: 鈴木 全(医師)
Date: Fri, 1 Mar 2002 08:31:06 +0900

鈴木全@新潟県立吉田病院です。

みなさま、おはようございます。

ほんの数分間の特集で、何を語ることができるのかと、いい意味でも、悪い
意味でも期待をしつつ、放送をみました。

2002年03月01日08時11分ころ
益崎さんから、いただいた
"[eml-nc2: 0851] ニュースステーションをみて" より引用いたします

> 朝日系お得意の手法で世論誘導を目論んでいると感じました。

世論誘導かどうかはわかりませんが(^-^;;

救命士の方からお聞きした話、医師の話、ほんの数分間のインタビューでは
なかったでしょう。インパクトの強い発言を取り出すとああいう内容に
なるのでしょうね。

「気管内挿管により、命を救われた」
「気管内挿管の技術は医師より救命士の方が優れている」
「消防署が医師を雇えばいい」
「法を犯してでも」
・・・

衝撃的な発言が続きました。

そのままの意味で発言されたものもあるでしょうけれど、発言、文章の抜粋
という手法で、まとめたものでは、発言者の意図するところを伝えることは
できないでしょう。抜粋と、要約は違うものですよね。

確かに、あの番組を見れば、医療の知識のない方ならば、気管内挿管を
すれば、救命率が上がると短絡的に信じ込んでしまうでしょう。
(全くの私見ですが、特定行為のうち、どれか一つしか認めない。どれに
しますか?と問われれば、私は除細動をとります。全くの私見ですので、
いじめないでください(^-^ゞ)

私は、気管内挿管を持ってしなければ気道確保できない患者さんを
救うために、一つのスキルとして救急救命士の方が気管内挿管を施行
できるようになるべきであると常々考えています。(市川さんのおっしゃる
とおり、私も、気管内挿管こそ、気道確保に最適(確実、時間もかからない)
な方法と考えます。)しかし、十分なスキルを持ち合わせつつ、そのスキルを
使う状況を正確に把握できる能力こそ、救急救命士に求められるものですよね。

社会復帰された患者さんはどういう処置を受けたのでしょうか?そのほかの
特定行為はなされなかったのでしょうか?

放送では「特定行為とはなんぞや」ということは何一つ語られておりません
でした(よね?特定行為はこれこれですっていうのは無かったように思うの
ですが・・・)。気管内挿管ができないというジレンマについての放送
だったのでしょうから、しかたないことかもしれませんが。

ただ、インタビューをして抜粋するだけの安易きわまりない手法、何の客観性も
ない内容。全くがっかりしました。


From: 吉井克昌(救急隊員)
Subject: [aml.18276] Re: ニュースステーションの挿管報道
Date: Fri, 1 Mar 2002 08:58:18 +0900

皆さん、こんにちは。
吉井@中和広域消防です。

気管内挿管については皆さんから、いろいろ意見が
だされています。他の面から一言。

> 酒田市の救命士さんの、法を犯してまでやった挿管行為の発言に彼らの誇り、自信す
> ら感じました。
> どこから出てくるのでしょうか?揺ぎ無い自信?ドクターの後押し?使命感?地域性
> ?・・・何でしょう?
まったくもって???です。
この後、消防長がインタビューに答えていました。
「救命士の業務範囲が狭すぎる」???
この消防長はどのような意味で発言されているかはわかりませんが、
私の勝手なとらえかたで、
救急標準過程や救急二過程に比べて、特定3行為の違いだけという
感じで理解されているように思いました。
観察やその容態評価、それに対する処置、判断、病院選定。
その他、業務の中で大切なことがたくさんあります。
それも満足にできていない救急救命士がたくさんいるのも
現実です。
逆に、特定3行為を除けば、上記のようなことをしっかりされている
救急標準過程や救急二過程の救急隊員もたくさんおられます。

消防署内での理解とボトムアップをしなければ!
皆さんいかがでしょう?

**************
 中和広域消防組合
    吉  井  克  昌
**************


From: 西岡和男(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0859] ニュースステーション
Date: Fri, 1 Mar 2002 08:53:27 +0900

西岡@熊本消防です。

昨夜のニュースステーション
正直に申し上げて、あまりにデフォルメされていて
気持ちの良いものではなかったなぁ、というのが感想です。

日本医師会の理事のかたも、あのような印象の取り上げかたで
ちょっと同情半分です。(本心なら別なのですが。ま、もっとも
あのような言葉が出ること自体が問題という向きもあろうかと
いうことは理解できます。)

超両極端をぶつけるなら、一般の方には解り易いのでしょうが
それが、ことのすべてを物語っていない。問題の本質は何か、と
いうことまでは伝わらないでしょう。
 
 ここで皆さんと共に語るような冷静な論議とは程遠いもので、
その意味では、不毛の報道という印象を受けました。
 私達を仲たがいさせたいのか?とも思えました。

 ただ一つ、最後に論説員のおっしゃった、「資格があるから技術
があるのではなく、技術を持ちうる者に資格をあたえるべき。」と
いう趣旨は、正論と思います。
 すなわち、いま論議されている、MCの重要性をおさえた上での
発言であるならば100点だなぁ、と感じています。

細かなことをあげたらきりがないのですが、ちょっと残念です。
「明日を読む」(だっけか?)で取り上げられていたのは知りません
でした。これがまた残念(T-T)


Date: Fri, 01 Mar 2002 09:11:51 +0900
Subject: [aml.18277] Re: やっぱり時期尚早?
From: 鍜冶有登(医師)

ども、鍜冶@大阪市立総合医療センター救命救急センターです。

・・さんのまとめの後で、蛇足気味ですがひとこと。

私も番組見ました。
ま、あの医師会の人、なんてお偉いのでしょうか。酒田市のドクター、なんて真剣な
人なんでしょう。厚生労働省は、腰が重すぎる。そう、一般の人は思われたのではな
いでしょうか。

でも、このamlに参加している人は、どうかそうは短絡しないでください。

私は、基本的に・・さんのご意見に右へならえです。
人形で気管内挿管を毎日1000回練習しても、実際にはうまくなりません。これは、練
習する人が、医者であろうと救急隊員であろうと、一般の人であろうと一緒です。
「○回気管内挿管した○○さん」とテロップが出ていた酒田の救命士の方が、次回、
ふたたびうまいこと挿管できるか、というと、そうでもありません。

そして、挿管さえできるようになれば日本の救急体制がよくなるかというとそうでも
ありません。

「気管内挿管」にスポットを当てた短い番組なので仕方がないのかもしれません。で
も、救急体制の改善には、もっと腰を据えた、もっと多くの問題まで包括した、そし
て信頼関係に基づいた作戦が欠かせませんよね。

少なくとも、大阪では、ワタシががんばりますので、なんなりとおっしゃってくださ
い。

-- 
鍜冶有登 ARITO KAJI
大阪市立総合医療センター救命救急センター


Subject: [niigata.1612] Re: ニュースステーション
From: 鈴木 全(医師)
Date: Fri, 1 Mar 2002 10:24:09 +0900

鈴木全@新潟県立吉田病院です。

みなさまおはようございます。

2002年03月01日10時14分ころ
""齋藤 清治" さんから、いただいた
"[niigata.1610] ニュースステーション" より引用いたします

> 昨晩ニュースステーションを見ましたが、日本医師会側から、「救命士に処置の拡大
> をさせるより、消防が、医師を雇い救急車に乗せればよい」と発言されていました
> が、これは、救命士がいらないと言う事に聞こえました。救命士制度が出来て10年
> たったのに認知されないなんて(-_-;)

あの内容からは、そのように聞き取れます。

ただ、インタビューに対するあの態度も、彼のいつもの態度なので
しょうか(^-^;;?医者がみんなああだと思われたらいやだなあ。

かばうわけではないですが、インタビューのほんの一部にああいう発言が
でたようにも思います。「医師を救急車に乗せればよい」の後に、でも、
それは今はできないから・・・という展開があったのではないかなあと。
根掘り葉掘り聞かれて、いらいらしていたのかな・・・とか。それにしても、
失言だと思いますよ。表現方法もよくない。

私自身も、某書籍にコメントを求められたとき、そのコメントを大幅に
変更されて、全く、違った意味合いになってしまったことがあります。
それによって、人格まで疑われてしまいました。それ以降、発言の
随所に気を配るように、一層、気をつけています。

以下、emlに送ったものを一部抜粋したものを送ります。

そこにも書きましたが、放送全体のできとしては、よろしくなく、この
放送から、今後の特定行為のありかた、とくに気管内挿管のありかたを
議論するに値しない内容であったように思います。残念です。

------------------------------------------------------
(略)
------------------------------------------------------

以上です。


From: 原田茂幸(救急隊員)
Subject: [aml.18280] Re: ニュースステーションの挿管報道
Date: Fri, 1 Mar 2002 11:29:19 +0900

皆さんこんにちは、原田@敦賀消防(福井県)です。
私は気管内挿管というより、違う視点での意見ですがよろしいでしょうか?

大阪のシンポで韓国版救命士のことを聞きまして、そこから、日本の救命士制度
ひいては、今回の報道について、私見を下記のとおり述べます。

韓国では、ワールドカップを目前に控えたため、応急救護士(韓国版救急救命士)制度
を米国なみにスキルアップさせたらしいです。このことについて、すごいなってのが私の
感想です。つまり、韓国では応急救護士の発足は日本の救急救命士制度より遅く95年
に制度化されたが、99年に日本でいう医師法の特別法的な災害医療法というものを定
め、応急救護士に1級、2級のランクつけをして、1級応急救護士は気管内挿管、指示
なし除細動、薬剤投与などが医師の具体的指示のもと行えるとなったそうです。
そしてサッカー会場に多数の医師及び応急救護士を待機させる予定だそうです。

我が日本も至急に取り組むべき問題であると、私は思いますが、そこに今回の件が
ありました。

こういう問題が発生したら、いつも言われることが、人命が先か法律が先かと
いうマスコミの論調です。私は思いますが、日本は法治国家であり、こういう論調が
先走ると、国の根幹がぐらつくのではないでしょうか。極論ですが人の感情にさえ訴えれば
何をしても良いのでしょうか?

また、マスコミにも問題があります。話題性だけで一気に報道したら、後は、
そのまんま報道しっぱなしという姿勢には腹立ちさえ覚えます。
以前の救命士法制定のいきさつも、誠に中途半端なものでした。。。
確かに、今回の件は、違法ですが、国民世論を熟成させるまで、報道を続けなければ、
ペンの持つ力を十二分に発揮していないのではないかと思います。

福井県 敦賀美方消防組合
 救急救命士   原田茂幸


Date: Fri, 01 Mar 2002 12:22:31 +0900
Subject: [eml-nc2: 0864] Re:   ニュースステーションをみて
From: 新井正康(医師)

皆様こんにちは 北里大 新井です

ちょうど患者の途絶えた時間で、ニュースステーション見ることができました。

画面に登場した方々は、みな救急の仲間であります。意見の違いがあっても、
今後とも議論してゆけばよろしいと思います。皆さん本当に毎日ご苦労様といい
たい。

ただ

番組の作成者に意図的なものを感じます。

お上の融通の悪さ、強者の固執により、国民が不幸になっているという図式です。

キャスター、論説委員はあまり勉強していない感じがします。
どこかの新聞に出ていたフレーズをそのまま使用していたような気がします。

このような人が何百万人の前に座ってもの言っていることを残念に思います。
一方通行メデイアへの怒りが湧きます。

私は決して、救急救命士の気管挿管に反対なわけではありません。厚生労働省の
言い分も理解できます。問題はもっと違うことだと、皆分かっているはずです。

総合して、憤まんやるせない、たまらなく不快感を感じながら、寝ました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜           
 北里大学病院・麻酔科 救命救急センター
  新井 正康(あらい まさやす)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  


From: A(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0870] Re: 救急救命士のジレンマ
Date: Fri, 1 Mar 2002 16:44:11 +0900

皆さん、こんにちは。
Aです。

私も、見ていて「何だかなぁ・・・」と思った一人です。

取材に応じられた方々の意図がそのまま放送されたのか、
番組として盛り上げるために意図に反した内容で放送されたのかが
分からないので、あくまでも私個人が感じたことですし、個人や
組織を非難するつもりはありません。

取材に応じられた方々は「処分を覚悟で法を犯して実施した」と
言われていました。
また「使えない悔しさはありますか?」との問いに「使っていた
わけだから、使えない悔しさはあります」と答えられていました。
この部分の放送だけを見ると、そこに法を守らなければならない
と言う姿勢は見えませんでした。
助けたい気持ちの前なら法は守らなくても良いのでしょうか?
誰だって助けたいんです。

救命された方が「法律がじゃまして何も出来ない救命士なら
何の意味もない」と話しておられました。
私が全ての法律を守りきれているなんて言えませんが、
上記の言葉からすれば、私は『何の意味もない救命士』です。
仮に、この放送を見た方の家族が心配停止になり搬送する
こととなった場合で、気管内挿管や除細動を求められたとします。
でも、法を守らなければならないからと、いくらその時に出来ることを
一生懸命実施して搬送しても、亡くなれば『救急車に乗務するに
相応しくない救命士』と言われかねません。

以前、40歳くらいの男性が心配停止状態になり搬送しましたが、
現場到着時から病院到着寸前まで除細動器は心室細動を感知し、
充電してくれていました。
しかし、医師の「そのまま搬送して来て下さい」との指示で
ボタンを押すことが出来ませんでした。
病院到着時には心静止となりました。
また、町内のスポーツ教室で指導している小学生のお父さんが
心配停止になったときも、心室細動を確認できていながら
ボタンを押せませんでした。
横で奥さんが、そして子供さんが「助けてくれ!」と叫んでいても・・・
誰もが歯を食いしばって法を守っているんです。
法を守ることが悪で、結果良ければ何でもありが善なんてことは
あってはならないと思います。

医師会の方が「消防庁が医者を雇えば良い」と言われていたのには
「その通りっ!」と思ってしまいました。
乱暴な表現の放送でしたが、まさにその通りと思います。
全ての救急車に救急医が乗務し、現場到着時点で治療が
始まることが理想ですよね。
日本全国の救急車がドクターカーになれば、何の問題もありません。
しかし、どう考えたって無理で、その隙間を埋めるための
救命士制度ですよね。

ところで、取材の応じられた消防長、救急救命士、指導した医師は
テレビで違法行為を公にされたのですが、何かの処分が
あるのでしょうか?


Date: Fri, 01 Mar 2002 16:58:11 +0900
Subject: [eml-nc2: 0871] 気管内挿管報道から思うこと
From: 山本五十年(医師)

山本 [aml.18274] Re: やっぱり時期尚早? と同趣旨


Date: Fri, 01 Mar 2002 17:59:09 +0900
From: 堀内 貞(医師)
Subject: [niigata.1617] Re:ニュースステーション

堀内@加茂市です。

(中略)
帰宅してニュースをみていたら件の気管内挿管のニュー
スで全部見ましたが、私の受けた感じはかなり違っています。

日医の理事の受け答えの態度はかなりイライラしていてその前にかなりの
やり取りがあったことをうかがわせます。お世辞にもいい態度だとは思わ
れませんが、私の正直な感じは「ばかだな〜、うまくやられてしまって」
です。

それからベテランの救急救命士の方(マスコミのニュアンスで)の気管内
挿管例数が30回。これで自信満々にお話になられていたのにはかなりビッ
クリです。

「訓練すれば誰でも出来る」というコメンテーターの話にかなりムッと来
ました。今でも麻酔導入時の挿管にはこちらの心臓が痛くなることがあり
ます。挿管困難例はここしばらくの近未来まで持ち越す麻酔科のテーマだ
と思っています。

日医が救急救命士を否定するものではないでしょうが、現行の医師法の遵
守の姿勢はかなり強いものがあります。現行では看護婦でも静注出来ませ
ん。県医師会の理事先生と話してもこの看護婦業務のことが問題になって
そこでおしまいになってしまいます。日医は一つを認めたらなし崩しに医
師の領分が侵されると考えているようです。フランスのヘリドクターが麻
酔医だということをかなり前に現地を視察した杏林の巌教授から聞いたこ
とがあります。日本医師会のスタンスはドクターカー推進で、行政が金を
出し渋ってドクターの手配をしないのが悪いというのが本音なのかもしれ
ません。
(ただし、私の個人的な意見は救急救命士の気管内挿管にはカリキュラム
が担保されればという条件で賛成です)

堀内貞Horiuchi Tadashi


From: 鈴木 全(医師)
Subject: [eml-nc2: 0876] Re: ニュースステーションをみて
Date: Fri, 1 Mar 2002 18:10:23 +0900


鈴木全@新潟県立吉田病院です。

・・さん、みなさま、こんばんは。

すみません、ちゃちゃにちかいですが

2002年03月01日18時07分ころ
・・さんから、いただいた
"[eml-nc2: 0864] Re:  ニュースステーションをみて" より引用いたします

> 番組の作成者に意図的なものを感じます。

というか、意図を加えることができるほどの理解が無いのではないで
しょうか(^-^;;?

ただ、切って張ってつないで作ったみたいな印象を受けました。

> このような人が何百万人の前に座ってもの言っていることを残念に思います。

それを聞いてしまっている人々のことを考えると

> 総合して、憤まんやるせない、たまらなく不快感を感じながら、寝ました。

ですね。


From: 和泉 潤(一般市民)
Subject: [eml-nc2: 0879] Nステから一夜明けて…
Date: Fri, 1 Mar 2002 18:40:06 +0900

こんばんわ みなさん
和泉@日赤彩玉です。

昨日の私の投稿…見事にTVの影響を受けたかな…??という感じで書いてしましまし
た。済みません…そんな深く、現場の事をしらないボランティアですので…ごめんな
さい。
みなさんの投稿を読んでいると…
・救命士…違法行為だとしりつつも、命の為にと働く人達。
・医師会・行政…違法行為で危険!と頭ごなしで決めつけている人達というような作
り方だったのかな?
確かに、切った⇒繋げたという感じのところがありました。(医師会の方のシーンは
特に)

TV局の造り方の意識がもろ出ていたような。その中でも最初のテロップ?のところ
で顔を伏せた方々があとできちんと出てくるのかなと思っていたら出て来なかったで
すよね。だから、作り方にも、気管挿管は違法だけど、認めないのは…という作り
だったのでしょうか。  しかし、多くの人達は救急隊が災害現場で行っている行為
の内容を知らないのが、(未だに薬を使えると思っている人もいるんでしょうか?)
 一般の人々ではないでしょうか。 だから、私みたいに、あのテレビを見て、私と
同じように思った人達はいると思いますよ。(それだけ救急隊が普段行っている事を
知らないのでは??)
 
その後のNHK「明日を読む」を見て、つくづく思いました。あちらの方が画像はな
かったですが、客観的な判断で問題点を突いていたと思います。

で一つ質問ですが。 医師法17条「医業は医師しか行ってはならない」というのがあ
りますが、私達、救急法を普及する立場の者も軽くはしっていますが、この「医業」
というのは、どこからどこまでですか?  昔は血圧を測るのも医業と言われた時代
があったと聞きます。 簡単でいいのでどこから、どこまでの範囲を医業というので
しょうか? 昨日のNHKでも「医業はとてもあいまい…」といっていました。 こ
れがはっきりしていない事も今回の事件の一因ではないのでしょうか?

 和泉 潤


Date: Fri, 01 Mar 2002 18:53:47 +0900
From: 早川好美(救急隊員)
Subject: [aml.18286] Re: ニュースステーションの挿管報道

Aさん、こんにちは、初めまして。早川@中濃消防です。

ワンポイントだけでごめんなさい。

> 以前、40歳くらいの男性が心配停止状態になり搬送しましたが、
> 現場到着時から病院到着寸前まで除細動器は心室細動を感知し、
> 充電してくれていました。
> しかし、医師の「そのまま搬送して来て下さい」との指示で
> ボタンを押すことが出来ませんでした。
> 病院到着時には心静止となりました。
> また、町内のスポーツ教室で指導している小学生のお父さんが
> 心配停止になったときも、心室細動を確認できていながら
> ボタンを押せませんでした。
> 横で奥さんが、そして子供さんが「助けてくれ!」と叫んでいても・・・
> 誰もが歯を食いしばって法を守っているんです。
> 法を守ることが悪で、結果良ければ何でもありが善なんてことは
> あってはならないと思います。

壮絶な救急現場が推察されます。
私はこんな場合、「本当に法を守っているのか」と自問します。
私見でごめんなさい。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
HAYAKAWA YOSHIMI
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-


Date: Fri, 01 Mar 2002 18:57:41 +0900
From: 田尻浩昭(救急隊員)
Subject: [aml.18287] Re: ニュースステーション

こんばんわ、田尻@阿蘇消防です。
一言感想を書いてみます。

今回の放映の印象からすると、あれだけすっきりと割り切って
違法行為をされていた方のどこに「ジレンマ」があったの?
と思ってしまいました。

組織や、地域のいろんなしがらみから、思うような活動が出来ない救急隊
のほうがよっぽど大きなジレンマを抱えていると感じました。

以上。

------------------------------
  阿蘇広域行政事務組合消防本部
   田尻 浩昭
------------------------------


From: 伊藤太一(救急隊員・看護師)
Subject: [eml-nc2: 0892] なぜ六ヶ月間?
Date: Fri, 1 Mar 2002 21:49:28 +0900

こんにちは。可茂@伊藤です。

第1回救急救命士国家試験をとって、救命士としては長いのですが、救命士に
ついては全く詳しくありません。
そこで教えていただきたいのですが、どうして六ヶ月の期間で救命士の国家試
験受験資格が受けれる様に成ったんでしょうか?

というのは、昨日から気管内挿管の是非についてコメントが出ていますが、
六ヶ月間で国家試験を受けれるっていうことは、
現場の経験とその期間を汲み取っていると思われるわけで、その経験があるか
ら六ヶ月で良い、と言うものではないのでしょうか。
なぜなら、救命士専門学校は二年以上の修学期間だからです。

経験は、ただ漫然と乗車していても同じ経験とみなされることでしょう。あま
りにも曖昧で差が有りすぎます。

よって、現時点の気管内挿管を全ての救命士に実施させることは、やはり今の
制度では納得はいきません。


Date: Fri, 01 Mar 2002 22:04:29 +0900
From: 堀内 貞(医師)
Subject: [niigata.1627] Re:ニュースステーション


堀内です。

On Fri, 1 Mar 2002 19:38:58 +0900
・・ wrote:
> このような時(呼吸停止、心停止)に挿管チューブ
> や喉頭鏡により喉頭部が刺激されると、喉頭痙攣
> による窒息、気管支痙攣による換気不全、迷走神経

幸いにして気管支痙攣には遭遇したことはありません。
先輩の話では換気が出来なくていろいろやったが心停止近くになって気管
支が弛緩して漸く換気できたのでかろうじて助かったということをいくつ
か聞いたことがあります。
喉頭痙攣は筋弛緩剤を用いれば容易に防げますので困ったことはありませ
ん。迷走神経反射で徐脈になることはまれに経験しますが致命的になった
経験はありません。
エビデンスがあるかといわれると自信がありませんが、心停止かそれに近
い状態では・・さんが危惧しているようなことはないものと思われます。
少なくとも私の経験ではありません。
そんなことよりもどうしても喉頭展開が出来ないという事例があることが
問題です。

堀内貞Horiuchi Tadashi


From: A(救急隊員)
Subject: [aml.18289] Re: ニュースステーションの挿管報道
Date: Fri, 1 Mar 2002 22:25:01 +0900

早川@中濃消防さん、こんばんは。
A@・・消防です。

> 私はこんな場合、「本当に法を守っているのか」と自問します。

法を順守すると言うことに対して、適当な例えじゃなかったですね。
私も自問しますし、しました。
そして、これからもすることと思います。
当時は、救命士になってまだ間もなく、医師に状況を上手く
伝えることが出来なかったことや、自動車電話の不感地帯が多く、
事前に把握していた通話可能な場所に移動してのことだったりと
自分自身の力不足を悔やんでいます。
でも、法って何なんでしょう?
私にとっての救急活動、特に特定行為に関する法とは、
医師の具体的指示に従うこと、本部で定めている特定行為
実施要領に従うことです。
だから今回の放送の中で「法に縛られて何も出来なければ、
何の意味もない救命士」と言われていたことで、自分自身が
間違っているのかと自問しているところです。

これからもご指導よろしくお願いします。


From: 脇田佳典(救急隊員)
Subject: [aml.18290] Re: ニュースステーション
Date: Fri, 1 Mar 2002 22:49:41 +0900

みなさん、こんばんは
脇田@伊都消防・わかやまです。

私も一言だけ
あの放送からだけで感じた事は、何かと言うより
「釈然としません。!!」
はっきり言って「おかしい!!」と感じました。
どれだけの救命士が「ジレンマ」を感じながら
何とかしてほしいと1つ1つの症例を見つめ見直して
検証材料にしようとしているか?
自分がやっているから言うのではないですが、まさにウツタインスタイル
などは、それを物語っているのではないでしょうか?

自分が責任を取ればそれで済むのでしょうか?

☆★☆★☆
脇田 佳典  :伊都消防・わかやま


From: 庄林昭彦(救急隊員)
Subject: [aml.18291] Re: [aml.18289] Re: ニュースステーションの挿管報道
Date: Fri, 1 Mar 2002 23:07:03 +0900

こんにちは ・・さん。
京都消防 庄林です。

私は・・さんの意見に大賛成です。

> しかし、医師の「そのまま搬送して来て下さい」との指示で
> ボタンを押すことが出来ませんでした。

緊急避難と判断し、職を掛けてボタンを押すか、押さないか、この
判断を救命士に委ねる、それは大きな問題だと思います。
法律は活動を縛るものでもあるし、救急隊員や患者さんを守るもの
です。法律で守られているから医療行為ができるのですから・・・・・。

そして、法を遵守できない救命士に、恣意的に行為を拡大される恐れ
が消えないことには、特定行為の拡大は認められないと思います。

庄林 昭彦


From: B(医師)
Date: Fri, 1 Mar 2002 23:47:15 +0900
Subject: [eml-nc2: 0895] Re: ニュースステーションをみて

・・病院のBです。

> 番組の作成者に意図的なものを感じます。
>
> お上の融通の悪さ、強者の固執により、国民が不幸になっているという図式です。
>
> キャスター、論説委員はあまり勉強していない感じがします。
> どこかの新聞に出ていたフレーズをそのまま使用していたような気がします。
>
> このような人が何百万人の前に座ってもの言っていることを残念に思います。
> 一方通行メデイアへの怒りが湧きます。
(・・大 ・・さん)

> というか、意図を加えることができるほどの理解が無いのではないで
> しょうか(^-^;;?
(鈴木全@新潟県立吉田病院さん)

メディア・リテラシーが充分に行き渡っていないことを考えると、ここで
発せられた感情的なメッセージが一人歩きすることは充分に考えられます。

別段、私はここで朝日バッシングをするつもりはありませんが(ニュース
ステーションはよく見ています)理解不十分な中途半端な意図をマスメディア
として一方的に垂れ流すという意味ではダイオキシン報道にも通じるものが
あるように感じます。原告の請求棄却を受けてテレビ朝日は法的責任は免れ
ましたが「法的責任とは別に、今後の教訓として報道に生かしていきたいと
考えております。」と述べた同社の姿勢を疑います。何も変わってはいない。

ところで、私もテレビ番組制作で職場が取材対象となったことが何度もあります
から、一つの番組を制作するためにどれだけ膨大なテープが回るかは、ある程度
理解しているつもりです。

そして我々が本当に苦心しているところを写していながら、実際に放映される
番組ではお涙頂戴の部分ばかりで、我々が本質的であると考えるシーンはすべて
カットされていることを、いつも身にしみて感じています。制作者にそのような
編集を許すということは、一般視聴者のレベルがそのようなものなのでしょう。

今回、酒田消防組合のみなさんが、どのようなおつもりで取材を受けられたのかは
わかりませんが、報道された言動には残念ながら不用意なものが多すぎるように
私には感じられました。あまりにも無防備にすぎます。

最も象徴的だと私が感じたのは、秋田の事例発覚後に救急車への気管内チューブ
の搭載を取りやめたことに対する救急救命士の次の言葉です。

「積んであれば、心が動いて、やってしまう可能性があるということですよ。」

違法な行為であることを知りつつも、やむを得ず気管内挿管をしていた事実を
カミングアウトされた心意気は評価します。しかし、あまりにも自制を欠いた
この言葉で、すべてが台無しになることを自覚されてはいなかったのでしょうか。

「心が動く」

確かに心は動きます。私も毎日心が動きすぎて辛いです。昨日も今日も辛いことが
ありました。冬場は特に辛い。消えゆく我が子の命の炎を見つめて涙を流す親に、
一体何を説明しろと言うのでしょう。力が及ばない自らの能力のなさにうつむく
ことばかりです。感情で勝負するなら受けて立ちますよ。

しかし、動く心を制御することもできないのに命を扱うことが出来るのですか?
熱意があれば法を無視することが許されるのですか?

マスコミは基本的には一方通行のメディアです。そこで実名で出演されたという
ことは様々な批判に受けて立つということでしょう。幸い、この場は双方向の
意見交換が可能です。酒田消防組合のみなさんのご発言をお待ちしています。

全国の救急救命士のみなさんも、ROMを決め込まずにガンガン発言してください。
私に理解不十分な点があれば、いくらでもご指摘下さい。過ちを訂正することを
憚るつもりはありませんから。


From: 越智元郎(医師)
Date: Sat, 02 Mar 2002 01:06:52 +0900
Subject: [eml-nc2: 0896] ニュースステーションのHPへメール送付

 愛媛大学の越智です。テレビ朝日「ニュースステーション」のHP
http://www.tv-asahi.co.jp/broadcast/n-station/index2.html
に「救急救命士の気管内挿管問題について」というコーナーがあり、
意見を求めています。私は以下に示すようなメールを送り、私共の
ホームページについて紹介を致しました。以上ご報告申し上げます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【救急救命士の気管内挿管問題について】
 			ニュースステーションHPより

 秋田や山形の救命士達が医師にしかできない気管内挿管をしてい
たとして問題になっています。しかし、生死の境界線にいる救命士に
取れば、法律よりも生命を重視した結果なのです。救命士が気管内挿管
をできるよう法整備の議論も高まっています。そこで実際に救命士に
気管内挿管されて、助かった人を捜しています。ぜひ取材に応じてい
ただきたいと思います。連絡先を必ずご記入下さい。 

――――――――――――――
 愛媛大学医学部救急医学教室の越智元郎と申します。

 「救急救命士の気管挿管問題について」というウェブ資料
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/soukan.htm
を作成いたしましたので、御参照いただけましたら幸いです。

 この資料について番組またはHPへ掲載される場合には、必ず事前に
連絡を御願いいたします。

 また、2月28日の放送「救命士たちのジレンマ」の内容を、上記ペ−
ジに詳しく紹介させていただきたいのですが、御許可いただけますでし
ょうか。

 以上、よろしくお願い申し上げます。  
――――――――――――――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


From: 田代尊久(医師)
Date: Sat, 2 Mar 2002 02:53:31 +0900
Subject: [eml-nc2: 0899] Re: 救急救命士のジレンマ

こんにちは。田代@赤十字病院です。
ニュースステーションを見て残念に思った一人です.

特集の締めくくりに司会の一人が
「問題は簡単なことです.明日から法律を改正すればいいんです.」
みたいなことを言っていました.
大手のテレビ局が全国に向けて発信したものとしては,あまりにも
浅いと思いませんか?

テレ朝はなぜ厚生省が「時期尚早」との回答を出したのか読めてい
ません.
「医師会が反対したからだろう」程度にしか理解できていなのでは
ないでしょうか?

「時期尚早」の1つの大きな理由は,救急救命士の技術云々の前に
メディカルコントロール体制が整っていない地域が多く存在するか
らです.

特定行為を要請しても医師になかなかつながらなかったり,事後の
検証をきちんとやって次回にフィードバックするシステムがなくて
は,挿管行為だけが先走ってもダメだと私は思っています.

テレ朝側はせめて最後の締めくくりに
「問題は法改正云々ではなく,一刻も早いMC体制の充実が必要なのです.」
と,言ってくれれば拍手喝采だったのに・・・・・言わんか.

----------------------------------
 田代尊久            
熊本赤十字病院救急部   
----------------------------------  


From:  田代尊久(医師)
Date: Sat, 2 Mar 2002 03:05:04 +0900
Subject: [kumamoto-eml:2448] ニュースステーション

こんにちは。田代@赤十字病院です。

(中略)
見ました.見ました.(^o^)
いや〜,内容が浅かったですね〜.
もうちょっと深く掘り下げてくれるかと思ったら・・・・.
その後NHKがかなり客観的な判断で放送していただけに,よけいに浅い
と感じました.

内容は
挿管は法律で禁止→でも挿管すれば助かる→法律を改正しましょう!!
みたいな流れでした.

司会の一人が
「問題は簡単なことです.明日から法律を改正すればいいんです.」
といって締めくくっているではないですか.せめて
「問題は法改正云々ではなく,一刻も早いMC体制の充実が必要なのです.」
と,言ってくれれば・・・・・言わんか.


From: 嶋本政雄(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0900] Re: [eml-nc2: 0895] Re:  ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 03:20:30 +0900

皆さん、こんばんは。
嶋本@北九州消防です。

今回の救命士の挿管問題に関しては、深くだんまりを決め込んでおりましたが、Bさ
んの以下の問いかけに反応させていただきます。

> 全国の救急救命士のみなさんも、ROMを決め込まずにガンガン発言してください。
> 私に理解不十分な点があれば、いくらでもご指摘下さい。過ちを訂正することを
> 憚るつもりはありませんから。

私見ですが、今回の挿管問題は、法治国家である日本という国で起こったことを勘案す
ると、少なくとも救急救命士という職に対する信用失墜行為であったと思います。
なぜなら、違法な行為を行って、結果として良い結果に終わったのであれば、まず患者
本人も家族も「良くぞ、助けてくださいまして・・・」と思うことでしょうが、これが仮に
逆の結果に終わったとすると「救命士には法律上出来ない処置を、不十分にやって、
重大な合併症を招いて最悪の結果になってしまった・・・」これは残された家族に
とって、一生拭い去れない思いになるのではないでしょうか?

まだ行われた処置について、残された家族が知ることが出来れば良いほうです。これ
らの行為は、あくまで違法ですから、結果として救命処置録に記載されることはまずな
いでしょうから、残された家族に知るすべはないわけで、家族が知ろうとしない限り闇
に葬り去られる事実になってしまいます。

当然そこには、悪い結果を招いてしまったのは、何が原因なのか?の検証がなされるこ
とは無いわけで、それはMCの本質問題である「市民に対して行われる質の補償」の
問題ではないでしょうか?

私は、「救急救命士として、自己研鑽を重ねたので、患者を救う為には現行の法律内で
許される範囲外でもやる」という風潮が広まっていけば、取り返しのつかない事態が、
我々救命士を待ち受けているのではないかと危惧しております。
そういう風潮が広まれば、例えば、緊張性気胸が疑われれば、現場で緊急穿刺をやれば
いいじゃん。人の命は法律よりも尊い。。。
なんて安直な考えで勘違いしてしまえば、誰がその「尊い人の命」に対して責任を負う
のでしょうか?
緊急避難は、現行許される行為を尽くしきった先の最後の手段と考えます。

なんか、まとまりのない文章になってしまい、最終的に自分が何を訴えたいかも不鮮
明になってしまいましたが、とりあえず、今回の問題は重大な問題。。。今後の救命士
の進む方向付けとしては重大な問題をはらんでいるのではないかと、取り留めのない
考えをつらづらと書きとめてみました。

/////////////////////////////////
 北九州市消防局
 小倉北消防署 小倉北救急隊
     嶋本 政雄
/////////////////////////////////


From: 益崎隆雄(医師)
Date: Fri, 1 Mar 2002 20:36:38 EST
Subject: [eml-nc2: 0902] Re: [eml-nc2: 0857] Re: ニュースステーションをみて

市川さん,おはようございます。益崎@福岡大学救命救急です。
御返事が遅くなり申し訳ございませんでした。

>以上をまとめて再度、「病院研修とその後の継続した研修のもとで」の気管内
 挿管が現実的と思います。挿管してはいけない事例や、抜管すべき状況ももち
 ろんそこで研修することになります。

気道確保の方法だけをとりあげれば,市川さんの仰るとおりだと思います。
しかし今回私が投稿したものはあの番組に対してのコメントで,気道確保の方法
論だけを問題にしたものではありません。

私,実は昨年度まで救急救命九州研修所教授を兼任しておりました。
救命士については(救命士になった連中,救命士になろうとしている連中を含め
て),全国の救急医のなかでも理解している部類に入っているつもりです。
研修所では人工呼吸の基本はバッグ・マスクであると指導してきました。もちろ
んコンビの訓練も十分に指導してきました。(東京と九州で違いがあるのはいろ
んな経緯があり,今回はあえてコメントを差し控えさせていただきます。)
救命士の養成に携わった経験および救命センターで働いている救急医としての経
験もふまえて,現状の枠組みの中では「病院前の救急現場における器具を用いた
気道確保」はコンビがベストだろうと思います。もちろん自分が現場に居合わせ
て,手元に気管チューブがあれば迷わずそれを選択すると思います。しかし現場
で気道確保を行うのは我々救急医ではなく救命士です。

>EOAやコンビ、WBを病院で患者さんに使用している麻酔科医、救急医はい
 るのでしょうか?
 ご自分の家族にこれらEOA、コンビ、WBを使えますか?
 EOAは救急に本当に使用できますか?

救命センターの初療室であえてコンビを挿入することはありません。それは病院
だからです。だからといってコンビが救急に使えないわけではありません。病院
前救急現場では有用な器具の一つです。
もし私の家族がCPAとなって,駆けつけた福岡市消防局の救命士達(私の教え子
達です)がどうしてもバッグ・マスクで換気できなかったときにはコンビを使っ
てもらいたいです。


From: 新保勝夫(救急隊員)
Date: Sat, 2 Mar 2002 11:08:04 +0900
Subject: [eml-nc2: 0903] Re: [eml-nc2: 0895] Re:   ニュースステーションをみて

Bさん、皆さんこんにちは、新保@幕別消防署(北海道)です。
 今回のニュ−スステ−ション等の報道については、気管内挿管、更にはCPAの社
会復帰ばかりに視点をおいて、私達が目指すところとは程遠いところで議論されてい
ると思います。
 CPAの社会復帰率を欧米なみにすることも大事であると思いますが、もっと大切
なことがあると思います、すぐにでもCPAになりそうな状態(以下nearCP
A)をこれ以上悪化させないようにして医療機関に搬送する、すなわちpreventable
deathをなくすというところに我々救命士の存在意義があると思います。そのためには地域
のMC体制の早期構築が絶対に不可欠であります。
 今はいわゆる挿管問題に一喜一憂することなく冷静にMC問題を議論することが大
切です。CPAの社会復帰率を上げる
のも救命、nearCPAをCPAにさせないのも救命ではないのでしょうか。
----- Original Message -----
From: B
Sent: Friday, March 01, 2002 11:47 PM
Subject: [eml-nc2: 0895] Re: ニュースステーションをみて


From: 木村隆彦(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0905] Re: ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 12:05:09 +0900

皆さん こんにちは。
木村@赤穂消防です。

今、私が一番心配しているのは、現場にいる多くの救急救命士の中から、「そうだそ
うだ、法律なんて関係ない!救命のためだ!!」なんていう声があがり現場活動に歯
止めが利かなくなるのでは・・・ということです。

このMLの中には、この様な方はいらっしゃらないと思いますが(議論を見ています
ので)・・・。

違法行為を実施した救急救命士の方にも言い分はあるでしょうが、違法行為を実施し
ていない私を含めた救急救命士にも言い分があります。

ある制度を変更しようとした場合、違法行為を善意にせよ日常的に行っている者に、
易々と了解するでしょうか?
つまり、自分の行動が制度自体に影響を及ぼすかも知れない、それにより全救急救命
士に迷惑を掛けるかも知れない、と言うことは市民の皆さんの不利益につながる・・
・ということです。

だからMC体制の早期構築を目指し、時期尚早と言われない努力をしているのではな
いんですか?

検証が出来る環境を整えようとしているのではないのですか?

折角、一定の方向性を検討し進んでいる時期に、全くもって憤りを感じています。

私は、妻と共にニュースを見ておりましたが、妻が言いました。
「法律違反したのに、これだけ堂々と自分たちを正当化するのはおかしいね。まず全
国の救急関係の人に謝って、正直に説明しないと」
そして「バッグマスクやったら駄目なん??」と。

今後、ニュースステーションの番組で、是非「検証」して頂きたいと考えます。

でも、その後のNHKの番組を見て、憤りも治まりましたが。。。

キムタカ@赤穂消防兵庫
木村 隆彦


From:  C(救急隊員)
Subject: [aml.18298] 救命士の処置拡大について(長文)
Date: Sat, 2 Mar 2002 13:32:55 +0900

皆さんこんにちは。C@・・消防です。

メーリングリストでは、思いを文章に表現できず、
多くの人にみられる恥ずかしさからレスできずにいましたが、
越智先生の「提案」に賛同し参加いたしたくメールしました。
なお、28日の放送は当直で見られませんでした。

私は、・・に所属する
経験丸・年の救急救命士です。
今まで25件程度の特定行為経験しかありません。

私は救急活動において
”救える命を救いたい”
”自分の身内に対するがごとく処置したい”
と考えています。

○気管挿管について
気管挿管に勝る気道確保はないと理解しておりますが、
今のままでの気管挿管はとても実施できません。
研修医の先生が、気管挿管に手こずっている場面はなんどとなく拝見していますし、
過日のあるCPA事例では(1時間ほど?時間がたっていた)、
現場処置にてコンビチューブ挿管により換気できていたものが、
病院にて医師2人15分がかりで気管挿管できず、死亡診断した事例も経験しました。
私たちより何百倍も訓練を受けた医師に失敗する気管挿管が、
今の私に全例成功できようはずがありません。
喉頭展開の訓練はもっぱら人形のみであり、病院実習においても生体には実施させて
はもらえません。
常に実戦が訓練状態なのです。
私自身、現場にて喉頭展開したうちの約3分の1は声門を確認できていません。
私の手技が未熟なことが一番の原因ですが、病院の診察台とは違いその多くが
床やベッドの柵ごしの喉頭展開なのです。
また、家族から隔離された診察室とは違い、家族の見守る中での喉頭展開です。
気管挿管に失敗した救命士を目撃した家族は何を思い、何を口にするでしょう。
このような状況下で気管挿管を行うには、医師の何倍もの訓練機会が必要と考えます。
ちなみに、そんな私もコンビチューブ又はラリンゲアルマスク挿入では失敗なく、
十分な換気ができていたと自己検証しますが、
医師の多くは病院に収容するなりコンビチューブ等を抜管し気管挿管したがります。
現状での処置拡大には反対しますが、
気管挿管により救える命が増えるなら、
十分な教育制度構築の上での処置拡大を望みます。
実際に欧米のパラメディックは実施している手技なのですから・・・・

むしろ現行の気道確保において一番不安なのは、
小児及び新生児へのラリンゲアルマスクの挿入です。
これを実施したことがある救命士がいったい何人いるのでしょうか?


○指示なし除細動、VTへの除細動、小児への除細動
vf、VTへの除細動は、国際的エビデンスと考えます。
現行法及び現状の除細動器では、命の取りこぼしもありえます。
早急の改善を希望します。

「先生、患者vfです。除細動を実施してよろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
こんなとってつけたような会話が現行法では必要なんですよ。

「プレホルピタル・ケア」に記載の小児vf事例をとおして
先生のご意見を拝見し感動しました。
人の死を無駄にしないとはこのことなのだと・・・。
ただ私なら、マニュアルモードで除細動を実施していたかもしれません。
法を犯し裁かれる怖さより、
救えたかもしれない命を見捨てた自分をきっと許せないでしょうから。
vf、VTへの除細動は、国際的エビデンスなのですから。
早期の法改正を望みます。

日本ではAEDはダメ。
ACLSを採用する病院は少なく薬剤投与は医師の裁量。
救命士だけの問題じゃない。
国際的エビデンスを無視した医療体制。
”救える命を救いたい”そう思います。

以上、思っていることを生意気に書かせていただきました。

これからも宜しくご指導お願い致します。


Date: Sat, 2 Mar 2002 15:07:47 +0900
Subject: [eml-nc2: 0906] Re: ニュースステーションをみて
From: 小泉博仁(救急隊員)

木村さん、みなさんこんにちは、山形の小泉といいます。
最近ROMに徹してしまっているのと、同じ県内に住む救命士として少し責任を感じ発言さ
せていただきます。

> 今、私が一番心配しているのは、現場にいる多くの救急救命士の中から、「そうだそ
> うだ、法律なんて関係ない!救命のためだ!!」なんていう声があがり現場活動に歯
> 止めが利かなくなるのでは・・・ということです。

そうですね、そんな風になってはいけませんね。

> このMLの中には、この様な方はいらっしゃらないと思いますが(議論を見ています
> ので)・・・。

このメーリングリストは違法行為を肯定するような議論は禁止されていますので、そのよ
うな考えを持っている人がいるとしても発言はなされないでしょう。

> 折角、一定の方向性を検討し進んでいる時期に、全くもって憤りを感じています。

メディカルコントロールの議論が盛り上がる前からの違法行為であったようです。
救命士制度が出来、全国の救急医療関係者がより良い制度を構築しようと模索している中
の一つが走りすぎてしまったようです。
このタイミングを狙ってこのような行為に走ったわけではないと思いますよ。

むしろ、このタイミングを狙ったのは別の思惑が働いているのではないでしょうか。

> 私は、妻と共にニュースを見ておりましたが、妻が言いました。
> 「法律違反したのに、これだけ堂々と自分たちを正当化するのはおかしいね。まず全
> 国の救急関係の人に謝って、正直に説明しないと」
> そして「バッグマスクやったら駄目なん??」と。
> 
> 今後、ニュースステーションの番組で、是非「検証」して頂きたいと考えます。

違法行為を行った者への吊るし上げではなく、他にもっと大きな問題があるという事を取
り上げていくという事ですよね?

酒田の救命士は全員懲戒処分を受けており、今後違法行為は行わない事を明言しておりま
す。テレビの前で全員に謝罪させても皆さんの溜飲は下がるでしょうが、何も生み出しま
せん。

私は思うのですが、彼らは人を助けようとして誤った行動を起こしてしまったが為に罪に
なりました。
私は憂いながらも正しい行動(メディカルコントロール体制の早期実現)に全力を尽くし
たとは言えず、一応、法律を守っている正しい救命士と言うことになっています。

しかし、メディカルコントロールを構築しようと本気で行動に移してきた人達とは全く違
います。

私には法的な罪こそ無いにせよ、傍観してきた者として罪悪感を覚えるのです。
人の命に関わる立場として、自分は酒田の救命士よりも更に罪深いと感じています。
私に秋田・酒田の救命士や医師の方を責める資格はありません。

今回の事件を教訓とし、それよりも正しい道を早く作れるよう、実行に移すべく努力して
います。

最後になりますが、彼らを擁護するとも取れる文になってしまい不快になられた方も多い
と思います。
申し訳なく思いながらも今の気持ちを述べさせていただきました。

----------------------------------------------
所属  山形県 西村山広域行政事務組合消防署
氏名  小泉 博仁
----------------------------------------------


From: 岩崎 隆(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0913] Re: ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 17:23:27 +0900

こんにちは、みなさん、岩崎@巻・西川・潟東です。

木村@赤穂消防がお書きになりました。
> 今、私が一番心配しているのは、現場にいる多くの救急救命士の中から、「そうだそ
> うだ、法律なんて関係ない!救命のためだ!!」なんていう声があがり現場活動に歯
> 止めが利かなくなるのでは・・・ということです

気管内挿管は十分な研修が行われなければ、そう簡単にできるものではないと思います。
救命士が勝手に違法行為をやっていたのではなく、地域の救急医療をリードする医師
たちとともにその地域の救急医療を考えて、この方法で進もうというその地域のMCが
できていたからのことではないでしょうか?
十分な研修や実習がない、患者を引き継ぎぐ医師と顔が見えない状態では特定行為
どころか救急医療の質自体住民の期待にこたえるようなものではないと思いますま
す。

> ある制度を変更しようとした場合、違法行為を善意にせよ日常的に行っている者に、
> 易々と了解するでしょうか?
> つまり、自分の行動が制度自体に影響を及ぼすかも知れない、それにより全救急救命
> 士に迷惑を掛けるかも知れない、と言うことは市民の皆さんの不利益につながる・・
> ・ということです。
>
> だからMC体制の早期構築を目指し、時期尚早と言われない努力をしているのではな
> いんですか?
>
> 検証が出来る環境を整えようとしているのではないのですか?
>
> 折角、一定の方向性を検討し進んでいる時期に、全くもって憤りを感じています。

確かにそのとおりで、お気持ちは理解できます。
私は、MCの構築には法改正が必要であると考えています。
全国各地にMCが構築されてから法改正が行われるのを待っていたのでは、いつに
なるかわかりません。
法改正を行い、法の基準をクリヤーしたMCが構築された地域で、メディカルディレクター
が許可した行為を救命士が行うようにすべきであると思います。
そのため、救命士によっては、行える行為に差が出て当然のことと思っています。
地域の救急医療体制や指導する医師の技量、その救命士の資質や技量はさまざまです。
法改正は、単に行為の拡大をするのではなく、最低限の基準を規定し、それを満たした
ものに活躍してもらうような体制を作るべきではないかと考えます。

現在の救急医療は基本的にシステムが悪いからおかしくなっていると思います。
もっと根本的なことをしっかり話し合うことが必要であり、消防と医療のシステムを
日本国がどうするか考えるべきです。


Date: Sat, 2 Mar 2002 17:25:42 +0900
From: B(医師)
Subject: [eml-nc2: 0914] Re:  ニュースステーションをみて

山形の小泉さん、みなさん

Bです。

ご発言ありがとうございます。今は一点だけコメントさせて下さい。

>  最後になりますが、罪人擁護とも取れる文になってしまい不快に
>  なられた方も多いと思います。
>  申し訳なく思いながらも今の気持ちを述べさせていただきました。
(勝手ながら改行位置を変更しました)

率直な意見を述べるかぎり、見解を異にする誰かの感情を刺激する
ことは避けられないでしょう。私なんかはもうボロボロです。

しかし、罪人擁護ではなく、仲間を擁護するお気持ちからお考えを
表明していただくことは大切なことだと思います。

馴れ合いにはならないように、しかし仲間として、お互いに切磋琢磨
していきましょう。

[eml-nc2: 0871] 「気管内挿管報道から思うこと」で
・・@・・大学さんにまとめていただいていますが、
地の底からの呻きがもっと聞こえてきてもいいのではありませんか。

これまでにも繰り返し意見交換がなされてきたことではありますが、
何度でも構わないではありませんか。

法律違反を容認する発言は問題ですが、結果的に法を犯すに至った
お気持ちを率直に語ることまで禁止されているとは私は考えていません。

批判することが個人を吊し上げて溜飲を下げることに直結するとも
考えていません。批判が怖いのであれば、顔を隠して出演した医師の
ように匿名で出ればよかっただけの話です。かく言う私も、この場では
所属と氏名を明らかにして発言していますが公開WEB上では匿名です。
私は約束事が守られることが前提の場では個人の見解を表明しますが、
それ以外の場に自分の意見を曝さないことを個人のポリシーとしています。

マスコミに自らの主張を都合の良いようにつまみ食いされて平気ですか?
それとも、あの番組の意図は出演された方々の意図でもあったのですか?

ガンガンいきましょう。


From:  若松(救急隊員)
Subject: [aml.18305] Re: 提案:気管挿管問題
Date: Sat, 2 Mar 2002 18:28:14 +0900

越智先生、皆さん、こんにちは。
若松@北海道早来消防です。
久しぶりですが、自分からも一言。
今回のニュースステーションの報道は、大変危険だと思います。
消防組織にはあまり救急に対する知識のないまま、救急隊員として
活動している隊員がゴロゴロいます。テレビを見ていた、我が社の支署長
(トップです)に「山形の救命士は凄いな」と言われました。
家の妻にも「気管内挿管できればいいのにね」と言われる始末。
ちょっとしたHEROです。
世論が後押しする方向に動いている気がします。マスコミに弱い日本人、
特に「ニュースステーション」は善し悪しはあれ影響力抜群です。
「問題の本質は、挿管の可否ではないんだ!」と大声で叫びたいくらいです。
「気管内挿管で助かる」なんて大きな間違いじゃないですか!!
このまま「挿管OK」なんて事になったら、それ以外まったく無しになりそうで怖いで
す。
「全国の消防に医師を雇わせろ」なんて、とても深い思慮をお持ちの医師会関係者が
未だにいらっしゃるようですので。

----- Original Message -----
From: "Genro Ochi" 
Sent: Friday, March 01, 2002 10:18 AM
Subject: [aml.18279] 提案:気管挿管問題に関する市民との情報、意見の交換について


From: 鶴岡 信(医師)
Subject: [eml-nc2: 0919] Re: [eml-nc2: 0913]  Re: ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 21:11:45 +0900

皆さん今晩は、鶴岡@取手協同です。

-岩崎@巻・西川・潟東さんwrote(改行位置変更)-
> 気管内挿管は十分な研修が行われなければ、そう簡単にできるものではない
> と思います。
> 救命士が勝手に違法行為をやっていたのではなく、地域の救急医療をリード
> する医師たちとともにその地域の救急医療を考えて、この方法で進もうとい
> うその地域のMCができていたからのことではないでしょうか?

地域のきちんとしたMC体制のもとに気管内挿管が行われていたとしたら、その
責任者である医師は何故何も発言されないのでしょうか?責任者である医師が
秋田地区の救命士が行ってきた気管内挿管に関する検証の結果を発言もしくは
発表した物を私は見たり聞いたりしたことがありません(単に私の情報収集能
力が低いだけなのかもしれませんが・・)。私は責任者である医師の検証結果
がない限りいくら憶測で議論しても実り多いものになるとは考えられません。
どのような症例を適応とし、どのような資格・技量のある救命士に許可を与
え、どのように検証してきたのかが将来へつながる大事な点ではないでしょう
か?
 
********************************
鶴岡 信
取手協同病院 脳神経外科
********************************


From: 木村隆彦(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0920] Re: ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 21:45:33 +0900

小泉さん 岩崎さん こんばんは。
木村@赤穂消防です。

貴重なご意見を頂きありがとうございます。

私の舌足らずから、意図と少し違うところがありますので、その点について書かせて
頂きます。

● koizumiさん
> メディカルコントロールの議論が盛り上がる前からの違法行為であったようです。
> 救命士制度が出来、全国の救急医療関係者がより良い制度を構築しようと模索している中
> の一つが走りすぎてしまったようです。
> このタイミングを狙ってこのような行為に走ったわけではないと思いますよ。

○ kimura
はい。そのことは理解しております。
憤りを感じるのはニュースステーションに対してです。

● koizumiさん
> 違法行為を行った者への吊るし上げではなく、他にもっと大きな問題があるという事を取
> り上げていくという事ですよね?

○ kimura
はい。
吊し上げる行為を行っても、一時の快感はあるかもしれませんが(私はそれも無いと
思いますが)、決して進歩するとは思えません。

ここで言う検証には、小泉さんの仰る救急医療体制自体の問題ももちろんですが、現
実的に実施されてきた気管内挿管が、もし行われなかったらどうなっていたのか・・
・についてです。

もっとも、検証のしようがないのは分かっておりますが・・・。
ただ、地域の違いこそあれ、同じプレホスピタルに従事する者として、この点が分か
らないままに議論が進むことに疑問を感じています。

● iwasakiさん
> 救命士が勝手に違法行為をやっていたのではなく、地域の救急医療をリードする医師
> たちとともにその地域の救急医療を考えて、この方法で進もうというその地域のMCが
> できていたからのことではないでしょうか?

○ kimura
はい。私もそう考えます。
地域のMC体制が整っているからこそ、違法行為と知りながらでも実施できたのだと
思います。
職を賭して・・・と、気軽に言いますが、実際にはすごく重たい言葉です。

そんな重大なことが覚悟できるほどの信頼関係が無ければ、病院サイド(医師)の協
力は得られないと考えます。

だから余計に、安直に走ってしまう(世論に影響を与える)・・・ような形で気管内
挿管の問題を取り上げて欲しくないのです。

まずは、しっかりとしたMC体制の構築です。

そして、国家試験に合格したものの質の向上を目指そうとしない救急救命士を巻き込
んで、救急隊として救命のための検証や、最近話題になった顔の見える関係作りに取
り組まなければならないと考えています。

● iwasakiさん
> 法改正を行い、法の基準をクリヤーしたMCが構築された地域で、メディカルディレクター
> が許可した行為を救命士が行うようにすべきであると思います。
> そのため、救命士によっては、行える行為に差が出て当然のことと思っています。

○ kimura
ここが実に悩ましい所なんです。
私は、基本的には岩崎さんのお考えに賛成です。
(昔々に上司とバトルをやらかしました。この時の私の主張は岩崎さんの意見と同じ
でした)

でも、
市民の方は病気になると、「何処に行こうか?」と病院を選び医師を選んでいます。

しかし、119番で「○○救急救命士を出場させて下さい」なんて指名はできません。

だから、誰でもが同じ活動が出来る必要がある・・・という論法が成り立つのだと思
います。

また私たちは、辞令書1枚で救急以外へのポジションに配置換えになります。

医師や看護婦等はキャリアを積んで信頼と知識技術を向上させますが、私たちはキャ
リアを積むと配置換えになります。

ここに、モチベーションの問題があるのだと考えます。

つまり、現状でもたくさん見直すべき点が認められます。

時期尚早という言葉には、このような背景もあるのでは・・・と考えてしまいます。

キムタカ@赤穂消防兵庫
木村 隆彦


From: 岩崎 隆(救急隊員)
Subject: [eml-nc2: 0922] Re: ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 22:11:59 +0900

こんにちは、鶴岡@取手協同さん、みなさん、岩崎@巻・西川・潟東です。


鶴岡@取手協同さんがお書きになりました。
> 地域のきちんとしたMC体制のもとに気管内挿管が行われていたとしたら、その
> 責任者である医師は何故何も発言されないのでしょうか?

責任者が発言するとなれば、病院長でしょうか?
真の責任者は、医師と救命士双方であり、発言したくてもそうできないような状況
もあるのではないかと思います。
ニュースステーションで発言していた医師も医師生命をかけての発言であったの
ではないかと思います。

>責任者である医師が
> 秋田地区の救命士が行ってきた気管内挿管に関する検証の結果を発言もしくは
> 発表した物を私は見たり聞いたりしたことがありません(単に私の情報収集能
> 力が低いだけなのかもしれませんが・・)。

違法であるものをまとめて発表するには、そう簡単に発表するわけには行かない
と思います。
内容によっては批判の的になるだけということもありうると思いますし、それを
効果があるものと認めさせるには、現状と大きな効果の差を提示しないとみなさん
納得しないでしょう。
しかし、すでに社会復帰率日本1の実績があったのは事実ではないでしょうか?

>私は責任者である医師の検証結果
> がない限りいくら憶測で議論しても実り多いものになるとは考えられません。
> どのような症例を適応とし、どのような資格・技量のある救命士に許可を与
> え、どのように検証してきたのかが将来へつながる大事な点ではないでしょう
> か?

私もそう思います。
しかし、日本の組織の多くは個人批判をすぐにし、個人の責任にかぶせて
混乱しているシステムを変えようとしません。
個人の責任を問わないで、細かな検証を十分行い、目標に向かって改善する
姿勢が必要なのではないでしょうか?
消防組織自体も大きな過渡期に立っていて、時代の変化や要請についていけなく
なっていると思います。
救急についてだけでも何年たっても救命士によるの救命効果がたいして上がら
ない、救急医療の地域差が大きいなど、本当に解決しなければいけないことが
たくさんあると思います。
住民がわれわれに何を求め、私たちが何をすべきなのかそれぞれの組織が
真剣に考えてお互いに改革をすべきと私は思います。

ご意見いただきありがとうございました。


From: 鶴岡 信(医師)
Subject: [eml-nc2: 0923] Re: [eml-nc2: 0922] Re: ニュースステーションをみて
Date: Sat, 2 Mar 2002 22:44:55 +0900

岩崎@巻・西川・潟東さん、皆さん今晩は。鶴岡@取手協同です。

> 責任者が発言するとなれば、病院長でしょうか?

気管内挿管を行うプロトコールを決めた医師であり病院長などではないでしょ
う。

> 真の責任者は、医師と救命士双方であり、発言したくてもそうできないよう
> な状況もあるのではないかと思います。
> ニュースステーションで発言していた医師も医師生命をかけての発言であっ
> たのではないかと思います。

このプロトコールを決めた時点で、医師・救命士は医師生命・救命士生命をか
けたからこそ気管内挿管を実施してきたのであり、それが公になったとしても
その決意は変らない物なのではないでしょうか?

> 違法であるものをまとめて発表するには、そう簡単に発表するわけには行か
> ないと思います。内容によっては批判の的になるだけということもありうる
> と思いますし、それを効果があるものと認めさせるには、現状と大きな効果
> の差を提示しないとみなさん納得しないでしょう。
> しかし、すでに社会復帰率日本1の実績があったのは事実ではないでしょう
> か?

上記のように、このプロトコールを実施すると決定した時点で彼らは医師・救
命士生命を架けたわけですから、現在でもその決意できちんと情報を伝達する
義務があると考えます。
また、社会復帰率日本一の実績は気管内挿管のみによる結果なのでしょうか?
気管内挿管のみによって社会復帰率日本一が達成できたのであるとするならば
よりいっそうそのデータを誰にでもよくわかるような形で公にすべきです。

> しかし、日本の組織の多くは個人批判をすぐにし、個人の責任にかぶせて
> 混乱しているシステムを変えようとしません。
> 個人の責任を問わないで、細かな検証を十分行い、目標に向かって改善する
> 姿勢が必要なのではないでしょうか?
> 消防組織自体も大きな過渡期に立っていて、時代の変化や要請についていけ
> なくなっていると思います。
> 救急についてだけでも何年たっても救命士によるの救命効果がたいして上が
> らない、救急医療の地域差が大きいなど、本当に解決しなければいけないこ
> とがたくさんあると思います。
> 住民がわれわれに何を求め、私たちが何をすべきなのかそれぞれの組織が
> 真剣に考えてお互いに改革をすべきと私は思います。

それこそがメディカル・コントロールと言うことではないでしょうか。

********************************
鶴岡 信
取手協同病院 脳神経外科
********************************


Date: Sat, 2 Mar 2002 23:37:14 +0900
From: B(医師)
Subject: [eml-nc2: 0924] Re:  ニュースステーションをみて

・・病院のBです。

>  また私たちは、辞令書1枚で救急以外へのポジションに配置換えになります。
>
>  医師や看護婦等はキャリアを積んで信頼と知識技術を向上させますが、
>  私たちはキャリアを積むと配置換えになります。
>
>  ここに、モチベーションの問題があるのだと考えます。
>
>  つまり、現状でもたくさん見直すべき点が認められます。
>
>  時期尚早という言葉には、このような背景もあるのでは・・・
>  と考えてしまいます。
(キムタカ@赤穂消防兵庫さん)

ニューステーションではこのような事実には一切触れられないままに、
総務省消防庁が法改正について厚生労働省に打診したが時期尚早という
言葉のみで拒絶されたように構成されていましたね。

テレ朝の報道が虚偽であるとは言えません。確かに事実を報道している
のでしょう。しかし、このような報道の仕方はセンセーショナリズムを
生むだけです。それに利用された酒田消防の方々は、まだ胸の内を
吐き出されませんか?

この場での議論は、吊し上げとしかみなさんには映りませんか?

>  真の責任者は、医師と救命士双方であり、発言したくてもそうできない
>  ような状況もあるのではないかと思います。
>  ニュースステーションで発言していた医師も医師生命をかけての
>  発言であったのではないかと思います。
(岩崎@巻・西川・潟東さん)

私の考えは岩崎さんとは異なります。匿名を貫く限り、そこに医師生命を
かけるなどという大仰な覚悟を感じることはできません。
番組出演はともかくとして、もしemlのメンバーであるのならば、実名で
この場に出て自らの意見を述べればいいではありませんか。でしたら
私も岩崎さんの仰る医師生命をかけての信念を感じることが出来ます。

>  しかし、日本の組織の多くは個人批判をすぐにし、個人の責任にかぶせて
>  混乱しているシステムを変えようとしません。
(中略)
>  住民がわれわれに何を求め、私たちが何をすべきなのかそれぞれの組織が
>  真剣に考えてお互いに改革をすべきと私は思います。
(岩崎@巻・西川・潟東さん)

全くその通りです。では、酒田消防組合では、この問題について、個人の
責任を問うことなく、どのような問題の分析がなされて、改革につながる
報告がまとめられたのでしょうか。すでに問題分析が行われているので
あれば、次はそれをたたき台にして論じましょう。

この場で真剣に論じることが、結果的に個人批判につながることはあるで
しょう。しかし、それが吊し上げや溜飲を下げるということでしか考える
ことができないとすれば、それは大変に悲しいことではありませんか。
批判を覚悟しないで信念を語るのはおかしいではありませんか。
emlで批判されることが個人の責任を問うことに直結するのでしょうか。
この場は批判も許されない、仲良しこよしのチイパッパで慰め合うためだけ
のものでしょうか。そうではないですよね。仲間たちが気管内挿管だけでは
なく、もっと大きな問題について、医療について真剣な意見交換をしている
のですよね。


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