原典: Sekimoto M, et al. The defibrillation system of basic emergency medical technicians in Japan: a comparison with other systems from a 14-year review of out-of-hospital cardiac arrest reports. J Epidemiol. 2001 Jan;11(1):29-40. |
OHCAの患者に蘇生を施行するプログラムは英国Belfastで1966年に誕生し(4)、 瞬く間に全世界に広がり、パラメディックや救急隊員(EMT: Emergency Medical Technician)等の新しい職業が編成され、専門的な訓練を受けてい る。また除細動器の進歩により(自動除細動器など)、除細動を施行する人員 の範囲も医師、看護婦、パラメディックからEMTへと広がった。1980年代から 導入されたEMTによる早期除細動システムは、その効果がいくつかのRCTやメタ 分析などにより証明されている(5-8)。
1992年以前日本のEMS職員は、酸素投与及び心肺蘇生のみを行うBasic life support (BLS) providersのみであった。1993年より制度が改正され、 Basic-EMTに加え、静脈確保、ラリンジアルマスクによる気道確保、半自動除 細動機(Automatic Electronic Defibrillator: AED)を用いた除細動の権限を もつProviders of BLS with defibrillation (BLS-D)も救急医療に参加するよ うになった。
制度改正後OHCAの生存率が改善したかどうかについて様々な議論が沸き起こっ た。1998年、日本臨床救急医学会の救命救急法検討委員会は全国33救急施設の OHCAの成績を集計して、制度施行前後のOHCA生存率の比較を行った。その結 果、制度施行前(1991年)の院外心停止後の社会復帰率は28/2887 (1.0%)で、 施行後(1997年)の12/1278 (0.9%)と比較して殆ど差はなかったと発表した (9)。しかし現在のところ系統だった標準的方法を用いた比較研究が存在しな いため、この研究のみから日本の新システムの効果に関する結論を出すのは性 急といえよう。
1990年代初頭に提唱されたUtstein style(10)は、現在広く認められた院外心 停止の報告形式であり、国間あるいはコミュニティ間のシステムの比較を可能 にした。本研究の目的は、日本のOHCAの成績をUtstein styleを用いて、他の 国あるいは他のコミュニティのそれと比較することである。
日本の救急システムは約1,600の管轄地域に分けられているが、全国均一で、
出動は1段階式である。職員の配置数は人口1,000人あたり1人に制定されてい
る。大半のOHCA症例にはEMT-Dが対応する。法律により、除細動の施行には医
師の許可が必要となっている。1998年末の日本におけるEMT-Dの配置数は約
7,500人、人口10万人あたり約6人である。
派遣は基準に基づき、コンピューター指令によって行われる。派遣指令員は全
日制の職員である。派遣指令員の中には、心肺蘇生の口頭指令を指導するもの
もいる。
1.2 データの収集
Institutional Review Boardの承認は求めなかった。この研究は、新しい介入
や処置に関するものではないし、データの収集は各EMSの日常的な品質管理業
務の一環だからである。
日本の3つの地方都市から、Utstein Styleに準じてprospectiveに収集した
データセットを入手した。秋田市(人口316,000、面積460 km2)からは1995〜
98年まで4年間のデータセット、大津市(人口306,000、面積 370 km2)からは
1997〜98年まで2年間のデータセット、出雲市(人口128,000、面積 440 km2)
からは1995〜98年まで1年7ヶ月間のデータセットを入手した。全ての院外心停
止症例のうち、不可逆的な死亡徴候のみられなかった症例を対象とした。心停
止の原因は、状況、既往歴、検査、検死や剖検の結果などから総合して判断し
た。予後調査は、担当の救急隊員が、医療機関に問い合わせて確認するか、あ
るいは医師の協力を得てカルテより検索した。エンドポイントは死亡あるいは
生存退院とした。
2.1 至適基準および除外基準
ウツタイン形式、あるいはウツタインに準じた形式のpopulation-basedのOHCA
に関する論文の検索をおこなった。MEDLINE databaseによる検索及び用手検索
で入手した1985年〜1998年にピアレビュー誌に発表された論文を、'heart
arrest (MeSH)', 'cardiac arrest', 'out-of-hospital', 'prehospital,
'Emergency Medical Service (MeSH)', 'Utstein style', 'prognosis (MeSH)
'の検索語を用いて検索した。ウツタイン形式で院外心停止後の生存率が報告
されているcommunity-based studyで、かつコミュニティの人口が特定できる
ものを選んだ。またウツタイン形式で報告がなされていなくても、ウツタイン
形式の情報および人口が抽出できる論文もすべて選びだした。次に、発表論文
の参考文献および以前に発表されたレビューからマニュアル検索を行った。英
語で記述された論文のみ考慮した。また日本から報告された院外心停止に関す
る論文で、ウツタイン様式に準拠したpopulation-based studyを医学中央雑誌
から検索した。
2.2 データ抽出
各論文から以下のデータの抽出を試みた。
抽出したデータから、OHCA発生率(OHCAの発生者数を年間、人口10万人あたり
で表したもの)、OHCA生存者発生率(OHCA後の生存者の発生者数を年間、人口
10万人あたりで表したもの)、生存率(OHCA生存者数をOHCAの発生数で割った
もの)を計算し、EMSシステムのタイプと共に、国間、コミュニティ間の比較
をおこなった。
各カテゴリのOHCA発生率計算の際に、年齢や性別による調整は行わなかっ
た。1年間人口10万人あたりのIncidence rateの95%信頼区間の計算には、
exact法を用いた。また生存率の95%信頼区間の計算には、binominal
distributionのexact法を用いた。
日本の心原性OHCAおよび目撃のあるVF-OHCAの要約統計量を計算した。
データの均一性の検討に、Woolfのχ二乗法を用いた。要約統計量の計算の際
に、各データをサンプルサイズに応じて重み付けした。差の検定には、両側
p-test(p<0.05)を用いた。すべての解析にSTATA Ver6.0を用いた。
日本からは一つだけ、ウツタイン様式に準拠したPopulation-based study
が検索された(11)。日本において蘇生の施行されたOHCAの発生率は34〜
49/100,000/YEARであった。蘇生が施行されたOHCAの約半数は、外傷、中毒、
窒息、自殺、呼吸不全、脳卒中、末期疾患など明らかに非心原性であった。さ
らに残りの半数のうち明白な心原性OHCAはさらにその半数以下であった。ウツ
タインの定義による心原性OHCAの発生率は18〜26/100,000/YEARであった。ま
た目撃のあるVFの発生率は2.6〜3.6/100,000/YEARで(心原性OHCAの10%〜
18%)あった。心原性OHCAの生存者の発生率は0.6〜2.0/100,000/YEARであ
り、そのうち目撃のあるVFは半数から100%を占めた。
心原性OHCAの生存率は5.4〜10.0%、心原性で目撃のあるVFの生存率は21〜
40%であった。これらの生存率には4つのコミュニティ間で差がみられなかっ
た。舟橋における蘇生が施行されたOHCAの発生率および心原性OHCAの発生率
は、他の都市に比べてやや少ない傾向にあったが、心原性で目撃のあるVFの発
生率には有意差を認めなかった。日本における心原性OHCA、および目撃のある
心原性VFの生存率の要約統計量は、それぞれ6.7% (χ2<4.9, p<0.18, 95%CI,
5.0〜8.4%)および28.1% (χ2<4.5, p<0.22, 95%CI, 20.4〜35.9%)であった。
採択した論分は全部で35あり、合衆国が12(12-23)、フィンランド(24-26)およ
びドイツ(27-29)が各3、カナダ(30, 31)、オランダ(32, 33)、ニュージーラン
ド(34, 35)および英国(36, 37)が各2、スウェーデン(38)、スロベニア(39)、
イタリア(40)、フランス(41)、オーストラリア(42)、イスラエル(43)、香港
(44)、および台湾(45)が各1であった。論文から抽出されたデータの一覧を、
日本の三都市のデータと共に表1に示す。
2.1 蘇生が施行されたOHCA
蘇生が施行されたOHCAの発生率は、国間あるいはコミュニティ間で大きく異な
り、最大は合衆国ミネソタ州Arrowhead region(4)およびChicago(404)の145お
よび146/100,000/YEAR、最小は香港(13)の23/100,000/YEARであった。日本を
含むアジア諸国では、蘇生が施行されたOHCAの発生率は最低レベルであった。
2.2 心原性OHCA
蘇生が施行された心原性心停止の発生率、およびその生存者の発生率の比較を
図1に示す。心原性OHCAの発生率にも大きな地域差が見られた。心原性OHCAの
発生率は、CHD有病率の高いフィンランド、スウェーデン、ドイツ、北アメリ
カ等で高く(46)、少ないといわれるフランス、イタリア、および日本を含む東
アジア地域で小さい傾向が見られた。
心原性OHCAの生存者の発生率が最も多かったのは、合衆国 San Juan Islandの
19/100,000/YEAR (13)、一方最も少なかったのは台湾の0.3/100,000/YEAR
(45)であった。 San Juan Islandは心原性OHCAの発生率が最も高い地域であ
り、また台湾は心原性OHCAの発生率が最も少ない地域である。日本の心原性
OHCAの生存者の発生率は、フィンランド、ドイツ、San Juan Islandを除く
と、大多数の欧米のコミュニティと差がなかった。
心原性OHCAの生存率の比較を図2に示す。心原性OHCAの生存率は1.4〜22%
であり、同じ国の中でも大きな差が見られた。合衆国の報告は、最低がニュー
ヨークおよびシカゴの1.7%、最高が San Juan Islandの21%であった。東アジ
ア地域の報告では、香港が3.0%、台北が1.4%でいずれも非常に低かったが、日
本の報告では5.4〜10%であり、欧米の大多数のコミュニティとの差はなかっ
た。
2.3 心原性VF
最初に記録した心電図波形がVFである心原性OHCA(心原性VF)の発生率を
報告した論文は、全部で16あった(17-20, 22,27,28,31,32,34,35,39,41-43)。
発生率が最も低かったのはフランス・サンチエンヌの7.9/100,000/YEAR
(41)、最も高かったのは合衆国ペンシルベニアの34.4/100,000/YEAR(17)で
あった。合衆国の報告は全部で5つあったが、心原性OHCAの発生率に比べ、心
原性VF発生率のコミュニティ間格差は小さかった。シカゴ(404)とテネシー州
メンフィス(45)を比較すると、心原性OHCAの発生率はシカゴがメンフィスの2
倍であったが、心原性VFの発生率はシカゴが27.9 (26.0-30.0)、メンフィスが
25.7 (23.6-28.0)/100,000/YEARであり、両者間に統計学的有意差はなかっ
た。日本以外のアジアからの報告はなかった。日本では心原性VFの発生率は、
3.6〜5.9/100,000/YEARで、欧米で最も低いフランス、サンチエンヌの
7.9/100,000/YEARよりさらに低かった。
論文から抽出されたデータによる心原性VFの生存者の発生率は、1.1〜
5.9/100,000/YEAR、生存率は3.8〜24.8%であった。日本における心原性VFの生
存者の発生率は、1.1〜1.6/100,000/YEAR、生存率は25〜36%であった。日本の
成績は、むしろ欧米のコミュニティの成績よりも良い傾向にあった。
2.4 目撃のある心原性VF
蘇生が施行された目撃のあるの心原性VF (目撃のある心原性VF) の年間人口10
万人あたりの発生率、およびその生存者の発生率の比較を図3に示す。論文か
ら抽出された目撃のある心原性VFの発生率は、2.6〜46/100,000/YEARであっ
た。日本での発生率は2.6〜3.6/100,000/YEARで、欧米で最も低いフランス・
サンチエンヌの半分以下であった。目撃のあるVFは、合衆国では心原性OHCAの
17〜50%、フィンランド・ヘルシンキでは42〜60%、ドイツでは25〜32%、ス
ウェーデンでは33%、イギリス・グラモーゲンでは28%、スロベニアでは
34%、フランス・サンチエンヌでは34%、ニュージーランド・オークランドで
は50%を占めた。文献から抽出された目撃のある心原性VFの生存率の比較を図
4に示す。発生率の低い日本でも生存率は21〜51%であり、欧米と比べても遜
色ない成績であった。
日本から発表されたにOHCAに関するpopulation based studyは殆どないが、数
多いhospital-based studyの報告によると、日本のOHCAの生存退院率は、制度
施行前が2.8〜4.4% (55-63)、施行後が1.9〜6.1% (56, 57, 59-65)である。し
かしながら、hospital-based studyは様々なバイアスの影響を受けやすいた
め、これらの研究結果のみから制度の効果を検討するのは困難である。さら
に、統一された語句の定義がないことや、方法論の不均一性、定義の不一致、
報告形式の多様性などのために、日本から発表された論文間の比較や、欧米の
結果との比較は困難である。ウツタイン様式は、まさにこれらの問題解決のた
めに作られたスタイルである(10)。このスタイルは、欧米では既に幅広く活用
されているが、日本では舟橋市、大阪北摂部などからウツタイン様式による報
告がわずかに見られるのみである。
日本で早期除細動システムが殆ど効果を挙げない理由として、
今回データを入手した3つのコミュニティ及び論文検索から見つけた1つのコ
ミュニティ間に、院外心停止の発生率や生存率に統計学的な有意差は認めな
かった。これは、日本では救急システムや疾病構造がほぼ均一なことを反映し
ている。論文のレビューにより、日本を含めたアジア諸国において、心原性心
停止の発生率、特に生存に最も有利とされる心原性で目撃のあるVF症例の発生
率が低いことが明らかになった。蘇生が施行されたOHCAのうち、目撃のある心
原性VFが占める割合は、日本では10%以下であった。また日本における目撃の
ある心原性VFの発生率は、欧米の最も高い地方の約5分の1程度であり、蘇生
が施行された全OHCAに占める割合は、わずか10〜20分の1である。皮肉なこと
であるが、日本における年間人口10万人あたりの心原性VFの発生率は、人口10
万人あたりのEMT−Dの配置数よりも少ない。この原因として、日本ではCHD罹
患率が低いことが上げられる。WHO MONICA projectは統一された基準を用いて
coronary event(冠動脈疾患による急性死)の発生率の国際比較を行っている
(46) 。それによると、35から64歳の男性における年齢調整したcoronary
eventの発生率は、915/100,000のフィンランドノースカレリアと76/100,000の
中国北京の間に12倍もの格差があった。残念なことに日本はMONICA projectに
参加していないが、同様の基準を用いて測定した日本のデータでは57/100,000
であり北京とほぼ同じであった(76)。
日本の心原性で目撃のあるVF症例の生存率は(平均28.1%、21〜51%)、欧
米と比べても遜色ない成績であった。Eisenbergらは、目撃のある心原性VFの
生存率の目標を約30%と述べており(5)、この観点から見ると、日本の早期除
細動システムも一応の成果をあげていると言える。日本における問題は、心原
性VFがOHCA症例に占める割合が、欧米諸国に比べて大変低いことであり、これ
が早期除細動システムが期待されたような多大な成果を挙げない最も大きな原
因であろう。日本における院外心停止の原因として多いのは、呼吸不全、脳卒
中、窒息、喘息などである(77, 78)。従って今後日本のEMS及びヘルスケアプ
ログラムは、これらの疾患に対する対策に重点的に取り組む必要がある。
バイスタンダーによる心肺蘇生率が低いことも、日本におけるプレホスピタル
ケアの問題点の一つに挙げられているが、今回データを収集した3つの地方都
市ではここ数年の救急隊の熱心な取り組みにより、心原性心停止のバイスタン
ダーCPR率は30〜50%であった。
心原性OHCAの発生率の違いを生み出す主な要因は、三つである。(1) 疾病
構造の違いやCHD罹患率などの疫学的な因子、(2) 心疾患の診断基準の違い、
そして(3) EMSの蘇生施行基準の違いである。疾病構造の違いは、そのコミュ
ニティの年齢構成、人種、社会経済状態、CHD有病率等に依存する。
心疾患の診断基準は、コミュニティや医療機関により大きく異なると考えら
れ、ウツタイン様式の中で最も不安定な要素となっている。ウツタイン基準で
は原因不明のOHCAは心原性に分類することになっている。しかし、日本では
OHCAの患者が剖検に附される事は殆どないため、この定義を用いると心原性
OHCAを誤分類する恐れがある。日本から出された報告によると、急性死のうち
剖検で心疾患が確認されたのは38〜56%であったという。非心原性OHCAの予後
は心原性OHCAの予後と大きく異なるため、誤分類によりEMSシステムの評価が
歪曲される恐れがある。
またEMSの蘇生施行基準の違いも、やはり生存率に大きな影響を与える。アメ
リカ合衆国の報告では、心原性心停止の発生率に約3倍ものコミュニティ間格
差がある一方で、心原性VFの発生率には殆ど差が見られなかった。この事実か
ら、心疾患の診断基準やEMSによる蘇生施行規準に格差があることが推測され
る。
目撃のある心原性VFは、生存に最も有利な条件であり、全OHCA症例にこれ
がどの程度含まれるかにより、生存率は大きな影響を受ける。心原性VFの発生
率が高い地域はいずれも、Acute coronary eventの発生率の高い地域であり、
これらの地域では早期除細動システムが高い効果を挙げるだろう。一方低い地
域(南ヨーロッパ、日本を含む東アジア)では、CHDによるOHCAは少なく、他
の原因によるOHCAが多い。従ってVF症例も少なく、早期除細動システムが全体
の生存率向上にあまり寄与しない。これらの地域(南ヨーロッパやアジア諸
国)では、各地域の疾病構造に合わせた独自のEMSシステムが必要であろう。
生存率計算の際に、どのように分母を設定するかにより、結果が大きく影
響を受けることは、従来から数多く指摘されてきた (2,3,53)。この問題を解
決するために提案されたのがウツタイン様式である。しかしウツタイン様式に
より語句や報告形式の統一にかなり改善がみられたとはいえ、分母の不均一性
の問題が完全に解消したわけではないことは、この研究が示すとおりである。
蘇生が施行されたOHCAの生存率、あるいは心原性OHCAの生存率は、依然として
分母の不均一性の問題を抱えている。この不均一性は、各コミュニティの疾病
構造、診断基準、蘇生施行基準の違いに根ざすものであり、根本的解決は難し
い。従って、蘇生が施行されたOHCAや心原性OHCAの生存率をコミュニティ間で
比較することで、あるEMSシステムの有効性を評価することはできない。一方
心原性VFや、心原性で目撃のあるVFは、前述の因子の影響を受けにくく、早期
除細動システムの指標として十分使えるものである。
謝辞:本論文執筆にあたり、多大なるご助力を頂きました伊藤竜康氏(秋田市消防本部)、円山啓司先生(市立秋田総合病院)、清野洋一氏(秋田市消防本部)、田邉俊
司氏(大津市消防局)、福井道彦先生(大津市民病院)、安田康晴氏(出雲市外4町広域消防組合 出雲消防署)に深謝いたしま
す。また、データを提供していただいた秋田市消防本部、出雲市外4町広域消防組合 出雲消防署、大津市消防局
の救急隊の献身的な努力に心より感謝いたします。
文献
方法
(1) 研究期間
(2) EMSシステムのサービスを受けている人口および管轄面積
(3) EMS職員のタイプ
(4) EMS職員が蘇生を施行したOHCA(蘇生が施行されたOHCA)の発生数
(5) EMS職員が蘇生を施行した心原性のOHCA(心原性 OHCA)の発生数
(6) 心原性OHCAの生存者の発生数
(7) 心原性OHCAの生存率
(8) 最初に記録した心電図波形がVFである心原性OHCA (心原性VF) の発生数
(9) 心原性VFの生存者の発生数
(10) 心原性VFの生存率
(11) 最初に記録した心電図波形がVFである目撃のある心原性OHCA (目撃のあ
る心原性VF) の発生数
(12) 目撃のある心原性VFの生存者の発生数
(13) 目撃のある心原性VFの生存率結果
考察
(1)欧米に比べて低い冠動脈疾患(Coronary Heart Disease: CHD)の罹患率が
低く、他の原因によるOHCAの割合が高い (66, 67)
(2)欧米に比べて、初期心電図波形が心室細動あるいは心室性頻脈であるOHCA
症例の割合が低い(60, 66-69)
(3)心停止時に、その場に居合わせた人が心肺蘇生を行う、いわゆるバイスタ
ンダー CPRの施行率が欧米に比べて低い(70-75)
(4)制度上EMT-Dが独自の判断で除細動を施すことが許されていないため、除
細動までの時間が長い
ことなどが挙げられている。