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  第52回大会報告一覧 印刷用PDFファイル(学術大会の概要と特別講演)

学術大会の概要と特別講演

 報告者:大会長 藤岡正信((財)愛知県健康づくり振興事業団)


1.学術大会の概要

第52回東海公衆衛生学会学術大会は、平成18年7月22日(土)にあいち健康の森健康科学総合センター(愛称:あいち健康プラザ)で開催された。今回のメインテーマは話題性と開催地を考え「健康長寿をめざして」が取り上げられた。開催当日は前日までの雨模様がうそのような快晴に恵まれ、参加者324名を得て盛況に開催された。午後のシンポジウムは一般県民にも開放し、更に多く方に入場いただいた。
大会は、午前中は開会式に引続いて3会場で一般演題35題(口演20、示説15)と特別講演が行われ、午後は総会とシンポジウムが開かれた。なお、学術大会終了後には、同じ会場で愛知県主催の地域健康長寿シンポジウムが開催された。
今回大会の試みとして、メインテーマである健康長寿に関連した内容の提供と、多職種の方が参加しやすい環境作りを心掛けた。健康長寿関連では県のシンポジウムとの同日開催や管理栄養士の献立による健康弁当の提供などを、環境作りでは実行委員とシンポジストに合計6職種を配置した。また、名誉会員への参加を呼びかけたが、残念ながら少人数の参加に留まった。
参加者324名の内訳は、会員120、非会員59、学生145であった。地域別では愛知県190、名古屋市52、岐阜県42、静岡県29、三重県8、職種別では学生を除き保健師58、医師57、栄養士16、教員7、歯科衛生士と事務職6の順であった。このように多職種かつ多数の参加に加え、各会場では活発な討議が行われた。皆さんの応援のお陰で、当初の目的が達成でき感謝申し上げます。

2.特別講演「健康長寿をめざして」

特別講演はメインテーマと同じ「健康長寿をめざして」と題して、国立長寿医療センター研究所 下方浩史疫学研究部長よりいただいた。講演の内容をまとめると、日本は社会的支援、遺伝素因、ライフスタイルに恵まれ、世界一の長寿を誇っている。一方、死については惜しまれながらの死を望み、痴呆や寝たきりの死を忌避している。この解決には老化や老年病の予防が必要であるが、残念ながらその分野の研究者は限られている。
健康長寿の研究の一端を、肥満を題材にして、体型と生活習慣病との関係、ダイエットによるリバウンドの危険などを中心に話された。高齢者ではむしろ痩せが問題であって、身長が縮むため成人肥満度の単一な適用は慎重にすべきであると強調された。また、遺伝子の探索から、骨粗鬆症との関連に触れ、閉経女性では組合せによる大きなリスク差があることが判明している。この点は、オーダーメイドの指導や予防措置が必要であり、不安材料にするのではなく、予防のための的確な情報提供が重要であるとして、長寿科学振興財団の健康長寿ネットの紹介があった。
最後に、長寿医療センターで実施中の長期縦断疫学調査の概要について説明された。この研究も足掛け10年を迎え、健康長寿に必要な膨大なデータが蓄積されつつある。これらのデータの分析により、健康長寿のための各種の情報が順次提供できそうだと締めくくられた。健康長寿に関する研究は進展途上であり、今後の研究成果の発表に大きな期待を寄せて特別講演は終了した。

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