!!!理事会通信H2012 !!平成20年12月発行号のダウンロード [PDFファイル(ここからダウンロード)|http://plaza.umin.ac.jp/~tpha/cgi-bin/wiki3/wiki.cgi?action=ATTACH&page=%CD%FD%BB%F6%B2%F1%C4%CC%BF%AEH2012&file=%CD%FD%BB%F6%C4%CC%BF%AE2008%A3%F22%2Epdf] *今年度の理事会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。 ぜひ[PDF版をご覧下さい。ここをクリック!|http://plaza.umin.ac.jp/~tpha/cgi-bin/wiki3/wiki.cgi?action=ATTACH&page=%CD%FD%BB%F6%B2%F1%C4%CC%BF%AEH2012&file=%CD%FD%BB%F6%C4%CC%BF%AE2008%A3%F22%2Epdf]   !!事務局より  2005年度より年に一回理事会通信を発行し、各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事の先生方から会員のみなさまへのメッセージをお届けしています。 現理事の先生方には、2006年4月から3年間本当にお世話になりました。学会の運営方針をはじめいろいろご討議たまわり、ありがとうございました。  今年度は役員改選の年となり、4月からは新たな理事会が発足します。みなさま必ず役員選挙にご参加ください。1月に入り、順次会員名簿と役員投票用紙をお送りいたします。1月中旬過ぎてもお手元まで届かなかった方は、お手数ですが事務局までお知らせください。   !!名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野 教授 徳留 信寛 '''理事長退任ご挨拶  「一層の官・学・産・民の連携を」''' 初代理事長豊嶋英明先生の後任として、大変微力ではありましたが、この2期・6年間理事長として本会の運営に携わって参りました。理事・評議員・会員の皆様のご協力に心より感謝いたします。 公衆衛生はscienceであり、artであり、公衆衛生活動は、think globally, act locallyだといわれますが、think locally, act globallyの視点も大事だと思います。 公衆衛生従事者の使命は、生活の場・地域・職域における保健・医療・福祉・介護・リハビリテーションなどに取り組み、住民の生活の安全・安心に奉仕し、人びとのQOLの向上、幸福の追求、自己実現のサポートにあります。その活動には官・学・産・民の有機的な連携が必須ですが、本会はその貴重な「場」です。 特に、今日、健康日本21の中間評価の時期にあり、特定健康診査・特定保健指導が展開され、ヘルスプロモーションの進め方が問われ、健康危機管理、社会保障制度のあり方などが大きな課題となっています。また、生物多様性を保存し、持続可能な開発を図り、地球生態系を保全しなければなりません。このような状況にあり、私ども公衆衛生従事者の責務は大きいと考えられます。 来年2月には本会理事・評議員の役員選挙が行なわれますが、新執行部体制のもとで、本会の一層の充実・発展を期待いたします。 !!東海公衆衛生学会 副理事長 さきはひ研究所 所長 清水弘之 '''学会の発展を祈ります''' これまでの本欄で、東海公衆衛生学会は会員相互の情報交換・鼓舞の場としての意義が大きいと、繰り返し書いた。 その主役は、保健師(保健婦という称号の方が好ましいといまだに思っているが)、とりわけ市町村の現場で汗をかいている保健師が中心になるのが良いと思ってきた。できるだけ多くの保健師に本学会に加入していただきたいと思い、会員数増加担当理事という名前もいただいた。 それにもかかわらず、力不足に怠惰が重なって、何もできずに終わってしまった。そろそろ身を退く時だと思い知らされた。この3月末に理事の任期が切れるので、その時をもって退会したい旨理事長に申し上げた。 役目を果たせない理事でしたが、会員の皆様には何かと御協力をいただき、ありがとうございました。 !!名古屋市千種保健所 所長 明石都美 '''保健と福祉の連携?統合?''' 名古屋市の保健所は、16区各区に設置されていますが、組織としては平成12年、健康福祉局(衛生局)から区役所に入りました。同時に衛生局と民生局が統合され健康福祉局となりました。組織の統合というのは、外からみると一つとなり連携が深まる、と思われますが、予算規模も大きく、職員数も多い巨大な組織に入るということは、埋没にもつながります。公衆衛生は予防をするという地味な活動です。今、また、区役所の中で福祉と保健所の組織の統合という波が、全国の流れの中からも、名古屋市にも押し寄せそうです。「健康を守る」という組織と担い手は、どこでも、誰にでもできると思われるようです。すぐには、目に見えないためでしょうか? いろいろな立場からの応援、意見を頂ければ幸いです。 !!愛知県健康福祉部健康担当局 五十里 明 一昨年来、サブプライムローンへの不安が取りざたされておりましたが、昨年9月以降、米国の大手証券会社の経営破綻に端を発した世界同時経済危機の拡大は、株安、円高等を引き起こし、このことは愛知県の県税収入にも大きく影響すると予測され、来年度には2,700億円とも言われる減収に見舞われようとしております。 過去にも、オイルショック、バブル崩壊等の不況による県財政の危機は何度も経験してきましたが、今回は過去最大規模であり、行財政改革も既にやり尽くした感もあることから、今後、大変厳しい行政運営を強いられるものと考えております。 そのような中ではありますが、保健・医療・福祉の質的レベルを少しでも落とさないよう努力してまいりますので、会員の皆様の一層のご支援、ご協力をよろしくお願い致します。 !!愛知県中央児童・障害者相談センター長 犬塚君雄 本年度から県の地方機関の再編により、所属の名称が尾張福祉相談センターと変更になり、名古屋市近郊の6町の福祉事務所長も兼任となりましたが、主に時間をさいている業務は児童相談関係です。 平成19年度の全国の児童相談所が対応した児童虐待件数が4万件を超え、増加に歯止めがかからない状況は愛知県も同様です。 児童虐待の背景には様々な要因があり、児童福祉部門だけの対応では解決できず、保健・医療部門をはじめとして、保育・教育関係機関、雇用や経済対策に関わる部門に至るまで幅広い機関の連携協力が不可欠です。ランセットの編集者リチャード・ホートン氏が「児童虐待は人々の認識をはるかに超えて深刻な公衆衛生問題になっている」と語っているように、児童虐待はまさに先進国に共通の深刻な公衆衛生問題と考えます。 本学会でも公衆衛生の視点でさらに活発な議論がなされ、関係する多くの機関と連携が図られ、児童虐待が減少に転ずることを期待しています。 !!多治見市保健センター 多治見市民病院副院長・眼科部長 岩瀬愛子 全国で自治体病院の経営危機が報道されていますが、多治見市でも「多治見市民病院」を公設公営から、公設民営とし、「指定管理者制度」をとりいれて存続を図ろうとする政策が議会で承認されました。 長寿国日本の国民と医療という最大のテーマが、今、基盤から崩れようとしているように思えます。私達は、自ら省みて、あることが当然と思っていた価値観を見直し「医療」「予防」「福祉」と自らの関係を見つめなおす必要にせまられています。また、国や自治体は、その政策の中で「健康」「命」をどう扱うのかを、柔軟な頭でしっかり考えなければならない時期にきています。 健康をめぐる環境は激変しています。状況がジェットコースターに乗っているように変化する中で、医療の質の低下を防ぐためには、机上の空論では対処できません。すべての医療関係者の総力をあげて考えるべきだと思いますがいかがでしょうか? !!静岡県富士保健所 所長 鈴木 輝康 静岡県での東海公衆衛生学会開催にご協力いただき、ありがとうございました。おかげさまで、多数の参加を得て、意見交換の場を持つことができました。継続は、また新たな力を生むことになりました。 予防医学、保健活動も大切ですが、まずは、安全安心の医療体制の確立が大切と思い、当圏域の産科医師確保に、6ヶ月以上奔走しました。多くの方の協力を得て、何とか、産科再開にこぎつけました。しかし、新たな難題を抱え込むようになり、調整に動いていますが、当分解決しそうにもありません。 最近、心配なことは、「公衆衛生学」がどこへ行こうとしているのか危ぶんでいることです。日本公衆衛生学会の最近のテーマでも感じます。公衆衛生の講義でも公衆衛生の原点は、どこなのか悩んでいます。厚生労働省施策の解説者でよいのかと反省しながら、丸山博や、山本宣治の著作を読んでいます。Marmot’ Commentary of Rose「Strategy of Preventive Medicine 」に出会い、公衆衛生の原点を見出したので、そこで、えいや!と(意外と永く掛かりましたが)Commentaryの部分を翻訳し、県保健所と市町の保健師、大学関係者とで勉強会を開いています。本文と図説が一致せず、訳に苦しんでいますが、保健師もわかるように、勉強会解説レジメも用意しました。原文のプリントミスも訂正し、訳がこなれれば、皆様にも閲覧いただきたいと思っています。 !!浜松医科大学医学部看護学科 教授 巽 あさみ 今年度は静岡県が東海公衆衛生学会の担当県であり、学会が盛会裏に終了したことを大変嬉しく思います。 ほっとする間もなく、現在、当大学では学部生の卒業研究指導および修士課程の大学院生の研究指導、その合間に実習指導と時間に追われています。 地域看護学では公衆衛生の目的や理念を理解し、看護活動に結びつけることが重要とされています。学部や大学院での公衆衛生、疫学の講義、看護研究と学習の積み重ねが、実習における地域診断や看護研究のテーマの選択、研究方法につながっていることを実感するとともに、その教育方法の難しさを痛感しています。子ども虐待予防や保健指導の評価、メンタルヘルス不調者の職場復帰などのテーマについて研究している学生が多く、現場に貢献できるような成果を出せるようしたいと学生ともども取り組んでいるところです。 会員の皆様、これからも学会がより発展していくよう一緒に頑張りましょう。 !!安城更生病院 健康管理センター 豊嶋 英明 '''理事退任のご挨拶''' 東海公衆衛生学会が2000年に個人会員制に移行してから、ほぼ9年経ました。会員数がほぼ一定に推移したことは、学会存続が一時危ぶまれたことを思い起こすと、この制度による学会活動定着の表れと思います。 私が公衆衛生に足を踏み入れた30年近く前、この分野の意義は治療医学に対する予防医学の確立という点にあると考えていました。予防するための発症要因の解明を目的とした研究が全国でなされ、その甲斐あってか、本年度、国の厚生施策は健診活動を早期発見・早期治療の二次予防から一次予防、即ちより根源的な発病予防の重視へと変わりました。 しかし、この動向と反するように、ここ数年、大学医学部において疾病予防に関連する公衆衛生・社会医学系の分野が他の分野に姿を変えつつあります。一次予防重視の政策が実現したことでこの研究分野の必要性は乏しくなったのでしょうか。実際には現行の一次予防対策が有効か否かの検証はなされておらず、人々の発病状況を調査・分析するための社会医学が持つ技術の重要性は増えこそすれ減ることはありません。 医学の世界でも研究の興味の視点が変転することは自然なことですが、医学界全体では、単に科学的好奇心のみが重視されてよいわけではなく、最終的には成果がヒトの幸福に寄与しているか否かを検証する役割があります。この時、社会に向ける眼差しや傾ける耳は、社会医学分野が担う役割の一つでしょう。この耳目を備えない医学は陥穽に嵌る危うさに曝されており、この役割は予防と並び今後のきわめて大切な課題になると思います。このほか社会医学がなすべき分野は多岐にわたり重要です。 しかし、最近の社会医学分野を巡る変化は、医科大学によってはこの点を思いやる余裕をなくしていることを示唆しているようです。私が退職した名古屋大学では公衆衛生学分野の教授席は空席のままです。徳留信寛理事長が選考開始を促す要望書をお出し下さったことはこのような時代的うねりへの警鐘と受け止め、ご慧眼と行動に心から敬意を表する次第です。学会員の皆様におかれましては、学会活動を支えてくださいましてありがとうございました。こうした社会背景の下、本学会が真価を発揮しますよう心から祈念しております。 !!岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野 教授 永田知里 平成16年より、岐阜大学には県の寄附講座として健康障害半減講座が設置されていますが、本年度を持って終了となります。私の所属する分野が支援する形となり、臨床系の科とともに糖尿病の疫学を中心に調査・研究に取り組んできました。当初から5年の計画でしたが、やはり短期間では十分なことが出来ず、この講座廃止後も研究自体は続行となります。 一方、医師不足の折、地域医療の充実を求めて当大学には地域医療医学センターが設置され、平成19 年より地域・へき地医療部門として県の寄附講座がスタートしました。 時代の要請もありますが、これまでのご援助に感謝しつつ、引き続き県には多方面でのご支援やご協力を賜りたいところです。 !!岐阜県西濃保健所 所長 日置敦巳 学会の運営に微かながらも参加させていただき,多くの関係者のご労苦を改めて思い知らされました.本学会の特徴は,いろんな人が参加していることと,利害関係がないことだろうと思います.行政の人間も参加させていただいているけど,予算がないからお金は出せない.にもかかわらず,事業の効果的実施や職員の資質向上・満足度上昇に向けて支援が得られ,結構なことと考えます. 公衆衛生は,その対象があまりに幅広いため,皆が興味を抱くことばかりとは言えません.しかし,東海地域における課題や活動を互いに知ることによって,新しい繋がりができるマッチングの場の提供にもなることを望みます. 今後の学会活動のさらなる発展に向け,大学の先生方には基幹的理事として軸になっていただき,私たちのような,他機関に所属する者が流動的理事として入れ替わりながら理事会に参加することによって,議論が一段と活発化することを期待します. !!(財)愛知県健康づくり振興事業団 藤岡 正信 '''更なる前進を期待して''' 新制度になって間もなく10年、学会運営も安定期に入ったと思います。残念なのは会員数が未だ足踏み状態にあることです。最近の会員動向をみると、多職種参加で職種間のばらつきが大きい、毎年の出入りが激しい、学術大会開催時に開催地で入会が増える、といった特徴があるようです。してみると、新会員に入会を継続してもらうのが、てっとり早い増加策と考えるのですが、簡単にいかないのが現状です。役員の努力やアイディアの不足がそうさしているのかも知れません。だから、もっと発想力豊かで行動力のある方に、職種・年齢を問わずに運営に参加してもらえればと思います。学術大会での若い層の活発な発表や意見交換を見ているとそれも可能ではと考えます。新鮮な発想と情熱で、本学会の前進を期待しても良い時期ではないでしょうか。 !!三重大学大学院医学系研究科公衆衛生・産業医学分野 教授 横山 和仁 '''東海公衆衛生学会の皆様へ''' 平成15年(2003年)4月の三重大学赴任以来、皆様には大変お世話になりましたが、平成21年3月をもって三重大学を退職し、4月より順天堂大学衛生学講座を担当することとなりました。東海公衆衛生学会には十分な貢献ができないままで、申し訳なく思っております。私の退職後も、当教室(三重大学大学院医学系研究科公衆衛生・産業医学分野)は、社会、生活および労働が健康と疾病に及ぼす影響を解明し、その予防法の確立をめざす学問領域として、地域・職域保健、および疫学、予防医学を中心に教育研究活動を進めてゆくこととなります。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。