部活紹介

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こんにちは。
山岳部の活動内容は、経験者の方なら 「活動記録」を見ていただければ大体わかると思いますが、 ここではそれを補足するような形で、またこれから初めて山に登る人のために、 鉄門山岳部がどういうことをしているのかを簡単に説明したいと思います。 お見苦しいところもあるかと存じますが、 せっかくこのページまでご覧になったのですから、 是非一度目を通してみてください。    

まず、新歓山行について。
例年、たくさんの初参加メンバーが参加し、さながら医学部と理三生の春の遠足 のようになっています。新歓山行にはよごれてもよい運動靴があれば必ずしも登山靴を買う必要はありませんが、 登山靴で行ったほうが快適な登山が楽しめると思います。この機会に登山靴や防寒具など、登山の装備を買いたい という場合には現役山岳部員と一緒に買い出しに行くこともできます。

山を登っているときに、いろいろな先輩から医学部や教養学部での生活について、 また趣味、バイト、ほかのサークルについてなども含めていろいろな話が聞けるでしょう。新歓山行に参加したら 部員になる訳ではないし、そのまま山岳部員になったとしても無理矢理山に連れて行かれるようなことはないので、 是非お友達も誘ってお越しください。 さて、次のページから鉄門山岳部の活動内容について説明します。

「鉄門山岳部に入った目的は?」という問いには、人によって様々な答えがあると思います。 「涸沢診療所を通じて、山岳医療のあり方を学びたい」と言う人もいますし、「日頃の勉学の疲れを癒しに、四季折々の山の姿に触れて、心をリフレッシュさせたい」、 あるいは、「全国の様々な山に登って、随所の美しい景色を堪能したい」という部員もいるかもしれません。 鉄門山岳部は、そうした色々な目的を持つ部員たちが、交流を深める場として存在しています。 勿論、山行への参加は自由ですので、他の部活動や、あるいは研究室での活動とも掛け持ちしやすいこともこの部の特徴です。

さて、鉄門山岳部では「一般の山の地図に実線か点線で載っている道を」「雨や雪の降らない日に」 「登攀器具(岩登りの人が持ってる金具やロープ)は使わずに」登ります。 一見当たり前のように思えますが、これは、一般に山岳部、ワンゲル部では、道のないところを方位磁針と地図だけを頼りに歩いたり、(いわゆる藪漕ぎ) あるいは、急峻な沢を自分でルートを見つけながら登りつめたり(沢登り)、また、厳冬期に北アルプスや八ヶ岳などの山に登ったり(冬山) する団体も多いですが、当山岳部ではそうした山登りは(原則として)行わない、ということを示しています。 ただし、地図に載っている道ならどんな道でも行くので、当然のことながら、一般のハイキングよりは本格的な登山も行っている、と思ってください。

試合のない山岳部が何を目指して活動しているかを説明します。

1.涸沢診療所入所のために山の基本を身につける
涸沢診療所の周辺は、北穂高岳~奥穂高岳の縦走路や大キレットなど、日本の一般登山道でも最も難度の高い場所があります。 ハイキングとは違ってある程度の登山をするわけですから、最低限の安全確保の仕方を身につけること、これが1つの目標です。 診療所付近の登山客はほとんどが山のベテランですから、山の診療所に入所する学生として恥ずかしくないようなルールを身につける必要があります。

2.自分たちで安全な登山を計画できるようにし、山でのマナーを守る
中高年から登山を趣味として始める人は多く、また、登山者のなかには一般人口にくらべてはるかに医者が多いようです。 しかし、登山をやるために山岳会に所属するとなると、例会や事前トレーニングへの参加義務など、登山以外でも関わりを持つ必要が少なからず生じるため、医者との両立は難しいのが現状です。 (実際、当山岳部OBの先生方の中でも、一般の山岳会に所属されている先生はごく僅かです。) みなさんが将来、自分の健康や家族サービスのためにハイキングや登山をしようと思い立った時、きちんとした知識と山を歩く技術があれば、 安全に登山を楽しむことが出来るようになると思います。

山に登ると言っても、登山の半分以上は計画・準備段階にあると言っても過言ではありません。 行きたい山があったら、まずはその山に登るどんなコースがあるか、時間がどれ位掛かるか、あるいは途中には岩場などの難所がないか、などを、地図やガイドブック・インターネットの情報を頼りに、 あるいは、以前にその山に登ったOBの体験談などを元に調査していきます。 そして「その山に登れそうだ!」と決めた後は、今度は参加するメンバーの体力や技術、途中の水場やテント場の位置を考え合わせながら、実際の行程を策定する作業に入ります。 具体的なプランは実際の山行の3週間前に決定し、その後本当にそのプランで良いかを他の部員・OBと話し合い、OKが出て初めて山に登ることになります。

さて、プランが完成した後も、まだまだやるべきことは沢山あります。 まずは山行中、共同で使うテントなどの荷物の配分。これもメンバーの経験や体力などに合わせて、適宜割り振りを決めます。また、1泊以上の山行では、夕食・朝食などに何を食べるかも、重要な要素です。 そして山行の2.3日前からは天気図や天気予報を眺めながら、行程中安全に山に登れるか、最後に入念に調査します。鉄門山岳部では、どんな山に登るときでも、こうして安全には細心の注意を払って、山行の計画を立てています。 そうして、自分でプランを立て、色々と計画をして登った山の経験は、忘れがたいものになると思います。 さて、次のページからは、鉄門山岳部が普段どのような山に登っているかを、具体的に紹介したいと思います。

山岳部では主に新入生向けに、或いは春先や初冬など、テント泊で行くような山々が雪を被っている時期を中心に、日帰り山行を行っています。 登る山は、秩父山系や奥多摩山系などの比較的首都圏からも近く、片道3~4時間で登れる山が中心ですが、涸沢診療所に始めて入所する部員のために、岩場や鎖場のある山を選んで登ることも多いです。 涸沢診療所の周辺はかなりの岩場なので、これから登山靴を買う人には全員、トレッキングシューズではなく登山靴を買ってもらうことにしていま。(すでにトレッキングシューズを持っている人はとりあえずはそれで充分です。)

山岳部は普段MLを使って連絡を取っており、リーダーが山行計画書をMLに流して、行きたい人がリーダーにメールで参加表明をする、という形で、山行のメンバーを募ります。 そして、必要に応じてミーティングなどを行った後、出発の直前に本郷で団体装備の分担を行った後、山に行くことにしています。 駒場生の場合は団体装備の分担があたることは稀ですし、もしあたったとしても集合場所までリーダーが持っていくので、基本的には本郷に来る必要はありません。 行きたい山の希望はほぼ100%通るので(あまりに遠い山や山道のない山は別ですが)行きたい山があれば上級生に頼んでどんどん連れて行ってもらいましょう。

東京から日帰りでいける山というのは非常に限られています。よって、もっと遠くの山や、スケールの大きい山に登りたい時は、 山小屋やテントで泊まる必要があります。ですが、初めての人にとっては、山で泊まる、というのは色々と勇気のいることだと思うので、なるべく体力的に負担の少ない山に5月下旬頃に登ることにしています。 また、その後も夏から秋にかけての間、部員の希望に合わせて、週末の休みを利用し、山中1~2泊のテント泊や小屋泊の山行を行っています。診療所での滞在を通じて山の魅力にとりつかれ、秋からテント泊の山に来る人もいますから、 初心者なのにいきなりテント泊の山に行くのは・・・なんて心配は不要です。初心者でも、経験者が責任を持って本人の行きたい山(勿論、どんな山にも・・・、という訳ではありませんが。)に連れて行くのが鉄門山岳部流の山の楽しみ方です。

テントで過ごす夜はとても楽しいです。夕食も自分たちで料理を決めて、材料は全部山へと運びます。出来上がった夕食は山とは思えないほど豪華で、 メニュー考案は上級生の腕の見せ所です。また、夜がふけていくにつれていろいろな仲間の本音を聞くことができ、とても仲良くなれ、他のサークルとは違った独特の絆が生まれます。 重いテントなどの装備や食料は当然上級生が持つので、荷物は最低限の個人装備だけで済みます。また、女性の参加者も多いです。登山そのもの以上に、素敵な経験ができること間違いなしです。 なお、テントは部の装備ですが、テント泊山行に行く、と決めたら自分の寝袋とザックを買ってしまうことをお勧めします。多少値は張りますが、一度買ってしまえば卒業までまず買い換える必要はないので、結果的にはコストはさほど高くはないと思います。

テント泊山行の醍醐味は、なんと言っても縦走登山にあると思います。 縦走登山とは、1つの山の頂上を目指して、下山するだけのピークハントと呼ばれる登山とは違い、一旦山の頂上に到達したのち、すぐに下山するのではなく、その山から稜線伝いに連なる複数の山を登る登山を指します。 天気に恵まれれば、稜線から見下ろす山並みの美しさはきっと印象に残ることと思いますし、また出発するときには遥か遠くに見えた山が、歩くに連れて少しずつ近づいてきて、やがて自分がその山の頂上まで到達したときの充実感は何にも変えがたいものです。 また、麓の登山口から頂上を目指す時と違い、縦走している間は比較的高低差が少ないので、思ったほどは疲れません。

以上に渡って、普段鉄門山岳部が行っている登山の活動について説明をしてきました。 鉄門山岳部には興味があるけど、山の経験もないし、初心者だから不安・・・、という方も、このページを見ている方の中には多いかも知れません。ですが、山の初心者で入部した人でも、 その楽しさに魅了されれば、2~3年すればこうした縦走登山も自分で企画し、実行できるようになります。 また、部員の中には涸沢診療所への入所を中心に活動し、部の山行には年に1.2回程度、日帰り山行に参加する人も多いです。そうした形で部に関わってくださる人も大歓迎です。

鉄門山岳部では基本的に春~秋までのスリーシーズン中心に活動を行っていますが、時には有志で冬山や山スキーに行くこともあります。ほとんどの場合は熟練のOBの先生に引率していただきます。 (鉄門山岳部も昔は本格的山岳部で、あらゆるジャンルの登山をこなしていたのですが・・・) 冬山の魅力はやはり澄んだ空気と美しい景色だと思います。吹雪の時は本当に最悪ですが(でも装備がきちんとしている限り、皆が想像するほど寒くないし、フェイスマスクやゴーグルがずれない限り凍傷になんてなりません) 、晴れると一面の銀世界は本当にきれいで、一度それを見たら絶対に病み付きになります。

冬山の事故はほとんどが雪崩に起因するものなので、鉄門山岳部で行く冬山は、雪崩が起こりそうな季節や地形、体力的にも消耗しがちな積雪をさけて、南アルプスや中央アルプス、山梨あたりで行います。 冬山はあまり勧誘を行いません。それは、冬山行くためにはある程度の夏山での経験が必要で、夏山で一通りの登山がこなせる事が必要条件だからです。しかし、ある程度夏山に参加した人なら、行きたいといえばOBの先生ががんばって連れて行ってくださるので, 冬山に登ってみたい、という人は是非、夏から冬山を目標にいろいろな山を登って欲しいと思います。

医学部の山岳部では、全国各地で、主に登山者の多い夏山シーズンに、山小屋と提携して夏山診療所を開設しているところも多いです。 鉄門山岳部でも、長野県の有名な観光地である上高地より6時間ほど歩いたところにある、奥穂高岳・北穂高岳を目指す登山者のベースキャンプとなる涸沢という場所で、診療所を開いています。ここで涸沢ヒュッテという山小屋の一室をお借りして、 毎年7月中旬から8月下旬までの一月少々の間、主に当山岳部のOBを中心とした先生方に診療を行っていただき、学生は医療器具の整備や発注、カルテの保存など、先生方の診療をサポートする形で診療活動を行っています。 涸沢の標高は2300mぐらいなので、普通の生活をしている学生であれば、高山病の心配はまずないと考えてよいでしょう。

診療所には、先生方や山岳部員が、常に誰かが診療所に入所しているように、各自で日程を調整しつつ入所しています。 涸沢のカール地形から眺める、奥穂高岳や北穂高岳の稜線は美しく、ぼんやりと1日過ごしているだけでも、都会とは違ったゆっくりとした時間の流れを感じ、山の魅力を知ることができると思います。 また、天気が良い日には、診療の合間を縫って、何人かで日帰りで奥穂高岳・北穂高岳へと登ることも多いです。先生方がしっかりサポートして下さるので、その気にさえなれば、山の初心者や1年生でも 日本でも屈指の3000m峰へと登ることが出来ます。晴れた日の山頂より広がる景色は、まさに一生の思い出となることでしょう。

上高地から涸沢までの道のりは、途中少々勾配のきつい所もありますが、危険な岩場や鎖場などはありません。 そのため、診療所には興味があるけど一般の登山にはまだ不安があるという方や、時間の都合などで普段の山行には参加できない学生の方でも、鉄門山岳部では入所を歓迎しています。 ただし、基本的な山の歩き方や山でのルールを身につけて貰うため、原則として事前の説明会に参加後、部で主催する準備山行に参加して貰い、 また入所時には現役部員と一緒に上高地からノーマルルートで入所して貰う事にしています。

涸沢診療所では、学年を問わず一年生から問診をやることができま す。勿論始めのうちは全くもってうまくはいかないですが、何度か患者さんを診察するうち、じきに上手くなります。 そこにある診療器具で出来る限りの医療を行おうと懸命に努力される先生方、先輩方の姿、そして、先生と共に診察した患者さんが、 ほっと安心した表情をされて帰って行かれる姿には、医療とはどうあるべきか、との問いに一つの答えが見つかるように思います。 そうした環境の中で、先生とともに診察した患者さんの姿や処方された薬の名前は強く印象に残るでしょう。