Oxygen Dynamics Society

酸素ダイナミクス研究会

 

第21回酸素ダイナミクス研究会総会(平成29年9月30日)において、第4代目の本研究会会長に選出して頂きました。初代会長の 田村 守 先生、 第2代会長の 小林弘祐先生、そして第3代会長の高橋英嗣先生の後を受けて、この歴史ある酸素ダイナミクス研究会の運営を引き継ぐということになり、使命の重さを感じます。


本研究会は1996年の設立以来、一貫して生体と酸素との関わりに関して、基礎臨床医学の研究者と医用工学、生物化学、物理学、スポーツ医学等の多方面にわたる研究者との間の垣根のない討論と交流により、領域の発展に貢献してきた研究会であります。このような本研究会の存在意義は、異分野の融合が新たなブレークスルーを生むという発展の法則を考えますと、ますます重要になっていると言えるのではないでしょうか。


本研究会を引き継ぐにあたり、リニューアルの意思を込めて研究会の名称を変えるという議論もありました。しかし、結果として研究会の名称にあります“Dynamics”という用語が実にKeyであることを再認識するに至りました。現状、ある種の平衡状態とみなされる酸素の環境が、生体の構造の形成や機能の発現に直接ないし間接的に関わっているという事実は、周知のとおりです。しかし、生体を構成するタンパク質あるいは分子レベルまで現象を分解して理解しようとすると、変動する酸素の濃度や空間的な勾配をどのように感知し、構造や機能の変化につながるのかという動的な過程については、未だ解明するには至っておりません。


生体における酸素の多面的な役割を一つ一つ体系化し理解していくためには、正確な計測技術、そしてデータに基づいた輸送理論、生化学的反応、遺伝子発現等について体系的に説明し、細胞内器官から組織・臓器レベルまでの現象を統合する必要があるかと思います。そのためには、これからも多くの異分野の研究者による双方向のインターラクションが重要です。今後とも、本研究会の特長であります発表後のDiscussionに重みをおいた研究会を続けていきたいと考えております。どうか、酸素あるいは酸素を含む広い意味での生体内でのガスダイナミクスに関する未知なる世界を探求し、新たな知識を創出するために毎年の研究会にご参集ください。




平成29年12月23日


電気通信大学大学院 情報理工学研究科

脳・医工学研究センター

教授 正本和人 (工学博士)

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