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2023年度東京都立青山高等学校実習

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2023年度東京都立青山高等学校実習 [2023/12/04 00:28] oshikane2023年度東京都立青山高等学校実習 [2024/03/03 12:46] (現在) – 外部編集 127.0.0.1
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 【問題】アスパラギン酸における pKa の個数と pI を推定せよ。 【問題】アスパラギン酸における pKa の個数と pI を推定せよ。
-アスパラギン酸はアミノ基が1つとカルボキシル基が2つ(主鎖と側鎖に1つずつ)あるので、**pKaが3つある**ということになります。 +アミノ酸のpKaの個数=アミノ基・カルボキシル基+(若しあれば)側鎖の電離基、は丸覚えでも構わないと思います。これを使うと、アスパラギン酸はアミノ基が1つとカルボキシル基が2つ(主鎖と側鎖に1つずつ)あるので、**pKaが3つある**ということになります。 
-それぞれの官能基の電荷の状態を:(アミノ基、カルボキシル基1、カルボキシル基2)と書くことにします。すると、pHの変化によって以下の様に整理することができると思います。+ 
 +丸覚えをしなくても、以下の様にカッコを使って説明できます。 
 +アスパラギン酸における電離基は、主鎖のアミノ基とカルボキシル基、側鎖のカルボキシル基の3つであり、それぞれの官能基の電荷の状態を:(アミノ基、カルボキシル基1、カルボキシル基2)と書くことにします(※カルボキシル基1・2は、主鎖のカルボキシル基のpKa = 1.99、側鎖のカルボキシル基のpKa = 3.90ですので、pKaを問題文に与えてくれていればカルボキシル基1が主鎖、カルボキシル基2が側鎖と分かりますが、pKaが問題文に与えてくれていなくても「カルボキシル基1・2は主鎖・側鎖どちらでも良い」として、下記の様に議論を進めることができます)。すると、pHの変化によって以下の様に整理することができると思います。
  
 (←酸性)(+,0,0)⇆(+,-,0)⇆(+,-,-)⇆(0,-,-)(塩基性→) (←酸性)(+,0,0)⇆(+,-,0)⇆(+,-,-)⇆(0,-,-)(塩基性→)
 +
 +または、それぞれの官能基の電荷の状態で表すと:
 +(←酸性)(-NH<sub>3</sub><sup>+</sup>, -COOH, -COOH) ⇆ (-NH<sub>3</sub><sup>+</sup>, -COO<sup>-</sup>, -COOH) ⇆ (-NH<sub>3</sub><sup>+</sup>, -COO<sup>-</sup>, -COO<sup>-</sup>) ⇆ (-NH<sub>2</sub>, -COO<sup>-</sup>, -COO<sup>-</sup>) (塩基性→)
  
 この3つの両矢印(⇆)のところに平衡が成立するので、pKaが3つあるということになります(左からpKa1, pka2, pKa3とします)。 この3つの両矢印(⇆)のところに平衡が成立するので、pKaが3つあるということになります(左からpKa1, pka2, pKa3とします)。
行 185: 行 190:
 pI = (pKa1 +pKa2)/2 pI = (pKa1 +pKa2)/2
  
-と表すことができます。アスパラギン酸のpKa1, pKa2はそれぞれ1.99(主鎖)と3.90(側鎖)ですから、これの相加平均を取って2.945≒2.95が等電点である、ということが分かります。+と表すことができます。アスパラギン酸のpKa1, pKa2はそれぞれ1.99(主鎖)と3.90(側鎖)ですから、これの相加平均を取って2.945≒**2.95が等電点**である、ということが分かります。 
 + 
 +アスパラギン酸の電気泳動において、例えば中性pH 7.0を泳動バッファーの条件とすると、アスパラギン酸の等電点は上記の様に2.95ですのでpH 7.0では負にチャージしているため、**+の方向に流れる**、ということが予想できます。
 </WRAP> </WRAP>
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2023年度東京都立青山高等学校実習.1701617313.txt.gz · 最終更新: 2024/03/03 12:46 (外部編集)