トゥールミン

(とぅーるみん Toulmin, Stephen)


20世紀英国の道徳哲学者(1922-)。 1950年代にムーア流の客観説や、 道徳判断は話者の心理状態に言及しているとする主観説、 さらに道徳判断を命令の一種と捉える命令説を批判し、 良い理由アプローチ(the good reasons approach)を唱えた。

良い理由アプローチとは、たとえばメリーが「Xは良い」と言う場合、 それは何か客観的な道徳的実在について言及したりしているのではなく、 単に「Xをする良い理由がある」ということを述べているのだ、 とする考え方である。 メリーの発言を「Xをしろ」という命令と理解する命令説では メリーの発言の真偽が問えなくなるのに対して、 メリーの発言が正しいかどうかは、 (トゥールミンが考えるところの)倫理が本質的に持つ役割、 すなわち「人々の目的や欲求の充足ができるかぎり両立するように、 人々の感情や行動を統制すること」に照らして判断される。

倫理の本質的な役割が本当にトゥールミンが考える内容であるか どうかについては、ヘアらが批判したが、 このアプローチ自体はカート・ベイアーに引き継がれる。 トゥールミンの主著はAn Examination of The Place of Reason in Ethics (Cambridge University Press, 1950)。 他にThe Uses of Argument (1958), The Abuse of Casuistry (1988)なども有名。

なお、「トゥルーミン」という表記や読みをする人がいる気がするが、 それは「トルーマン(Truman)大統領」のことですかと突っ込むのがよいと思われる。

22/Nov/2008


参考文献


KODAMA Satoshi
Last modified: Sun May 11 18:00:43 JST 2008