ノージック

(のーじっく Nozick, Robert)

個人は権利を持っており、 いかなる人あるいは集団も(個人の権利を侵害することなく) 個人になすことが許されないことがらがある。 これらの権利は非常に強くてさまざまなことがらにまで及ぶものであるため、 国家やその役人がやってよいことは--もしあるとすれば--何か、 という問いが生じる。 個人の権利は国家の存在する余地をどの程度残すのか? 国家の本性、国家の正当な役目、そして国家の正当化根拠が --もしあるとすれば--この書の中心的な関心事である; 広範で多様な種類の話題がわれわれの研究の過程で問題になる。

国家に関するわれわれの主要な結論は、 最小国家、すなわち、暴力、窃盗、詐欺からの保護、契約の施行、 等々といった狭い役目に限定された国家は、正当化されるということであり; それより広範な国家は、 人々の、ある事柄をするよう強制されない権利を侵害することになり、 それゆえ正当化されないということであり; そして最小国家は正しいと同時に人を鼓舞するものであるということである。 この結論に含意される二つの特筆すべきことは、 国家はその強制的機構を用いてある市民に他の市民を援助させること、 あるいは人々の活動を、 彼ら自身の善ないし保護のために禁止することは 許されないということである。

---Robert Nozick, Anarchy, State, and Utopia, Basic Books, 1974, p. ix.

Robert Nozick confronts in his well-known Anarchy, State and Utopia the same issues as those raised by Bentham's criticism when, at the outset of his book, he asks `how much room do individual rights leave for Government?'. What is astonishing is that Nozick in effect gives Bentham's answer: `no room except in an imaginary world'. For that is the message of this ingenious modern work.

---H.L.A. Hart


米国の哲学者(-2002.01.23)。 主著Anarchy, State, and Utopia (1974)において、 完全自由主義を唱える。 先日胃ガンで亡くなった。

05/Jun/2001


関連サイト


上の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Tue Dec 31 19:01:39 JST 2002