多数決原理

(たすうけつげんり majority rule)

先行する合意がない場合、選挙が全員一致でないとすれば、 少数者にとって多数者の選択に従う義務がどこにあろうか。 一人の主人を欲する百人の者が、 それを欲しない十人のために投票する権利はどこから生じるのだろうか。 多数決の法も合意によって成立したもので、 すくなくとも一回だけは全員の一致を前提にしている。

---ルソー

どの協同体でもそれを動かすものは、その協同体各個人の同意のみである。 そうして一体たるものにとっては一つの道をゆくことが必要だから、 その団体は、大きい方の力すなわち多数者の一致の進んでゆく 方向へ動く必要があるのである。もしそうでないとすれば、 それはその構成員である各個人がそうあるべきだと同意したように、 一箇の協同体として決議し存続することが不可能になる。 そこで団体を結成している各個人は、同意を与えた以上、 多数者に拘束されなければならないのである。

---ロック


複数人による意思決定のさいに、 過半数あるいは多数が賛成する意見を採用する決め方。

民主主義と多数決原理は不可分のように考えられることもあるが、 必ずしもそうとはいえない。 たとえば、市民による国家の運営を行なうさいに、 つねに全員一致を要求する制度や、 あるいはくじびきによる仕事の割り当てといった制度も考えられるからである。

28/Dec/2002


冒頭の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Wed Nov 27 03:34:45 JST 2002