ホブハウス

(ほぶはうす Hobhouse, Leonard Trelawny)


イギリスの思想家、ジャーナリスト(1864-1929)。 ロック、ベンタム、ミル、グリーンらと並んで、 代表的な自由主義思想家の一人。 認識論などで立派な業績を作る一方で、 労働運動や反戦運動などの社会問題など、 当時「左翼リベラリズム(left-wing liberalism)」 と呼ばれた一連の活動にも積極的に取り組んだ真面目な人。 主著『認識論(The Theory of Knowledge)』(1896)、 『自由主義(Liberalism)』(1911)など。ホッブズの親戚ではない。

オックスフォード大学卒(B.A. at Corpus Christi College)。 父親はゴリゴリの保守だったが、 本人はミルやスペンサーなどのリベラルな著作を 読んで育った。 学部卒業後、しばらくオックスフォード大学でフェローなどを務め、 30代半ばでリベラル系のマンチェスター・ガーディアン紙の編集者になる。 マンチェスターではオーウェンズ・コレッジ(後のマンチェスター大学)の 社会学教授も務めた。

40代はロンドンに活動の拠点を移し、ロンドン大学の最初の社会学教授となり、 1907年に死ぬまでその職にあった。その研究は、人類学、心理学、経済学、 政治学の分野をカバーした、総合的なものだった。

『自由主義』では、平和・軍縮・社会改革を柱とする19世紀の オールド・リベラリズムが、ボーア戦争や軍拡などの帝国主義的政策の中で 支持者を失う事態を受け、個人の自由と社会改革を両立させるニュー・リベラリズム 理論化しようとした。言いかえれば、 自由放任主義的な自由主義と、マルクス主義的な社会主義の両極端を避け、 現代のリベラルな福祉国家の原型となる「リベラル社会主義(Liberal Socialism)」 を唱えた。

ホブハウスは「調和(harmony)」をキーワードの一つとした。 ベンタム主義者たちの哲学的急進主義が社会における「諸利益の自然的調和」 を主張した(と考えられていた)のに対して、 ホブハウスは調和と個人の自由は自然には成り立たず、 社会の改善と適切な自由の制約が必要だと考えた。 具体的には完全雇用、普通選挙、公教育、高齢者や障害者の介護制度などの必要性を 唱えた。

29/Aug/2010


参考文献


KODAMA Satoshi
Last modified: Sun Aug 29 17:38:39 JST 2010