ご講演の後は、事前に参加者の皆さまよりお子様のスキンケアについて寄せられた質問に対するQ&A。講演された先生方をパネリストに迎え、日本臨床皮膚科医会常任理事で総合司会を務められた小林美咲先生によるナビゲーションのもとに行われました。専門家の先生方による的確なアドバイスに、会場の皆が耳を傾けました。
天谷先生 乾燥性敏感肌などの肌トラブルは、遺伝の傾向があると言われていますが、特に神経質にならずにお母さまが平常心で過ごされることが大切だと思います。お母さまの落ち着いた心音を、胎児に聞かせてあげることがストレスのない肌づくりへの第一歩です。
松永先生
食事制限などを気になさるお母さまもいらっしゃいますが、ご本人にアレルギーがある食品以外は特に制限の必要もないと思います。食べたいものをバランスよく召し上がることが大事です。
松永先生
私自身の経験ですが、子どもの肌の状態や体調を見ながら必要に応じて塗るという程度で十分でした。毎日保湿ケアをしてあげることで皮膚に湿しんが出ることが少なくなったというデータもありますが、まずは、お子さまの肌をよく見て、状態に応じてスキンケアをしてあげることが大切です。
加藤先生
昔は健康にいいと言われていた日光浴ですが、現在では、皮膚にとって紫外線を浴びるメリットは何もないという研究結果が出ています。日焼け止めについては、赤ちゃんが日光に当たるようになった頃から日焼け止めによるケアするのがいいでしょう。特に子どもの皮膚は薄くて敏感な場合が多いですから、洗浄剤で洗い流せるくらいの低刺激のものを使ってあげるといいです。
天谷先生例えば、毎日の料理に使う包丁も使い方によってはとても便利な道具になりますし、使い方を間違えればとても危険なものになります。ステロイド剤も同様で、一定期間正しく使うものとしてはとても便利な薬と言うことができます。乾燥性敏感肌やアトピー性皮膚炎により炎症を起こした皮膚というのは、言わば皮膚が火事を起こしているようなもの。現在、皮膚の炎症を押さえる薬としてステロイド外用薬は最も有用であり、医師の処方による正しい用量を指定された期間きちんと使用して治療することが大切です。
松永先生
汗やほこりはたくさん溜まってしまうと肌あれの原因になりますが、日常外出している程度であれば薬を塗るたびに毎回洗うことはないでしょう。私自身、子どもが小さなころに外出先で薬を塗る際は、まず目で見た状態で清潔であれば洗わずに塗っていました。あまり神経質になって毎回ごしごし洗ってしまうと、逆に皮膚の角層を過剰に落としてしまいますから、目立った汚れがなければそのまま塗っても構いません。![]() 1963年千葉大学医学部卒。医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。千葉大講師、成田赤十字病院皮膚科部長を経て浦安で開業。千葉県国保審査委員、浦安市医師会理事、日本皮膚科学会代議員、千葉県皮膚科医会会長などを歴任。現在、日本臨床皮膚科医会会長、浦安皮膚科院長。 ![]() 1985年慶應義塾大学医学部卒、慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程(内科系皮膚医学)入学。89年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、北里研究所病院皮膚科出向。同年11月、米国国立衛星研究所国立癌研究皮膚科留学。92年東京電力病院皮膚科出向。96年愛媛大学助手、同年7月慶應義塾大学専任講師。2005年慶應義塾大学教授(医学部皮膚科学)。 ![]() 1976年名古屋大学医学部卒。三菱名古屋病院研修医、名古屋保健衛生大学医学部皮膚科助手、名古屋大学医学部付属病院皮膚科医員、藤田保健衛生大学医学部皮膚科講師などを経て、2000年から藤田保健衛生大学医学部皮膚科講座教授。日本接触皮膚炎学会理事長、日本皮膚アレルギー学会理事などを務める。 ![]() 1977年東京医科歯科大学医学部卒。83年東京医科歯科大学医学部大学院博士課程修了。東京医科歯科大学皮膚科助手、都立墨東病院皮膚科を経て、87年に小林皮膚科医院開業。現在、小林皮膚科医院院長、日本臨床皮膚科医会常任理事、医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医。
いかがでしたか?
毎日のスキンケアは、私たちの健康管理と密接につながっているものなのですね。 「皮膚の日」をきっかけに、子どものスキンケアについて考えたり、私たちの生活スタイルについても見直すきっかけになれば幸いです。 |