2005年「ひふの日」記念 皮膚科医に聞くスキンケアの正しい知識

〜肌をいつまでも美しく健やかに保つために〜
シンポジウムレポート
日本臨床皮膚科医会から「binkanhada.com」読者の方へ
シンポジウム当日の会場レポート&各先生の講演内容のご紹介
スキンケアについて、参加者からの質問に各先生が答えられました
エントランス 当日は真っ青に晴れ渡った最高のお天気。
開場の13時前には、エントランスにたくさんの方々が集い、長い行列が出来るほど。来場者は様々。ご夫婦連れや、親子連れの方も多く、普段から皮膚やスキンケアについて会話が交わされていることが想像され嬉しいことでした。 受付ではプログラムと一緒にキュレルのサンプルが全員に渡されました。
ロビーに設けられたスキンケア製品の展示ブースでは、たくさんの方が熱心に見入っていました。手にとってご自分の肌に直接塗って感触を確かめたり、スタッフに直接質問を投げかけたりと参加者の方のスキンケアに対する意識の高さが伺えました。 展示ブース
さて、開幕は、加藤友衞先生による開演のご挨拶です。
ほがらかでソフトな口調の加藤先生のお話で会場全体の空気がリラックスしたところで、いよいよ各先生方のご講演へ。
加藤友衞先生 この日のご講演は、
東京女子医科大学皮膚科教授 川島 眞先生、
聖マリアンナ医科大学名誉教授 溝口昌子先生、
東京慈恵医科大学皮膚科教授 上出良一先生。

まずは、東京女子医科大学皮膚科教授 川島眞先生のご講演から順に紹介しましょう。

皮膚のしくみから考える本当のスキンケア

東京女子医科大学皮膚科教授 川島 眞先生

「皮膚はまさに体全体を覆っている生命を左右する臓器」と、「そのバリア機能をつかさどる角質ケア」の大切さをお話されていました。また、乾燥した肌と炎症とを分けて考えて欲しいとも。アトピー性皮膚炎についても「真赤になったところにばかり注目するのではなく、炎症が治まった後も、角層をケアして、その乾燥を治め、バリア機能を高めておかないと、また炎症に戻ってしまう」と話されました。 川島 眞先生
川島 眞先生 さらに、最近若い人にも増えている乾皮症、皮脂欠乏性湿疹についても、「1、炎症を早く治めること。2、早めの保湿剤。3、生活習慣、環境の見直しというのが非常に大事」と話され、「高温のお風呂は避ける、湯船につかるのは短時間にして温まりすぎないようにする、洗浄剤はマイルドなものにして、こすり過ぎない等、生活環境の再点検をすることが大切です」とアドバイスされました。

身近なかぶれから皮膚を守るには

聖マリアンナ医科大学名誉教授 溝口昌子先生

溝口昌子先生国際的な受賞も数多く、皮膚科学全般にわたって業績を上げられている溝口先生。
「漆かぶれ、白髪染めのかぶれ、銀杏かぶれ等のアレルギー性のかぶれと、酸・アルカリのようなどんな人でも一定の条件が整えば症状が出てくる刺激性のかぶれの違い」をわかりやすく解説。
かぶれから皮膚を守るという点については、「傷があったり、バリア機能に障害がある方は、かぶれが起こりやすいので、化粧をして隠そうとするのは厳禁。汗ばむ季節には革製品や金属製品を直接身につけない。漆、西洋桜草のようなかぶれやすいものを近くに置かない。新しい衣類はいったん洗い、洗剤をよく洗い流して使うことが大切」等のアドバイスをされました。
溝口昌子先生そして、「健康な皮膚を保つのが何より一番大切であること。かぶれたら、皮膚科専門を受診し原因を一緒になって調べること。」「原因を見つけるのは、皮膚科の専門医でないと無理」であるから、「皮膚科医と一緒になってかぶれを攻めていただきたい」と改めて強調されました。

紫外線との上手なつきあい方

東京慈恵医科大学皮膚科教授 上出良一先生

上出良一先生「紫外線は百害あって一利のみ」との言葉からお話を始められた光線過敏症を専門とする上出先生。「紫外線には皮膚を酸化させ、DNAを破壊してしまう作用があり、その傷の治し間違いから、がんを起こすような遺伝子が生じてしまう」とのこと。
上出良一先生
シワとかシミといった光老化の問題については、「防げる老化」であり、紫外線対策として、「長袖、手袋、帽子、日傘等を使って防御する。最後のとりでとして日焼け止めをきっちりつけるということが大事です。」と話されました。
その日焼け止めの付け方も、「通常同じ場所に2度塗っていただく、時間をおいてではなく、1回つけたら、もう1度つける2度塗りが非常に大事です。」とアドバイスされました。
「どのぐらい紫外線に当たっていいかはどれぐらいお酒を飲んでいいかによく似ている」とのこと。
「そこはご自分の価値観で考えていただいて、余分な紫外線はなるべく避けるというふうにお考えいただきたい。」と話されました。
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