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羊胎仔モデルを用いたBarker仮説の検討

羊胎仔IUGRモデルを用いたBarkerの仮説の病態生理学的検討

An Experimental Study on Barker Hypothesis Using Fetal Sheep Model of Growth Restriction

                                      (室月 淳 2005年)

これは2004年5月の日本産科婦人科学会学術集会のシンポジウム1「胎児の発育・分化とその異常」で発表した内容を論文とし,2005年の日産婦誌に発表したものです.アーカイブとしてアップしました.

 1. はじめに

高血圧などの生活習慣病の発症には従来より遺伝的素因が重視されてきたが,近年,生活習慣病の起源を胎児期の低酸素,低栄養状態に求めるいわゆる「Barkerの仮説」が提唱され注目を受けている.イギリスの公衆衛生学者であるDavid Barkerは,子宮内胎児発育遅延(IUGR)と将来の心血管系疾患の発症との間に疫学的に密接な関係があることを見い出した(1).その後イギリスや北欧で大規模なコホート研究が繰り返され,現在では胎児発育遅延あるいは低出生体重が,成人期の動脈硬化性病変のリスクのみならず,高血圧や糖尿病の発症にも深く関係することが明らかにされてきた.

Barkerの仮説はこのように疫学的データにより導き出されたものであるが,病態生理学的にみたその発症メカニズムについてはいまだ不明な点が多い.一般に,胎内での発育分化における重要な時期に低酸素や栄養障害に曝された胎児は,環境に適応するために臓器や組織の構造や機能に何らかの変化を起こすと考えられている.子宮内環境の悪化に対する適応反応は胎児期の生存には有利に働くが,臓器や組織に起こった変化は永続的に続くため,出生後にさまざまな影響を及ぼす.成人後の高血圧,糖尿病,心疾患の発症リスクの増大もおそらくこういったことが関係するだろうと予想される.この考え方は「子宮内プログラミングintrauterine programming」と呼ばれている.

副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンであるコルチゾールには,胎児の組織の分化成熟を促進する働きがある.母体へのステロイド投与により胎児の肺成熟が進むことはよく知られた事実である.コルチゾールは胎内で多数の遺伝子発現の調節因子であり,たとえば妊娠羊にコルチゾールを投与すると,胎仔の発育が抑制され,生理機能と代謝が影響を受けて永続的な高血圧となることが報告されている(2).慢性的なコルチゾールの過剰分泌を示すクッシング症候群では,しばしば高血圧,耐糖能異常,動脈硬化,血管病変などの症状を認める.これらの事実から,胎児期における過剰なコルチゾールの分泌ないしは曝露が,成人後のさまざまな疾患の発症リスクを高めるのではないかと予想される.すなわち本研究においては,このコルチゾールが子宮内プログラミングの鍵となるのではないかと推定し,胎児の下垂体−副腎系の働きと組織の発育分化の変化に焦点をおいた.

ヒツジ胎仔では,胎齢125日(満期148日)以降の胎仔下垂体−副腎系の活性化と,それにともなう血中コルチゾール濃度の急激な上昇が起こり,胎仔臓器の成熟と分娩発来の双方を制御すると考えられている(3).子宮内での長期の低酸素環境が,胎児がいまだ未熟な時期の下垂体−副腎系を慢性的に賦活化し,過剰のコルチゾールに曝された胎児の循環系と代謝系が永続的に変化することにより,出生後の種々の疾患の発症リスクが高まる可能性がある.そこで本研究は,Barkerの仮説における病態生理学的な発症メカニズムを検証するために,最初に羊胎仔実験モデルにおいてIUGRを作成すること,そして慢性低酸素ストレスが胎仔の発育・分化に与える影響を,主にコルチゾールとの関わり合いにおいてみていくこと,さらには出生後の高血圧,糖尿病,冠動脈疾患の発症リスクの病態生理をさぐることを目標とした.

 

 2. 羊胎仔IUGRモデルの作成

妊娠期間の確定している単胎妊娠羊12頭を実験対象とした.在胎105日(満期148日)のとき全身麻酔下で開腹,子宮を露出し,子宮切開部より胎仔の下肢を引出し大腿動静脈にカテーテルを挿入した.動脈カテーテルの先端が胎仔腹部大動脈の腎動脈分枝部の下,総臍帯動脈より1〜2cm上の部分にくるように留置した(図1左).カテーテル先端の位置は剖検時に確認した.また胎仔胸部に心電図電極,子宮筋に筋電図電極を縫着し,羊水腔にもカテーテルを留置して慢性実験モデルを作成した.

図1.(左)羊胎仔の腹部大動脈〜総臍帯動脈の正常解剖.ヒトと異なり臍帯動脈は腹部大動脈末端の分岐部から1本で出る.動脈カテーテルの先端は腎動脈分岐部の下,総臍帯動脈の上に来るように留置した.(右)羊胎盤組織,x200.胎仔側血管(F)にマイクロスフェア(m)が認められる.Mは母体側血管

手術4日目(胎齢109日)に,12頭の妊娠羊をIUGR群(6頭)とコントロール群(6頭)に振り分けて実験を開始した.胎仔低酸素は,生理食塩水中に撹拌した50μの塞栓子(マイクロスフェア)を少量ずつ注入することにより作成した(図1).投与されたマイクロスフェアは胎仔側の胎盤塞栓を起こし,胎盤血管抵抗の上昇,臍帯血流の減少により胎仔低酸素血症の状態となる.マイクロスフェアの注入量は,胎仔動脈血酸素含量(arterial oxygen content; CaO2)が実験開始前コントロール値の50%まで低下するように調整した.6頭をコントロール群に対しては同量の生理食塩水を注入した.

21日間にわたって同様の操作を繰り返し長期胎仔低酸素状態とした.実験中は胎仔動脈圧,羊水圧,心電図のモニターを毎日行なった.臍帯動脈ドプラ血流速度波形は,超音波断層装置(Ultramark 7, ATL, USA)を用いて,実験1, 2, 5, 9, 13,17, 21日目のマイクロスフェア塞栓前後にそれぞれ計測を行なった.実験21日目(在胎129日)に羊母獣を安楽死させ,開腹して胎仔を取り出し剖検した.胎仔の計測,各組織の摘出と計量の後,すぐにフォルマリン固定および液体窒素による凍結保存を行なった.以上のすべての動物実験はUniversity of Western OntarioのLawson Research Instituteにおいて行なわれた.実験はCanadian Council of Animal Careのガイドラインに基づき,St. Joseph HospitalとUniversity of Western OntarioのAnimal Care Committeeの承認を受けた.

21日間の胎仔側胎盤塞栓により進行性の胎仔低酸素血症となった(ANOVA, group effect, time effectともp<0.0001,図2上)(4).実験9日目まではCaO2に部分的な回復を認められたが,その後はコントロールより有意に低い値を示した(p<0.05).pHは塞栓後に有意な低下を示すこともあったが,いずれも7.30以上の範囲内にあり,翌日にはコントロールまで回復していた(図2下).図3には超音波により計測した臍帯動脈ドプラ血流速度波形を示した(5).IUGR群においては,胎仔側胎盤塞栓により拡張期血流速度が低下し,症例によっては拡張期途絶も認めた.ドプラ血流速度波形resistance index(RI)値は21日間にわたって有意に高値を示した.

図2.21日間の胎盤塞栓前後におけるIUGR群(●)とコントロール群(○)の胎仔動脈血酸素含量(CaO2)とpHの推移(mean±SEM).*p<0.05 vs. control

 

図3.(上)IUGR群とコントロール群における臍帯動脈ドプラ血流速度波形の例.IUGR群においては胎仔側胎盤塞栓により拡張期血流速度が低下し,ときに拡張期途絶を認めた.(下)21日間の胎盤塞栓前後における臍帯動脈ドプラ血流速度波形resistance index(RI)値の推移.IUGR群においては21日間にわたって有意に高値を示した(p<0.05).

 実験21日目の胎仔剖検時の計測データを表1にまとめた(4).IUGR群で胎仔体重は約30%の減少を示した(IUGR群 2.60±0.26kg,コントロール群 3.61±0.39kg).子宮内発育遅延の指標であるponderal index,脳肝重量比とも有意な差を示し,21日間の胎仔低酸素によりasymmetrical IUGRとなったことが確認された.またIUGR群の副腎重量は有意な増加を示した.すなわち胎仔側胎盤塞栓,長期低酸素による羊胎仔IUGRの作成は,ヒト妊娠の胎盤機能低下による胎児発育遅延の病態に近い動物モデルであるといえる.

  

 3. ストレスに対する胎仔下垂体−副腎系の反応

コルチゾールは胎内で多数の遺伝子の発現を調節し,組織の分化成熟を促進する働きがある.胎児発育にあたり,適切な時期に適切な遺伝子発現を促すためのコルチゾール分泌の調節メカニズムには2とおり存在する.ひとつは胎仔副腎でのコルチゾール産生が,ヒツジでは胎齢125-130日以降の妊娠末期に限られていること,もうひとつはコルチゾールは胎盤はほとんど通過することできない,すなわち母体のコルチゾール分泌の影響を受けないということである.

コルチゾールの調節に重要な働きをもつのが11β-hydroxysteroid dehydrogenase type2(11β-HSD2)である.11β-HSD2はコルチゾールを代謝して不活化しコルチゾールに変える酵素で,主に胎盤と腎尿細管に多く分布している.胎盤ではコルチゾールを代謝して不活化し,母体の高コルチゾール環境から胎児を守る働きがある.腎尿細管ではコルチゾールがミネラルコルチコイドレセプターと結合して活性化するのを防いでいる.血中のコルチゾールレベルはアルドステロンの1000倍にもなるといわれ,11β-HSD2による不活化作用がないとミネラルコルチコイドレセプターが強く活性化され,血圧上昇を引き起こすことになる.胎児がコルチゾールの過剰分泌ないしは過剰曝露の状態となるためには,長期低酸素により胎仔の下垂体−副腎系が活性化され高コルチゾール状態を示すようになること,あるいは長期低酸素により胎盤の11β-HSD2の発現が低下し,母体由来のコルチゾールが胎仔に移行することが仮説として考えられる.

21日間の胎仔側胎盤塞栓による長期低酸素ストレスに対する胎仔血中のACTH,コルチゾールの変化を図4に示した(4).いずれもRIA法にて定量を行なった.ACTHは低酸素開始直後に上昇し,その後一度コントロールレベルに戻るが,10日目以後は持続的に高値を示した(ANOVA, group effect p<0.01, time effect p<0.0001).コルチゾールはずっと低い値を維持し,胎齢128日になって初めてストレスに反応して増加を示した(ANOVA, group effect p<0.01, time effect p<0.0001).胎齢128日は通常でも胎仔副腎が低酸素ストレスに反応してコルチゾールを分泌するようになる時期である.本来ならばACTHにいまだ無反応である未熟な胎齢であっても,慢性的なストレスに晒されると胎仔副腎の早期成熟が進みコルチゾールを分泌するようになる,すなわち長期低酸素による下垂体−副腎系の早期成熟という上記仮説については否定的な結果であった.

図4.21日間胎盤塞栓による長期低酸素における羊胎仔血中ACTHおよびコルチゾール濃度(mean±SEM).血中ACTHは4日目で有意に上昇し,その後コントロールレベルまで一度戻るが,10日目以降は再度高値となった.血中コルチゾールは18日目までコントロールと同じ低いレベルにあったが,20日目に急激に上昇を示した.*p<0.05 vs. control

Pro-opiomelanocortin(POMC)は下垂体前葉で産生され,プロセッシングを受けてACTHとなる大分子の前駆体である.ヒツジ胎仔下垂体におけるPOMC mRNAの発現を下垂体whole-mountのin situ hybridizationによって調べたところ,IUGR群とコントロール群の間に有意な差を認めなかった(図5)(4).ほぼ同じ胎齢のヒツジ胎仔において,48時間の低酸素では下垂体POMC mRNAの発現が増加することが報告されている(6).21日間の長期ストレスによって胎仔血中ACTHが持続高値を示しているにも関わらず,下垂体POMC mRNA発現はコントロールレベルまで戻っているが,これはおそらく実験20〜21日目に認められた血中コルチゾール増加によるネガティブフィードバックの結果であろう.POMC遺伝子の発現がコントロールと差がないのに血中ACTH値が有意に増加しているのは,post-translationの過程でACTH産生を増加させるような何らかの機序が成立したと考えられる.

図5.(左)羊胎仔下垂体におけるpro-opiomelanocortin(POMC)mRNA発現.羊特異DNAプローブによるin situ hybridization.IUGR群,コントロール群ともに下垂体前葉の下半にPOMC mRNAの発現を強く認めた.(右)Densitometric analysisによりPOMC mRNA発現を比較したところ,両群の間に有意差を認めなかった

これは胎仔の下垂体−副腎系機能が慢性的に賦活化され,より多くのACTHとコルチゾールが分泌されるようなリセッティングが,胎内における長期ストレスによって生じたといえるかも知れない.妊娠ウサギにおいて胎内でストレスを与えると,新生仔の視床下部−下垂体−副腎系機能が変化し,その後のストレスに対するホルモン分泌に永続的な変化を来すことが証明されている(7).すなわち胎内で低酸素,低栄養,アルコール,感染などさまざまな刺激を受けた児は,出生後に下垂体−副腎系が高いレベルで活性化され,コルチゾールの分泌が増加しているというものである.これは胎内で高コルチゾール状態にさらされることにより,ネガティブフィードバックを行なう海馬におけるグルココルチコイド受容体の数が減少するためと考えられている7.ヒトにおいても低体重で出生した児に関して尿中のコルチゾール代謝産物の増加が報告されており(8),胎内のストレスによって下垂体−副腎系が賦活化されていることを示唆している.

胎盤と胎仔腎における11β-HSDのmRNA発現をNorthern blot analysisで,酵素活性をradiometric conversion assayで調べた(9).胎盤では11β-HSD1, 11β-HSD2ともに遺伝子発現,酵素活性に有意差を認めなかった(図6).興味深いことにIUGR群の胎仔腎では,コントロール群に比べて11β-HSD2 mRNA発現が44%減少し,酵素活性も有意に減少していた(4.5±0.2 対2.9±0.1 pmol/min/milligram protein,p<0.01)(図7).肝における11β-HSD1の遺伝子発現,酵素活性には特に有意差を認めなかった.母体由来コルチゾールのほとんどは胎盤における11β-HSD2によって不活化されるが,低酸素ストレスによっても胎盤でのこのバリア機能は変化しないことが示された.逆に胎仔腎における11β-HSD2の発現と活性の低下は,血中コルチゾールがミネラルコルチコイド受容体を直接活性化することにより血圧上昇を引き起こす可能性が示唆された.

図6.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎盤における11β-HSD mRNAの発現.(上)11β-HSD1および11β-HSD2 mRNAのNorthern blot.(下左)18S rRNAをコントロールとした11β-HSD1および11β-HSD2 mRNA発現(Mean±SEM).いずれも両群間に有意差を認めなかった.(下右)Radiometric conversion assayによる11β-HSD1および11β-HSD2の酵素活性(Mean±SEM).いずれも両群間に有意差を認めなかった

 

図7.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎仔腎における11β-HSD2 mRNAの発現.(上)11β-HSD2 mRNAのNorthern blot.(下左)18S rRNAをコントロールとした11β-HSD2 mRNA発現(Mean±SEM).(下右)Radiometric conversion assayによる11β-HSD2の酵素活性(Mean±SEM).11β-HSD2の遺伝子発現,酵素活性ともにIUGR群で有意の減少を認めた

ヒトにおいて11β-HSD2をコードする遺伝子の異常は,syndrome of apparent mineralocorticoid exess(SAME)と呼ばれる先天性の高血圧を発症させる.腎の11β-HSD2活性低下によるコルチゾールのミネラルコルチコイド作用の増強,すなわち見かけ上のミネラルコルチコイド過剰状態が高血圧と低カリウム血症を引き起こすことになる.近年,本態性高血圧患者の少なくともその一部に11β-HSD2活性の低下を認めることが明らかになった(10).胎児期の長期低酸素ストレスが腎における11β-HSD2の遺伝子発現や酵素活性を低下させ,それが出生後にも影響を及ぼすとすれば,将来の高血圧発症の原因となる可能性が考えられる.

以上に示してきた長期低酸素ストレスによる胎児下垂体−副腎系機能の賦活化および慢性的なコルチゾール増加,さらには胎児腎における11β-HSD2活性の低下によるコルチゾールのミネラルコルチコイド作用の増強が,子宮内プログラミングのひとつめの本態と考えられる.

 

 4. 胎仔循環系に対する影響

上記実験において胎齢128日以降の羊胎仔は,低酸素ストレスに反応して血中コルチゾールが増加した.コルチゾールはそれ自体が血圧上昇作用があるほか,血管壁のアンギオテンシンII感受性を亢進させることが知られている.また胎仔心拍出量の40〜50%が胎盤へ向かうため,胎仔側胎盤塞栓による胎盤血管抵抗の増加そのものが,胎仔血圧の上昇,心の後負荷の増大を引き起こすことが予想される.胎仔の血圧調節機能,すなわち動脈圧受容体反射機能は妊娠後期に発達するため,もし胎仔が慢性的に血圧上昇に晒されていればその機能発達に何らかの影響を及ぶことも考えられる.

21日間のヒツジ胎仔長期低酸素における心拍数,血圧の変化を図8に示した(5).コントロール群では胎齢とともに直線的に血圧が上昇し,基準心拍数は低下した.IUGR群においては,胎盤塞栓直後より有意な血圧の上昇を認め21日間にわたって高血圧を持続した.それにともなって心拍数は有意に低下したが,19日目以降はコントロールレベルに復帰した.血圧が有意に上昇しているのみのかかわらず心拍数がコントロールに戻ったのは,この段階で圧受容体反射機能に何らかの変化,すなわち一種のリセッティングが起きた可能性を示唆している.

図8.21日間胎盤塞栓による長期低酸素における羊胎仔心拍数および血圧(mean±SEM).心拍数は5日目より有意に低下したが,19日目以降はコントロールレベルに戻った.血圧は塞栓後より有意に上昇し21日間高い値を示した.*p<0.05 vs. control

図9は胎仔血中のノルエピネフリン,エピネフリン値をHPLCで定量した結果である5.いずれも長期低酸素ストレスにより増加し,特にノルエピネフリン値は21日間にわたって有意な増加を示した(ANOVA, group effect p<0.01, time effect p<0.01).21日後の剖検時の羊胎仔心を計測すると,IUGR胎仔の体重からみた心重量比は27%増大していた(表1).心筋壁に関しては,IUGR胎仔心の左室壁,右室壁ともに有意に肥厚を認めた(図10左).組織中のDNA,蛋白含量をそれぞれbisBenzimideによる蛍光法,およびBio-Rad Protein Assay Kit(Bio-Rad)によって計測したところ,右室心筋の蛋白/DNA比が有意に増加していることが認められた(図10右).蛋白/DNA比は組織中の細胞の大きさを反映しているので,心室壁の肥厚は組織のhypertrophyによるものと考えられた.

図9.21日間胎盤塞栓による長期低酸素における羊胎仔血中ノルエピネフリンおよびエピネフリン濃度(mean±SEM).いずれも長塞栓後に上昇し,特にノルエピネフリン値は21日間にわたって有意な増加を示した.*p<0.05 vs. control
図10.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎仔心における心筋壁厚(左)および心筋組織中の蛋白/DNA比(右).心筋壁厚では,IUGR群の左右心室に有意な肥厚を認めた.蛋白/DNA比ではIUGR群の右室で有意な増加を認めたが,左室では差がなかった

胎盤血管抵抗が上昇しているIUGR胎仔においては,胎仔血圧の上昇,心の後負荷の増大に慢性的に晒されるため,心循環系のいくつかの適応が,結果的に出生後の病的現象を生み出すことになる.圧受容体反射機能では閾値圧の高血圧領域へのシフトと調節機能の感受性の低下を来すことが考えられ,血圧上昇傾向を来すと予想される.内分泌的には血中カテコラミンの増加が認められ,これがまた血圧上昇や心筋肥厚,血管壁の病的変化を起こす働きがあると考えられる.心には心肥大と心筋肥厚という器質的変化が認められ,これが将来的な心疾患の発症と関係する可能性がある.

心筋肥厚あるいは心肥大は,高血圧などの血行力学的な負荷が慢性的に心臓に加わった際に,心筋が肥大して収縮力を高めて心拍出量を正常に保持するための適応現象である.成人では一般に左室心筋の肥大が生じるが,胎児循環では右室優位の状態であるため,右室心筋の肥厚が有意に生じたと考えられる.このような代償的な機能として形成された心肥大も,成人後には虚血性心疾患を発症させる危険因子となる.心筋細胞の肥大に伴い血管は充分に増生しないため,毛細血管あたりの心筋細胞量が増加し相対的な酸素供給量は減少する.また心筋間質の線維化は心筋の進展を阻害し拡張障害(コンプライアンスの低下)を来すほか,小動脈周囲の線維化により心筋内血管の拡張障害を起こし心筋内微小循環を障害する可能性がある.肥大心筋にみる相対的な心筋血流量の増加と酸素消費量増加に加え,加齢により予備力が低下したり冠動脈効果病変が加われば,ストレスにより容易に虚血性心疾患を発症するようになると予想される.

心筋細胞においては,カテコラミンやアンジオテンシンIIを代表とする液性因子に加え,血行力学的負荷といった物理的,機械的負荷が重要な刺激となり,心肥大や遺伝子発現を誘導することが知られている.本研究ではアンジオテンシンIIについては調べていないが,長期低酸素ストレスによる増加した胎仔血中のノルエピネフリンが,心筋細胞に直接作用して肥大を起こしていると考えられる.またIGF-IIもラット新生仔の心筋細胞肥大を起こすことが報告されている(11).胎内での血圧上昇による機械的刺激が胎仔の心筋細胞に肥大を形成する機序については本実験モデルでは詳細不明であるが,何らかの生化学的シグナルを介して細胞内でのIGF-II遺伝子発現を引き起こし,蛋白質合成を亢進させる可能性が考えられる.

以上の結果より,胎盤血管抵抗による胎児心の後負荷の上昇や低酸素ストレスによる血中カテコラミンの増加などによる,胎児心や血管の器質的および組織学的変化,さらには動脈圧受容体反射における閾値圧の変化などが,子宮内プログラミングのふたつめの本態と考えられる.

 

 5. 胎仔成長を司る因子

子宮内における胎児の成長に重要な役割を果たすのはインスリンおよびインスリン様成長因子(insulin-like growth factor; IGF)である.IGFはインスリンファミリーに属する成長因子であり,構造の類似したIGF-IとIGF-IIのふたつのポリペプタイドが存在する.胎生のきわめて早期からすでにその両者のmRNAが組織中に同定されており,胎児の組織の発育や分化に非常に重要な働きをしていると考えられる.胎児成長を司る主要な因子として近年注目されているが,その詳しい発現動態や調節機構についてはいまだ不明な点も多い.

新生児期以降の成長発達に関しては,成長ホルモンと並んでIGF-Iが重要な役割を果たしていることは広く知られている.しかし出生後に比べると胎児組織中のIGF-Iはきわめて低いレベルにあり,妊娠末期からようやく増加を始め,出生後にしばらくしてから成人レベルに達する.一方IGF-IIは,胎児期には非常に高い値を示すが出生後は急速に低下する(12).この高いレベルのIGF-IIは胎児においてきわめて特徴的であり,一生の中でもっとも成長率の高いこの時期はIGF-IIが優位に働いていることを推測させる.しかし妊娠羊を用いて実験的に作成したIUGRでは,胎仔組織中のIGF-IIではなくIGF-Iが有意に減少したという報告(13)もあり,胎児期におけるこの両者の役割についてはまだはっきりとした結論は出ていない.

胎仔各組織の一部よりsingle-step methodを用いてtotal RNAを抽出し,Northern blot analysisによりIGF-I,IGF-IIのmRNAの発現を調べた.またIGFと結合してその働きを調節するIGF-binding protein(IGFBP)に関して,その主要産生部位である肝における遺伝子発現も同様に調べた.いずれも羊胎仔組織よりクローニングされた羊特異DNAプローブを用いた. Western ligand blot analysisにより血中IGFBP濃度についても計測した.

IUGR胎仔とコントロールの両群間の組織でIGF-I mRNA発現に有意差はなかったが,IGF-IIでは大きな差を認めた(図11左)(14).IUGR胎仔の各組織の重さ,DNA含量,IGF-II mRNA発現を比較すると(図11右),肝では重量,DNA量,IGF-IIともに減少,心においてはいずれも増加,肺においてはDNA量,IGF-IIが減少しており,組織の発育とIGF-IIの発現はおおよそパラレルに変化するのが見てとれた.IGF-IIは胎仔中枢レベルからの内分泌的調節を受けることなく,局所の組織にあまねく発現して胎仔発育の調節に関わっている.胎仔の成長はこのIGF-IIの局所的なautocrine,paracrineによるネットワークによって調節されていると考えられる.不均衡な子宮内発育であるasymmetrical IUGRの形成も,この局所における細胞,組織間のコミュニケーションの媒体としてのIGF-IIが大きな役割を果たしていることが示唆された.

図11.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎仔肝,心,肺組織におけるIGF-II mRNA発現.(左)上より胎仔肝,心,肺におけるIGF-II mRNAのNorthern blot.(右上)IUGR胎仔の各組織重量.(右中)IUGR胎仔の各組織DNA量.(右下)IUGR胎仔の各組織における18S rRNAをコントロールとしたIGF-II mRNA発現(いずれもコントロールからの%変化で表示)

 

図12.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎仔肝におけるIGFBP mRNAの発現.(左)18S rRNAをコントロールとしたIGFBP-1 mRNA発現(Mean±SEM)およびそのNorthern blot.(右)18S rRNAをコントロールとしたIGFBP-2 mRNA発現(Mean±SEM)およびそのNorthern blot.いずれもIUGR群において有意な増加を認めた

IUGR胎仔肝におけるIGFBP mRNAの発現をみると,IGFBP-1,IGFBP-2(図12)(15),IGFBP-4は増加しており,IGFBP-3はコントロールと有意差を認めなかった.IGFは生体内では大部分がIGFBPと結合して存在しており,それぞれの結合蛋白はIGFの作用を抑制したり促進したりする働きがある.特にBP-1は胎仔発育に抑制的に作用し,低酸素,低栄養などのストレス下環境に適応するため,自らの発育を抑制する一種の自己防衛的な機能と考えられる.

IGFおよびIGFBPの遺伝子発現においてもコルチゾールの役割が重要視されている.羊胎仔にコルチゾールを投与すると肝のIGF-II mRNA発現が減少し,IGF-II発現に対して抑制作用があることが明らかになった(16).低酸素,低栄養などのストレスによる内因性コルチゾールの増加によるIGF-II mRNA発現の抑制が,IUGRを成立させるのに大きな役割を果たしていることが考えられる.また妊娠末期に羊胎仔の組織中のIGF-IIが急速に減少するのは,陣痛発来前のコルチゾールのサージの影響かも知れない.また妊娠ラットにデキサメサゾン投与してIUGR胎仔をつくった実験でも,胎仔肝におけるIGFBP-1 mRNAの発現増加が認められた(17).このようにコルチゾールは子宮内でIGF-IGFBP系の遺伝子発現を司ることにより胎仔の発育を調整する重要な役割をもつと考えられる.

 

 6. 胎仔糖代謝に対する影響

糖尿病はインスリン分泌とインスリン抵抗性の両者がさまざまな程度に関与して,インスリンの作用不足を来して発症する.低出生体重とインスリン分泌あるいは抵抗性との関係に関してはいくつかの知見が報告されている.低蛋白の食餌で飼育した妊娠ラットでは,出生仔のインスリン分泌が低下していたり膵のβ細胞の低形成を来す(18)という報告がある.また子宮内で低栄養下におかれると,胎仔の末梢臓器はグルコース利用を最小限にするように発達し,たとえば筋肉量などは減少する.このため出生後は骨格筋や肝,脂肪といった代表的インスリン感受性組織での糖の取込みや利用の低下が生じ,いわゆるインスリン抵抗性につながると考えられる.

21日間の胎盤塞栓による長期低酸素ストレス下の羊胎仔血中のインスリン,グルコース,IGF-I,IGF-II値の変化は図13 (14)のとおりである.IUGR群においてグルコース値は徐々に低下し,21日目には有意な血糖低下を示したが,インスリン値には差を認めなかった.RIA法で定量した血中IGF-I,IGF-II値も両者に特に有意差はなかった.IUGR群でグルコース値が低下しているにもかかかわらずインスリン値が変わらないため,インスリン/グルコース比でみると有意な増加を示した.これは必要インスリン値の増加,すなわち一種のインスリン抵抗性が増大していることを示唆した.

図13.21日間胎盤塞栓による長期低酸素における羊胎仔血中インスリン,グルコース値(左)およびIGF-I,IGF-II値(右)(mean±SEM).IUGR群の血中グルコース値は徐々に低下し,21日目には有意な低血糖を認めた.血中インスリン,IGF-I,IGF-II値に関しては有意差を認めなかった.*p<0.05 vs. control

Western ligand blotで胎仔血中のIGFBP-1,IGFBP-2値の変化を示した(図14)(15).IUGR群の胎仔肝でのIGFBP-1,IGFBP-2 mRNAの発現増加に平行して血中濃度も有意な増加をみた.IGFBP-3には有意な変化を認めなかったが,IGFBP-4も同様に増加を示した.長期低酸素によるIUGR胎仔におけるIGF-II 遺伝子発現の低下,およびIGFBP遺伝子発現と血中濃度の上昇は,いずれも低酸素,低栄養などの発育に不利な環境に対して,自らの発育を抑制して適応する自己防衛的な機構と考えられる.

図14.21日間胎盤塞栓による長期低酸素における羊胎仔血中IGFBP-1値(上左),IGFBP-2値(上右)(mean±SEM)の変化,およびそのWestern ligand bot(下).IUGR群の血中IGFBP-1値,IGFBP-2値はいずれも有意な増加を認めた.*p<0.05 vs. control

IGFは構造と機能の両面でプロインスリンと類似しており,弱いながらもインスリンの5%程度の血糖降下作用をもつ.IGFの血中レベルがインスリンの100倍ときわめて高いこと,血中IGFのほとんどがIGFBPと結合してその作用を調整されていることなどを考えると,IGF-IGFBP系が糖代謝に果たす役割は無視できない.IGFBP-1過発現のトランスジェニックマウスでは,出生後のIGF-Iとインスリンの血糖効果作用が減弱し,高血糖となることが知られている.トランスジェニックマウスの骨格筋では糖の取込み,利用の低下が認められ,インスリン抵抗性をもつことが報告された(19).

そこで羊胎仔の上腕ニ頭筋,大腿四頭筋に対して免疫染色を行ない,組織学的にタイプI筋線維の割合を調べたところ,いずれもIUGR群においてタイプI筋線維の割合が有意に減少していた(図15).増加したと考えられるタイプIIb線維は血流が乏しいため,筋でのグルコースの取込みが減少し,結果的にインスリン抵抗性が形成されたと考えられる.胎内で低酸素,低栄養下におかれると,胎仔の内分泌代謝系は環境に適応しようとして,グルコースの利用を抑制するエネルギー節約的なものに変化する.骨格筋のグルコース取込みは低下し,おそらくアミノ酸や乳酸の利用が増加し,結果的にインスリン抵抗性となる.この胎内でプログラムされた倹約的な性質(thrifty phenotype)(20)は出生後も持続し,インスリン抵抗性から派生する肥満,高血圧,高脂血症,糖尿病などが成人後に発症してくると考えられる.これが子宮内プログラミングの3つめの本態であると考えられる.

図15.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎仔上腕ニ頭筋,大腿四頭筋におけるタイプI筋線維の割合.IUGR群でいずれも有意な減少を認めた.*p<0.05 vs. control

先に上げたように低栄養食で飼育した妊娠ラットから出生した仔の膵β細胞は減少していたり機能不全をともなうという報告(18)がいくつかあり,これが将来の糖尿病発症の原因に擬せられている.そこで本研究でも長期低酸素による胎仔膵β細胞の機能発達障害の有無を調べるため,抗インスリン抗体を用いて膵の免疫染色を行なった(図16).コンピュータによりイメージ解析を行なってインスリン陽性細胞の比率を調べたが,予想に反して両群の間に差を認めなかった.すなわちIUGR胎仔における膵発達には大きな影響がなく,出生後の耐糖能の低下は膵のインスリン分泌機能不全によるものというよりは,体組織におけるインスリン抵抗性の増加が主な原因である可能性が高い.

図16.21日間胎盤塞栓による長期低酸素後の羊胎仔膵.(左)抗インスリン抗体による免疫組織染色.X200.(右)イメージ解析による抗インスリン抗体陽性のβ細胞の比率.IUGR群とコントロール群の間に有意差を認めなかった

 

 7. まとめ

子宮内プログラミングとは,胎児が発達分化のクリティカルな時期にストレスや侵襲に晒され,生理的あるいは代謝的プロセスが永続的に変わることをいう.生活習慣病の起源を胎児期の低酸素,低栄養状態に求めるBarkerの仮説もこの子宮内プログラミングから説明が可能であろう.ひとつめは,長期低酸素ストレスによる胎児下垂体−副腎系機能の賦活化による慢性的なコルチゾール増加,さらには腎における11β-HSD2活性の低下によるコルチゾールのミネラルコルチコイド作用の増強が上げられる.ふたつめに,高血圧やカテコラミン上昇による心血管の器質的および組織学的変化,さらには動脈圧受容体反射における閾値圧の変化などが考えられる.3つめとして,低栄養環境に対するエネルギー節約型への体組織の転換とその結果としての出生後のインスリン抵抗性の獲得である.

これら3つのことは一見ばらばらの現象にみえるが,いずれも胎内におけるコルチゾールの働きが鍵となって起こると考えられる.妊娠羊に対して長期にわたってコルチゾールを投与すると,胎仔の発育を阻害するほかに胎仔心の肥大,血圧上昇が認められたという(21).同様にコルチゾール投与により胎仔の動脈圧受容体反射がより高血圧領域にリセットされたことが報告されている(22).またコルチゾールはラット胎仔肝のIGFBP-1発現を増加させ,また肝におけるインスリン作用を減弱させる(17)(23)といったように,心循環系の変化やインスリン抵抗性の獲得に関してもコルチゾールの働きが関与している.すなわち胎児期におけるコルチゾールは発育を遅延させ低出生体重児とするのみならず,将来の高血圧や血管系疾患,糖尿病などの発症リスクを高くすると考えられる.

Barkerの仮説から逆に臨床の場に導き出せることは,低出生体重児の出生を予防することにより将来の生活習慣病の発症頻度を減少させることができる可能性である.将来の生活習慣病の発症予防という今までにはない視点に立脚した妊娠の新しい管理が今後模索されることになるだろう.また切迫早産妊婦に対するステロイド投与も,必要以上の量が使用された場合胎児の循環系や代謝系に影響を与え,成長後の生活習慣病発症に関与する可能性が考えられるので,慎重に対処していく必要があるかも知れない.

 

 文 献

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 Abstract

Recent epidemiological evidence from many disparate populations suggests the risk of hypertension, coronary heart disease and non-insulin dependent diabetes are determined before birth. This concept of intrauterine programming of adult diseases is called the Barker Hypothesis. Programming is the process by which a fetus may have its physiological or metabolic processes permanently altered when a stimulus or insult is encountered during a critical period of development. The mechanisms underlying the association are still not known. In order to test the hypothesis that an adverse fetal environment programs its physiological or metabolic processes, we investigated the effects for the offsprings of exogenously induced alterations of intrauterine environment resulting intrauterine growth restriction in sheep models.Twelve fetal sheep were studied (6 embolized and 6 control) for 21 days between 0.74 and 0.88 of gestation. Daily injections of non-radiolabeled microspheres were given into the fetal abdominal aorta to decrease fetal arterial oxygen content by 50% of the preembolization control values. During embolization, fetuses became chronically hypoxemic, hypoglycemic and hypertensive with progressive increase in umbilical artery resistance index. Concentrations of norepinephrine, ACTH and cortisol in fetal plasma increased gradually and were significantly elevated above those of controls after day 2, day 10 and day 20, respectively. Plasma IGFBP-1 and IGFBP-2 concentrations, originating in the liver, also increased significantly than those of controls. On day 21 of embolization, fetuses showed asymmetrical growth restriction, increased heart weight, and increase in right and left ventricular wall thickness compared with control animals. Proopiomelanocortin (POMC) mRNA levels in the pars distalis of the fetal pituitary were not different from those of controls. There was a significant reduction in the level of renal 11β-hydoxysteroid dehydrogenase type 2 (11β-HSD2) mRNA and protein. The changes in organ growth were associated with parallel changes in IGF-II gene expression while IGF-I remained unaltered. Muscle fiber type estimation revealed a decrease proportion of type I fiber in biceps and quadriceps muscle in embolized fetuses.

These results suggest that elevated plasma concentrations of cortisol and decreases in 11β-HSD2 mRNA expression and enzyme activity could have an important effect on blood pressure and glucose tolerance. Increases in afterload to the heart and plasma norepinephrine causes fetal myocardial hypertrophy, possibly leading risk of adult onset of coronary heart diseases. Prolonged fetal hypertension could also alter the baroreceptor sensitivity and increase the threshold pressure for eliciting the baroreflex. As skeletal muscle is a major peripheral site of action of insulin in adult life, decreased proportion of type I fibers could cause persistence of insulin resistance, which results in a range of metabolic abnormalities. Intrauterine programming of the pituitary-adrenal axis and baroreceptor reflex function may be a mechanism underlying the association between low birth weight and the risk of adult disease.

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