□様々な痛み

│神経痛 Neuralgia│　←→神経障害性痛/神経血管圧迫症候群

• 定義：Pain in the distribution of a nerve or nerves.　単一または複数神経の分布領域に現れる痛み
• 三叉神経痛などは疾患名であるが、それ以外は、有痛性疾患の症状の一つである！

　[神経痛の痛み]

• 疼く痛み、焼けつく痛み、あるいは乱切り痛で、より強い突き刺されたような痛み、あるいは電撃痛の突発がその上に重なる。
• 末梢の神経機能異常の症状を伴って、単一末梢神経の分布領域に現れる痛み。
• 異常感覚は末梢神経の支配に対応した分布を示すが、痛みには、末梢神経の支配領域にを超えて放散する痛みもある。
• 阻血解除後に感じられるような異常感覚、ジンジンビリビリ感も珍しくない。



三叉神経痛 （帯状疱疹後神経痛） 舌咽神経痛 翼口蓋神経痛 後頭神経痛 肋間神経痛 感覚異常性大腿神経痛 鼠径神経痛 伏在神経痛 正中神経痛 尺骨神経痛 坐骨神経痛 横隔神経痛 （神経根痛）

神経の損傷により、末梢神経の機能異常の症状を伴って現れる痛み。 最も普通にみられる末梢神経の機能異常の症状は感覚異常である。 異常感覚は末梢神経の支配に対応した分布を示すが、痛みには、末梢神経の支配領域にを超えて放散する痛みもある。 混合神経であれば、筋力低下や筋萎縮もみられる。 三叉神経痛では、発作間欠期に感覚障害がみられない。 カウザルギーは、末梢神経の急性外傷に続発する特殊な型の神経痛である。 脊髄後根から生じる慢性痛や、ある種の多発性ニューロパシーの痛みも神経痛に似ている。

　　[神経痛一般の発現機序]

• 神経痛の発作に、末梢機序と中枢機序の両方が含まれる。
  
  
• 末梢機序
  • →異所性興奮の発生
    ---脱髄部および傷害された末梢神経の側芽と神経腫の自発発射
    
  • →エファプス伝達
    
  • →末梢神経に痛覚線維の自由終末が分布する
  
  

  ヴァレーの圧痛点 Valleix's points, Valleix's tender point　←→筋痛の圧痛/腹痛の圧痛 François Louis Isidore Valleix（1807〜1855, フランスの内科医）が1841年に出版した「Traite de Neuralgies」で圧痛点を報告した。 神経痛がある場合に、神経枝が骨孔より出る部位に相当する皮膚面や、体表近くを走行している神経の直上を圧迫して、圧痛を感じる部位 神経幹の骨管からの出口 神経線維が皮膚に到達するために筋肉内を通過する部位 神経末端枝が皮内で分岐する部位 神経がもっとも皮膚表面に近く位置する部位 などに存在する。 神経痛の診断に利用される。 特発性三叉神経痛 Valleixの３圧痛点：眼窩上孔・眼窩下孔・オトガイ孔 大後頭神経痛 大後頭神経が皮下に出る部分 　＝僧帽筋の起始部、正中線から2〜3cm離れたところ 小後頭神経痛 大耳介神経痛 胸鎖乳突筋、僧帽筋の付着部と乳様突起の上 坐骨神経痛 坐骨神経が坐骨切痕より殿部へ出たところ trigeminal points suboccipital pain lateral, parasternal, and paravertebral points for intercostal nerves brachial plexus radial nerve median nerve ulnar nerve femural nerve ileohypogastric nerve sciatic and external popliteal nerve

---

○三叉神経痛 Trigeminal neuralgia: TN（有痛性チック Tic Douloureux）
　←→三叉神経/Jannetta/ブロック/rhizotomy/tractotomy/Tolosa-Hunt症候群/非定型顔面痛/TAC/チック　　→参考12

□痛みと鎮痛の歴史年表

→

痛み一般 -三叉神経痛、三叉神経




IASPの慢性疼痛分類 (Mersky and Boguk N, 1994) Trigeminal Neuralgia (Tic Douloureux)(II-1)   Sudden, usually unilateral, severe brief stabbing recurrent pains in the distribution of one or more branches of the Vth cranial nerve.   通常一側の三叉神経の１本の分枝あるいはそれ以上の分枝の支配領域に現れる発作性の激しい痛みで、刃物で突き刺されたような短時間の痛みが反復するもの。有痛性チックとも呼ばれる。 Secondary Neuralgia (Trigeminal) from Central Nervous System Lesion (II-2)   Sudden, severe, brief, stabbing recurrent pains in the distribution of one or more branches or the Vth cranial nerve, attributable to a recognized lesion such as tumor of aneurysm. Secondary Trigeminal Neuralgia from Facial Trauma (II-3)   Chronic throbbing or burning pain with paroxysmal enacerbatios in the distribution of a peripheral trigeminal nerve subsequent to injury.

The International Classification of Headache Disorders 2ed Edition (ICHD-II)   13. Cranial neuralgeas and central causes of facial pain    13.1 Trigeminal neuralgia 三叉神経痛    ┏13.1.1 Classical trigeminal neuralgia 典型的三叉神経痛　↓    ┃┣A. Paroxysmal attacks of pain lasting from a fraction of a second to 2 minutes,    ┃┃    affecting one or more divisions of the trigeminal nerve and fulfilling criteria B-C    ┃┣B. Pain has at least 1 of the following characteristics:    ┃┃┣1. intense, shape, superficial of stabbing    ┃┃┗2. percipitated from trigger areas or by trigger factors    ┃┣C. Attacks are stereotyped in the individual patient    ┃┣D. There is no clinically evident neurological deficit    ┃┗E. Not attributed to another disorder    ┣13.1.2 Symptomatic trigeminal neuralgia 症候性三叉神経痛　↓    ┃13.1.2Painful trigeminal neuropathy 有痛性三叉神経ニューロパチー　(ICHD-III) 　┗13.1.3 idiopathic trigeminal neuralgia 特発性三叉神経痛

国際口腔顔面痛分類第1版（ICOP-1）では、三叉神経痛（ICOP-1：4.1.1）は典型的三叉神経痛（4.1.1.1），二次性三叉神経痛（4.1.1.2）および特発性三叉神経痛（4.1.1.3）の小項目に分類された。

典型的三叉神経痛　Classical trigeminal neuralgia（13.1.1）
　[臨床症状]

• あらゆる神経痛の中でも最も激しい痛みを伴うもの。
• 三叉神経痛の好発年齢は50歳以上であるので、かつての平均寿命は好発年齢に達していなかった。
  
  

  痛みの特徴	ヒトの体験する痛みの中でもっとも強い痛み 主症状は顔面の激痛。三叉神経の支配領域に引き起こされる発作性の激痛 鋭い痛みが走るように放散することが多いが、その場にとどまることもある。 「電撃がはしるような」鋭い電撃痛 shooting pain 　稲妻が光るようなチカチカ、 　「ナイフで刺されたような」と形容される非常に強い痛み。 三叉神経痛が進行すると、痛くてその部分を触れない症例が出る。したがって、髭は伸び、垢がついて当該部分は見るからに汚くなる場合も少なくない。 三叉神経痛以外の神経痛は感覚障害を伴うが、三叉神経痛では発作間欠期に感覚障害がみられない。
  領域 左右差	三叉神経の支配領域に限局 顔面皮膚、頬（口腔）粘膜および歯槽部分 ほとんどは片側性、両側は約1% 2枝または3枝に痛みが生じることが多い。 羅患枝数は、1枝であることが多いが、2枝異常に及ぶこともある。 右の発症は、左の約1.5倍
  痛みの誘発	食事、嚥下、洗面、ひげ剃り、会話、軽度の機械刺激や温度刺激などで、痛みが誘発される。 ひどい場合には、顔も洗えないばかりか、食事をとることもままならないという状態になる。 刺激に感応する発痛点、または発痛帯 triger zoneがあるが、筋・筋膜性疼痛症候群にみられるトリガーポイントのようなものではなく、軽く触るような刺激で痛みが誘発される。 Patrick発痛帯（Patric trigger areas、Patric trigger zone）---無痛状態時に刺激されると必ず疼痛を発現する部位。 Hugh Talbot Patrick（1860/5/11〜1939/1/1, アメリカの脳神経内科医）が1914年に報告した。 口唇周囲、鼻翼、頬、眉毛、毛髪 直径2〜4mm位の広がりであり、ひげ１本に触れただけでも、発作が誘発される。 trigger zoneに侵害刺激；針の先で刺激しても、あまり発作は誘発ない。
  随伴症状	疼痛の誘発以外に、他覚的な神経的異常所見はほとんどみられない。
  発作の頻度 持続時間	１日に数回、あるいはそれ以上、間隔をおいて、繰り返される。 まれには、連続して起こることもある。 １回の発作は普通数秒、長くても数分以内 発作の起こる期間が数週間から数ヶ月続いた後、ぴたっと止まって、何ヶ月も発作のない期間が続くこともある。 自然治癒することはなく、再発と緩解を繰り返す。 発作の頻度や痛みの程度は次第に悪化していく。
  発症年齢	小児にはみられない。 20歳代より発症 50〜70歳の間がピーク
  性差	女性が男性の約２倍 性差はないという報告もある。

　[ICHD-IIの診断基準]　←参考

13.1.1 典型的三叉神経痛 　Classical 　　trigeminal neuralgia （症状↑）	A. 三叉神経分枝の支配領域の１つまたはそれ以上の部位の発作性の痛みが数分の1秒〜2分間持続し、かつBおよびCを満たす B. 痛みは以下の特徴のうち少なくとも1項目を有する 　1. 激痛、鋭い痛み、表在痛または刺痛 　2. トリガー域から発生するか、またはトリガー因子により発生する C. 発作は個々の患者で定型化する D. 臨床的に明白な神経障害は存在しない E. その他の疾患によらない
(ICHD-II) 13.1.2 症候性三叉神経痛 　Symptomatic 　　trigeminal neuralgia	下記以外13.1.1と同じ A. 三叉神経分枝の支配領域の１つまたはそれ以上部位に数分の1秒〜2分間持続する発作性の痛みで、うずく痛みが発作間歇期に持続する場合もあれば持続しない場合もあり、かつBおよびCを満たす D. （ 13.1.1 のDとEを置き換える）血管性圧迫以外の原因病変が特殊検査または後頭蓋窩精査(あるいはその両方)により証明されている
(ICHD-III)　13.1.2　有痛性三叉神経ニューロパチー　Painful trigeminal neuropathy 　←→ニューロパチー 神経系の疾患や神経障害によって生じる三叉神経枝の支配領域に生じる頭部あるいは顔面痛（２枝領域以上も可）。痛みの性質や重症度は原因によってさまざまである。 13.1.2.1 急性帯状疱疹による有痛性三叉神経ニューロパチー 　Painful trigeminal neuropathy attributed to acute Herpes zoster 13.1.2.2 帯状疱疹後三叉神経ニューロパチー 　Post-herpetic trigeminal neuropathy 13.1.2.3外傷後有痛性三叉神経ニューロパチー 　Painful post-traumatic trigeminal neuropathy：PPTTN　←→PIDAP 13.1.2.4 多発性硬化症（MS）プラークによる有痛性三叉神経ニューロパチー 　Painful trigeminal neuropathy attributed to multiple sclerosis (MS) plaque 13.1.2.5占拠性病変による有痛性三叉神経ニューロパチー 　Painful trigeminal neuropathy attributed to space-occcupying legion 3.1.2.6 その他の疾患による有痛性三叉神経ニューロパチー Painful trigeminal neuropathy attributed to other disorder
13.1.3 特発性三叉神経痛 　idiopathic 　　trigeminal neuralgia	電気生理学的検査またはMRI検査で明らかな異常が示されない三叉神経痛　←→血管の圧迫のない三叉神経痛 主な症状は持続性またはほぼ持続性で焼け付くようなあるいは閉められるような痛みで、三叉神経痛のサブタイプとは区別される。

　[発症機序]

IASPの慢性痛分類では、三叉神経痛にみられる病理変化に関して、「常に末梢三叉神経に病変があり、血管ループその他による神経根の侵害刺激が主な原因で、電子顕微鏡像に脱髄および脱髄形成がみられる。」しかし、明らかな病変がないものもあるようである。 神経痛の機序には、中枢説と末梢説が考えられるが、Jannettaの三叉神経減圧術MVDの評価が確立されて、末梢説が受け入れられるようになった。 Kerrの「頸動脈三叉神経節接触説」により、三叉神経痛発作の原因は、三叉神経節と三叉神経根の両方にあるとされてるようになった。 現在、三叉神経の原因の90%前後の神経根の血管圧迫であり、残りの10%は多種多様な基質的疾患によるとされている。 三叉神経痛の圧迫動脈としては頻度の高い順に 上小脳動脈 前下小脳動脈 椎骨ー脳底動脈 変異動脈であるprimitive trigeminal artery

40代以上の発症が多い 高齢化に伴って骨の無機質が次第に失われていくと、内頸動脈が三叉神経節を圧迫する。 高齢化に伴って、動脈硬化性の脳血管病変が現れ、小血管ループが橋の近くで三叉神経根を圧迫している。 神経節神経節の圧迫 内頸動脈などによる拍動刺激によって、三叉神経節腹側部の神経節細胞 が持続性のインパルスを発射する。 健常な脊髄後根を圧迫しても長く続くインパルスは発生しないが、神経節細胞はvon Freyで100mgの圧刺激を加えると、持続的なインパルスを発生する。 圧迫によって、三叉神経節細胞の興奮性が高まる（＝過敏化）。 誘発刺激が加わると、神経節細胞のインパルスが群発し、これらの群発発射が発作を引き起こす。 神経根の圧迫 神経根が主要な原因である場合には、椎間板ヘルニアの慢性期で考えられるような機序 神経根が圧迫されると、神経線維が脱髄する。 脱髄部位に、エファプス伝達が生じる。 触刺激による触覚線維の興奮が、エファプスにより痛覚線維を興奮させると、痛みが生じる。 触刺激による自律神経反射による副交感神経線維の興奮が、エファプスにより痛覚線維を興奮させると、痛みが生じる。 女性に多い 高齢化に伴い、特に閉経後の女性で、骨粗鬆症が生じ、頭蓋底陥入 basimpressionが徐々に進行し、錐体の上縁が持ち上げられる。 右に多い 頭蓋底陥入の進行は、右に多い。 1枝領域の神経痛は少ない。 1枝支配領域の受容野をもつ細胞は、三叉神経節の背側にあるので、内頸動脈の圧迫の影響を受けにくい。 ttrigger pointは、口や鼻唇周囲 2,3枝支配領域の受容野をもつ細胞は、三叉神経節の腹側にある。 ひげの接触がtriggerに ネコの上唇や前顎部にあるひげの毛根は、血管洞に囲まれている。血管洞は副交感神経の支配を受けている。ひげに触ると、反射性に、三叉神経に含まれる副交感神経をインパルスが遠心性に伝わり、惹起させる。このような自律神経反射は、系統発生的には古い反射。 ヒトのひげや眉毛への接触刺激で、痛みが誘発される。 ヒトのひげや眉毛は洞毛が退化したもの。しかし、ネコと同じように、自律神経反射が誘発され、副交感神経に伝わるインパルスが、脱髄部で、痛覚線維に伝わると、痛みを生じさせるとは、あまり考えられないだろう。

Walter E. Dandy（P アメリカの脳外科医）（1934）三叉神経痛に対する新しい術式を創案し、200例以上の術中の観察から、神経血管圧迫説を提唱したが、その仮説の審議は、30年以上検証されなかった。 Dandyの術式：従来の中頭蓋窩経由の術式に変わって、後頭蓋窩経由で、三叉神経孔から小脳橋角部を通過する三叉神経根を切断する手術法を創案したので、三叉神経根を肉眼的に観察する機会をえた。 神経血管圧迫説：小動脈による神経根の圧迫あるいは接触がみられることに気づき、神経根の圧迫が三叉神経痛の原因を作っている可能性を示唆した。 1942年にBergouignan Mがフェニトイン、1962年にBlom Sらが、カルバマゼピン で三叉神経痛の除痛に成功した。 Taarnhoj（1952）は、錐体の上縁を通過する部位で、三叉神経が圧迫されて屈曲するのが三叉神経痛の原因であると考え、三叉神経節後部および三叉神経根の減圧術を試みた。 　　　　　↑↓ James W. Gardner (P 1898〜1987, 米国の脳外科医) (1953年)は、三叉神経痛患者の頭蓋骨のX線写真を調べて、錐体骨上縁の高い側に三叉神経の圧迫がある例が多いことを確かめた。 Kugelber & Lindblom (1959)　エファプス伝達 Peter J. Jannetta（P（1967）は、三叉神経減圧術MVDを精力的に行い、Dandyの説を復活させた。（しかしDandyはすでに故人であった。） 高齢化に伴って、動脈硬化性の脳血管病変が現れ、小血管ループが橋の近くで三叉神経根を圧迫している。 圧迫している血管ループと三叉神経根の間に止血用のゲルフォームの小片を挿入したところ、三叉神経痛が緩解したと報告した。 手術所見において、多くの症例で血管の圧迫による神経根の圧痕、変色、変形が観察され、痛みの領域と血管圧迫部位との密接な解剖学的関係を確認した。 圧迫血管はほとんどが上小脳動脈であるが、脳底動脈、前下小脳動脈、錐体静脈によることもある。 第２枝または第３枝の支配領域の三叉神経痛：三叉神経根が上小脳動脈圧迫されている。 第１枝支配領域の三叉神経痛：三叉神経根が小脳動脈に圧迫されている。 Kerr (1977)　頸動脈三叉神経節接触説 cartid /trigeminal ganglion contact theory 三叉神経痛発作の原因は、三叉神経節と三叉神経根の両方にある。 三叉神経の脳底側は、内頸動脈に近い。 高齢化に伴って骨の無機質が次第に失われていくと、内頸動脈が三叉神経節を圧迫する。 大槽X線撮影 cistenographyと頸動脈血管撮影を組み合わせて調べると、三叉神経痛患者のメッケル腔と内頸動脈の距離が近い。 Burchiel（1980）末梢からインパルスが一発送られてくると、脱髄した神経線維やそれを出す神経節細胞が反復興奮する。 Meaney (1995)　MRI (magnetic resonance imaging) 患側では症状のあった神経の55本中51本で、対側では45本中4本で神経と血管の接触を認めた。 減圧術を受けた52例中50例で、MRIの所見が確かめられた。 Rappaport & Devor （1994）　三叉神経節点火説　Trigeminal Root Ganglion Ignition Hypothesis トリガー刺激は、三叉神経節または三叉神経根が傷害されて興奮性が高まっている三叉神経節ニューロンの小集団から群発発射が誘発する。 この点火焦点 ignition focus から発生した興奮は三叉神経節内のより広い興奮に拡がる。 この自発発射は短時間（数秒〜数分）で鎮静化し、高頻度発火によって生じた内因性抑圧機序（過分極）が不応期をもたらす。 発作のもとになる異常は、三叉神経節と三叉神経根にある。三叉神経節が血管に圧迫されると、脱髄あるいは小さい神経痛を生じる。その結果、自発発射および機械刺激と化学刺激に対する反応が現れて興奮が発生する。 Baker (1996)　Janettaの減圧術を施行した患者の多くで、血管の圧迫による溝が認められた。

血管の圧迫がどの程度になれば三叉神経痛を発症するか？ 顔面痙攣、舌咽神経痛における血管圧迫部位は、root entry zoneの極限られた領域であるが、三叉神経痛の場合には通常、圧迫部位にはかなりの拡がりが認められる。 しかし、autopsyの所見から、生前に三叉神経痛の既往がないにもかかわらず、動脈と神経根との接触が認められる症例も存在する。 MRIは、血管圧迫のない症例を厳格に選別する制度ではないが、MRI画像で、患側と同じように健側の三叉神経根にも血管が触れている症例も認められるらしい。 　←→圧迫の程度と三叉神経発症との間の相関関係の有無、圧迫以外の要因の有無を究明する必要がある。

血管の圧迫のない三叉神経痛は？　←→特発性三叉神経痛/Internal neurolysis くも膜の癒着あるいは三叉神経孔近傍に錐体骨のわずかな突出による「三叉神経根のよじれ」がある。 　←→くも膜の癒着を鋭的に切り離したり、骨の小隆起を高速ドリルを使って削除し、三叉神経根の走行を直線的にすると、神経痛が消失する。

脳腫瘍による三叉神経根への圧迫のうち、三叉神経痛を発症するケースと発症しないケースがある。 三叉神経痛を臨床症状として呈する脳腫瘍は30%程度であるらしい。 脳腫瘍が三叉神経痛の原因と考えられる症例では、腫瘍を摘出して圧迫を取り除くと、三叉神経痛は消失する。 一方、明らかに腫瘍によって相当の圧迫を受けていながら、三叉神経痛も顔面の感覚鈍麻も生じていない症例もある。

寛解期は？ 三叉神経痛は、自然の寛解期を繰り返しながら次第に症状が重症化していくことが多い。 圧迫による神経線維の脱髄に対して生体の防御機転が働き、両方の均衡が回復過程に傾くと寛解に入る？

歯科、口腔顔面痛的三叉神経痛診断 会話、飲食の最初に痛みが誘発される（食べ物、飲み物を口に入れたとたんに）。 痛みの強度は、痛くても会話や飲食などをやめて、じっと耐えなければならないほどである（どんなに長くても2〜3分）。 疼痛が始まった後は全く異常なく、会話、飲食ができる（又痛くならないうちに食べてしまおうとする）。

三叉神経痛、舌咽神経痛と顎関節症の鑑別診断のポイント 顎関節症症状は、深部体性痛の特徴を有し、加えた刺激に比例して疼痛が生じるが、三叉神経痛、舌咽神経痛は刺激の強度と疼痛程度が比例しない。 顎関節症症状はバイトブロックにより、下顎を固定することによって減少、消失する。神経痛はこの状態で舌の運動や嚥下によっても誘発されることがある。 舌咽神経痛は、咽頭部への機械的、化学的刺激により誘発され、又、同部の表面麻酔により抑制される。この特徴は三叉神経痛との鑑別にもなる。

　[治療]

薬物療法*	鎮痛のみで、治療効果はない。 カルバマゼピン（抗てんかん薬） （アレルギー反応などの副作用のために投薬の継続が不可能な症例もある。） バルブロン酸ナトリウムとフェニトインも処方されるが、カルバマゼピン以外は、効果には個人差があるようだ。 ガバペンチン、プレガバリン
神経ブロック法 ガンマーナイフ	鎮痛のみで、治療効果はない。 三叉神経ブロック 三叉神経節ブロック/三叉神経槽グリセリン注入法
外科的治療 *	(1) 侵襲的、非切除的　invasive, non-ablative 　　微小血管減圧術：MVD (2) 侵襲的、切除的　invasive, ablative 　　機械的：経皮的バルーン圧迫法 　　熱的：高周波熱凝固法 　　化学的手段：glycerol rhizolysis 　　神経内剥離術：INL (3) 非侵襲的、切除的　non-invasive ablative 　三叉神経エントリーゾーンに放射線を照射する定位放射線治療　stereotactic radiosurgery
ボツリヌス毒素	顔面痙攣に有効なボツリヌス毒素は、三叉神経痛にも有効 　Neurology 65: 1306-1308, 2005



• 三叉神経痛のための漢方治療　参考1

  冷え（寒冷で誘発され、温めると痛みは軽快） (1) 項頸部・背部筋の強張り 葛根湯 　　冷えが強い場合 葛根加朮附湯 (2) 顔面痛全般、顔面の発作性激痛 川芎茶調散 (3) 冷え＋水滞 桂枝加朮附湯
  熱感 灼熱性の疼痛発作　顔面の発作性激痛	清上防風湯
  ストレス（ストレスによって痛みが増強する） (1) イライラ、のぼせ、発作性の灼熱痛 竜胆瀉肝湯 (2) 他の漢方薬の無効な場合 柴胡桂枝湯

  
  
• 三叉神経痛と顔面けいれんは、症状としては、まったく異なる二つの病気であるが、発症のメカニズムが非常に良く似ているので、脳外科での同じような手術で治療することができる。

---

○舌咽神経痛 glossopharyngeal neuralgia：GPN　←→舌咽神経/非歯原性歯痛

• Theodore Herman Weisenburg（1876/4/10〜1934/8/2, 米国の精神科医）が1910年に初めて報告した。
• 国際頭痛分類第2版（ICHD-II）の13.2
• 舌咽神経の支配領域（咽喉後部、扁桃、舌背、中耳）に起こる反復性の激痛発作、発作性神経痛である。
• 舌咽神経痛の罹患頻度は、三叉神経痛の100例に対して1例とされる比較的希な疾患である。
• 舌咽神経痛は発症年齢が50歳代に多く、発症頻度は男性よりも女性に多い。
• 三叉神経痛と違って右側よりも左側に好発する。
• 三叉神経痛と同様に発作の増悪期と寛解期を繰り返すが、寛解期は三叉神経痛に比べて長い。
• メカニズムは三叉神経痛と同じと考えられて、小脳橋角部において神経根に対する動脈の圧迫によって引き起こされる神経病変によるとされている。
• 舌咽神経痛は、耳・耳下部や咽頭・喉頭部に起こる発作性の電撃痛様を主訴とする。
• 発作は食物の嚥下時などに誘発されるが、時に第3枝の三叉神経痛では食物を含んだときに起こるのに対して、舌咽神経痛では夜間によく起こることなどがある。
• 舌咽神経痛のトリガーポイントは顔面にはなく、口蓋扁桃や耳珠にある。
• ときに高度の徐脈、心停止および血圧低下による失神発作を合併する。
  
  

  国際頭痛分類第2版（ICHD-II）　13.2　診断基準： A. 数分の1秒〜2分間にわたり持続する発作性の顔面痛で、BおよびCを満たす B. 痛みは次の特徴をすべて有する 片側性 舌後部、扁桃窩、咽頭または下顎角直下の領域または耳のいずれか1つ 以上に分布する 鋭く、刺すような痛みで激烈 嚥下、咀嚼、会話、咳または あくび のいずれか1つ以上により発生する C. 発作は個々の患者で定型化する D. 臨床的に明白な神経障害は存在しない E. その他の疾患によらない

  
  
• 三叉神経痛や発作性片側頭痛などとの鑑別診断

  発作消失試験 局所麻酔薬（リドカイン：キシロカインスプレーまたはキシロカインゼリー）の咽頭部への噴霧（あるいは塗布）や舌咽神経ブロックによって発作を止めることができれば神経痛 舌咽神経痛では嚥下時または扁桃に綿棒で触れることにより痛みが誘発され、局所麻酔薬を咽喉に使用すると一時的に自然発生の、または誘発された痛みが消失する。 局所麻酔薬を塗布してから、オレンジジュース（酸っぱいもの）を飲ませて発作が誘発されなければ、舌咽神経痛

  発作誘発試験 お酢を患側の舌後方1/3と咽頭に塗布して、発作が誘発されれば、舌咽神経痛

• MRIで扁桃、咽頭、小脳橋角部の腫瘍および前頸三角の転移病巣が確認されれば、舌咽神経痛ではない。
• 治療は通常、カルバマゼピンまたはガバペンチンを用いる。微小血管減圧術も用いられる。
  
  

  茎状突起過長症　stylohyoid ligament complex：SLC イーグル症候群 Eagle's Syndrome Watt Weems Eagle（1898〜1980, Duke Universityの耳鼻咽喉科）が1937年に報告した症候群 側頭骨下面から延びる茎状突起が異常に長く、口蓋扁桃付近にまで達するもの。茎状突起先端に付着する茎突舌骨靱帯が、化骨機転の異常により石灰化（calcified stylohyoid ligament）して過長となる。 首の回転や嚥下などの運動時に、過長部が周囲にある舌咽神経、 内・外頸動脈および周囲組織などを絞扼することで、痛みを引き起こす。 症状：嚥下時疼痛、耳介へ放散する鈍痛、咽頭部異物感、圧迫感、食物の咽頭部停滞感など。時に頸動脈症候群による側頭部痛などを引き起こす。そのほか声の異常、咳、ふらつき、片頭痛、後頭部の神経痛、歯痛や下顎痛、副鼻腔炎や充血といった症状が出ることがある。 必ずしも開口時に限らず、顎の側方運動でも、あるいは舌骨の運動に伴っても舌咽神経を刺激する可能性は否定できない。 触診により口蓋扁桃付近に骨様索状物が触れ、X線検査、特にオルソパントモグラフィで診断が確定する。 側頭骨茎状突起　temporal styloid process 側頭骨の細くとがった突起部で、耳の直下にあり、側頭骨下面から前下方に伸びて、舌や咽頭に関係したいくつかの筋の付着部を形成している。 茎状突起の長さは正常では2.5㎝まで。2.5㎝を超えるものは約4％で、さらに症状を有するものはさらにその4％程度とされている。 第二鰓弓由来 茎突舌骨靭帯　stylohyoid ligament 舌骨と側頭骨の茎状突起を繋ぐ靱帯 舌骨　hyoid bone、Os hyoideum ヒトの舌骨は、下顎と咽頭の間に存在するU字形をした骨 四肢動物において、祖先の魚類の鰓弓構造に由来する骨 他の骨と関節がない。 人間の首の骨で、首の筋肉によって支持され、舌根を支持する。蹄鉄型をしていて、茎突舌骨靱帯によって、側頭骨の茎状突起の先端につるされている。 楕円船形をした舌骨体と、舌骨体の前面左右両側に付属した2個の小角、小角と舌骨体の隣接部から後上方に左右に細長く伸びる2個の大角によって構成されている。 舌骨は舌骨体が二つと大角、小角それぞれ一つずつの合計6ヶ所から骨化する。大角の骨化は出生直前に始まり、舌骨体ではその直後に、小角は出生後1年から2年後に始まる。 舌骨体　corpus ossis hyoidei, Body of hyoid bone 舌骨体は中央にある四角形の部分である。 舌骨体は長楕円扁平の骨板で、上縁は鋭く、下縁はやや厚い。前面はややふくれた粗面で舌骨上筋および舌骨下筋群の数個の筋が着く面となる。後面は滑らかでややくぼむ。 前面は前上方に凸型であり、その上半分でわずかに下向きの凸状を持つ顕著な斜走隆線が交差する。 舌骨の小角　cornu minus, Lesser horn of hyoid 左右に一対ある小さな上向きの円錐形で、舌骨体と大角の間の連結部に付着しいている。 線維組織により舌骨体につながっていて、大角と明確な可動結合関節によって結合している場合もある。これは通常、一生を通じて存続するが、強直することもある。 小角の尖端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨上の茎状突起と連結する。 小角舌筋は底の内側から起こる。 舌骨体上半をつくる第二鰓弓軟骨の位置に生じたもので、小角はそのなかで舌骨に近く生じた一種の種子骨ともみなされる。 小角と舌骨体の間はしばしば小さい関節腔を有し、可動性に連結するが、やがて骨結合となる。 舌骨の大角　cornu majus, greater horn of hyoid 大角は舌骨体の外側端から後上方に延びて細くなるが、その尖端はやや肥厚する。その基部には茎突舌骨靱帯がつく。 大角と舌骨体は始めは軟骨結合で、後に骨化する。 オルソパントモグラフィ　orthopantomography、パノラマX線撮影 口の中全体（歯および、顎骨）を１枚のレントゲン写真として撮影する方法 全体の歯の状態や骨の中の異常、下歯槽神経の位置などを知ることが出来ます。 Yrjo Veli Paatero（1901〜1963,　ヘルシンキ大学、トゥルク大学の歯科放射線学教授）が1961年に実用化した。

---

○後頭神経痛 occipital neuralgia　→バレ－の圧痛点/後頭神経

• 国際頭痛分類第2版（ICHD-II）の13.8

  A. 発作性の刺痛が大後頭神経、小後頭神経または第3後頭神経のいずれか1つ以上の支配領域に生じ、うずく痛みが発作間歇期に持続する場合もあれば持続しない場合もある B. 圧痛は罹患神経上にある C. 局所麻酔薬を用いた神経ブロックにより痛みは一時的に軽減 コメント：環軸関節または上関節突起間関節を起源とする、あるいは頸筋またはその付着部の過敏なトリガーポイントを起源とする後頭への関連痛と、鑑別しなければならない。

• 緊張型頭痛などの機能性頭痛（一次性頭痛、特発性）からの随伴する後頭部痛は頻度が高く、薬物療法のみではコントロールが難しい症例も多く認められる。
• 高齢者に比較的多い。
• 後頭神経痛は、原因不明の機能性頭痛と症候性頭痛（二次性）に分けられるが、特発性のものは極めてまれである。二次性のものは腫瘍、炎症、外傷、痙性斜頚、変形性頚椎症、頸椎椎間板ヘルニヤなどによって引き起こされ、首の運動、咳、くしゃみでの痛みの増強をみることが多い。
  
  

  大後頭神経痛 major occipital neruralgia 後頭部を中心に、側頭部まで及ぶ鋭い痛みがある。 突発的な症状と持続的な症状がある。まったく無症状のときもある。 ひどいときには髪にくしが触れただけでも痛む。 人によっては、目玉をえぐられるような痛みや、目の疲れ、まぶしさをひどく感じることがる。 肩から頸にかけてのこりを伴う場合もある。

  大後頭神経三叉神経症候群 great occipital trigeminal syndrome：GOTS 後頭部に痛みがある場合に、目の奥の痛み、目の疲れ、まぶしさを同時に自覚する。 三叉神経の下行ループ（三叉神経脊髄路）のうち第1枝の由来の神経線維と頸神経系 (C1､C2)の一部の神経線維は脊髄上部で同じ細胞に接続しており､後頭神経の興奮（後頭部痛､項部痛）が､三叉神経の第1枝に伝搬して､前頭部および眼窩部への関連痛症状（目の奥の痛みなど）を引き起こす｡

---

○坐骨神経痛 sciatica, sciatic neuralgsia, ischialgia　←→坐骨神経/腰下肢痛

• 疾患名ではなく、坐骨神経に由来する痛みの症候名、腰下肢痛の症状の一つ
  

  1764年

  Domenico Felice Antonio Cotugno（コトゥーニョ P 1736/1/29〜1822/10/6, ナポリ大の内科医）が著書に坐骨神経痛（Cotugno's disease）の記載（坐骨神経の走行と一致する痛みの記載）をした。

• 坐骨神経の走行に沿って、殿部から大腿後面、下腿外側および後、足の外側に激しい疼痛をきたす。
• 下肢の運動、咳、怒責により増強される。
• 痛みの程度は天候や温度に左右されることがある。
• アキレス腱反射の減弱ないし消失、下肢の感覚障害、ラセーグ徴候などがみとめられる。

　　[原因]

坐骨神経の損傷	腰部椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症　など。
坐骨神経の損傷なし	骨盤のアライメント異常---仙坐骨捻挫による梨状筋症候群（梨状筋下孔の坐骨神経障害）





ラセーグテスト　下肢伸展挙上テスト　SLR試験/SLRT（Straight Leg Raising Test） 　Charles Ernest Lasegue（P 1816〜1883）は学生時代にはClaude Bernard Pの同僚で、Armand Trousseau（アルマン・トルソー P 1801/10/14〜1867/6/27, Trousseau signで知られるフランスの内科医）の弟子となり、1852年サルペトリエール、1870年ピチエ病院に勤めた。Lasegueの著書には、「ラセーグ徴候」を発見していたが、彼の著書には、「ラセーグ徴候」の記載はなく、彼の弟子のJ.-J. Forstが師匠の教えとして1881年に、坐骨神経痛を装う仮病の兵士を見分けるための疼痛誘発法として紹介した。 ラセーグ徴候　Lasegue sign（下肢伸展挙上試験）---坐骨神経痛の一徴候 検者は手で、仰臥位になった被検者の足を持ち上げて、下肢を伸展挙上しても、健常人では股関節での屈曲が70°くらいまでは痛みを生じない。 ラセーグ徴候陽性--殿部から下肢後面の坐骨神経走行に沿って疼痛が生じ、膝屈曲が起こる角度が70°以下

　　[治療]

• 腰部（または仙骨部）硬膜外ブロック
• 神経根ブロック
• 体性神経ブロック
  • 障害部位の中枢でブロックする。
  • 梨状筋症候群では臀部で坐骨神経ブロック、足根管症候群では後脛骨神経ブロック、モートン症候群では足底神経ブロックを洗濯する。
  • 坐骨神経ブロックは腎部から下肢にかけての痛みに有効
  • 腓骨神経ブロックは下腿のみの症状の場合に適応
• 局所浸潤ブロック
  　---腰部では傍脊柱筋の外側縁、腎部では上殿神経部位が代表的である。
• トリガーポイント注射
  　---腰腎部で、腰痛や下肢痛が誘発されるtrigger pointに、長針を用いて局所麻酔薬などを注入すると下肢痛まで軽減する。

---

○横隔神経痛 phrenic neuralgia

• 頸部の腫瘍、大動脈瘤、心膜〔心臓を包む膜〕や縦隔の病変によって起こる。
• 痛みは肋骨先端部、鎖骨下、頸の深部に感じ、ときには下顎や腕にまで拡がる。
• 呼吸は促迫し、痛みのため呼吸困難を自覚する。痛みは左側に起こることが多い。

---

---

神経血管圧迫症候群　neurovascular compression：NVC　参考1

• 脳神経と正常な血管が長期間の接触により神経の脱髄をきたす結果、脳神経の刺激症状をきたすと考えられる症候群
• 神経血管圧迫症候群は通常、脳神経の大槽部に直接接触する動脈によって引き起こされる。
• 末梢性ミエリンと中枢性ミエリンとの移行帯である感覚神経の神経根進入部は最も脆弱な領域で、機械的圧迫に弱く、圧迫性の刺激に対して容易に脱髄を起こしやすい。
  

  第V脳神経：三叉神経	三叉神経痛
  第VII脳神経：顔面神経	片側顔面痙攣
  第VIII脳神経：内耳神経	前庭性発作 vestibular nerve：めまい cochlear nerve：耳鳴り
  第IX脳神経：舌咽神経	舌咽神経痛
  第X脳神経：迷走神経	高血圧
  第XI脳神経：副神経	痙性斜頸
  第XII脳神経：舌下神経	hemilingual spasm

Pain Relief