□鎮痛法	│統合医療　integretive medicine│

• 統合医療とは近代西洋医学と補完（相補）・代替療法や伝統医学等とを組み合わせて行う療法
• 西洋医学では科学技術の発展と要素還元主義の方法論に基づき、さまざまな疾患について病因の分析や療法の開発に多大な貢献をもたらした。しかしがん、アレルギー疾患、精神疾患などでは、食事・運動などの生活習慣やストレスなどの社会環境などのさまざまな要因が関与しているので、西洋医学では容易に克服できないので、健康食品、ヨーガ、マッサージなどの各種民間療法が取り入れられてきた。
• 世界保健機関（World Health Organization：WHO）は、「伝統医療」について、「それぞれの文化に根付いた理論・信心・経験に基づく知見、技術及び実践の総和であり、健康を保持し、更に心身の病気を予防、診断、改善、治療することを目的としている。」としている。
• 米国では1992年に国立衛生研究所：NIHに代替医療事務局　Office of altenative medicine: OAMが設立され、1998
  年にはこれが格上げする形で国立補完代替医療センター（National center for complimentary and alternative medicine：NCCAMに改組され、国家レベルで補完・代替医療の研究に取り組んでいる。
• 日本では、2010年（平成22年）1月29日に鳩山内閣総理大臣が、施政方針演説において、健康寿命を延ばす寒天から「統合医療」の積極的な推進について検討を進めることを掲げたことを受け、厚生労働省内に「統合医療」のあり方検討会が発足した。
• 2013年2月に報告書として「これまでの議論の整理」を公表した。　→厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』：eJIM
• IASPの2023 Global Year for Integrative Pain Care←→2023-global-year
  
  

  補完医療　complementary medicine 通常の現代西洋医学の治療に、そうではない医療をプラスして行う治療 ヨーロッパでは代替医療という用語の代わりに、complementary medicineという言葉が好んで使われてきた。

  代替医療　alternative medicine 現代医学の治療は行わないで、それ以外の治療法だけをやる 通常の「現代西洋医学」に代わる「自然医療の総称」 東洋医学（漢方・鍼・灸・気功など）をはじめとして、栄養学、ハーブ（薬草）療法、ヨーガ、マッサージ、ホメオパシー、アロマテラピーなどの民間療法

  補完・代替医療　Complementary and Alternative Medicine：CAM 医療には近代西洋医学以外に、伝統医学、自然療法、ホメオパシー、ハーブ、心身療法、芸術療法、音楽療法、温泉療法など多くの療法があり、これらをひっくるめて、補完・代替医療と呼ぶ。 これらの補完・代替医療を近代西洋医学に統合して、患者中心の医療を行うのが統合医療である。

  統合医療　integretive medicine 米国の国立補完統合衛生センターにおいては、「統合医療」を、「従来の医学と、安全性と有効性について質の高いエビデンスが得られている相補(補完)・代替療法とを統合した療法」と定義しています。また、相補(補完)・代替療法については、「一般的に従来の通常医療と見なされていない、さまざまな医学・ヘルスケアシステム、施術、生成物質など」と定義 1. 天然物（Natural Products） 　ハーブ（ボタニカル）、ビタミン・ミネラル、プロバイオティクスなど 2. 心身療法（Mind and Body Practices） 　ヨーガ、カイロプラクティック、整骨療法、瞑想、マッサージ療法、鍼・灸、リラクゼーション、太極拳、気功、ヒーリングタッチ、催眠療法、運動療法など 3. そのほかの補完療法（Other Complementary Health Approaches） 　心霊治療家、アーユルヴェーダ医学、伝統的中国医学、ホメオパシー、自然療法など 2012（平成24）年度におこなわれた厚生労働省の『「統合医療」のあり方に関する検討会』においては 　「統合医療」を、「近代西洋医学を前提として、これに相補(補完)・代替療法や伝統医学等を組み合わせて、さらにQOL（Quality of Life：生活の質）を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」と位置付けた。 IASPの2023 Global Year for Integrative Pain Care←→2023-global-year

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○ヨーガ療法　Yoga therapy　参考eJIM/岡孝和先生によるeJIM/岡孝和先生

• ヨーガは統合医療の中でも、カイロプラクティックや整骨療法と並ぶ心身療法の一つ
  
  

  伝統ヨーガ ヨーガとはインドの伝統文化に伝承されて来た心身統合の方法論 サンスクリット語のヨーガは、「牛馬にくびきをつけて車につなぐ」という意味の動詞（yuj）から派生した名詞で、「つなぐ」、「結びつける」という意味である。 本来のヨーガの目的は「神と自己を結ぶ」という悟りの境地で、この境地に至るためには、心の働きを抑え、自分の狭いものの見方を手放し、広く深く世界を観ていく瞑想行法が必須であった。 古代インド哲学に歴史的起源を持つ心身の訓練法であり、精神的な訓練法として始まったが、身体や精神の健康を促進する方法として普及した。 ヨーガ・ヴァシシュタ ヨーガの発祥はB.C.3000年～2000年頃栄えたといわれるインダス文明と言われている。世界遺産であるインダス文明最大級のモヘンジョ・ダロ：Mohenjo-daroの遺跡から、安座（安定坐法、スッカアーサナ）に見える座り方をしている像が彫られた印章が見つかった。また印章にも結跏趺坐（けっかふざ）（瞑想する際の座法）が刻まれていて、ヨーガの存在が古くからあったことが証明されている。粘土で作られた「ヨーガの坐」といわれる印章は大英博物館に保管されている。 B.C.500年頃、バラモン教のヴェーダ聖典の中で、ヨーガと繋がる哲学等が記されていた。ヴェーダの賛歌の中に「ヨーガ」という単語が「馬と馬車をつなぐもの」として出てきた。B.C.800年~500年頃には、サンスクリット語で書かれているウパニシャッド（奥義書）の中で「ヨーガ」という言葉が登場した。 2〜4世紀頃、インドの哲学者パタンジャリによってヨガの根本経典「ヨーガ・スートラ：Yoga Sutra」が編集された。 「ヨーガとは心素を止滅させることである　Yogas cittavrtti nirodhah」（ヨーガ・スートラ1-2） 空海が806年頃に中国からヨーガを伝え、天台宗や真言宗の修行僧達が行っていた。 12〜13世紀頃、瞑想と座法に加え、アーサナ（ポーズ）と呼吸法（プラーナヤーマ）で構成される「ハタ・ヨーガ：Hatha yoga」が生まれた。ハタ・ヨガの「ハ」は太陽、「タ」は月を意味し、陽と陰を整えることを目的とし、心身のバランスを整えることを重視している。ハタ・ヨガはアーサナと呼吸法を組み合わせたスタイルで、16世紀頃に体系化され、現在世界的に広がっているヨーガの原型となった。 ヨーガは「気」＝自分の本質である「エネルギー」に気づく旅とも言われる。 トラディショナル・ヨーガはインド伝統の方法を踏まえ、「心」「身体」「精神」に目を向けながら心身ともにリラックスへと導く。 アメリカなどで実践されているヨーガは通常、体の姿勢（アーサナ）、呼吸法（プラナヤマ）、瞑想（ディアナ）に重点を置いています。アイアンガー、ビクラム、ハタヨガなどのヨーガ流派は、これらの要素を重視している。

  
  
  
• ヨーガ療法は伝統的なヨーガを科学的な研究をもとに、健康な人だけではなく、疾患を持つ人でも安全にできるように改良して作られた療法
• Swami Kuvalayanandaが1924年にカイヴァルヤダーマ・ヨーガ研究所kaivalyadhama Yoga Institute（インド・マハラシュトラ州ロナワラ市）を設立した。カイヴァリヤダーマは科学的および哲学的文学の研究を行うだけでなく、ヨーガとアーユルヴェーダのヘルスケア教育を提供している。
• 自律神経機能を改善し、ストレスに強い心身を養う
• 身体機能の回復を図るだけでなく、心の落ち着きや睡眠など精神的な健康を向上させる方法としても効果のある健康法
• 生活習慣の改善や病気の予防、人間関係改善など、日常生活にも応用ができる。最近ではストレス性の疾患、生活習慣病、介護予防や心の病にも有効であるとする研究報告が増え、現代医療的治療の補助療法としての効果が期待できるとする研究も増えている。
• ヨーガの医学的効用に関する論文の中にでてくるヨーガとは、8つの段階の中のおもに3つ、つまりポーズ（アーサナ）、呼吸法（プラーナヤーマ）、瞑想（ディアーナ）を含んだプログラムを指すことが多い。
• ヨーガや、2つの中国起源の訓練法である太極拳と気功は「瞑想的運動療法 meditative movement therapies」と呼ばれることもあり、3つの訓練法にはすべて、瞑想的な要素と身体的な要素の両方が含まれている。
• ジョン・カバット・ジンもマインドフルネスの技法としてヨーガ・アーサナやヴィパサナ瞑想を取り入れた。

  アーサナ（体位法）　←→ヨーガ瞑想法 サンスクリット語の「asana」には「座る」という意味がある。もとはその瞑想のため「坐法」を指した。 ヨーガのアーサナで肉体をコントロールすることは、自己コントロールの基礎となる。 約2500年前の釈尊の時代には、結跏趺坐（パドマアーサナ）、半跏趺坐、安楽座（スカアーサナ）、合蹠坐（バッダコーナアーサナ）、正坐（ヴァジラアーサナ）など数種類しかなかったが、ハタ・ヨーガの開祖といわれているゴーラクシャナータ（Gorakhnath, 11世紀初頭頃）が、現在ヨーガのポーズとして捉えている、多くの種類のアーサナを作り出しとされる。 アーサナは迷走神経を刺激する。

  プラーナヤーマ（呼吸法）　Pranayama サンスクリットで「気息、呼吸」を意味する「プラーナ」（प्राण, prāṇa）と、「制御、制止、延長」を意味する「アーヤーマ」（आयाम, āyāma）からなる合成語 ヨーガの呼吸は「心と体」を繋ぐ自律神経を整え、不安や抑うつなどの負の感情を軽減する。 ヨーガの呼吸を行うと副交感神経の働きが高まり、自律神経の変動のリズムが規則正しくなる。

  瞑想　Diana ヒンドゥー教のディアナは熟考と瞑想を意味する。ディアナはヨーガのエクササイズに取り入れられていて、サマーディと自己認識の手段である。 ヴィパッサナー瞑想　Vipassana Meditation　←→ボディー・スキャン瞑想 ナーマ（こころのはたらき）とルーパ（物質、色）を観察することによって、仏教において真理とされる無常・苦・無我を洞察する瞑想 ヴィパッサナーとは、「物事をあるがままに見る」という意味で、自己観察によって自己浄化を行う方法である。まず心を集中させるために、自然な呼吸を観察することから始める。 インドにおける最も古い瞑想法の一つで、長い年月の間に失われていたが、2500年前にゴータマ・ブッダによって再発見された。 サマタ瞑想 一点集中型の瞑想で、反復される言葉やイメージなどの瞑想対象に意識を集中し、最終的にはその対象と合一してしまうほどの深い統一状態を目指していく技法 サマーディ　三昧、禅定　samadhi 仏教用語で、心をひとつの対象に集中し心の散乱がないという精神の作用や、そのようにすることや、定まっているその状態を指す。 絶対的な静寂、無限の平和、完全に満ち足りた至福の領域 ディヤーナの実践によって達成される瞑想的な吸収またはトランス

  
  
• 岡先生*によると、医学的な効用や注意点を考える上でのヨーガの特徴は３点
  （１）ヨガは運動であり、呼吸法であり、瞑想である点
  （２）動作と呼吸を一致させて行い、その中で生じる内受容感覚に意識を向けるという点
  （３）交感神経優位の状態から副交感神経優位の状態に導くという点
  
  
• ヨーガ療法を含む心身療法は、脳と体の間の双方向コミュニケーションを促進するトップダウンとボトムアップのプロセスの統合を通じて健康と幸福に利益をもたらすことが提案されている。
• 注意の調節や意図の設定などのトップダウンプロセスは、視床下部-下垂体軸（HPA）および交感神経系（SNS）の活動だけでなく、心理的ストレスを軽減し、免疫機能と炎症を調節することが示されている。
• 心身療法で採用されているトップダウンおよびボトムアップのプロセスは、自律神経、神経内分泌、感情および行動の活性化を調節し、課題に対する個人の反応をサポートする可能性がある。
  
  
• 呼吸法と運動習慣によって促進されるボトムアッププロセスは、筋骨格系、心臓血管系、神経系の機能に影響を及ぼし、免疫機能と感情的幸福の変化を伴うHPAとSNSの活動にも影響を与えることが示されている。
• ヨーガの実践により交感神経機能が抑制され、副交感神経機能が賦活化される。
• ヨーガのポーズを正しく行なうと自然に呼吸が深く長くなり、脳内のGABAレベルや血中オキシトシン濃度が上昇する
• 交感神経活動と血中および唾液中コルチゾール値は低下し、心拍変動（Heart Rate Variability：HRV）は増加する。
• 高感度CRPやIL-6などの炎症マーカーの値が低下する。
• 身体を動かすにもかかわらず、血中乳酸値は低下する。
• レジリエンスは精神生理学的リソースを減少させるように、逆境やストレスの多い状況にタイムリーに対応して適応する個人の能力を含むため、心身療法の別の利点を提供する可能性がある。
• それらの結果、ヨーガの実践により不安、抑うつ、陰性感情、疲労感は減少し、痛みに対する破局的思考や睡眠障害の改善が報告されている。
  
  
• ヨーガ療法は自己調節スキルの構築とシステムの回復力の育成を通じて、多様な集団の身体的、精神的、行動的健康に多くの効果をもたらす幸福を促進するために提案されている。ヨーガのグナとポリヴェーガル理論の神経プラットフォームの属性は同じではないが、関連がある。

  グナ　guna（qualities） 「徳」または「質」という意味 グナとはヒンドゥー哲学における現実世界を生み出した元素であるプラクリティを構成する要素 プラクリティ　prakṛti（Maya or Illusion） 根本的な質料因を意味するインド哲学用語 サーンキヤ学派では、精神原理プルシャと物質原理プラクリティが対置されていて、存在論的に述べると、プラクリティは現象世界の根源的物質であり、現象的存在（個々の物）は全てプラクリティの変化によって生じたもの、とする。 物質原理の「プラクリティ」は、日本語では「根本自性」「根本原質」などと訳されている。 プラクリティはさらに３つのグナ：Sattva、Rajas、Tamasから構成されている。 トリグナ、3種のグナ、3つの特性　Tri-guna 本質（プラクリティ）の3つの構成要素 純質　サットヴァ　Sattva↓（purity）：調和、バランス、喜び、知の性質 激質　ラジャス　Rajas↓（activity）：エネルギー、行動、変化、動きの性質 暗質（鈍質、翳質）　タマス　Tamas↓（darkness, destruction）：暗さ、不活発、物質の性質 ラジャスやタマスのどちらかに偏り過ぎてしまうと、精神的にも身体的にもいろんな症状が現れやすくなるので、ヨーガ療法では、伝統ヨーガの技法であるアーサナを調整して適応することによって、グナのバランス・心身の調和をもたらす。 ポリヴェーガル理論の神経回路とグナの生理学的、心理的、行動の表出には対応関連がある。 Yoga Therapy and Polyvagal Theory（Front Hum Neurosci. 2018; 12: 67.）＠ Stephen W.Porges博士*） 全状態 Global state 神経回路 グナ 表出属性 social engagement 腹側迷走神経複合体：VVC Sattiva 安全性、繋がり、明晰さ、幸福、静けさ、平等 遊び／ダンス VVC & 交感神経：SNS Rajas with Sattiva + Tamas 活動性、創造性、モチベーション、変化への能力 fight or flight SNS Predominance of Rajas 恐り、怒り、貪欲 親密さ Intimacy DVC + VVC Tamas with Sattiva + Rajas 安定性、形態、拘束、社会的絆 仮死 shutdown immobilization 背側迷走神経複合体：DVC Predominance of Tamas 曖昧さ、慣性、鈍さ、無知、妄想、解離

  
  
• ヨーガ療法は繋がり、静けさ、幸福の出現のためのSattvaとVVCの神経プラットフォームにおける強力な基盤を構築し、生理学的、心理的、行動的な健康と幸福に利益をもたらす。さらにRajasとTamasのグナの自然な変動、およびSNSとDVCの対応する神経プラットフォームとの関係を変更することによって促進され、個人が効果的が回復の状態になることや、レジリエンスを構築することを学ぶ。
  

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• 腰痛に対するヨーガの使用に関する2013年の系統的レビューでは、痛みに対する短期的および長期的な影響の強力な証拠と、重篤な有害事象を伴わない、背中特有の障害における長期的な利益の適度な証拠が見つかった。（Yoga for chronic low back pain: a meta-analysis of randomized controlled trials　*）
• 非特異的慢性腰痛に対するヨーガ療法に対する2017年のコクランレビュー　＊ （Yoga treatment for chronic non‐specific low back pain　E/J）
• 2018年の米医療研究・品質調査機構（Agency for Healthcare Research and Quality）の報告では、腰痛に対するヨガの8件の研究（参加者計1,466例）を評価し、ヨーガは短期的（1～6か月）、中期的（6〜12か月）に痛みや機能を改善することが認められた。ヨーガの効果は、運動の効果と同様であった。*
  
  
• Kakigi R et al. Intracerebral pain processing in a Yoga Master who claims not to feel pain during meditation.（European Journal of Pain. 9,581-589, 2005*）
  生理学研究所の柿木先生のグループは、瞑想中に痛みを感じないと主張するヨガマスターの脳磁図（MEG）と機能的磁気共鳴画像法（fMRI）を記録したところ、10 Hz付近でピークに達するアルファ周波数帯域のパワーは後頭葉、頭頂葉、側頭葉の領域で瞑想中に大幅に増加したが、視床、SII島（主に島）、および帯状皮質での活動の減弱が認められた。
  
  
• 滋賀医科大学腫瘍センターの森田幸代先生はヨーガ療法外来をされておられます。Youtube/*
  （2019年6月11日放送のたけしの家庭の医学」でも不眠を解消するための、ヨーガの3つのポーズが紹介された。）

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○音楽療法 Music Therapy　参考1

• 音楽療法とは、「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」をさすものとする。
• 緩和医療においても、がん患者に対して音楽療法が行われている。
• 音楽療法では、音楽を、コミュニケーションと自己表現の手段として用いる。音楽は、クライエントの行動の変化（健康に向かうための）を引き起こす役割をもつ。

　[Juliette Alvinの提唱した定義]*

• 音楽療法は、身体的、精神的、情報的失調を持つ成人、児童の治療、復帰、教育、訓練に音楽の統制的活用である。
• 音楽療法は、音楽の機能であって、音楽そのものを目的としない。
• それ故に、音楽療法の価値は、使いたい音楽の種類にも、音楽的感性にも関係しない。
• 音楽療法の効果は、もともと音の人間に与える影響に由来している。

　[音楽療法のアプローチ]

行動療法的音楽療法（Clifford Madsen、他） 行動理論に基づいて問題行動を適応適法港に変容させることを目的とした技法であり、1950年頃から使われている。 行動療法を音楽療法に応用し、音楽が持つ賞（褒美）を巧妙にセッションに取り入れ、行動変容を促す 児童の音楽療法で重要な地位を確立。 発達のプロセスには学習が深く関わり、覚える行為に含まれる賞と罰の効果が、人間の成長に必要。 本療法の考え方に、不足していた心の問題を導入することで、人間主義的音楽療法が生まれた。

精神分析的音楽療法 Analytical Music Therapy：AMT Mary Priestley（英国の音楽療法士）が創始した「アナリティカル音楽療法」 1970年代から始められた音楽療法で、イギリス、アメリカ、ドイツ、デンマークなどを中心に発展してきたアプローチ 自他の感情を受容できるという音楽の性質により、患者の感情表出を促し、言語での内面と意識化とは異なる特有のコミュニケーション的価値を生む。 クライアントとセラピストとの間に自由な音楽的交流の場が成立し相互に自分を表現。両者間の音楽的対話により、クライアントは自分の受容を実感し、セラピストと美しい音楽を作っていることを体験 音楽が有する相互を結びつける作用は、人間同士の関係で向き合う個人療法で絶大な威力を発揮する

人間主義的音楽療法 NordoffとRobbins Cによって1959年から始まった音楽療法であり、実践においては主として即興演奏が用いられる。 行動主義を批判する流れの中から生まれてきた人間主義心理学に基づいた音楽療法 正しい音楽が子供に気づかれるように上手に使われると、障害を有する彼らの制限は音楽により解放され、知性と感情の機能不全から自由な体験へと運ぶ 障害児１名に音楽療法士２名が「即興」による音楽療法で関わる。１人はピアニスト、他方はクライアントの音楽活動を援助する指導員の役割を務める 音楽自体が最も重要な意味を有する。両者間に豊かな芸術性が生まれ、子供の心が十分に魅了される。

イメージ誘導法 Guided Imagery and Music : GIM LSDがもたらした精神的快楽状態を、音楽と自律訓練などのリラックス技法で実現することをBonny Hは試み、GIMが生まれた。 音楽聴取し表出したイメージを用いて治療する。 思慮深く選曲された音楽の力により、心の奥底に存在する内面の優しさや調和、美への願望が表出し、全人的なバランス感覚が感じられる。このプロセスにより、自ら問題を領域を認識し探ることも可能となる。 GIMで体験される明晰夢は、初体験者には驚異の経験となる。不思議で意味深い体験であり、深いリラックス感と幸福感を味わうことが多い。




1/fゆらぎ　参考1/2 frequency：f =周波数、振動数 自然界には様々な音（揺れ動き≒ゆらぎ）があり、これを分析すると３種類のゆらぎに分けられる。 1/f0 純雑音（ホワイトノイズ）、まったくランダムなパターン 1/f 心の安らぐ音楽、ピンクノイズ、ランダムでも単調でもない特別な性質をもってゆらぐパターン 1/f2 単調音列、極めて厳密に一定の変化様式に従うパターン 1/fゆらぎとは、パワーが周波数fに反比例するゆらぎ。ランダムなノイズであるホワイトノイズに比較してピンクノイズと名づけられた。 1/fゆらぎは、自然界で生じるゆらぎの中で普遍的な現象である。波の音、ことりのさえずりや虫の音、小川のせせらぎ、風の吹き方、木漏れ日、太陽光、蛍の光など自然界のゆらぎは1/fゆらぎの特性を有する。 ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れなど人間が作った人工物のゆらぎも、1/fゆらぎであることがわかった。 心拍、血圧、脳波、ホルモンなどの変動にも、1/fゆらぎがみられる。 心臓は一見規則的に拍動しているようですが、心拍動にもゆらぎがある。心電図のＲ—Ｒ間隔を調べると、健康な人が安静にしている状態でも、心拍間隔は平均値プラスマイナス10%も変動があり、ゆらいでいる。スペクトル解析すると、きれいな1/fゆらぎを示す。 心拍動も1/fゆらいでいるのでリラクゼーションに効果的といわれる。 1/fゆらぎのリズムを聞くと、脳波がリラックスを示すα波が優位になることが実験で確かめられている。 アマデウス(モーツァルト)はクラシックの中でも特に1/fゆらぎが多量に含まれていることで知られている。 痛みを訴える患者さんにクラシックなど静かな音楽を聴かせ、痛みが和らいでいるときの脳波のα波の変動も、1/fゆらぎを示した。 高倉公朋先生（元・東大脳神経外科教授）がはじめて、電気刺激鎮痛（TENS）に1/fゆらぎを取り入れた。 1/fゆらぎに乗ったリズムの音楽を解析して波動を作り出し、その波動に沿って変化する周波数で電気刺激による治療は、鎮痛効果が高いことがわかった。

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●アロマセラピー aromatherapy 　参考1

• スパイスや芳香植物を意味するギリシャ語の「アロマ」、利用法を意味するフランス語の「Therapie」を合わせた造語。
• アロマテラピーは、植物から有効成分を抽出した天然100％の精油（エッセンシャルオイル）を使って行う芳香療法。
  
  
• 古代エジプトの多くの遺跡やパピルスに香油の存在が記され、医療やミイラを作るときの防腐剤、化粧品として使われていたことが記録されている。

  BC5C	Hippocrates（P BC460〜BC377, 古代ギリシアの医聖）もハーブによる400余りの処方を残している。
  	クレオパトラはバラの香りでアントニーを誘惑したといわれている。
  1928年	アロマテラピーという言葉は、René-Maurice Gattefossé（フランスの化学者、調香師）がはじめて使った。実験中に手に火傷を負い、とっさに手近にあったラベンダー精油に手を浸したところ傷の治りが目ざましく良かったことから、 精油の医療方面での利用を研究し始めた。 1928年に研究の成果を学会で発表し、「Aromatherapy」と「 essentielle antiseptique」を出版した。
  1964年	Jean Valnet（1920〜1995/5/29, フランスの外科医、アロマテラピーの創建者）はインドシナ戦争（1950〜1952年）で、砲爆撃による火傷負傷兵を精油を使って治療し、除隊後も、精油の科学的研究に従事した。こうした学術研究により1954年には勲章を授与された。1964年にアロマテラピーを扱った最初の医学書である「アロマテラピー：植物ホルモンとしての精油 Aromatherapie: les huiles essentielles hormones vegetales 』を刊行した。
  1960年代	Marguerite Maury（フランスの生化学者、Gattefosséの弟子）が、精油を使った心身の美容と健康法として新しい考え方を示しまし、イギリスやスイスに伝えた。

  
  
  
• 身体や心の状態に応じて精油を選び、芳香成分を嗅ぐ、あるいは塗布やマッサージにより成分を体内に取り入れることで、心身の健康を維持することを目的とする。
  
  

  アロマセラピー	イギリスから入ってきて、リラクゼーションや不調の緩和を目的にオイルマッサージによって精油を体内に送り込む。
  メディカルアロマセラピー	フランス、ベルギーで医師や薬剤師などの医療従事者によって行われていて、症状の緩和や改善を目的に外用剤として精油を皮膚から吸収させる。
  ハーブ療法	精油を皮膚から吸収させる。

　[アロマセラピーの方法]

1. 吸入法
2. 芳香浴
3. アロマバス
4. 手浴、足浴
5. 湿布

　[エッセンシャルオイル（精油）]

• 100％自然成分の揮発性のオイル
• 主にハーブなどの芳香性の植物の花や葉、茎、根などから抽出して作る薬効が凝縮されている香る有機化合物の液体。 オイルということばがついているが、油脂は一切含まれてない。
• 水性ではなく、また化学反応を起こしやすいので金属やプラスチック製品での取扱は行わないこと。

  ラベンダー lavender シソ科で淡紫系の色の花 ラテン語の「Lavare（洗う）」に由来。 穏やかな香り

  バジル Basil シソ科の一年草。イラン、イラクが原産とされ、野菜に似ている。 微かに辛味のある甘い香り イタリア料理のスパイスやソースにも入っている。 プランター栽培がしやすいので、ガーデニングでもよく見かけるハーブ。

  ローズマリー Rosemary シソ科で初夏に小さな花が咲く。 甘い香り

  スイート・マージョラム Sweet Marjoram シソ科 温かみのある、軽いしみとおるような香り

  ゼラニウム Geranium フウロソウ科の葉から 甘い香り 白やピンク色の花が咲く。

  ベルガモット Bergamot　 みかん科、果実は小さめの扁円形で少し苦味がある。 さわやかな柑橘系の香り

  ユーカリ Eucalyptus フトモモ科 森のすっきりとした香り

  カモミール・ローマン Roman chamomile （和名はカツミレ） ギリシャ語の「地面のリンゴ」という意味。 青リンゴを思わせる香り

  イランイラン YlangYlang バンレイシ科の花から タガログ語の「花々の中の花」という意味の「アランイラン」に由来する。 ジャスミンに似たフローラルで甘くエキゾチックな香りが特徴。

  ローズ Rose 甘い香り

  ネロリ Neroli ミカン科 優雅な香り

  ジュニパー Juniper ヒノキ科、針葉樹で直径5〜8mmくらいの黒い小さな柔らかい実から すっきりした香り ジン（酒）に使われている香り

  サンダルウッド Sandalwood ビャクダン科 甘い香り 昔から瞑想などに薫香として使われてきた

  サイプレス Cypress すっきりした香り

Pain Relief