症例8

臨床所見

症例は30歳代男性。バイク運転中に右折しようとしたところ、乗用車と衝突。バイクは大破した。救急要請後、蘇生術が施行されたが、蘇生されずCTによるAiが施行された。


診断

交通事故による多発外傷

画像所見

死後40分後CT。頭蓋骨の損傷激しく、頭蓋内にはairを認め、気脳症の所見(Grade C)。頚部は脊椎の偏位は認めないものの、頭蓋底部の骨折(→)の他、C6棘突起骨折を認める(Grade C)。脊柱管内にairを認める。胸部は血胸、心臓・胸部大動脈の虚脱を認める(Grade C)。右第4肋骨骨折(→)、両側皮下気腫を認める。腹部は左広背筋内にair(◯)を認め、筋挫傷と考えられたが、内部臓器に目立った外傷性変化は認めなかった(Grade A)。骨盤部では非開放性骨折(Grade A)と骨盤内血腫(未提示)、左大腿骨骨折を認めた。

ポイント

交通事故に伴う多発外傷では、どの所見が最も死因となりうる所見なのか判断が困難な場合がある。そのような場合はShiotaniらによって提唱されているAbbreviated Injury Scale(AIS)を共に交通事故外傷の死後画像をGrade分類したものが有用である。Grade分類することで、客観的な判断が可能となる。Seiji S et al. Radiat Med (2008) 26:253-60

担当者名

帯広厚生病院 放射線科
菊池穏香、佐藤幸彦、菊地慶介、真鍋徳子