症例66

臨床所見

0歳9ヶ月 男性                   
要約)シトリン欠損症、肝硬変
             病歴)重症新生児仮死後、シトリン欠損症による慢性肝障害で、○○大学小児科外来フォロー、○年11月20日より、母が児の腹部膨隆に気がついた。外来での経過のみだが、11月28日再診時1週間で約800gの体重増加と呼吸障害を認めたため、入院となる。複数回の腹水穿刺と肝庇護剤などを行っていた。肝移植の適応無くDNRで経過観察。○年1月16日午前6時58分死亡確認。
解剖)なし


画像所見


瀰慢性脳萎縮。


膵著明な脂肪肝。                   

診断

  • 生前の○年7月29日の頭部MRIでは、基底核視床壊死、びまん性両側大脳半球萎縮、白質菲薄化、両側前頭頭頂部硬膜下水腫などの所見が認められる。臨床診断されているシトリン欠損症自体の所見ではなく、基底核視床壊死を伴う新生児脳症による脳障害の所見の形態をとっている。
  • ○年11月29日のCTでは、肝萎縮とかなりCT値の高い大量の腹水貯留が認められる。臨床的にシトリン欠損症による肝硬変ありと診断されているが、それに整合する所見で、大量腹水の存在から非代償性肝硬変となっていることが推測される。 この他、右房内石灰化(石灰化血栓か)、両側腎盂内結石、右側腹部皮下浮腫などの所見が見られる。
  • Ai-CTの頭蓋内の所見は生前の○年7月29日の頭部MRIと基本的な変化はないと思われる。
  • 両肺広範なスリガラス様陰影があり、気管支血管周囲腔の拡大を伴っている。小葉間隔壁肥厚ははっきりしない。うっ血性肺水腫を疑う。
  • 肝臓はびまん性に低吸収化しており高度脂肪肝となっている。生前はっきりせず、終末期の異化作用によるものか?(救外の死後CTでもときどき認める)。腹水貯留著明。両側腎盂内の結石消失。
  • 考察

    • 脳は重症新生児脳症などにより基底核視床壊死を伴うびまん性の脳萎縮の状態にあった。肝臓は脂肪浸潤が著しく腹水の存在は非代償性肝硬変の存在を示唆する。  
    • 死因は脳障害による呼吸不全、心不全、呼吸不全、肝不全などが複合的に関与すると考えられる。外傷性変化や大量出血の所見は指摘できない。  

    担当者名

    Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)