症例6

臨床所見

症例は70歳代女性。脳動脈瘤に対するクリッピング術後の既往があった。倒れていたところを発見され、当院に救急搬送されたが、蘇生されずCTによるAiが施行された。


診断

くも膜下出血

画像所見

死後21分後の頭部CT。右IC-PC領域にクリッピングによる金属アーチファクトを認める。くも膜下腔にびまん性に高吸収域を認め、くも膜下出血の所見。両側側脳室内にも高吸収域を認め、脳室内へ穿破している。画像の提示はしていないが、その他の領域に死因と考えられる所見は認められなかった。

ポイント

死後CTでの死因同定率は約20~30%である。CTで同定できる死因のほとんどが出血である。そういった意味では、脳出血やくも膜下出血などの診断は比較的容易と考えられる。もちろん、死亡原因究明として剖検は標準的な方法と考えられる。しかし、病理解剖では、遺族が剖検を承諾しても、頭部検索まで施行されないことも少なくない。Aiは剖検より承諾を得やすく、かつ、全身を短時間で検索できる。頭部解剖の了承を得られなかった場合はCTによるAiが唯一の死亡原因究明手段となり、頭部領域でのCTによるAiの果たす役割は大きいと考えられる。

担当者名

帯広厚生病院 放射線科