症例51

臨床所見

0歳3ヶ月 男性
要約 )内蔵錯位(右側相同)、房室中隔欠損症、肺動脈閉鎖症、部分肺静脈環流異常症。 病歴) 0G0P,〇産婦人科にて妊娠管理されていた。在胎31週6日、胎児エコーで心尖部の向きがおかしい事を指摘され、〇病院産婦人科紹介。精査にて、内蔵錯位、単心室、肺動脈閉鎖、MAPCA,両側上大静脈を疑われ、Asplenia, Dextrocardia, AVSD, PA, PAPVCと診断され、以降妊娠管理されていた。 在胎39週6日、母胎に子宮収縮認め、管理目的で入院。在胎40週5日、経腟分娩にて出生。体重3742g、Apgar score 8/8。出生時羊水混濁を軽度認めた。同日NICU入院。リプル投与開始。mBTS施行(胸骨正中切開で左腕頭動脈から右肺動脈に4mmの人口血管)。術直後はFiO2 70%、PO2 75%前後であったが、その後徐々に酸素化改善。その後high flow傾向。徐脈、血圧低下で再開胸。心臓マッサージ、心室ペーシング施行。この際はすぐに戻ったが、朝8時頃再度high flowショックとなり、その後2時間異常、開胸心マッサージを施行したが、ボスミンにも反応せず。11時25分死亡確認。


画像所見


右肺は矢状断で3葉ありそう。


左肺はminor fissureがあり、3葉である。


診断

  • 肺水腫、胸水、腹水など循環不全を考えさせる所見あり。急変前にある程度存在したものが、急変後に顕在化~増強した所見として納得できる。
  • 脳出血はない。

解説

  • 内臓錯位。無脾ではありそうだが、腹部臓器は通常形態。腸回転異常は存在する可能性がある。重症心奇形、無脾症でもあり、内臓錯位症候群のうち無脾症候群に一致する。
  • 心大血管系は低線量非造影CTであるため評価困難(解剖学的評価を死後に行うのであればMRの施行を推奨)。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)