症例50

臨床所見

4歳4ヶ月 男性
要約 )所在不明にて警察官が捜索中、学校のプールの水中、プールサイドに近いところでうつぶせの状態で浮遊していた。警察官が引き上げたところ、JCS300、CPAの状態。CPR開始。AED要請、波形確認ではショック不要で、CPRを続け救急隊が到着。経鼻胃管からは50ml程度の透明液体(プールの水)を排液。 〇〇病院に搬送されたが、同日午前11時43分死亡確認


画像所見


気管内径は正常。気管分岐部はおおむね水濃度のもので内腔が消失している状態だが、長時間の蘇生が行われており、発見時点の状態の推定はやはり不可能だと思われる。末梢気管支は含気している。



肝臓の吸収値が上昇、軽度脾腫の可能性。



胆石があるかもしれない。


診断

  • 蘇生時の手技により、明らかな溺死の所見とは言い切れない。
  • 頭部・上肢を除く部位には外傷死を疑わせる所見は認められない。

解説

  • 気管内径は正常。気管分岐部はおおむね水濃度のもので内腔が消失している状態だが、長時間の蘇生が行われており、発見時点の状態の推定はやはり不可能だと思われる。末梢気管支は含気している。
  • 骨・軟部に外傷の所見なし。舌骨骨折なし。歯牙の損傷なし。過去の損傷の所見もなし。骨系統疾患や代謝性疾患を示唆する所見も認めない。
  • 肝臓の吸収値の上昇、胆嚢壁肥厚、胆石の可能性、脾腫などからは、遺伝性球状赤血球症による溶血性貧血の可能性が考えられる。日本人には多い。小児の胆石として多い。
  • spherocytosisによる死亡もある。
  • http://www.toledoblade.com/Medical/2004/11/11/Blood-disorder-blamed-for-death-of-athlete-15.html
  • 鎌形赤血球症で脱水などになると突然死することが知られている。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)