症例5

臨床所見

症例は60歳代男性。脳梗塞(右片麻痺)の既往がある。心肺停止状態で当院救急外来へ搬送されたが、蘇生されずCTによるAiが施行された。


診断

腹部大動脈瘤破裂

画像所見

死後19分後CT。左シルビウス裂の拡大、左側脳室拡大を認める。左側頭葉には低吸収域あり、脳梗塞後の所見。胸部大動脈瘤なし。右側優位の後腹膜血腫、腹腔内血腫が存在し、その尾側に腹部大動脈瘤が認められる。大動脈瘤周囲にも血腫を認める。腹部大動脈瘤破裂が死因と考えられた。骨盤内にも血性腹水を認めた(未提示)。血腫:→

ポイント

腹部大動脈瘤と、その周囲に血腫と思われる高濃度領域を認めた場合、大動脈瘤破裂が考えられる。外傷性か非外傷性かは、他部位での損傷の有無や、既往歴の有無、発見された状況(確認できるならば)などから判断される。なお、本症例で認められた腹部大動脈の虚脱は、出血に伴う変化も考えられるが、正常の場合でも、死後変化として腹部大動脈の虚脱所見を認めるため注意が必要である。

担当者名

帯広厚生病院 放射線科
菊池穏香、佐藤幸彦、菊地慶介、真鍋徳子